詐欺や悪徳商法と同じ手口。統一教会の元信者が間近で見た、教団による「周りに相談させない状況」の作り方

 

2.不起訴合意の念書は、旧統一教会の口止め手法の延長とみる理由

この3つの要素はどれも、被害防止のための重要な指摘とみていますが、今回は「助言の遮断」について話をしたいと思います。

全国統一教会被害対策弁護団の司法記者クラブで川井康雄弁護士は「助言の機会を奪うことの禁止」について次のように話します。

「教義を教え込まれるビデオセンターでの受講や修練会などへの参加、共同生活をする際には、家族や友人にこのことを口外しないように言われている事例がほとんどです。口止めがなく、家族や友人に相談をしていれば、疑問を差し挟む余地が生まれていたはずです」

この意図的な「口止め」は教団内部では絶えず行われていたことで、積善陰徳(良いことは黙ってやるべき)「好事魔多し」(良いことには魔が入るので、誰にも相談しないように)などと話して、周りに相談させない状況を作ります。私自身も信者時代、これが教義の教え込みをするうえでは重要なファクターであったことを間近で見て実感しています。

詐欺や悪質商法の世界を取材してきても、状況は同じです。自らの行った強引な契約行為や悪事が露見しないようにするため、また被害者の泣き寝入りを誘うために、悪質業者は誰かに相談するなどの口止め工作をしますが、それと同じです。

今回、多くの人が注目している裁判・裁判外での返金をしないことに合意させる念書もまた、教団が組織ぐるみで行った、口止めの行為の一つだと考えています。念書の有効性をこれまで裁判で認める判決もありましたが、これが公序良俗に反して無効となれば、旧統一教会が組織的に行ってきた行為の悪質性が、世に問われることになります。

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