コロナ禍で一気に進んだリモート仕事や医療。特に医療の分野では、リモートと対面で大きな差があるのかどうか心配になりませんか? 今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、認知行動療法におけるリモートと対面で比較した論文を紹介しています。
リモートと対面による認知行動療法
◎要約:『多くの研究で得られている結果からは、リモートと対面式で認知行動療法の効果に大きな差はないかもしれない』
最近は日本でもリモートによる認知行動療法が行われており、(提供されているセッションの質には注意が必要ですが)特に認知行動療法の対面による提供が少ない地方では、カウンセリングの新しい選択肢となりつつあります。
今回は、リモートと対面による方法を様々な疾患について行った認知行動療法で比較した分析(メタ・アナリシス)についてご紹介します。
治療者援助のあるリモートと対面式による認知行動療法
様々な精神疾患に対する認知行動療法(リモートと対面)を内容として含む54のランダム化比較試験が対象となりました(18歳以上の参加者5,463人を含む)。
結果として、以下の内容が示されました。
・対象疾患は不安関連疾患17本、うつ症状14本、不眠症7本、慢性疼痛または疲労症候群6本、ボディイメージまたは摂食障害5本、耳鳴り3本、アルコール使用障害1本、気分及び不安障害1本となっていました。
・中等度の正確性で、リモートと対面式の認知行動療法で効果に明らかな違いはありませんでした(標準化平均差SMD -0.02, 95% confidence interval -0.12 to 0.07→ほとんどど効果の平均に差がないという解釈)。
地方における入手の困難を考えると、(セラピストの技量や経済的負担を確認して)認知行動療法をリモートで利用する方法は検討されて良いのではないかと思われました。
image by: Shutterstock.com