日本のマンガは「編集者」という武器があるから世界で戦える

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日本の漫画やアニメが「クールジャパン」として世界に認知されて久しいですが、今後、グローバル市場で戦っていくにはどのような視線が必要なのでしょうか。メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者・中島聡さんが、人気雑誌副編集長の記事を引きつつ考察しています。

日本の漫画とグローバル市場の関係

世界志向の編集者は言語の壁を超えて、作家が触れたことのない「異物」との接触点をつくる

雑誌「モーニング」の副編集長である北本かおりさんが経験した、ベルサイユ宮殿とフランスのグレナ社と講談社の3者の共同企画による漫画制作の過程をベースに、「クールジャパン」の代名詞でもある日本の漫画とグローバル市場の関係に関するとても興味深い考察です(グレナ社はフランスで初めて日本の漫画作品を出版した出版社)。

オープンソースとして公開した Swipe は、(今や時代遅れの)ソフトウェアライセンスでのビジネスは考えてはいませんが、コンテンツビジネス、特に日本の漫画を活用したビジネス十分に可能だと考えており、その意味ではとても勉強になる資料です。

彼女は「編集者の役割」に関して、

人は誰でも自分なりの物の見方をもつが、それだけに基づいて描かれる物語は、やがて思考のループに陥ってしまう。だから作家が新しい物語を描くためには、自らの見方を変える強い感情や謎が必要になる。

 

作家が触れたことのない「異物」との接触点をつくり、創作のための環境を用意すること。ここに編集者の存在事由がある。

 

そのきっかけは、いつどんなところで見つかるかはわからない。作家が触れたことのない「異物」との接触点をつくり、創作のための環境を用意すること。ここに編集者の存在事由がある気がしている。

と書いていますが、これはソフトウェア開発者である私にとっても全く同じです。世界初のパソコン用CADであるCANDYは、アスキー編集部に出入りしている私がマウスという新しいデバイスに出会えたから生まれたのです。

そう考えてみると、私が世の中で成功するソフトウェアを作った時には、常に「優秀な編集者」に相当する人がいて、刺激を与え続けてくれたのだと思います。

その意味では、今回の Swipe も「漫画を進化させたい」という強い思いを持つ人たちから刺激を受けたからこそ出来たもので、その意味では「良い座組」でのスタートになっていると思います。

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