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「大震災の前には、どうでもいい事件が注目される」説の真偽。体臭騒動は南海トラフ地震の前兆なのか?過去事例から言えること

「過去の大地震の前には、必ずといっていいほど“どうでもいい事件”が注目を集めてきた。いま物議を醸している『男性の体臭』騒動は、もしかすると南海トラフ大地震のフラグなのでは…」そんな説の真偽について考えてみた。

「男性の体臭」騒動に感じる「嫌な予感」

フリーアナウンサーの女性がSNSで「男性の体臭」について発言して猛批判を浴び、所属事務所を契約解除された一件が日本中の耳目を集めている。

女性は8日、Xに「ご事情あるなら本当にごめんなさいなんだけど、夏場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる」と投稿。自身は1日に数回シャワーを浴び、汗拭きシートや制汗剤も使っているとして、同様の配慮をするよう世の男性たちに呼びかけた。

ところが、この投稿がネット上で拡散されると「許しがたい男性差別だ」「この講師は男女逆でも同じことが言えるのか?」「男が言わないだけで女だって臭いだろう」といった批判が殺到する事態に。女性が、ハラスメント防止研修の講師などを務めていたことも炎上に拍車をかけたとみられる。

そのいっぽう、一部の女性からは「オッサンが臭いのは事実」「本当のことを指摘して何が悪いのか」「この程度の発言で事務所契約解除は処分が重すぎる」といった反論も。騒動はさながら男女対立問題の様相を呈している。

ただ、このような流れに「嫌な予感がする」というのは50代ネットメディア編集者だ。

「私の場合、脱いだ下着や枕を嗅ぐと自分でも臭いですし、他人が嗅いだら何倍も臭いと思います。ただ、それは一旦忘れましょう。というのも今、一部メディア関係者の間で、大地震の“前兆”というか“ジンクス”のようなものが注目されているからです。それはズバリ『大震災の前には、どうでもいい事件や騒動が世間の注目を集める』という説。今回の体臭騒動こそ、南海トラフ地震の“前兆”なのでは?と心配の声があがっているんですよ」(ネットメディア編集者)

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1995年 阪神・淡路大震災の直前に起きていたこと

大地震の前には、後から考えると「どうして自分はあんなことに夢中になっていたんだろう」と我に返らずにはいられない“くだらないニュース”が、必ずと言っていいほど話題になっている――南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表されている今だからこそ気になる説だ。

では、たとえば、来年に発生から30年の節目を迎える阪神・淡路大震災(1995年1月17日)のときはどうだったか?神戸の市街地などが震度7の激震に見舞われたのは年明け早々のため、前年1994年からの出来事をあらためてチェックしたところ、意外な事実が浮かび上がった。先の編集者が説明する。

「1994年と言えば、ビートたけしさんが8月に原付バイク事故を起こした年です。ただ、これは一歩間違えれば命を落としていた恐れもあり、決して“くだらないニュース”とは言えません。そこでさらに調べたところ、年の瀬の12月に、実にどうでもいいネタが話題をさらっていたことがわかりました。NHK紅白歌合戦の“衣装対決”です」(前同)

この年の大晦日に放送された第45回NHK紅白歌合戦では、ド派手衣装を身にまとった小林幸子と美川憲一の“直接対決”がお茶の間の話題に。まさかこの17日後に大地震が起こるとは誰も予想していない。さらに、紅白以外にも気になる“流れ”はあったという。

「実はピンク・レディーのケイちゃんが美ボディヌードを披露したのが1994年の1月。ここから震災まで、7月の三原じゅん子、10月のルビー・モレノなどヌードラッシュが続いています。さらに1995年は1月下旬に、日本に拠点を移したばかりのビビアン・スーや、あの高岡早紀のヌード公開も予定。その間にも、大地震の危機は迫っていたわけです」(前同)

巨匠・篠山紀信が撮り下ろす高岡早紀のヌード写真集は発売前から大きな話題に。美女の裸体に鼻の下を伸ばす世の男性たちを、地震が現実に引き戻したようにも感じられる。

「私自身も神戸で被災し、エロビデオをレンタルビデオ店に返却することができなくなりました。とんでもない額の延滞金が発生したのですが店長さんの配慮で無料に。人情を感じると同時に、ほんの少しでも防災対策をしておけばと我に返ったことを覚えています」(前同)

