高級なイメージの強い夏の風物詩、うなぎ。ここぞとばかりに贅沢したいときにだけ食べる、という人も多いのかもしれません。しかし、そんなイメージを変えたお店があります。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、うな丼を590円という驚きの値段で提供するチェーン店「宇奈とと」を紹介しています。
うなぎがファストフードに!?590円うな丼は市場を変革するのか?
うなぎ丼1杯590円。
衝撃の価格でうなぎを提供する、チェーン店があります。
『宇奈とと』。
現在、国内外に100店舗以上を展開し、庶民向けうなぎとして、定着しつつあります。
では、なぜここまでの低価格を実現できるのでしょうか。
「どうせ中国産でしょ!」「味はそれなりでしょ!」と、決めつけで敬遠する人もたくさんいると思います。
うなぎは高級なもので、安いものは質が悪いと思い込んでいます。
しかし、それは時代遅れ。
宇奈ととのうなぎは、確かに中国産ですが、昔と違って、養殖技術の向上により、うなぎ自体の質がかなり良くなっています。
加えて、冷凍技術も格段に進化し、個人店で提供されるうなぎとさほど差のないものとなっています。
さらに、職人による捌きや串打ちをなくし、焼きの作業もオリジナルの焼き網を使うことで、職人に近い焼き上がりになるようにしています。
アルバイトの人でも、少し練習すれば、できるようになります。
海外養殖の安いうなぎを使い、高給である職人を必要としないことで、590円という破格のうな丼を提供することができているのです。
うなぎを調理するのは難しく、長年修行を積んだ職人がいなければ、うなぎ専門店を創ることはできませんでした。
しかし、さまざまな技術の進化により、職人がいなくても、美味しいうなぎを提供できるようになりました。
宇奈ととは、その先駆者とも言える存在です。
590円は、ファストフードと言っても良いほどの低価格。
高級なものを庶民でも手が届く場所に押し下げてくれたのです。
これなら、気軽に手軽に、頻繁にうなぎを食べることができます。
個人店は危機感を持つかもしれません。安いお店にお客さまを奪われる可能性がありますから。
しかも、宇奈ととはうなぎに対する庶民の夢・憧れを現実のものにしてくれるのです。
うな丼だけではなく、うな重やひつまぶし、うざく、う巻き、肝焼き、肝吸いなど、食べてみたいものをほとんど揃えているのです。
しかも、うな重960円、ひつまぶし1100円という安さ。
庶民でもうなぎが食べられる時代がやって来たのです。
これは、うなぎ市場の大変革とも言えます。
これをキッカケに、うなぎは庶民の食べ物となり、ファストフード化するのでしょうか。
と、単純な話ではありません。
うなぎには、普遍的な存在感があります。
高級品、老舗、特別な日。
人々にとって、非日常的なもの。非日常でなければならないのです。
有り難くいただくことに、意味があるのです。
そういう人たちにとって、宇奈ととは興味の対象外なのです。
安いことに価値を見出せないのです。
よって、老舗や高級店と宇奈ととの客層は、まったく違っているのです。
なので、宇奈ととが老舗のお客さまを奪うことはあり得ません。
宇奈ととは、これまで存在しなかったうなぎファン層を新しく形成したのだと言えます。
日本の食文化を変えてしまったと言っても良いのではないでしょうか。
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