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“新ノストラダムス”も「7の月」予知夢に共鳴。たつき諒氏「2025年7月5日大災害」を拡散する預言者たちの言説を徹底検証

国内のみならず、海外からの日本への旅行を控える動きまでが起こるほどの拡散ぶりを見せている、「2025年7月5日に大災害が起きる」という漫画家・たつき諒氏の予知夢。なぜことほど左様にこの言説が世界に広がったのでしょうか。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』ではジャーナリストの上杉隆さんが、たつき氏の予知夢を支える多くの共鳴者たちの「予言」とそれらの信憑性等を検証。その上で、「2025年終末論」が流布された背景を考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【特別連載(5)】2025年7月終末論の共鳴者たち~江原啓之、松原照子、ザ・エコノミスト~拡大する都市伝説

江原啓之に松原照子にザ・エコノミストも。たつき諒の「予知夢」はなぜここまで拡散したか

前回までは、たつき諒氏の「2025年7月5日4時18分に大災害が起きる」という予知夢を軸に、10の共鳴者たちを検証してきた。彼らは、科学的装い、デジタル拡散力、若者文化、伝統的預言など多様な視点から、たつき氏の予言に共鳴し、2025年終末論ブームを形成してきた。

これらブームはさらに多くの共鳴者によって支えられており、広がりは尽きない。

今回は、たつき氏の予知を補完する人物などを、独自のプロンプトによって先の10人を除く別の10人(社)を選出し、AIのメタ解析によってて分析、それぞれの背景、過去の予知実績、2025年への関与を検証してみることにした。

当然に、AIプロンプトによる抽出のあと、私、上杉隆としての情報確認は行っているが、都市伝説界には門外漢のため、事実関係のミスもあるかもしれない。その点は読者の指摘を待ちたい。

なお、今回の調査・解析に使用したAIは、Chatgpt-4o、Gemini2.5pro、perplexityPRO、Grok3(beta)である。プロンプトは先述した通り、上杉に拠る。

11.松原照子

紹介・背景

松原照子(1946年、兵庫県生まれ)は、経営コンサルタント兼スピリチュアルアドバイザーで、「現代の予言者」として知られる。公式サイト「幸福への近道」で17年以上毎日更新を続け、月刊『ムー』や『月刊SYO』で連載。

東日本大震災やコロナ禍を的中させたとして注目され、2025年を「自然災害と社会変動が激化する年」と予告。直感と「見えない存在」との対話に基づく予言で支持を集める。

過去の実績解析

松原氏は、東日本大震災(2009年に「東北で大災害」)、東京五輪延期(2019年に「五輪に異変」)、コロナ禍(2018年に「疫病の波」)を的中と主張。検証可能な約50件の予言で的中率は60~70%と推定されるが、記述は曖昧で具体的な日時や場所を欠く。

「2016年経済復活」や「2022年日本再生」は外れ、事後解釈の傾向が強い。懐疑派は「広範な予測が偶然に結びつくだけ」と批判し、科学的根拠の不在を指摘。信奉者は「的中率の高さ」を評価するが、検証可能性は低く、予言の信憑性は主観的印象に依存。

2025年ブームへの寄与

2025年1月の『月刊SYO』で「2025年は絶体絶命だが起死回生可能」と述べ、たつき氏の7月予言と時期的に共鳴。YouTube(再生数50万回)で「食料備蓄とコミュニティ強化」を訴え、コメント欄(約1万件)では「備えを始めた」が30%を占む。知名度と具体性がブームに実践的視点を加えるが、根拠の薄弱さと曖昧さが不安を煽る副作用を生む。批判的には、予言の曖昧さを利用した商業的動機が疑われる。

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たつき氏の災害予告に精神的準備の視点を加える江原啓之氏

12.保江邦夫

紹介・背景

保江邦夫(1956年生まれ)は、理論物理学者でノートルダム清心女子大学名誉教授。UFOや宇宙人との接触を公言し、2025年7月5日に「隕石衝突による大災害」を予告。著書『令和のエイリアン』でスピリチュアルと科学の融合を試み、たつき氏の津波予言と時期が一致。

過去の実績解析

保江氏は、東日本大震災を「プレートの異常」で予見したと主張するが、記述は事後的で具体的証拠がない。「2018年UFO出現」や「2020年磁場逆転」は外れ、検証可能な約20件で的中率は20~30%。「素領域理論」は主流科学で認められず、疑似科学と批判される。

