2024年度第3四半期決算 ハイライト①
山本均氏(以下、山本):代表取締役社長執行役員の山本です。本日は決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
それでは、2024年度第3四半期のハイライトについてご説明します。
収支のハイライトです。売上高は564億4,400万円、経常利益は22億100万円となりました。売上高は前年同期と比べ会員収入が減少したものの、映画事業などのその他収入の増加や、グループ会社の売上が増加したことにより、増収となっています。経常利益は番組費の増加などにより減益となりました。
2024年度第3四半期決算 ハイライト②
加入のハイライトです。2024年度第3四半期の新規加入件数は53万9,000件、解約件数は60万6,000件、正味加入件数は6万6,000件の純減となりました。
新サービス「WOWSPO」の開始や「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」などが好評を得たことにより、前年同期比で新規加入件数が増加しています。
一方で、目的番組終了などにより解約件数も増加となっています。正味加入件数はマイナス6万6,000件となっていますが、前年同期比で1万5,000件良化しています。正味加入件数については240万1,000件となっています。
2024年度第3四半期決算 収支状況(連結)
尾上純一氏(以下、尾上):経営管理、経理統括の尾上と申します。IRを担当しています。どうぞよろしくお願いします。
連結の収支状況です。売上高は564億4,400万円、11億1,000万円の増収、経常利益は22億100万円、7億8,200万円の減益となりました。
売上高は、加入者数の減少により会員収入が減少したものの、映画事業や番組販売など、その他収入の増加やグループ会社の売上が増加したことにより増収となりました。
経常利益は、増収に伴う利益の増加はあったものの、番組費などの費用が増加したことなどにより減益となりました。なお、為替差益4億1,900万円を営業外収益に計上しています。
また、第2四半期の決算発表でご説明しました、当社保有の上場有価証券1銘柄の売却を実施し、投資有価証券売却益を3億8,100万円計上しています。一方、4K放送サービス終了、およびコンテンツ情報統合管理システムの開発中止による減損損失17億4,400万円を第2四半期に計上しています。結果、四半期純利益は6億8,900万円で、10億6,800万円の減益となりました。
連結経常利益 前年同期との差異要因
連結経常利益の差異要因です。スライド左側が利益の増加要因、右側が減少要因となります。
まず、増加要因です。その他事業収支が10億300万円増加しました。映画事業や番組販売などの売上が増加したことによるものです。グループ会社の収支は、連結子会社のグループ外の売上が増加したことなどにより、3億2,300万円増加しました。その他は、費用を効率的に投下した広告宣伝費の減少などによるものです。
次に減少要因です。会員収入が14億800万円減少しています。なお、前年同期は会員収入の減少が19億7,300万円となっており、減少幅は少なくなっています。これは正味加入件数の減少幅の改善に加え、加入件数に含まれないサッカーのシーズンパスの売上が加わったことによるものです。「WOWSPO」の開始をはじめ、新しいサービスの導入が功を奏した結果と捉えています。また、番組費が8億900万円増加しています。
結果、7億8,200万円の減益となりました。
セグメント別連結売上高/営業利益対比
セグメント別の状況です。まず、メディア・コンテンツセグメントです。お客さまからいただく会員収入が売上高の多くを占めています。売上高は、会員収入が減少となったものの、映画事業や番組販売、連結子会社のグループ外への売上など、その他収入が増加したことにより、6億600万円の増収となりました。営業利益は会員収入の減少や番組費の増加などにより、9億5,600万円の減益となりました。
次に、テレマーケティングセグメントです。連結子会社のWOWOWコミュニケーションズにおける事業となります。外部顧客のテレマーケティング業務等の売上が減少したものの、昨年度に買収したフロストインターナショナルコーポレーションの売上が加わったことにより、3億5,100万円の増収となりました。営業利益は売上の増加などに伴い、3,000万円の増益となっています。
2024年度第3四半期決算 加入状況
加入状況です。新規加入件数は53万9,000件です。「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」や「WOWOW presents WEST. 10th Anniversary Live “W”」など、音楽コンテンツが好評を得たこと、また4月より開始した新サービス「WOWSPO」により、これまでWOWOWにご加入いただけなかった若年層の方々が多く加入したことにより、前年同期と比べ7万7,000件の増加となりました。
