深刻な流通不足を受け政府が備蓄米を放出するも、未だ高止まりが続くコメの価格。その解決法として「海外からの安価なコメの輸入」を上げる声も多く聞かれますが、それはあまりに近視眼的に過ぎると国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは警鐘を鳴らします。北野さんは無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、かように判断せざるを得ない根拠を明示。さらに我が国が「コメ自給率ほぼ100%」を維持すべき理由を解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日本のコメがヤバイ!~日本国民が餓死する未来
日本政府の大失策。十分有り得る「コメ不足」で日本人が餓死する未来
皆さん感じておられると思いますが、コメがすごい勢いで値上がりしています。「NHK NEWS WEB」2025年3月7日付。
コメの価格が高騰する中、茨城県土浦市のスーパーでは、利用客から今後の価格動向を気にかける声が相次ぎました。
このスーパーでは5キロのコメが税抜きで3,880円からと、去年の同じ時期より1,900円値上がりしています。
コメ5キロの価格、去年の同じ時期より1,900円値上がりして、3,880円から。つまり、去年の3月は1,980円だったのが、現在は3,880円。要するに、1年で【2倍】値上がりした!
ちなみに、去年も「コメ不足問題」がありました。「お米マイスターの日誌』2024年9月18日付。
2024年8月に入り、スーパーやネットなどでお米の在庫が次々となくなり始めました。
お盆過を過ぎた頃からは、毎日のように「スーパーの棚からお米が無くなった映像」がメディアで報じられ、その報道がさらに米不足の状況を一層深刻にしました。
この件で、日本政府を批判する声がほとんど聞かれないのは不思議です。
マスコミは、「気候変動による不作」「インバウンド需要の増加」などを挙げますが、「そもそも日本政府の政策が間違っている」と私は思います。いうまでもなく、いわゆる「減反政策」(コメの生産量を減らしていく政策)のこと。『週刊現代』2025年1月14日付で、元農水官僚で経済学者・農政アナリストの山下一仁さんが語っています。
なぜコメ不足が起こったのか。気候変動による不作やインバウンド需要の増加を挙げる人もいますが、根本的な原因は別のところにあります。それが政府による「減反政策」です。
日本では’70年以降、主食用のコメ余りが問題となり、コメの作付面積を制限する減反政策が導入されました。主食用のコメから飼料用米や麦、大豆などに転作した農家に補助金を給付することで、コメの生産量を減らして、米価を市場で決まる水準より高く維持してきたのです。
安倍晋三元首相は’18年から「減反政策を廃止する」と主張しましたが、これはまやかしです。確かに国は農家に対する「生産数量目標」の通知はやめました。ところが、飼料用米や麦などへの転作補助金はむしろ拡充したのです。
さらに農水省は毎年、翌年作るコメの“適正生産量”を決定・公表し、これに基づいてJA(農業協同組合)などが農家にコメ生産を指導しています。要は実質的な生産調整が行われており、実態はまったく変わっていないため、コメの生産量は右肩下がりになっているのです(上図)。
このように日本のコメの生産量は人為的に低く抑え込まれていて、そこへ猛暑やインバウンドが重なり、コメが足りなくなったというのが、「令和のコメ騒動」の真相です。
要するに、日本政府の間違った政策で、コメ不足、コメ価格の暴騰が起こっていると。自民党の失策は、財務省に操られ「増税路線」「緊縮財政路線」をつづけ、日本経済を「暗黒の35年」にしただけではありませんでした。意図的にコメ生産を減らすことで、コメ不足とコメ価格の暴騰を引き起こした。