iPhoneをかざすだけで、エアコンがつき、アプリが起動し、音楽が流れる。
一見SFのようですが、iOSの「ショートカット」アプリと「NFCタグ」を組み合わせれば、誰でも今日から実現できる仕組みです。
NFCタグとは、ざっくり説明するとスマホを『ピッ』とかざすだけで、決めておいた操作を自動でやってくれるICチップとアンテナが内蔵されたかしこいシール。数百円からありますし、使う場所に合わせてシールやカードタイプが選べます。
玄関、デスク、寝室、車内などに貼り付けるだけで、生活の中の自動化が一気に進む。今回はその具体的な活用例と設定方法をご紹介します。
【NFCタグはこんな人におすすめ!】
- 毎日の「面倒くさい」ルーティンをなくしたい
- スマホ操作をとにかく時短したい
- スマートホームを「もっと手軽に」楽しみたい
- 手軽に、安く、かしこい仕組みを作りたい
基本設定:ショートカットとNFCタグを連動させる手順
まずは、iPhoneの「ショートカット」アプリを使ってNFCタグと連動させましょう。
手順は以下のとおりです。
1. iPhoneの「ショートカット」アプリを開き、「オートメーション」タブをタップ。

2. 「+」ボタンから「個人用オートメーション」を作成→「NFC」 を選択。
3. NFCタグをiPhoneにかざして登録→わかりやすい名前を付ける(例:「仕事モード」など)。

4. 実行したいアクションを追加する(例:アプリを開く、Wi-FiやBluetoothを切り替える、音楽を再生する… など)。ショートカット内の豊富なアクションからも選択が可能。
※「実行時に通知」をオフにするのがおすすめ(オンにすると毎回確認ダイアログが出るので、それを避けたい場合はオフを推奨)
上記を設定すれば、あとはNFCタグにiPhoneをかざすだけで、設定したアクションが自動で発動します。
活用アイデアと設定方法|リラックスから勉強シーンまで
「朝の目覚め用アップテンポ」や「集中したいときのBGM」など、場面ごとに音楽を切り替えたいときに活用するのがおすすめです。
ベッドやデスクにNFCタグを貼っておけば、スマホをタッチするだけでそのプレイリストが再生されます。

ついでにiPhoneのモード切り替えやアプリの立ち上げも連動させておけば、シーンに応じたセットアップが完了します。
勉強モードに最短で切り替え
たとえば、勉強モードにスムーズな切り替えが可能です。
通知を遮断しつつ必要なアプリを自動起動する設定をして、あとはデスクに貼ったタグにスマホをタッチするだけで、仕事や勉強に集中できる環境がすぐに整います。
設定手順
- NFCタグ登録。
- 集中モードをオン。
- 「ミュージックを再生」→対象のプレイリストを選択。
- 必要に応じて、「アプリを開く」でポモドーロタイマーなどをセット。
エアコンや家電のON/OFFをNFCタグで操作する

寝室やリビングのエアコンを点けたり消したりする操作、毎日のことだからこそ少し面倒です。
そこで、NFCタグをベッドサイドや玄関に貼り、SwitchBotやTP-Link、Nature Remoなどのスマートハブ(スマートホーム化にあたってハブとなる機器)と連携させておけば、スマホをかざすだけで家電もコントロールできるようになります。
コーヒーマシーンを自動化する方法

コーヒーマシーンをスマートプラグとつなげ、ベストなタイミングでスイッチオンに。
私は、朝の散歩に出かける直前にコーヒーができるように設定しています。
設定手順:SwitchBot ハブミニ
- SwitchBotアプリ側で「サードパーティーサービス」>「Siri Shortcuts」を作成(エアコンの温度設定や、ON/OFFなどの操作が含まれる)。
- NFCタグを登録。
- iPhoneの「ショートカットを実行」で作成したショートカットを選択すれば完了。
設定手順:TP-Linkスマートプラグ
- NFCタグを登録。
- 「アプリを開く」で「Tapo(TP-Linkのアプリ)」からプラグ名を選択し、オン/オフなど実行する操作を指定すれば完了。
「ちょっとしたIoT化」で、生活は思っているより簡単にアップデートできますよ。
車内でPodcast自動起動

ほかにも、私は運転開始時にPodcastアプリを起動するというルーティンをタグで自動化しています。
スマホを車内NFCタグにかざすだけでお気に入りの番組が再生されるので、よりスムーズに運転を開始できるわけです。
【ルーティンをさらに自動化】もっと使いこなす具体例
ルーティンをさらに自動化したい人は、「スクリプティング」のIF文を使って、時間帯ごとに起動するアプリを変える、といった使い方もいいでしょう。
たとえば、朝はその日の予定やメール、重要ニュースのアプリをチェック。
昼からは好きなPodcast番組をじっくり視聴……といった目的を実行できるアクションを、条件を設定して1本化してみてはいかがでしょう。
もちろん、Googleマップを同時に起動するような設定もできます。
設定手順
- NFCタグ登録。
- 「現在の日付を取得」→「日付のフォーマット」(カスタム)で「時間(時刻のみ)」を抽出し数字として扱う。
- 「If」アクションを追加。
– 条件1:時刻が「12時」より前 → アプリを起動(例:「カレンダー、メール要約アプリ」)
– 条件2:時刻が「12時」以降 → Podcast番組を起動

AIの起動スイッチをつくる
AIに気さくに疑問を投げかけるときや、やる気スイッチを押してもらいたいときなんかに、この設定が役立ちます。NFCをノートの表紙などに貼っておくと便利です。
設定手順
- NFCタグ登録。
- iPhoneの「ショートカット」>「テキスト」で初期プロンプトを入力(例:今日1日を始めるにあたっての、モチベーションを上げる言葉を生成して)。
- アクションに「Ask ChatGPT」を追加。
- 「Message」には先ほどつくった「テキスト」を設定。
- AIからの回答を音声で読み上げたい場合は、アクションに「テキストを読み上げる」を追加し、変数として「ASK ChatGPT」を設定。

もう一歩進んで、AIとのやりとり機能を呼び出したいときには、「Scriptable」というJavaScriptを扱えるアプリとOpenAIのAPIキーがあれば可能です(スクリプト作成はChatGPTにお願いしてみてください)。

また、ChatGPTをVoiceModeで起動したり、お気に入りのGPTsをURLから呼び出すのもあり。ワンタップするだけで、トイレのひとときがプチコーチングの時間に変わるかもしれません。
NFCタグを使った自動化は、導入コストも低く、設定もシンプル。
「スマホをかざす」という1アクションをきっかけに、仕事・生活・趣味のルーティンを整えられます。
まずは1つ、ベッドサイドやデスクにNFCタグを置いて、音楽の自動再生から試してみてはいかがでしょう。
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山田洋路
フリーライター 。大学では発達心理学を専攻。福祉業界8年間(「運動指導実践指導者」資格保有)、IT業界5年間のキャリアを経て、テクノロジー系記事を中心に執筆活動をスタート。その後、執筆ジャンルをビジネス、ヘルスケア、プロダクト紹介へと広げる。アナログとデジタル、両方の現場を知る立場から、実践的で多角的な視点でのコンテンツ制作を心がけている。
Source: Amazon
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