太平洋と大西洋を結び、年間1万隻超の船舶が通航するパナマ運河。そんな海上交通の要衝にも、「トランプ再登板」の影響が及びつつあるようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、同運河を巡り激化する米中対立の現状を詳しく紹介。その上で、第2次トランプ政権が国際社会のパワーバランスを変えるのは必至との見方を示しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【米中】トランプ政権の復活で再燃しはじめた米中衝突
米中衝突が再燃。第2次トランプ政権が奪還狙う習近平の「パナマ運河利権」
● パナマの「一帯一路」離脱、中国には痛手…パナマ運河が米中対立の新たな火種に
習近平の一帯一路は衰退の一途を辿っており、今度はパナマが離脱を表明しました。パナマの離脱は習近平にとってかなりの痛手ではないでしょうか。以下、報道を一部引用します。
中国は近年、中南米各国との関係強化に力を入れており、とりわけ太平洋と大西洋をつなぐパナマ運河を有するパナマを、地政学的な観点から重視してきた。それだけに今回、パナマが巨大経済圏構想「一帯一路」から離脱する方針を表明したことは、中国にとって痛手となりそうだ。
習政権は2016年以降、敵視する台湾・民進党政権を国際的に孤立させる「断交ドミノ」を仕掛けており、中南米地域では、17年のパナマを手始めに、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラスが相次いで台湾と断交し、中国と国交を樹立した。
中国共産党機関紙・人民日報によると、パナマでは習氏が18年12月に初訪問して以降、「一帯一路」の支援プロジェクトの一環として、大型会議場や大型客船のターミナルの整備などが進められてきた。
米国に次いでパナマ運河の世界第2位の利用国である中国は、運河の再管理を主張するトランプ米大統領に対し、「いかなる大国の直接、間接的な規制も受けるべきではない」(中国外務省報道官)などとけん制している。
パナマ運河が米中対立の新たな火種となる可能性が高まっている。
● パナマの「一帯一路」離脱、中国には痛手…パナマ運河が米中対立の新たな火種に
パナマに経済支援をするかわりに台湾と断交させ、一帯一路に参加させることにも成功したというのに、今になって離脱されるとは習近平も焦っているのではないでしょうか。中国にとっては、パナマ運河は海上交通の要衝であり、パナマ運河を挟むようにして二つの港を香港企業に管理させており、一帯一路にも参加させていたことから、パナマは中国のものも同然とのつもりだったのではないでしょうか。
しかし、アメリカにトランプ大統領が就任するなり、パナマは一帯一路から離脱し、アメリカのルビオ米国務長官がさっそくパナマのムリノ大統領と会談しています。それについて以下、報道を一部引用します。
米国務省によると、ルビオ氏は、トランプ大統領がパナマ運河の周辺地域を巡る中国の影響力と支配を脅威と見なしていると説明。運河の中立を定めた条約に違反しているとの見方も示し、現状が変更されなければ必要な措置を取ると強調した。
アメリカもパナマ運河を中国に取られないように必死ですね。パナマ運河の利用国第一位はアメリカ、第二位は中国ですから、両国が必死になるのも無理はありません。
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