地方都市の再生は「ジモトが価値を感じないもの」から始めよ

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人気コンサルの永江一石さんが、さまざまな質問に答えてくれる人気メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』。今回の質問は、九州のとある地方都市の再生について。B級グルメ、ゆるキャラ、ふるさと納税など、衰退した街がメディアなどで注目されて一気に復活を遂げたケースはいくつもありますが、果たして永江さんのおすすめする方法とは?

地方都市再生のアイデア

Question
shitumon (1)

地元の中心市街地再開発についての相談です。

地方都市ではよくある状況だと思いますが、大まかには以下のとおりです。

  • 人口は約15万人、人口密度は1平方キロメートルあたり約250人、九州圏内の地方都市です。
  • 中心市街地に昔あった百貨店は撤退して、今は広大な更地になっています。
  • 周りの商店街は、シャッター街になって久しいです。
  • 中心市街地は国道沿いにありますが、交通量はあるものの、人通りは殆どありません。普段の買い物は郊外のショッピングセンターや量販店、もう少し買い物したいときは、市外の県庁所在地やネットが主です。
  • 近くに居酒屋や飲み屋等の飲食街やホテル等の宿泊施設は一通りあります。
  • 海には面しておらず、山や川などの自然環境、肉や農作物、焼酎等の名産はありますが、わざわざ県外から足を運ぶほどの観光資産はありません。

この中心市街地の更地やシャッター街の再開発について、地元の商工会を中心に検討を進めているところです。例えば、近くに住む人が買い物できるようにスーパーを作ろう、ホテルを作ろう等と、既に、地域にある施設と重なる候補が挙がっていて、非常に危うい流れです。

恐らく、税金も投入されて、地元ゼネコン等は新しい建物を作れるので歓迎されるのでしょうがそれも一過性の需要に過ぎませんし、既存の施設と被れば、結局は潰し合いになるのが目に見えています。

これだけ交通網が発達して、また、ネットも普及している時代に、ただの小売等では全く勝負にならないと思いますので、ここにしかない体験が得られて、地元民だけでなく、近隣県や遠方から人が訪れたくなるような仕掛けが必要なのではという、漠然としたイメージは抱いていますが、なかなか考えがまとまりません。

このメルマガの主旨とは異なるようにも思いますが、非常に端的、かつ明晰な考えを持たれている御方だと感じていますので、恐れ入りますが、お尋ねします。永江様の考える地方都市の街づくりのアイデアについて教えてください。よろしくお願い致します。

永江一石さんの回答

地方都市の街づくりについては、その土地に住んでいる人にとってはあまり価値を感じないものでも全国的に見たら実は魅力的だという商材を探した方がいいと思います。

例えば先日ブログでも書きましたが、ふるさと納税のクラウドファンディングで福岡県大牟田市のアイデアは素晴らしいものでした。

百年前の炭鉱電車なんて、興味がない人にとってはゴミでしかありません。ですが、電車好きのマニアにとっては垂涎ものなんです。しかも枕木に自分の名前が入れば必ず実物を見に行くでしょうし、ソーシャルに投稿して喜んで拡散すること間違いなしです。

先日、ある雑誌で「地方再生コンサルタントに騙されるな」と特集が組まれていました。地方復興を望む自治体に対し、いわゆるエセコンサルタントが「特産品や自然環境を売り出しましょう」などと判を押したように助言するのですが、実際やってみると全く話題にならずお金だけ取られてしまうというひどい事例でした。「山や川の自然環境」や「肉や農産物」などは、日本中どこの田舎に行ってもあるんです。もっと発想を変えて、今まで思いもよらなかったような画期的なアイデアが必要です。

例えば、ふるさと納税でよくある地域の特産品を売り出すのなら、先ほどの炭鉱の化石を送ったっていいと思うんです。私も子供の頃は学校のストーブが石炭で、葉っぱの化石を探して遊んでいました。化石を送ってくれるなら夏休みの宿題にまでなっちゃいます。

また、化石が出てくる場所があるなら、今の小学生はそういう体験がなかなかできないので、夏休みに一週間ぐらいツアーを組んで家族で体験旅行に来たいというニーズもあるかもしれません。自治体にとっても一見さんより毎年来てくれるリピーターの方が嬉しいでしょう。

加えて例えば木造の小学校の復元とか結構あると思いますよ。実際に廃校になった小学校をホテルに改装し、成功している事例もあります。

B級グルメやゆるキャラなど他県の成功事例を真似るより、そこにしかない宝を発掘した方がよっぽどくると思います。

image by: Shutterstock

 

nagae永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ
著者:永江 一石
商品開発や集客プロモーションを手がける会社を設立し多くの企業のマーケテイングを行う。メルマガでは読者から寄せられたマーケティングのお悩みに対し具体的な解決策を提示。ネットショップや広報担当を中心に多くの購読者から支持されている。
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