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“財務省の犬”と化した労働組合の総本山「連合」が“消費税を手放しで礼賛”するふざけた理由

家計を直撃する物価高が続く中、一段と激しさを増す消費税をめぐる議論。多くの国民が減税や廃止を求める中にあって、労働者の代弁者を自任する「連合」は、なぜか消費税の必要性を強調し続けています。その裏にはどのような事情があるのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、この不可解な姿勢の背景を解説。さらに連合の幹部に対して「突きつけざるを得ない疑問」を記しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:労働組合が消費税を推奨する理由がヤバい

労働組合が消費税を推奨する理由がヤバい

2025年、夏の参議院選挙では、消費税は大きな争点になりました。立憲民主党、維新、参政党、れいわ新選組、共産党などの野党が相次いで消費税減税を公約に掲げ、自民党の国会議員の一部からも消費税減税を求める声が上がっていました。

消費税が国民生活に大きなダメージを与えているという認識が、だんだん広まりつつあり、霞が関でかなりの大規模で断続的に財務省解体デモでも、「消費税の減税、廃止」が大きなテーマになっています。

しかも昨今の物価高もあり、消費税は多くの国民、特に低所得者層から強い批判にさらされています。

にもかかわらず、なぜか労働組合の総本山「連合」は、消費税を手放しで推奨しています。

労働組合というのは、労働者の権利を守る団体であり、国や企業に対して「労働者の待遇を良くすること」「労働者の生活を守ること」を訴えるという目的を持っています。そして日頃から「大衆の味方」などを標榜しています。その労働組合の親玉である「連合」が、消費税を強く支持しているのです。

2025年の参議院選挙の前にも、わざわざ「消費税の減税に反対する」という声明を発表しています。「少子高齢化を迎える日本では、社会保障の財源として消費税は必要」などと、まるで財務省の代弁者のようなことを述べたのです。これには、疑問を持った方も多いのではないでしょうか?

実は、労働組合は以前はそうではありませんでした。

消費税が導入された1980年代後半、国民的な反対運動が起きたのですが、労働組合はその中心的な存在でした。また1994年に、当時の細川首相が、消費税の名称を「国民福祉税」に変え、当時3%だった税率を7%に引き上げるという構想を発表しましたが、国民の大反対にあって撤回されました。この大反対運動を主導したのは「連合」でした。

つまりは、「労働組合」や「連合」は、かつて消費税の導入や増税に大反対していたのです。

しかし、あるときを境にして、連合は消費税反対を口にしなくなりました。そして、最近ではすっかり消費税の強烈な信者になってしまったのです。

連合は、日本の将来を思い深遠な配慮で消費税を推奨するようになったわけではありません。全国民が怒りに震えるような、ふざけた理由で消費税賛成派になったのです。

その理由とは、「脱税」です。

「連合」という組織は、日本全国の労働組合の集まりなのですが、その中でも最大規模の「自治労」という労働組合があります。自治労は、全国の自治体職員が加入する労働組合であり、連合の中でも中核的な労働組合です。

この自治労が、平成13(2001)年に脱税で起訴されたというニュースが報じられました。

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連合の中核「自治労の脱税発覚」

自治労の脱税というのは、次のようなものです。

自治労は、団体生命共済事業を行なっていたのですが、その際に莫大な事務手数料収入がありました。この事務手数料は、本来は収益事業として計上し、申告しなければなりません。が、それを計上せずに、隠し口座に入れていたのです。

隠した収入は、平成9(1997)年3月期で3億3,500万円、平成10(1998)年3月期で2億6,700万円に上りました。脱税した法人税の額は2期分で2億2,500万円にもなりました。そして、そのお金は幹部が飲食費、ゴルフ代などで費消していたり、選挙対策の工作資金に使われたりしていたのです。

労働組合というのは、本来は法人税などの税金はかかってきません。普通の組合活動で徴収した組合費などには、税金はかからないのです。が、組合活動以外の収益事業をした場合には、法人税などが課せられます。たとえば、物販の販売は、保険の代理業務などです。