解約件数は60万6,000件です。目的番組終了による解約が増えたことなどにより、前年同期に比べ6万2,000件の増加となりました。結果、正味加入件数は6万6,000件の減少、累計正味加入件数は240万1,000件と、前年同期に比べ7万8,000件の減少となりました。なお、正味加入件数はマイナスではありますが、前年同期と比べ1万5,000件良化しています。
また、これらの数値には含まれていませんが、「UEFAチャンピオンズリーグ」などをご覧いただけるサッカーのシーズンパスを「WOWOWオンデマンドPPV(ペイパービュー)」で販売しており、WOWOWをお楽しみいただくお客さまの数は、この数字以上に増加しています。
なお、サッカーのシーズンパスは昨年9月にも前期シーズンで販売していますが、その販売数は前年同期に比べて増加しています。
番組費の推移
番組費の推移です。「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」の放送・配信や、昨年12月より開始した「Paramount+」の費用が、今年度では通年で計上されることなどにより、197億9,200万円と前年同期に比べ8億900万円増加しました。
投資実績について
投資実績についてです。当社グループは、中長期的な成長の実現を目指すため、2023年3月より、既存事業の強化や新規事業創出等を目的とした投資を開始しており、これまでも事業会社やベンチャーキャピタルファンドへの投資を実施しています。
このたび、Scrum Ventures LLCが組成したファンドへの出資を実施しました。このファンドはスポーツ・エンターテインメント領域に特化した投資を行っており、運用収益の享受以外にも、スポーツコンテンツを放送・配信している当社グループの中長期的な成長に資する協業先の開拓や、知見の獲得などができると期待しています。
具体的な取り組みはこれからとなりますが、出資先の技術やサービスを基にしたスポーツや会員ビジネス領域での協業を検討していきます。
2024年度 加入計画
2024年度の加入計画です。正味加入件数はプラスマイナス0、累計正味加入件数は246万7,000件と、当初の計画から変更はありません。
第3四半期時点の正味加入件数はマイナス6万6,000件となっていますが、「Prime Video」のサブスクリプションで提供を開始した「WOWSPO」や、「UEFAチャンピオンズリーグ」の決勝トーナメントの開幕などによる加入増を見込んでおり、計画の達成を目指していきます。
また、後ほどご説明しますが、コンテンツを軸としたさまざまなサービスの展開に取り組んでおり、会員収入以外の収入を増加させることで、売上計画の達成を目指します。
2024年度 収支計画(連結)
収支計画です。こちらは昨年10月の公表値から変更はありません。売上高は756億円、経常利益は15億円を目指していきます。なお、経常利益は第3四半期の時点で計画を上回っていますが、この第4四半期に年度計画の達成、および来期以降の成長に向けた費用投下などを行っていく予定です。
2024年度 配当計画
配当計画です。こちらも当初計画から変更はありません。1株当たりの配当30円を計画しています。株主還元については、当社も重要性を認識しているため、減益の状況下においても、継続して安定的な配当を行う方針を維持しています。
収益向上に向けた取り組み①
井原多美氏:みなさま、こんにちは。事業戦略統括の井原です。収益向上に向けた取り組みについてご説明します。
まず、音楽を軸とした多層化展開です。第4四半期は、YOASOBIと氷川きよしの音楽ライブが劇場公開されます。
昨年11月には、WEST.とWOWOWが組んで番組を作り劇場版として再構成し、自社配給しました。その中で、興行収入が初週第1位を獲得し、業界でも大変話題となる結果を残すことができました。最終的に興行収入は5億円を超える大ヒットとなりました。
YOASOBIと氷川きよしの音楽ライブの劇場公開はそれに続く取り組みとなります。今後もこのような試みを続けていきます。
収益向上に向けた取り組み②
スポーツにおける収益向上に向けた取り組みについてです。2024年度の重点戦略としてメディア・サービス構造改革を掲げ、月額2,300円の放送・配信サービスの単一商品だけではなく、さまざまな切り口での商品展開に取り組んでいます。
WOWOWが配信しているスポーツコンテンツを外部プラットフォームでも視聴できる「WOWSPO」が「Prime Video」のサブスクリプションで昨年12月より提供開始しました。