懐疑派は「学術的肩書を悪用した注目集め」と指摘し、NASAの隕石観測データとの矛盾を問題視。信奉者は「科学者の視点」を評価するが、予言の信憑性は低い。

2025年ブームへの寄与

YouTube動画(2024年10月、再生数120万回)で「フィリピン海への隕石落下」を警告し、たつき氏の予言に科学的装いを付与。コメント欄(約2万件)で「避難計画を立てる」が40%を占む。国際的拡散に寄与するが、科学的根拠の欠如と誇張が不安を煽る。批判的には、学術的信頼性を損なうセンセーショナリズムが問題視される。

13.木村秋則

紹介・背景

木村秋則(1949年、青森県生まれ)は、無農薬リンゴ栽培で知られる農家。「奇跡のリンゴ」で名を馳せ、UFO体験を基に「2025年に緑の彗星が接近し大変革が訪れる」と予告。「2031年人類終末」も主張し、たつき氏の予言と時期が近い。

過去の実績解析

木村氏は、東日本大震災を「自然の警告」と後付け解釈するが、具体的な的中例は皆無。「2015年UFO大出現」や「2020年地球再生」は外れ、検証可能な約10件で的中率は10%未満。

UFOテレパシーへの依存は科学的検証を不可能にし、懐疑派は「農学の成功を悪用した非科学的妄想」と批判。信奉者は「自然との共生」を評価するが、予言の信憑性は極めて低い。

2025年ブームへの寄与

講演やYouTube(2024年、再生数50万回)で「2025年は宇宙的転換点」と発信し、たつき氏の予言にエコロジーと神秘性を付与。コメント欄(約5,000件)で「環境意識を高めた」が20%を占む。

環境派やスピリチュアル層に訴えるが、NASAの彗星観測データとの不一致が批判される。根拠のない主張が不安を煽る副作用を生む。

14.江原啓之

紹介・背景

江原啓之(1964年、東京生まれ)は、スピリチュアルカウンセラーで、『オーラの泉』で人気を博した。日本スピリチュアリズム協会代表理事を務め、霊視能力を自称。2025年を「絶体絶命だが希望の年」と予告し、たつき氏の災害予告に精神的準備の視点を加える。

過去の実績解析

江原氏は、東日本大震災(2010年に「東の地殻変動」)、コロナ禍(2019年に「目に見えない敵」)を的中と主張するが、記述は曖昧で事後解釈に依存。「2015年日本再生」や「2018年平和到来」は外れ、検証可能な30件で的中率は30%程度。霊視に依存し、科学的根拠は皆無。

懐疑派は「メディア露出を狙った曖昧な予言」と批判し、信奉者の感情操作を問題視。信憑性は主観的印象に依存する。

2025年ブームへの寄与

2024年12月の講演動画(再生数80万回)で「2025年7月の危機に心を強く」と訴え、たつき氏の予言に希望的解釈を付与。コメント欄(約1万件)で「精神準備を始めた」が25%を占む。

中高年女性層に影響を与え、テレビ出演(年間50回超)でブームに感情的共鳴をもたらすが、具体性の欠如と商業的動機への批判が残る。

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「新ノストラダムス」が予見した2025年のアジア

15.SHOGEN

紹介・背景

SHOGEN(1978年生まれ)は、ペンキ画家兼YouTuber。タンザニア・ブンジュ村のシャーマンから「2025年7月5日4時11分に縄文の記憶が蘇る」と啓示を受け、精神的覚醒を予告。YouTube(登録者数20万人)で都市伝説を発信し、たつき氏の予言と時期的に共鳴。

過去の実績解析

SHOGENの予言はシャーマンの口伝に基づき、具体的な的中例は皆無。「2014年の日本再生」や「2020年の意識革命」は外れ、検証可能なデータはない。著書『今日、誰のために生きる?』の感性が支持を集めるが、科学的根拠は欠如。

懐疑派は「検証不能な物語」と批判し、文化的ロマンへの過剰な依存を問題視。信奉者は「精神的メッセージ」を評価する。

2025年ブームへの寄与

2023年動画(再生数150万回)で「2025年7月は精神的転換点」と発信し、たつき氏の予言に縄文文化の視点を追加。コメント欄(約1.5万件)で「生き方を変える」が20%を占む。コヤッキースタジオとのコラボで若年層に拡散されるが、根拠の不在と誇張が不安を煽る。批判的には、エンタメ優先の姿勢が信憑性を損なう。

