どれほど事業がうまく回っていたとしても、常に危機感を持ち続けるのが重要な企業の経営サイド。外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんが関わっている年商13億円の支援先も、このまま変化しなければ来期営業利益の半分以上の金額を失うとして、その解決のために動いていると言います。堀部さんは今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』で、そんな企業の取り組みを紹介するとともに、「粗利額」を伸ばす重要ポイントを解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:営業利益1.3億円の企業が何故来期7,400万円ダウンを想定して対策しているのか?
営業利益1.3億円の企業が何故来期7,400万円ダウンを想定して対策しているのか?
年商13億のご支援先。
前期は様々な施策を行なった事もあり、遂に営業利益が1億円を突破!
これ自体は凄く良かったねと話しているのですが、常に早速次の危機感の話をしています。
具体的には、変化しなければ7,400万円の利益が減ってしまうのではないか?これに対しての危機感を持っている訳です。
その内容をまずは把握していきます。
■原価の高騰
専門業態のため粗利ミックスがし辛く、原価は2.5%高騰を想定。
3,250万円=13億円×2.5%
原価で3,250万円利益圧迫です。
■人件費の高騰
現在の雑給比率は20%。そして時給は1,200円です。
26,400万円=12億円×22%
これが今期は最低賃金の引き上げ後には1,300円になる準備をしています。そうなると28,600万円になります。
2,200万円=28,600万円-26,400万円
人件費で2,200万円利益圧迫です。
■水道光熱費の高騰
補助金がなかったらどうか。
これを前提に計算いただいたところ、1,950万円の利益圧迫が見えました。
ここまでで合計7,400万円の利益圧縮です。では次にこれをどう解決するか?です。
■値上げの考え方
まずは交差原価率表の最新版を準備。
理論原価率30%の会社さんなのですが、交差原価率で25%を占める商品だけをピックアップ。
値上げ率は最低限にしつつ、原価率も下がる売価を探りました。
超人気商品は完全据え置き。
逆に値上げしやすいものは最大で109.76%まで増加させました。
100%~109.76%まで成果が出やすい値上げを商品別で決めました。
その結果、
- 全体の単価は103.22%になる予定
- 原価率は30%→29.07%
上記がまずはわかりました。
■粗利でどの程度の変化があるのか?
まず売上は下記になります。
現状:1,300,000,000円
改善:1,341,800,128円
既存店客数を維持する前提ではありますが、今回の値上げでは過去の流れからも問題は無さそうと踏んでいます。
相対的にもまだ競合に比べて価格優位性はある感じです。
この記事の著者・堀部太一さんのメルマガ
■粗利率でどの程度の変化があるのか?
現状:910,000,000円=1,300,000,000円×70%
改善:951,738,831円=1,341,800,128円×70.93%
これで、
41,738,831円=951,738,831円-910,000,000円
粗利としてこの金額の改善が見えました。
ただ今回のターゲットは7,400万円の改善。これを達成するには、
売価:105.7%
原価:30.00%→28.38%
こうなれば、74,100,000円の改善に繋がります。
売価を105.7%にすれば解決するのですが、それで客数の維持ができるか?は難しいという判断。
そのためまずは「103.22%」の売価変化。そして客数の推移を見て問題なければ、トータル「105.7%」になるように調整。
ただここで調子が良ければ2回目の累計で106%は超えてくるので計算すると、「83,200,000円」のアップになります。
そうなるとちゃんと増益の流れになります。
■粗利の考え方
粗利額=売上額×粗利率
上記になる訳ですので、粗利額を伸ばすには、「売上を伸ばし」「粗利率を伸ばす」です。
この2つを掛け算にするには値上げが大切。
値上げをせず客数を伸ばせたとしても、「売上を伸ばし」「粗利率が変わらない」だと、やはり前者の方が業績インパクトはでかいと言えます。
既存店売上を伸ばし続けるために、客数維持ができる範囲内で積極的に客単価も変えて粗利率を改善し続ける。
この収益から内部環境への投資に繋げ、より体質の強い組織体にしていきましょう!
(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2024年8月19日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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