第1弾として「WOWSPO」を開始した「ABEMA」では、WOWOW単体ではなかなかリーチしづらい若年層の獲得に成功しました。第2弾として、知名度が高く規模が大きい「Prime Video」でサービスを開始することで、さらなる新規会員の獲得を目指していきます。
また、「UEFAチャンピオンズリーグ」「UEFAヨーロッパリーグ」の決勝トーナメントパスの販売を本日より開始しています。例年、決勝トーナメント開幕に向けて加入は増えていく傾向にありますので、決勝トーナメントパスも今後購入が進んでいくと期待しています。
プロモーションを強化し、認知拡大を図るとともに、より多くのサッカーファンの方々にお得に楽しんでいただきたいと考えています。
アワード、ドラマを放送・配信
今後の注目番組についてです。まず、日本時間2月3日9時より、第67回グラミー賞授賞式をアメリカ・ロサンゼルスから独占生中継します。日本でのスタジオゲストにはグラミー賞を会場で観た経験のあるWEST.の小瀧望さんなどを迎えてお届けします。
歴代グラミー賞史上で最多受賞・最多ノミニーの記録を持つビヨンセが、主要部門のうち年間最優秀アルバムを獲得できるかどうか、大きな注目となっています。
また、第97回アカデミー賞授賞式はWOWOWオンデマンドで配信します。日本勢3作品がノミネートを果たしています。
ジャーナリスト・伊藤詩織の監督作品『Black Box Diaries』が日本人監督の映画として初めて長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた他、日本の公立小学校を舞台にした山崎エマ監督作品『Instruments of a Beating Heart』が短編ドキュメンタリー賞、西尾大介監督のフルCG作品『あめだま』が短編アニメーション賞にノミネートされています。
また、ドラマでは、主演・内野聖陽、監督/脚本・大森寿美男で、生きづらさを抱える人々の再生の姿を描いた感動のヒューマンドラマ「連続ドラマW ゴールドサンセット」や、エディ・レッドメイン主演の大人気小説原作のサスペンスアクション「ジャッカルの日」を放送・配信します。
私どもからの説明は以上となります。ありがとうございました。
質疑応答:会員数について
質問者:会員の減少ペースが厳しいように見えます。今の御社のコンテンツ力だと巡航速度で来年以降の会員数はどれぐらいと見ていますか? また、新しい施策でどれぐらいまで回復させられると考えているかを教えてください。
山本:確かに、5年連続で加入者が純減しているトレンドの中で当社が非常に厳しい状況に置かれているのは事実です。番組については充実した番組をお届けできていると思っていますが、なかなか放送部分だけでの加入獲得は厳しい状況もあると考えています。
そのような意味では、放送・配信を通じた、あるいはパッケージや「WOWSPO」を含めた多様な商品展開で加入者を維持していきたいと考えています。来年度以降の計画については、今年5月に事業計画でご説明したいと考えています。
質問者:だいたい今期の着地ぐらいがボトムと想定されているのでしょうか? それとも、いろいろと新しいライバルが出てくる状況だと、新しい施策をすることで改善をしていくお考えなのでしょうか?
山本:加入はさまざまな要因によって変動します。もちろん一番はコンテンツにもよりますし、そのようないろいろな動きの中で今がボトムと見ているわけではありません。やはり我々が今持っているコンテンツや商品を多層的に展開し、いかにお客さまに選んでいただけるかを引き続き探りながら展開していきたいと思っています。
もちろん外部のOTT事業者を含めた事業環境の動きもありますが、まずは我々がコンテンツ力を磨きお客さまにご支持いただくために、今まで続けてきたWOWOWの存在価値を、コンテンツを通じて今後も発揮したいと考えています。
質疑応答:賃上げに対する考え方について
質問者:世の中全体の流れとして、賃上げが今年も続くと見受けられます。御社の直近の業績を見ると厳しい状況に見えるのですが、今年や来年の賃上げに対する考え方を教えてください。
山本:昨年、一昨年については組合との話し合いの中で賃上げを実施しています。今年はまだ組合から要求も届いていないため、どうしていくかは今この時点ではお話しできませんが、やはり社員のマインドや世の中の流れなどは意識しつつ、優秀な人材を確保するために、総合的に考えて結論を出していきたいと考えています。現時点でお答えできるのはここまでです。
質疑応答:社長就任後の手応えや今後の方向性について
質問者:社長就任から1年近く経ちますが、手応えや、どのような方向でいくのかセンターピン的なところについての考えを教えてください。
山本:WOWOWは1991年に開局して以来、単一商品をずっと売ってきた長い歴史があります。
それが、一昨年からシーズンパックを売り、昨年は「WOWSPO」というまったく新しい商品を売ったことにより、この2年で商品の多様化が一気に進んできました。その部分については手応えを感じています。
