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【QAあり】ラクオリア創薬、ロイヤルティ収入が好調に推移・その他収益も大幅増 3ヶ年目標を再設定し3期連続営業黒字を目指す

免責事項

須藤正樹氏:本日はお忙しい中、ご視聴いただき誠にありがとうございます。ラクオリア創薬株式会社代表取締役の須藤正樹です。

本日は2024年12月期決算および2025年12月期からの3ヶ年の事業計画についてご説明します。まず、こちらが免責事項となります。説明は割愛しますので、別途お読みください。

目次

本日はこちらの目次で示す7項目をご説明します。

自己紹介

今回が、私が決算説明をさせていただく最初の機会のため、簡単に自己紹介します。私は大学で有機合成化学を学んだ後、帝人社およびファイザー社で医薬品の研究開発に携わり、2008年にラクオリア創薬の創業に参加しました。一時、当社を離れていましたが、2021年に復帰して2022年からは取締役を務め、本年1月からは代表取締役の任についています。

1人でも多くの患者さんに一刻でも早く新たな治療薬を届けるべく、当社の事業運営に全力で取り組んでいきますので、みなさまのご指導、ご鞭撻をよろしくお願いします。

ビジネスハイライト(2024年12月期)

2024年12月期のビジネスハイライトからご説明します。まず連結経営成績です。2024年12月期の事業収益は、過去最高の31億700万円となりました。しかし、契約一時金の期ずれ等により、期初計画に対しては31.4パーセント減の着地です。利益等の指標はスライドに示すとおりで、後のスライドであらためてご紹介します。

上市品の状況についても後ほど説明するため、ここでは詳細な説明を割愛しますが、「テゴプラザン」のグローバル展開、ペット用医薬品とも順調に推移しています。

導出については、動物薬に関するオプションおよびライセンス契約を米国のVelovia Pharma社と新たに締結しています。

パイプラインの進捗については、TRPM8遮断薬とナトリウムチャネル遮断薬で進展がありました。また、2023年にペット用医薬品として契約した5-HT4作動薬については、契約先のVetbiolix社によるオプションの行使がありました。さらに、自社の研究開発では、創薬バリューチェーンの強化に係る取り組みや、グレリン受容体作動薬の臨床試験の準備、導出活動を進めてきました。

最後に、子会社関連です。2024年には標的タンパク質分解誘導剤のスタートアップであるファイメクスを完全子会社化しました。ファイメクスがアステラス製薬社と行っている共同研究は、現在順調に進展しています。そして、テムリックは、残念ながらライセンス先の企業が実施中の臨床開発が中止となるニュースがありました。

これらが2024年の事業進捗の主な部分です。

2024年12月期 通期連結業績概要

スライドの表では、期初の計画と実績の対比を示しています。昨年12月13日に業績予想の修正を行いましたが、最終的な通期実績ではそこから幾分変わった部分もあります。事業収益は31億700万円、期初計画から14億2,800万円のマイナスとなりました。

主な減少理由は、「テゴプラザン」の日本の導出の期ずれと、子会社ファイメクスで見込んでいた収入が目標を下回ったことです。事業費用を抑えて、その影響を和らげるように努めましたが、結果的に連結の黒字にはならず、営業損失が2億1,300万円、経常損失が3億6,100万円、当期純損失が4億9,500万円となりました。

しかし、利払・税引・減価償却前利益のEBITDAは、1億8,500万円のプラスとなりました。

事業収益の概要

事業収益の概要では、内訳をロイヤルティとその他収益に分けて示しています。ロイヤルティは前年比21.2パーセント増の19億4,400万円と好調に推移しています。

契約一時金・マイルストン・研究協力金等のその他の収入は、前年比291.6パーセント増と大幅増加した11億6,300万円で着地しました。その結果、事業収益は前年比63.5パーセント増の31億700万円となりました。

連結貸借対照表

連結の貸借対照表です。こちらは2023年期末から大きな変化がありました。ファイメクスの子会社化に伴い、資産と負債が大幅に増加しています。資産は前期末比40.5パーセント増加の96億5,500万円です。増額の大部分はのれんの増加によります。

また、負債については、みずほ銀行と商工中金をアレンジャーとするシンジケートローンで35億円を調達したことから大きく増加しています。その結果、自己資本比率は前期末比31.3パーセント減の57.4パーセントとなっています。当面、このレンジを維持していく予定です。

数字上は自己資本比率の大幅な低下となりますが、創薬ベンチャーで借入による調達を行って、M&Aという大きな意思決定ができたことは重要な意味があると考えています。

20億円に迫る安定的なロイヤルティ収入と豊富なパイプラインを持ち、2021年、2022年の2期連続の黒字を達成したことから、当社に稼ぐ力があるとご評価いただいたもので、それにより実現したデットの調達であり、これは創業以来の関係者の努力が実を結んで、当社が新たなステージに入ったことを表すものと捉えています。

キャッシュフロー

キャッシュフローについては、2023年の期末の現金および現金同等物の36億6,400万円から、5億2,200万円減少した31億4,100万円で着地しました。営業活動で獲得した資金が1億8,000万円、投資活動で使用した資金は36億6,500万円、財務活動で獲得した資金が29億8,200万円で、主な増減要因はスライドに示すとおりです。

2024年期初計画の達成状況

今後の事業計画についてご説明します。まず、2024年期初に発表した2026年までの3ヶ年の事業計画における、2024年期末時点の振り返りについてお話しします。

昨年12月13日の業績予想修正の際にご説明したものと重なりますが、収益について、2024年はEBITDAがプラスであったものの、営業赤字となりました。また、3ヶ年の計画や累計値も保守的な想定へと変更することとなりました。

