習近平の不満。なぜ中国はアメリカとの会談を長期にわたって「拒否」し続けたのか?

July,5,,2017,-,Berlin:,Chinese,President,Xi,Jinping,At
 

先日掲載の記事で、トランプ大統領の対中外交を予測する重要要素として、バイデン政権が中国とどのように対峙してきたかを詳しく振り返った富坂聰さん。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では富坂さんがそのさらなる一助とすべく、バイデン政権時のアメリカと中国はライバルだったのか、それともパートナーとして歩んでゆくつもりだったのかというポイントにフォーカスし、両国の関係性を再検証しています。

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※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:バイデン政権の対中政策とは何だったのか 閣僚・高官の言葉から振り返る

「立場を鮮明にせよ」と迫る習近平。中国と米国はライバルなのか、パートナーなのか?

まずは2つの発言を比べてほしい。

「(米中の)競争が衝突にエスカレートしていくのを防ぐために、コミュニケーション・チャンネルを維持してゆくことだ」(アントニー・ブリンケン前国務長官『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2024年11月号)

「まず答えを出すべきは、中国と米国は一体ライバルなのか、それともパートナーなのかという問題だ」(習近平国家主席『人民網日本語版』2023年11月16日)

先に紹介したブリンケンの言葉は、米中が責任をもって競争を管理する、いわゆるガードレール論だ。

対する習近平の発言は、アメリカに対し「立場を鮮明にせよ」と迫っている。

互いの発言を並べてみると、米中の考え方の違いが鮮明に分かる。

バイデン政権は常に中国とのコミュニケーションの維持に熱心であり、中国は時に長期にわたり会談を拒否し続けた。

中国が会談に消極的だったのは、話し合いの成果が現実の米中関係に反映されないとの不満があったからだ。いわゆる「言行不一致」批判である。

中国側には、アメリカは会って話をすれば耳にやさしい発言をするが、実際の行動はそれとは違い中国の発展を阻害することばかりするという印象が残った。

ジョセフ・バイデン前大統領は首脳会談で「(アメリカは)『新冷戦』を求めず、中国の体制変換を図らず、同盟関係の強化を通じた中国への対抗を図らず、『台湾独立』を支持せず、中国との衝突発生を求めず、台湾問題を利用して中国と競争することはない。また、『一つの中国』政策を引き続き遂行していく」と繰り返し約束している。

しかし実際には中国の体制を「非民主」と批判し、同盟・友好国との関係を強化して包囲網を築き、中国にプレッシャーをかけるために台湾を利用し、関税と輸出制限で経済を弱らせようと試みた。

中国にしてみれば「言っていることとやっていることが違うじゃないか」となる。

だが、アメリカ側が単に中国を欺く目的のためだけに会談を持ち掛けたのかといえば、決してそうではない。

競争を管理しようとする試みはバイデン政権の閣僚たちにも共有されてきた。

例えば、前回紹介したジーナ・レモンド商務長官は、輸出規制が貿易戦争やデカップリングに陥らないように気を使っていたと、昨年12月6日7日のレーガン・ナショナル・ディフェンス・フォーラムの講演で語っている。

デカップリングについて、「愚の骨頂だ。それは米中の競争をエスカレートさせ、(最終的には)アメリカ自身を傷つけることになる」と全否定した発言だ。

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