1994~1995年にかけては伝説のAV女優・日吉亜衣もデビュー。当時、動画配信サービスは存在しておらず、多くの人がレンタルビデオ店を日常的に利用していた。

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東日本大震災の直前にも“どうでもいいニュース”が連発

東日本大震災(2011年3月11日)の直前には、さらにわかりやすく“どうでもいいニュース”が立て続けに話題になったという。先の編集者が説明する。

「この頃の人々の関心の中心は、地震発生の約3ヶ月前、2010年11月25日に発生した市川海老蔵暴行事件でしたが、これは『関東連合』の実態を含めて世の関心を集めたものなので“どうでもいいニュース”とは言えないかもしれません。ただ、そんな中で、年明け早々に決定的な出来事が起こります。それがバードカフェのスカスカおせち事件でした。人の生命を左右するような重大事件ではなく、要は『おせちの見本と実物があまりに違いすぎる』という騒動でしたが、当時はすでにSNSが普及しておりネットで大炎上。事件の重大性と炎上度合いが少々アンバランスという点では、今回の体臭騒動とも似た面があるのではないでしょうか」(前同)

この時期には、タイガーマスクの主人公「伊達直人」を名乗る謎の人物による寄付行為もSNSで話題に。2月には八百長問題の影響で大相撲春場所の開催中止が決まったほか、AV女優の小向美奈子が覚醒剤で“2度目逮捕”という話題もあった。いずれもリアルタイムでは“注目ニュース”の印象だったが、たしかに今となっては“どうでもいいニュース”という印象は拭えない。

そんな空気感の中で、東北地方を中心とする東日本各地をマグニチュード9の揺れと巨大津波が襲った。それまでSNSでは「大学入試問題 Yahoo!知恵袋投稿事件」なども大いに議論されていたが、地震後は各地の被害状況や計画停電、原発に関する話題で一色に。これはあくまで記者の個人的印象だが、東日本大震災の直前にいったい自分が何を考えていたのか、正確には思い出せない気もする。

認知バイアスの一種か?必要なのは地道な防災努力

そのほか、熊本地震(2016年4月14日・16日)の年には、1月に川谷絵音とベッキーの不倫(センテンススプリング事件)が話題に。2月に清原和博が覚醒剤で逮捕され、3月にはショーンKの学歴詐称が発覚。いずれもSNSで大いに議論を呼んだ。

また直近の能登半島地震(2024年1月1日)では、前年2023年が1年を通して寿司テロ(外食テロ)ブーム。「私人逮捕系Youtuber」や「頂き女子りりちゃん」といったニュースも、後年の人々は“どうでもいい話題”だったと判断するかもしれない。

さて、駆け足で「大震災の前には“どうでもいい事件”が注目される」説の真偽を追ってきたが、こうしてみると、たしかにこの説は信頼度が高い印象がある。やはり今回の体臭騒動は、きたる南海トラフ巨大地震を警告しているのだろうか?

だが、このように法則が「当たっている」ように感じてしまうのは認知バイアスの一種ではないか、という指摘もある。別のネットメディア編集デスクが指摘する。

「世の中のモードを『平時』と『有事』にわけて考えた場合、いざ大きな地震が発生して甚大な被害が生じてしまった後ほど、私たちはそれによって失われた“当たり前”や“直前の日常”を強く思い出し、懐かしく感じてしまうのではないでしょうか。いわゆる『何でもないような事が幸せだったと思う』現象です。“くだらない話題”で喧々囂々の議論ができるのは平和の証。それがときにヌード写真集だったりAVだったり体臭問題だったりすると。私は今回の説をそんなふうに解釈しています」(ネットメディア編集デスク)

読者はどう感じるだろうか。今回ご紹介した説は、“前兆”や“法則”と言えるかどうかはさておき、「大地震はいつなんどき起こるかわからない」ことを思い出させてくれる。もし被災して断水すれば長期間入浴できなくなり、それこそ「男が臭い、女が臭い」などとは言っていられなくなるだろう。やはり私たち一人一人が日常的な防災意識を高めていく必要がありそうだ。

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image by: ETOPO1, Global Relief Model / public domain

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