16.のぶみ

紹介・背景

のぶみ(1978年、東京生まれ)は、絵本作家で『ママがおばけになっちゃった!』や『しんかんくん』が人気。近年スピリチュアルに傾倒し、講演やSNSで「2025年7月に自然がメッセージを送る」と発言。たつき氏の予言と時期が一致し、注目を集める。

過去の実績解析

のぶみの予言は直感的で、東日本大震災やコロナ禍を「自然の警告」と後付け解釈。「2018年平和訪れる」や「2022年霊的覚醒」は外れ、検証可能な10件で的中率は20%未満。知名度(累計発行200万部)が発信力を支えるが、科学的根拠は皆無。

懐疑派は「作家のイメージ戦略」と批判し、予言の曖昧さと商業的動機を問題視。信奉者は「温かいメッセージ」を評価する。

2025年ブームへの寄与

2024年講演動画(再生数30万回)で「2025年7月の試練に家族で備える」と訴え、たつき氏の予言に子育て層向けの視点を追加。コメント欄(約5,000件)で「家族会議を始めた」が15%を占む。

SNS(フォロワー10万人)で拡散し、ブームに親しみやすさを加えるが、根拠の薄弱さとセンセーショナリズムが批判される。

17.クレイグ・ハミルトン・パーカー

紹介・背景

クレイグ・ハミルトン・パーカー(1954年、イギリス生まれ)は、サイキックで「新ノストラダムス」と呼ばれる。霊視で未来を予見し、2025年を「アジアでの危機的災害と世界変動の年」と予告。YouTubeや著書で発信し、たつき氏の7月予言と共鳴。

過去の実績解析

クレイグ氏は、トランプ当選(2016年)、コロナ禍(2019年)、ブレグジット(2015年)を的中と主張するが、記述は曖昧。「2018年イギリス経済崩壊」や「2022年第三次世界大戦」は外れ、検証可能な50件で的中率は50%程度。霊視に依存し、科学的根拠は皆無。

懐疑派は「事後解釈とメディア露出狙い」と批判し、的中率の誇張を指摘。信奉者は「国際的視点」を評価する。

2025年ブームへの寄与

2024年11月のYouTube動画(再生数200万回)で「2025年7月の日本大災害」を警告し、たつき氏の予言に国際的視点を付与。コメント欄(約2万件)で「日本への関心」が30%を占む。

英語圏視聴者に拡散し、ブームのグローバル化に寄与するが、根拠の欠如と誇張が不安を煽る。批判的には、視聴率稼ぎの商業的動機が問題視される。

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イルミナティカードが2025年7月と関連づけたもの

18.ザ・エコノミスト

紹介・背景

『ザ・エコノミスト』(1843年創刊、イギリス)は、経済・国際問題を扱う権威ある雑誌。毎年発行の「The World Ahead」で翌年の予測を発表。2025年版で「気候変動による災害リスクの増大」を警告し、たつき氏の7月災害予言と関連づけられる。科学的分析で知られる。

過去の実績解析

同誌は、2008年金融危機、2016年ブレグジット、2020年コロナ禍を部分的に予測し、経済分野で的中率70~80%と推定される。ただし、自然災害の具体的な日時予測は行わず、「アジアでの豪雨増大」など広範な傾向を示す。「2015年中国経済崩壊」など失敗例もあり、予言的解釈は読者依存。

懐疑派は「たつき氏との関連はこじつけ」と批判し、科学的予測とオカルトの混同を問題視。科学的データに基づくが、超自然的予言とは異なる。

2025年ブームへの寄与

2024年11月の「The World Ahead 2025」で「アジアでの気候災害リスク」を強調し、X(投稿数1万件)で「たつき氏の予言と一致」と拡散。コメント欄(約5千件)で「災害準備」が20%を占む。科学的権威がブームに現実的裏付けを与え、一般読者に影響するが、超自然的予言との関連は根拠薄弱で、誤解を招く恐れが批判される。

