地方や観光地での通信品質は、モバイルキャリアの実力が最も如実に表れる場面のひとつです。特に年末年始のように人の移動が集中する時期は、都市部では見えにくいネットワークの弱点が浮き彫りになりますよね。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、北海道・富良野での利用体験をもとに、楽天モバイルの現行ネットワークの実情と、同社が切り札として掲げる衛星通信「AST」による将来構想が、果たして現実的な解決策となり得るのかを検証しています。
北海道で実感した楽天モバイルにおけるネットワーク品質の現実―-ASTで一発逆転を狙うが、それで大丈夫なのか
年末年始、北海道・富良野に行ってきた。
新千歳空港から富良野まで、スマホを使い続けていたが、楽天モバイルはかなりの場所でバンド18、つまりKDDIローミングとなっていた。
また、宿泊先の部屋は圏外、スキー場も一部は圏外であった。
楽天モバイルとしては、こうした場所はすべてASTに頼るのだろう。ASTに切り替えたタイミングでKDDIローミングも打ち切るのではないか。
三木谷浩史会長は、ASTによる衛星とスマホのダイレクト通信はプラチナバンド(バンド28)でやると公言している。
また、プラチナバンドで回り込みしやすいということから「屋内にも浸透する」(三木谷会長)と語っていた。つまり、ホテルの部屋がいまは圏外であっても、ASTによってエリア化していくつもりなのだろう。
ただ、どんなに衛星からのプラチナバンドで面をカバーできたとしても、どれだけ安定した通信環境を提供できるかはかなり未知数だ。
実際、この年末年始、ホテルではWi-Fiにつながず、家族が寝静まっている間は、ずっとKDDIやソフトバンク、NTTドコモ回線でTVerで年末年始の特番を見ていた。バスの中ではNHK ONEで紅白歌合戦の見逃し配信に夢中であった。
いつでもどこでも「つながる」だけでなく「快適に動画が見られる通信」でないと意味はない。
Xの楽天モバイル_お客様サポート(@Rmobile_Support)をフォローしていると、毎日、本当に多くのユーザーが「つながらない。データが流れない」と嘆いており、それに対して、アカウントが一生懸命に謝っている。このアカウントはまさに楽天モバイルの現状を可視化しているように思う(なぜか、KDDIの高橋誠会長がフォローしている)。
契約的には1000万を突破したのは喜ばしいが、もうちょっとネットワークに対して、投資を続ける必要があるのではないか。というか、今後も契約者数を伸ばすのであれば、さらなる投資は避けては通れないし、おそらく、いつまで経っても黒字化は難しいような気がしている。
目先の黒字化を急ぎ、ネットワーク対策に手を抜くようだと、早晩、契約数が減少していくことだってあり得るだろう。
昔に比べて、キャリアの移行がしやすくなっているだけに、抜本的な対策が必要なのではないだろうか。
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