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【金返せ】「言質を取って追い込む」・・・プロ直伝!債権回収の極秘テクニック

言質を取って追い込む

『~債権回収トラの巻~ 中小企業の売掛金・債権回収 』より

言質とは、「げんち」と読み、“後で証拠になる言葉”という意味です。言質を取って追い込むということは、相手の発した言葉を盾に取って、言ったからには必ずやらなければいけないという状況を作りだすことになります。

もう少し軽い感じで表現すると、言葉尻の上げ足を取る、ということです。

金貸しはそんな事でお金を回収しているのか?と疑問に思われる方もいるでしょうが、言質を取ることは日常茶飯事です。

例えば、
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金貸しAさん:「入金できなかったんですか?なぜでしょうか?」

火の車Bさん:「資金繰りが悪化しているんです・・。」

金貸しAさん:「そうですか。それは厳しいですね。それで、今後どうやって返済していくつもりですか?」

火の車Bさん:「どうすればいいかと悩んでいるんですが・・。」

金貸しAさん:「そうも言っていられませんよね?うちも契約に則ってすぐに差押しなければいけなくなってしまいますよ?」

火の車Bさん:「はい・・。そこを何とかならないでしょうか?」

金貸しAさん:「厳しいでしょうね。」

火の車Bさん:「そうですか・・。なんとか月末の入金分で返済します。」

金貸しAさん:「今月の末日ですね?間違いないですか?」

火の車Bさん:「はい・・。」
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このような会話が行われて、それが記録として残されます。金貸しは、月末に入金するという言質を取っているので、入金されなければ、いくら金貸しが相手に言わせた言葉だとしても、あの時払うと言ったじゃないかと責め立てるのです。

そもそも、金貸しは契約書に基づいてお金を貸しますから、言質とか口約束のようなものは嫌う商売です。

いくら民法上では、口約束でも(一部を除く)契約は成立するとはいえ、必ず言った言わないの水掛け論になるので、無用なトラブルを避けるためにも書面にして証拠を残したがるのです。

しかし、回収交渉の場では、既に契約書に定められた支払日が破られているので、言質でも、ないよりはあった方がいいということになります。

しかも、日本人はまじめな気質の人が多いですから、言質を取られると守らなければいけないという感覚になる人が多く存在するのも事実です。

それから、あえてこの言質を使って相手を追い込むというテクニックを使うことがあります。嘘とわかっていても、言質を取った時点で外堀をどんどんと埋めて後には引けないような状況を作り出すのです。

例を出してみましょう。

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金貸しAさん:「いつになったら返済してくれるんですか?」

火の車Bさん:「(もう本当にしつこいな〜。この電話なんとかならないだろうか・・。)ちょっとまだ目処が立たなくて・・。月末頃に入金が入りますから、何とか待って下さい。」

金貸しAさん:「そうですか!そういうことでしたら、私も社長にお力添えさせて頂きましょう。上司と掛け合って、なんとか待てるようにしてみます。」

火の車Bさん:「ありがとうございます。(やったぞ。言ってみるものだ。本当はどうなるかわからいけど、これで取り合えず月末までは静かになるだろう・・。)」

金貸しAさん:「とは言っても、もう少し詳しく教えてもらえませんか?私も上司を説得するにはそれなりの材料が必要ですから。」

火の車Bさん:「そうですよね。どんなことでしょう?(適当に答えておけばいいだろう・・。)」

金貸しAさん:「末頃とは7月31日で良かったですか?」

火の車Bさん:「はい。」

金貸しAさん:「回収方法は振込入金ですか?手形回収ですか?」

火の車Bさん:「振込入金です。」

金貸しAさん:「今回の集金はいつ締めのものですか?」

火の車Bさん:「先月末締めの今月末入金です。」

金貸しAさん:「入金予定はいくらですか?」

火の車Bさん:「ええと、大体でいいですか?1000万くらいです。」

金貸しAさん:「どこの取引先からの入金予定ですか?」

火の車Bさん:「ええと・・。複数あるものですから・・・。」

金貸しAさん:「いいですよ。主な入金先だけ教えて下さい。」

火の車Bさん:「・・・・。」

金貸しAさん:「・・・・・・・・・(沈黙)・・・・・・・・・。」

火の車Bさん:「ええと・・、○○商事とか、△△物産とか・・。」

金貸しAさん:「それぞれいくらくらいですか?」

火の車Bさん:「そこまで話さなければダメですか?」

金貸しAさん:「ざっくりとでいいです。○○商事さんはどれくらいでしょうか?」

火の車Bさん:「はい・・。○○商事は300万くらいですかね。△△物産は200万くらい。あとは小さいのが複数ですね。(まずいな。ここまで言わされると、払えないとは言い辛くなってしまう。)」

金貸しAさん:「そうですか。なるほど、ありがとうございます。それだけしっかりとした予定でしたら大丈夫でしょう。○○商事さんも△△物産さんも昔からのお付き合いでしょうし、名の知れた会社ですから入金がないとは考えられないですもんね。」

火の車Bさん:「そうなんですよ(汗)これでわかってもらえましたか?」

金貸しAさん:「ええ。ありがとうございます。Bさんがそこまで言うんですから、私も上司の説得に努めます。ただ、入金が遅れているのは事実ですから、7月末には当社にもご入金して下さいね。」

火の車Bさん:「はい・・。(これは冗談では済まないな・・。)」

金貸しAさん:「良かった。これでお互いに嫌な電話をしなくて済みますね~。これで、もしBさんからお支払いがなかったら、私の首は飛ぶかもしれません。まあ、その時は社長の会社にも差押が入るなりなんなりで、お互いに大変ですよ。ハハハ・・・。」

火の車Bさん:「それは、○○商事や△△物産の売掛金を差押するということですか(驚)」

金貸しAさん:「そうなるかもしれませんし、他の資産かもしれませんね。でも、これで入金してもらえれば解決ですから、何も心配することはありませんよね?」

火の車Bさん:「・・・。はい。」
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こうして、ふっとした一言でも、例えうそを付いているとわかっていても、どんどんと特定していくことで、今更うそとも、冗談とも言わせない状況を作り出していくのです。

あくまでも冷静に、淡々と質問をぶつけて一歩一歩踏み込んでいきます。この質問の順序ですが、「YES」を取りやすいもの、回答しやすいものから進めていくのが王道なので覚えておいて下さい。

上記の例では、月末に入金すると言った相手の言質を取った後、簡単な質問をいくつか重ね、最終的にどの取引先からいくらくらいの入金が入るのかを特定して後には引けないようにしています。

そして、差押を示唆することで追い込んでいるのです。

あなたの売掛金回収に活かすことはできませんか?

information:
『~債権回収トラの巻~ 中小企業の売掛金・債権回収』
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