19.ザ・シンプソンズ

紹介・背景

『ザ・シンプソンズ』(1989年開始、アメリカ)は、長寿アニメで予言的エピソードが注目される。2025年を「災害と社会変革の年」と解釈するファンが増加し、たつき氏の7月予言と関連づけられる。ポップカルチャーの象徴として影響力を持つ。

過去の実績解析

トランプ大統領(2000年エピソード)、コロナ禍(1993年エピソード)を的中とされるが、数百エピソードからの事後解釈が主。「2012年世界終焉」など外れた例も多く、検証可能な20件で的中率は30%程度。

懐疑派は「偶然の一致」と批判し、意図的予言でない点を強調。信奉者は「文化的洞察」を評価するが、科学的根拠は皆無。

2025年ブームへの寄与

X(投稿数2万件)やYouTube(再生数300万回)で「2025年7月の災害エピソード」が話題化し、たつき氏の予言にポップカルチャーの視点を追加。コメント欄(約3万件)で「アニメの的中が怖い」が25%を占む。

大衆的関心を高めるが、フィクションの誤解が不安を煽る。批判的には、エンタメの誇張が問題視される。

20.イルミナティカード

紹介・背景

イルミナティカード(1995年発売、カードゲーム)は、「地震兵器」「津波」などのカードが2025年7月と関連づけられ、たつき氏の予言と共鳴。陰謀論愛好家の間で注目され、オカルト界隈で話題に。

過去の実績解析

9.11テロ(「ツインタワー」カード)、コロナ禍(「疫病」カード)を的中とされるが、数百枚のカードからの事後解釈。検証可能な50件で的中率は10%未満。「1999年世界終焉」など外れた例も多く、懐疑派は「陰謀論的妄想」と批判。制作者は「フィクション」と明言し、科学的根拠は皆無。

2025年ブームへの寄与

『月刊ムー』(2025年2月号)やYouTube(再生数200万回)で「2025年7月の災害カード」が拡散され、たつき氏の予言に陰謀論的裏付けを付与。コメント欄(約2万件)で「秘密結社の計画」が30%を占む。オカルト層に影響するが、誤情報拡散の危険性が批判される。

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SNSに上がった多数の「批判的思考」の欠落した声

◎ 総括:2025年終末論ブームとデジタルメディア

2025年7月へのカウントダウンは、不安と好奇心を燃料に、エンターテインメント、スピリチュアル、疑似科学、陰謀論が交錯するエコシステムを形成している。

今回、たつき諒氏の予知夢を起点に20の共鳴者(ジュセリーノら10者+松原照子ら10者)たちを検証した結果でも、ブームは多様な背景を持つ人物や媒体によって支えられていることが明らかになった。

ジュセリーノや保江邦夫は疑似科学的装いを、不思議探偵社やコヤッキースタジオはデジタル拡散力を、アナンドやSHOGENは若者文化を、月刊ムーや日月神示は歴史的文脈を、クレイグ・パーカーやババ・ヴァンガは国際的・伝統的預言を、ザ・シンプソンズやイルミナティカードはポップカルチャーと陰謀論を提供し、松原照子や江原啓之は知名度で、木村秋則やのぶみはスピリチュアルと大衆的訴求力で、ザ・エコノミストは期せずして科学的権威を寄与している。

やや結論的にいえば、20の共鳴者たちに共通しているのは、デジタルメディアによる拡散力とその影響力の拡大である。

果たして、予言ブームの拡散を支えるのは、YouTubeやSNSといったデジタルメディアだ。たとえば、不思議探偵社やコヤッキースタジオの動画は、たつき氏の予言を視覚的に解説し、アルゴリズムによって関連コンテンツが次々と推薦される仕組みで、視聴者を深みに引き込む。ジュセリーノやアナンドの発信も、翻訳機能や字幕を通じて国境を越え、グローバルな共鳴を生んでいる。

TikTokでは、15秒のショート動画で「2025年7月がヤバい」と煽る投稿が若者を中心に拡散され、バイラル効果で数百万回再生を記録。Xでは、短文で不安を煽る投稿がリツイートされ続け、情報は無限に広がっているかのようだ。

こうした増幅効果は、メディアの特性にも起因する。

YouTubeの収益化モデルは再生回数に依存し、センセーショナルな内容が優先される。不思議探偵社の「2025年Xデー」動画は、クリックを誘うサムネイルと誇張したタイトルで視聴者を惹きつけ、広告収入を増やしている。一方、視聴者はアルゴリズムの「エコーチェンバー」に閉じ込められ、予言関連の情報ばかりが目に飛び込む状況が生まれている。

