全米が禁止した「トランス脂肪酸」、なぜ日本は規制すらしないのか

 

一方、日本では現段階ではトランス脂肪酸の規制は行われていませんし、使用している場合でも表示義務はありません。これはなぜなのでしょうか? アメリカではトランス脂肪酸を使用した食品が多く、またそういったものを食べる食文化があるため、2000~02年におけるアメリカ人1人の一日あたりの摂取量は5.6グラムで、総エネルギーの2.2%でした。

WHOは03年、一日あたりの摂取量を1%未満に抑えるよう勧告しました。ところが日本ではアメリカと食文化が違うため、06年の調査では日本人の摂取量は一日平均0.7グラムで、総エネルギーの0.3%とWHOのガイドラインを大きく下回っていました。これを受けて「日本の通常の食生活では健康への影響は小さい」と判断された経緯があります。

とはいうものの、トランス脂肪酸が健康に良くないことは明らかなので、消費者庁は食品メーカーに対してトランス脂肪酸に関する情報を自主的に開示するよう要請しており、一部メーカーがトランス脂肪酸の使用を削減している動きもあります。加工食品や外食など、日本ではトランス脂肪酸を100%避けることは無理かもしれませんが、せめて自宅ではマーガリンの使用を避けるなどしたいものですね。ちなみに、アメリカではトランス脂肪酸を含まないタイプのマーガリンも売られています。

image by:Shutterstock

 

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著者:しんコロ
ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。
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