ソフトバンクがオンライン専用ブランドの「LINEMO」で、10GB税別1900円、3GB以下なら税別900円という新料金プランを開始すると発表しました。新規の顧客を獲得することはできるのでしょうか。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、10GBの容量設定にしたことを「絶妙」と評価。ブランド名にも関わる「LINEユーザーのための通信サービス」が希薄になっていることについても、「LINE」そのもののジリ貧感を指摘し、賢明な戦略と解説しています。
LINEMOが10GB最安の「ベストプラン」を発表──今となっては「LINE連携」はさほど必要ないのかも
ソフトバンクはオンライン専用ブランド「LINEMO」において、新料金プラン「LINEMOベストプラン」を7月下旬より開始する。「10GB」という絶妙なデータ容量を設定し、他のMNOにおける割引前の金額と比べて「最安」を謳う。楽天モバイルが「最強」をアピールする中、あえて「ベスト」という単語を使って対抗していくようだ。
これまであまり新しいネタがなく、地味な存在であったLINEMO。かなりのテコ入れとして、10GB以下なら最安ということで、ユーザーの選択肢にはなりやすくなった。ただ、安価なブランドとしては訴求力が出た一方、サービス発足当初の「LINEユーザーのための通信サービス」という点においては、かなり希薄になってしまった感がある。
今回の新料金プランでは、LINEスタンプ プレミアムが外れてしまった。ソフトバンクとしてはLYPプレミアムにLINEスタンプ プレミアムがあるため、そちらにユーザーを寄せていきたいのだろう。一方で、LINEMOにLYPプレミアムを対応させることも検討しているようだ。
ぶっちゃけ、LINEユーザーのための通信サービスというのがユーザーに求められているのか、そもそも市場があるのかを一度、検討し直す必要があるのかも知れない。
LINEの通信量がカウントされないというメリットがあっても、そこまでデータ量は多いわけではないし、ユーザーがデータ量を実感しながら使っているとはあまり考えにくい。また、他のLINE関連サービスもユーザーに支持され、人気があるサービスがどれだけあるのかといえば、結構、微妙だ。LINEのメッセージサービス以外が人気で、ユーザーが多くの課金をしているのであれば、そもそもLINEは経営的にソフトバンクに助けを求めることはなかったはずだ。
昨今、LINEは総務省から目をつけられていることもあり、ソフトバンクやヤフーとしても、なかなか連携をとりづらいというのが正直なところだろう。
記者会見で寺尾さんに「LINEとの連携強化はどうするのか」と質問したものの、ソフトバンクとしてはこれ以上、LINEMOでLINEに深入りすることなく、単なる「安価なオンラインブランド」として割り切ってサービスを提供し続けるほうが得策のようだ。
かつてLINEモバイルが登場したころは、LINEにも勢いがあったが、最近は総務省との兼ね合いもあり、かなりジリ貧になった感が強い。ヤフーやPayPayといった経済圏との連携はソフトバンクやワイモバイルブランドで強化しつつ、LINEMOはひっそりと、経済圏に興味の無いようなエントリー層を取り込むブランドとしてやっていくというのが賢明なのかも知れない。
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