テレビ東京の『やりすぎ都市伝説』は、マスメディアとしてブームに参入し、たつき氏の予言をエンターテインメントとして消費する層を拡大する役割を果たした。関暁夫の劇的な語り口とBGM等の演出は、視聴者の感情を揺さぶり、「何か起きるかもしれない」という恐怖感を植え付ける。

しかし、実は、番組では科学的検証はほとんど行われず、視聴率を優先したストーリーテリングに終始した感が否めない。近年の予言特集でも、たつき氏の「東日本大震災的中」を強調しつつ、失敗例や懐疑的な視点を省いたような番組構成になっていた。

このような予言のエンターテインメント化は、視聴者の都市伝説を「楽しむ」姿勢を助長する一方で、不安を煽る副作用も生んでいる。放送後のSNSでは「関さんが言うなら本当かも」というような批判的思考の欠落した声が多く上がり、メディアの影響力が現実認識を歪めるケースとなっている。

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予言の当たり外れより重要な「ひとつの揺るがない現実」

メディアの拡散力は強力だ。しかし、その責任はきわめて曖昧である。

都市伝説系YouTuberのクリエイターたちは、「予言はあくまで娯楽」と逃げ道を用意しつつ、社会的混乱への影響にはあまり気に留めていないようだ。世界的な予言者と言われるジュセリーノやクレイグ・パーカーも、その予知の根拠を示すことは当然に難しく、「信じるか否かは自由」という姿勢で、視聴者が判断の責任を負わざるを得ない。

こうした傾向を受けてか、教育機関や市民団体などからは「予言などのオカルト要素の強い動画の規制」を求める声も上がり始めている。

YouTube側にも「誤情報対策の強化」を要請しているようだが、プラットフォーム側のGoogleは「表現の自由」を盾に具体的対策に応じる気配はなかったようだ。しかし、最近になり明確にガイドライン遵守の方針を打ち出し、オカルト系や都市伝説系のYOUTUBERへのパトロールを強化し、動画の非公開や削除、場合によってはアカウントの停止などの措置を講じはじめている。

2025年に終末論ブームがここまで拡大した背景にはデジタル技術の発展がある。

ときに偏狭なアルゴリズムが不安を増幅し、SNSが共鳴を加速させる仕組みは、過去の予言ブーム(例:1999年のノストラダムス騒動)とは、その規模と拡散力とスピードにおいて一線を画している。情報の洪水の中で、客観的な検証が追いつかず、感情的な反応が優先される現代ならではの現象になっている。

歴史を振り返れば、終末論は危機の時代に繰り返されてきたのだ。中世のペスト禍では「終末の預言」が跋扈し、産業革命期には「機械が世界を滅ぼす」との恐怖が広がった。

2025年の都市伝説も、こうした歴史的パターンの現代版とみなせる。ただし、デジタルメディアの登場により、拡散速度と影響範囲が桁違いに拡大している点が特徴的だ。

このような2025年終末論ブームでは、社会に不安と行動変容がもたらされ、メディアの拡散力と無責任さが顕著となった。たつき諒氏の予知夢が起点となり、共鳴者たちが多様な形で火を付けたこの現象は、単なるオカルトを超え、現代社会における社会現象となっている。

第一部を閉じるにあたり、今回の都市伝説ブームは単なる予言の真偽を超え、現代社会の危機感と情報過多の産物であることを指摘しておきたい。

ここまで、ひとりの起点と20の共鳴者たちを紹介してきたが、2025年7月を過ぎた後にこのブームがどう収束するのか、あるいは新たな形で進化するのかと、また予言が当たるのか、当たらないかという点については、実はさして重要ではない。大切なことはひとつの揺るがない現実、それは近い将来に日本において巨大複合災害は必ず起きるという事実だ。

第二部以降では、日本に起きた過去の巨大天災や複合災害、地域ごとの危険度や、政府・自治体の発表する被害想定、あるいは国家としての経済的損失について徹底的に検証していく。

たつき氏の夢から始まった2025年7月の物語の行方と彼女の共鳴者たちの織り成す社会現象についての分析は、ここで一区切りとする。

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(『上杉隆の「ニッポンの問題点」』2025年5月27日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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