離婚時の財産分配とはまったく違う、相続税の「致命的欠陥」
それは、夫婦の期間がどれくらいでもあっても、すべての配偶者が同じような優遇を受けられるということです。
50年間連れ添った夫婦であっても、結婚して数か月の夫婦であっても、同じように優遇されるのです。これが離婚時の財産分配とは大きく違うところです。
民法では、夫婦の財産は名義がどうなっていても夫婦で築いたものであるという考え方があります。だから離婚した場合には、名義がどちらになっているにせよ、夫婦の財産はお互いのものということになっています。
が、離婚時の財産分配の場合、結婚する前にすでにあった資産については分配の対象となりません。結婚した後に夫婦で築いた財産だけが、お互いのものという考え方になるのです。
これは当たり前といえば当たり前の考え方です。だから、結婚生活が短い夫婦の場合は、夫にいくら資産があったとしても、結婚前に持っていた資産は離婚分配の対象になりません。
紀州のドン・ファンの場合、資産の多くは新妻と結婚する前に築かれたものなので、離婚していれば資産の分配はほとんどなかったといえます。
しかし、離婚ではなく、死別だったなら「結婚期間の長さはまったく関係なく」機械的に法定分配率が割り振られるのです。
こういう法制度を、妻側から見たとき、どうなるかを検討してみましょう。
妻の場合、資産家と結婚して短い期間で離婚する場合、もし相手に落ち度があれば多額の慰謝料などもらうことができますし、この慰謝料には税金はかかりません。
しかし相手に落ち度がない限りは遺産分配はほとんどありません。