らくらくホン6年ぶり復活の舞台裏。2026年「3G停波」とNTTドコモ「35%死守戦略」の救世主となるか?

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2025年6月、FCNTが6年ぶりに「らくらくホン」を復活させました。なぜスマートフォン全盛の時代にあえてフィーチャーフォン(ケータイ)を投入したのでしょうか? メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、自身のメルマガの中で、らくらくホン復活の意義とドコモのシェア維持戦略について言及しています。

FCNT「らくらくホン」が6年ぶりに復活—-NTTドコモの35%シェア死守に一役買うか

2025年6月17日に開催されたFCNTの新製品発表会。個人的に驚きだったのが、arrows Alphaではなく、らくらくホンが6年ぶりに復活したことだった。現行モデルとなるのが「F-01M」で2019年の発売となっている。らくらくホンの累計販売台数は3000万台以上であり、スマホが全盛になったいまでも、かなりのユーザーがいることだろう。

NTTドコモでは2026年3月に3Gが停波する。3Gのらくらくホンユーザーをいかにらくらくスマホや他のスマホに乗り換えさせるかがNTTドコモにとって喫緊の課題だったはずだ。

ケータイの基本料金は1000円強程度であり、このタイミングでスマホに乗り換えてもらえば、ARPU(※編集部註:課金ユーザー1人あたりの平均売上高を示す指標)は一気に上昇する。

しかし、どんなにスマホへの乗り換えを訴求しても、頑なにケータイがいいという人がいるのは当然のことだろう。

「スマホになると月々の支払いが上がる」と嫌がる人から「スマホは使いこなせない」、さらには「物理的なボタンがあった方がいい」という視覚障害の方も含め、やはり根強いニーズがあるのだ。

感心するのはFCNTも企業として復活する上で、らくらくホンの新モデルは欠かせないという強い意志があったことだ。

実際、この時代にケータイを作ろうと思ったら、ディスプレイなど部材はすでに流通しておらず、調達が困難だと言われている。

FCNT担当者は「らくらくホンのために、新たにメーカーを探して発注した」という。今回のらくらくホン、昔のままかと思いきや、設計から部材まで、完全に新しいものなのだという。担当者は「arrows Alphaよりも、らくらくホンのほうが開発する上で苦労したかもしれない」と振り返った。

一方で、NTTドコモも、3G停波目前のこのタイミングで新たにケータイを調達するとは思わなかった。ただ、らくらくホンユーザーがそれなりにいて、ここで3Gを停波するにもかかわらず、新製品を出さないとなると、他社に逃げられる可能性は十分に考えられる。

NTTドコモはNTTの島田明社長から「絶対にシェアを落とすな。35%を維持しろ」という檄が飛んでいる。

NTTドコモとしては3G停波というタイミングで回線数を減らす恐れがあるだけに、背に腹は代えられない状況だったのだろう。

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image by: FCNT公式ホームページ

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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