我々がお客さま側に近づいて選ばれるように商品を作り、お客さまが集っているところでのアクセスを確立した、いわゆる従来のメディア・サービスの構造改革については着手ができたかと考えます。
また、コンテンツの多層展開として、音楽ライブをWOWOWで放送して加入者を増やすだけではなく、劇場でコアなファンを集めて収益を稼ぐような新たな展開にも手応えを感じています。
なにより社員の動きとして、特に多層的な新しい展開を生み出そうという意識を持ってコンテンツの開発に乗り出してくれているところに一番手応えを感じています。そのような部分を来年度はさらにスピードアップして進めていきたいと思っています。
質疑応答:事業環境の変化について
質問者:メディア周りの事業環境の変化に関してうかがいたいです。フジテレビのように収益が急落するような状況になると、コンテンツの作り方にも影響が出てくるだろうと感じます。
御社の大株主でもあるかと思いますが、御社を取り巻く環境の変化に対してどのように見据えているか教えてください。
山本:もともと我々は放送業からスタートしました。衛星放送はスピルオーバーの問題がありますが、放送業界は日本国内の事業者との戦いの歴史が長く続いてきました。しかし、現在は放送業界との戦いではなく、グローバルのOTT事業者との戦いとなっています。戦いの環境は新型コロナウイルスの時代を経てまったく変わってしまいました。
WOWOWも従来の戦いの環境から大きく変わったという意識のもと、なんとしても生き残っていくために、オリジナリティのあるコンテンツの展開やWOWOWが選ばれる独自のポジションに舵を切っていかなければいけないと考えています。そのような意味では、ここ数年で競争環境は一気に変わってしまったと考えています。
フジテレビの問題はまた別の問題ですので、そこの部分については特に言及しませんが、いわゆるサブスク型のビジネスモデルを行ってきたWOWOWは、かつての国内との戦いから今やグローバルの戦いの中で生き残り戦略を考えているとお考えいただければと思います。
質疑応答:会社計画の進捗について
質問者:会社計画の進捗について教えてください。着地はすでに計画を超過し第4四半期については費用投下との説明ですが、外から見ていると進捗状況が見えにくいと感じます。
進捗がインラインなのか、上振れているのか、下振れているのかといった現状の認識と、可能であればその背景やずれの要因について教えてください。
尾上:今お話しいただいたとおり、第3四半期のレベルでは、年間計画を利益ベースでは上回っています。
要因としては、10月以降にコンテンツの投下もあり、加入が好調に推移したことに加えて、先ほどもご説明した映画を含めたさまざまな多層的なサービスによって売上利益を押し上げている状況もあります。
一方で、第4四半期についても、加入の計画は先ほど申し上げたプラスマイナスゼロを目指していくことは変えていませんので、そこに向けたさまざまなコストの投下を予定しています。加えて、来期以降に新たなサービスとしてeコマースなどのサービスに取り組んでいきます。そのために今期はさまざまな調査研究的な活動も含めて商品開発等も進めています。
このような費用投下をしっかりとしつつ、年度計画と来期の計画を達成していき、来期の成長に向けてさまざまな活動をしていきたいと考えています。具体的なコストの内容については控えますが、そのような部分での費用投下を第4四半期で考えているとご理解いただければと思います。また、計画ラインの上か下かについては回答を控えさせてください。
いずれにしても、来期につながるさまざまな取り組みをしっかりとした上で、今期の計画や、先ほども質問いただいた加入について、また加入だけではなく収益をアップしていくためのさまざまな取り組みや展開を考えていますので、そのあたりの事前の費用投下があるとご理解いただければと思います。
山本氏からのご挨拶
山本:本日は決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。先ほどもありましたが、私は昨年4月1日に社長に就任しました。今年度も残りあと2ヶ月となり、この10ヶ月間は本当にあっという間だったと感じています。
さまざまな手応えも出てきています。プラス部分もマイナス部分もありますが、ここまで何らかの手応えを感じる展開ができ、残りあと2ヶ月も事業計画の達成に向けてがんばっていきたいと考えています。
幸いなことに2月、3月は多彩で魅力的なコンテンツが揃っており、特にチャンピオンズリーグは佳境を迎えます。残りの2ヶ月も、しっかりと手応えのある策を打って、年度末ギリギリまでがんばっていきますので、本年も引き続きよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。