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台湾「無差別殺傷事件」の謎。優秀な元軍人はなぜ凶行に走ったのか?背後の勢力は…

12月19日、台湾の台北駅付近で無差別殺傷事件が発生し、3人が死亡、11人が負傷しました。犯人の張文容疑者(27)は犯行後に飛び降り自殺。元国軍志願兵で優秀な学歴を持ちながらも、除隊後は長期失業状態にあり、事件当日は発煙弾やガスマスクなどの装備を身に着けていました。台湾警察は背後に何らかの勢力がいるのではないかと資金の流れを調査しています。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、この事件の背景と、中国で頻発した無差別殺人との共通点について詳しく解説しています。

【台湾】台北の無差別殺傷事件の裏に何があったのか? 優秀な学歴を持つ元軍人の凶行

台湾の台北駅付近で起こった無差別殺傷事件が起こったのが19日でした。3人が死亡、11人がけがをして、犯人は事件を起こしてから飛び降り自殺して死亡しています。犯人の名前は張文(27歳)、経歴は以下、報道を一部引用します。

「国軍の志願兵だった張容疑者だが、2022年に除隊。その後は警備員として1年ほど勤務し、離職後は無職だった。戸籍移転の未申告で予備役の教育招集令が送付できず、兵役妨害処罰条例で定める罪に抵触した容疑で今年7月に指名手配されていた」

https://japan.focustaiwan.tw/society/202512220006

学生時代は優等生で、台湾の国立虎尾科技大学大学資訊工程系に在籍し、そこで書いた研究報告書が評価され、政府からの補助金4万8千台湾元を得たこともありました。

虎尾科技大学資訊工程系は、様々なコンテストで優秀な成績を収めています。例えば、2025年には「全国大專院校産学創新實作競賽」で最優秀実作賞を受賞したり、「EE Awards Asia」でイノベーション賞を受賞するなど、AIや情報セキュリティ、スマートアプリケーションの研究開発能力が高く評価されています。

台湾のメディアによれば、彼は成績は優秀でしたが孤独だったようです。友人はもとより、家族ともここ数年は疎遠だったとのことで、軍隊に入っても、企業に就職しても長く続かなかったのは、もしかしたら対人関係がネックだったのかもしれません。

警察が追う不審な資金源

台湾メディアが注目しているのは、そんな張文の資金源はどこなのかということです。警備員を辞めてからは就職せず、たまにアルバイトをしていただけで、台北でアパートを借りて一人暮らしをするほどの収入はなかったとのことです。

しかし、事件当日、張文は発煙弾やガスマスクなどの装備を身に着けており、こうした武器を定期的にネットで買っていた記録も残っているということで、その費用は少なくはないと思われます。

https://japan.storm.mg/articles/1089993#page2

こうしたことから、台湾の警察は、張文のバックに何かしらの勢力が動いているのではないかと疑い、資金の流れを注意深く探っているということです。ただ、今のところ分かっているのは、張文の資金源は母親だということです。息子はお金がないのではないかと心配した母親が定期的に送金していたことが分かっています。

「張文容疑者は台湾空軍の志願兵として勤務していたが、飲酒運転により除隊処分となった。その後、短期間だけ警備員として働き、2023年6月から2024年頃まで月給約3万9000台湾ドル(約19.3万円)を受け取っていたが、その後は長期の失業状態に陥っていた。

定期的な収入源を失った後、張文容疑者の生活水準に目立った改善は見られず、むしろ極端な節約傾向が強まり、口座残高も徐々に減少していった。

捜査の結果、張文が保有していた口座は郵便局のもの1つのみで、使用頻度も低く、主な用途は家賃と最低限の生活費の支払いに限られていた。犯行前日の口座残高はわずか39元しか残っておらず、経済状況が長期にわたり極度に逼迫していたことがうかがえる。

さらに資金の流れを照合した結果、警察は不明な人物や組織からの送金記録を一切確認できなかった。張文容疑者の口座における唯一の安定した資金源は、母親からの送金だった。

昨年初め以降、張文容疑者の母親はおおむね2〜3カ月ごとに、1月、4月、7月、10月のタイミングでそれぞれ3万元を送金し、生活補助としていた。母親以外に定期的な送金者は確認されていない。警察は、張文容疑者が母親に知られないままこの少額の援助に依存して最低限の生活を維持し、節約によって残した資金を徐々に犯行準備に回していた可能性が高いとみている。

張文容疑者は今年1月から台北市中正区の簡易個室に居住し、月額家賃は約1万7000台湾ドル(約8.4万円)で、口座における最も安定かつ重い支出項目となっていた。口座記録をさかのぼると、過去2年以上の間に14件の不定期・不定額の現金入金が確認されており、金額は数千から1万台湾ドル(約5万円)程度で、いずれも2万台湾ドル(約10万円)を超えていなかった」

https://japan.storm.mg/articles/1089993#page1

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両親が土下座で謝罪

警察の捜査はまだ続いていますが、24日、張文の両親がメディアの前で土下座をして謝罪しました。その様子については以下、報道を引用します。

「刃物殺傷事件の容疑者である張文(27)の両親は、息子の遺体の解剖が行われたこの日、台湾の法医解剖センター前で帽子とマスクを着用したまま取材陣の前に姿を現した。2人は『申し訳ない』という言葉を何度も繰り返しながらひざまずき、市民や被害者遺族に謝罪した。

張容疑者の父親は『息子が犯した罪は社会に深刻な被害を与え、被害者家族には決して癒えることのない傷を残した』と述べ、『司法当局の捜査に全面的に協力する』と明らかにした。この場面は現地放送局によって生中継された。

両親は、息子が自分たちから受け取った金で凶器を購入した可能性があるのか、また被害者に賠償する意思があるのかという取材陣の質問には答えなかった」

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe8f2bc952d3332b0d8d59d81051bc94794991a4

中国の無差別殺人との共通点

少なくとも今年4月から、長期にわたって無差別殺人の計画を練っていたと言われていますが、張文の恨みがどこに向けられたものなのか、社会への憤怒なのか、バックにいる勢力の操り人形だったのか、個人的な恨みなのか、その動機は未だに全くつかめていません。

ちょうど一年前くらいに、中国でも無差別殺人が頻発しました。2024年11月11日、広東省で男が車で暴走。35人が亡くなり、43人がけが。その5日後の16日、江蘇省で男が学生らを切りつけ、8人が亡くなり、17人がけが。さらに19日、湖南省で男が児童らを車ではね、多くの人が負傷。この時のメディアの分析は、無差別殺人犯共通の動機は社会への不満だったということです。

「実際に犯行の動機を見てみると、11日に起こった暴走車両の事件では、離婚後の財産分与を巡って不満を募らせた可能性があるとされています。また、16日の切り付け事件では、卒業証書をもらえなかったことや職場での報酬などに不満を持っていたといったことが言われています」

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1567065?page=2

そして、これら犯人の共通点は「三低三少」でした。「三低」とは、所得、社会的地位、社会的人望が低い。「三少」とは、人との付き合い、社会と触れ合う機会、不満を口にできる機会が少ないということ。もしかしたら、張文も「三低三少」だったのかもしれません。同じ事件が再び起こらないためにも、動機の解明を待ちたいと思います。

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image by: Jack Hong / Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2025年12月24日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。

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