自治労が行なっていた団体生命共済事業は、収益事業になるため当然、税金の申告が必要です。自治労側もそれはわかっていたのです。だからこそ隠し口座でお金を管理していたのです。

脱税というのは、「不正による課税漏れがだいたい1億円以上あった場合」に課せられる刑事罰です。年間に200件程度しかない犯罪です。その犯罪を自治労は犯していたわけです。

この脱税により自治労は罰金5,000万円、中央執行委員長が懲役1年6月、事務局長が懲役1年という、かなり重い判決を受けています。

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消費税に反対する組織は国税に狙われる

もちろん、この脱税事件は、自治労側の身から出た錆です。

そもそも労働組合というのは、経理が甘い傾向にあります。普通の企業であれば、税理士や会計士が定期的に経理の監査をしますし、税務署の税務調査が入ることもあります。

しかし、労働組合は、税理士や会計士の定期的な監査を受けることはほとんどありません。せいぜい身内の「監査役」がチェックする程度です。しかも、組合費などでけっこう大きなお金が集まります。だから、労働組合の幹部や経理担当者が、組合費を私物化してしまうというようなケースはよくあることです。

ただ労働組合に国税が調査に入るということは、それまであまりありませんでした。労働組合というのは、労働法で守られた労働者の組織なので、国家権力がいたずらに介入することは避けられてきたのです。

しかし、1990年代後半から、国税は頻繁に労働組合に税務調査を行うようになりました。

このころ、消費税に反対していた朝日新聞などのマスコミ各社も、執拗な税務調査が行われました。そして、このメルマガの2019年3月16日号でも触れましたように、朝日新聞はかつて強硬に消費税に反対していたのですが、悪質な課税逃れが発覚して以降は手のひらを返したように、消費税推奨論者になってしまいました。

【関連】驚きの豹変ぶり。朝日新聞が「消費税推進派」に転向した深い闇

つまり、連合が消費税に賛成するようになったのも、朝日新聞と非常に良く似た経緯なのです。

かつて、連合は、消費税の逆進性を強く批判していました。

消費税は、低所得者ほど「収入に対する税負担割合」が高くなる「逆進性」を持っています。労働者を守る立場の連合はそれを大きな問題としていたのです。

現在の消費税も、逆進性の問題は抱えていますが、連合は消費税の逆進性の問題などまったく言及しなくなりました。

また消費税は導入されたり、税率がアップされるときに、必ずといっていいほど法人税減税や高額所得者の減税も同時の行われています。これはつまり、企業や金持ちを潤し、労働者の負担を増やすということです。労働組合がもっとも怒らなければならない場面であり、ここで怒らなくてどこで怒るのだということです。

にもかかわらず、連合は、消費税増税と同時に法人税が下げられることなどまったくスルーして、ただひたすら財務省の主張する「社会保障の財源として消費税は必要」という文言をオウム返しにアナウンスするだけです。

筆者は連合の幹部にはとくと説明を求めたいものです。

「消費税増税と同時に法人税減税や高額所得者の減税が行われていることになぜ怒らないのですか?」

「消費税は今でも逆進性があるのに、なぜまったく何も言わなくなったのですか?」

と。そして、

「自治労の脱税が発覚してから消費税賛成に回ったように見えます。消費税以外に税金はたくさんあるのに、なぜ消費税の増税にだけ固執するのですか?」

と。

いくら厳しい税務調査が行われたところで、やましいところがなければ何も怖くないはずです。実際に、税務調査が行われても何も指摘されない企業もたくさんあるのです。

連合が税務調査を怖がる(ように見える)ということは、やましいことがあるということではないか?

相変わらず緩い経理を行い、幹部たちが美味しい思いをしているから、「消費税を推奨しなければならない羽目になっているのではないか?」。連合の幹部にはぜひ説明していただきたいものです。

(本記事はメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2025年10月1日号の一部抜粋です。「おひとりさまの老後対策 1」「本当は怖いお金のしくみ 1」を含む全文はご登録の上ご覧ください。初月無料です)

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