もはや通用しない従来の「チャイナ・ショック」という思い込み
ちなみにどんなものが輸入品として伸びたのかといえば、目立ったのは機械・電気製品で、中でも集積回路(IC)とメモリ部品が中心を担っている。
「具体的な数字を見ると、集積回路の輸入は前年同期比で56.6%増加し、メモリ部品は同1.5倍増加。また航空機部品は同17.6%増加した」(『人民日報日本語版』2026年10月15日)という。
また工業製品以外で伸びが目立ったのはやはり食料品で、『人民日報日本語版』では以下のように報じられている。
2026年1~9月、中国がマレーシアから輸入したドリアンは前年比で3.3倍増加し、デンマーク・フェロー諸島から輸入したサーモンは同41.4%増、イタリアのオリーブオイルは同28.6%増、フランスの香水は同28.5%増だった。
貿易不均衡を気にしている中国は、常々「中国の発展は世界のチャンス」と主張してきた。そして外国からの輸入量を増やすために中国国際輸入博覧会(輸入博=上海で開催)を2018年から毎年開催してきた。
中国の輸入が増えるということは、中国国内の消費が少し改善しつつあるという解釈にもつながるため、これも嬉しい傾向だ。
そもそも個人消費が振るわない中国が、その穴を貿易で補おうとしているという不満が欧米諸国にはくすぶっていたからだ。
一方、輸出は相変わらず中国の製造業の強さが目立った。
対前年比16.4%増という驚異的な数字をけん引したのは、まずは産業用ロボットだ。産業用ロボットの輸出は対前年比で58.9%増だったというから驚くしかない。
だが、ICは前年からほぼ倍増の99.1%も増えたというから産業用ロボット以上に伸びだ。ICは輸入の方でも大きく伸びたと書いたが、具体的には56.6%増となっている。このことが意味しているのはAI・半導体関連の双方向の活発さだ。
これに続いたのが電気自動車(EV)の72.3%増、リチウム電池の36.4増、風力発電の22.4%増だ。
こうした数字を見ていると、欧米先進国で話題となる「チャイナ・ショック」が、従来の「安価な過剰生産品」によってもたらされるという思い込みは、もう通用しないことがわかるのではないだろうか。
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2026年10月18日号より。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録下さい)
この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ
image by: Octavio Hoyos / Shutterstock.com