研究については、開発候補化合物の創出とファイメクスとの協働体制の確立が現在進行中です。

開発については、グレリン受容体作動薬について、2025年に自社で臨床試験を開始するのが当初の予定でしたが、手元資金を使うのではなく、提携を目指す方向に変更しています。

IRAK-M分解誘導薬については、前臨床試験が進行中です。

最後に導出についてです。動物薬に関するオプション契約を締結したものの、「テゴプラザン」の日本導出とファイメクスについては、2024年の目標は未達に終わりました。これらは2025年には必達の目標であると考えています。

2027年12月期までの目標

それらを踏まえて、再設定した新たな3ヶ年目標がこちらです。収益については、3期連続の営業黒字、事業収益の累計額として111億円を目指します。

研究では、引き続き2個の開発候補化合物を目標とし、さらに上積みを図っていきます。また、ラクオリアとファイメクスの協働による成果を、プラットフォーム/パイプラインでお示ししたく思います。

開発については、グレリン受容体作動薬、IRAK-Mは臨床前の導出を目指しますが、導出先での臨床開発が円滑に進むように、しっかりと準備を進めていきます。

最後に導出については、パイプラインの導出契約を年1件、さらにファイメクスのプラットフォーム事業からの年1件の契約を目標とします。しかし、この数値を達成して満足することなく、さらに上積みをしたいと考えています。

連結業績予想および今後の目標

3ヶ年の連結業績の予想および今後の目標値を表で示しています。事業収益について、2025年は「テゴプラザン」の日本のライセンスの期ずれ分から想定する額を加えて38億8,900万円です。2026年、2027年はそれぞれ35億7,100万円、36億5,300万円と、大きな上昇カーブを描くわけではありませんが、これは昨年の反省も踏まえて、保守的な想定をしたためとご理解ください。

ロイヤルティ収入は、2024年実績の19億4,400万円からの伸びが期待されます。また、ファイメクスが得る研究協力金も合わせて安定的な収入があるため、その下支えの上にマイルストンや新規の契約一時金を積み上げていき、この数値のさらなる上積みを図っていく考えです。事業費用も適切にコントロールして、営業利益とEBITDAをしっかりと確保していきます。

事業収益計画の概要

ラクオリア単体と子会社のファイメクス/テムリックの事業収益の2つの内訳に分けて示しています。ラクオリア創薬と子会社それぞれが、2024年の実績を上回る額の収益目標です。事業の進展によって達成できる数値だと考えています。

当社発の上市医薬品は4製品

上市製品とパイプラインの現状についてお伝えします。すでにご案内したとおり、当社発の医薬品は4製品あります。ヒト用では胃酸分泌抑制剤の「テゴプラザン」、ペット用では有効成分が「グラピプラント」「カプロモレリン」の2つ、製品にしては3品目で「GALLIPRANT」「ENTYCE」「ELURA」があります。

テゴプラザン・グローバル展開の状況

「テゴプラザン」のグローバル展開の状況についてです。「テゴプラザン」は2024年末で46ヶ国、今年1月にオーストラリアとニュージーランドを加えて、現在は48ヶ国に進出しています。販売中の国はスライドに示している15ヶ国です。

提携先のHKイノエン社は、2028年までに100ヶ国に進出するという目標を掲げています。韓国での販売は、販売開始6年目でも右肩上がりで、2024年処方ベースの売上高は約217億円相当です。前年比24.4パーセントの伸びで大変好調です。

競合品が出てきていますが、競合品があってもトップシェアを維持しており、市場全体が活性化、拡大する好循環が成し遂げられています。

次なるイベントとしては、スライドの右上にある北米での動きにご注目いただきたいです。サブライセンス先のSebela社、Braintree社が、非びらん性とびらん性の胃食道逆流症について、フェーズ3試験を実施しています。

非びらん性の試験は終了しています。びらん性は当初の予定よりも少し遅れて今年にずれ込んでいますが、Sebela社は最近になって、今年第4四半期の承認申請を予定していると公表しました。今年は、臨床試験の結果の発表や申請などの動きが出てまいります。

ペット用医薬品 上市3製品

ペット用医薬品の3製品は、販売国で売上が拡大することと、さらに新たな国・地域で販売が拡大して販売国が増えていくことを期待しています。スライド左側は、犬の慢性骨関節炎の治療薬の「GALLIPRANT」です。すでにブロックバスターになっています。

そして、2024年に欧州および日本で販売が開始された猫の体重減少管理の治療薬「ELURA」は、アンメット・ニーズに応える新たな薬剤として、そのような問題に直面する猫あるいはオーナーのクオリティ・オブ・ライフに貢献することを期待しています。

2024年12月期におけるパイプラインの状況変化

2024年12月期は、研究開発パイプラインに大きな変化があった年でした。オレンジで示すポジティブな変化だけでなく、黒で示すようなネガティブな変化もありました。

特に、2024年下半期にP2X7受容体拮抗薬のフェーズ2試験の結果発表がありました。また、テムリックが導出した「タミバロテン」について、導出先のSyros Pharmaceuticals社が臨床開発を中止しました。私たちにとって大変残念なことであり、医薬品開発の困難な部分をあらためて痛感することとなりました。

研究開発パイプライン一覧

現在の当社グループのパイプラインはスライドのとおりです。ネガティブな影響があったものの、当社グループのパイプラインは現在でも大変充実しています。

新たに前臨床やフェーズ1に加わったものの動きには期待していますし、先にお伝えした「タミバロテン」、P2X7受容体拮抗薬については、提携先での開発の再開や再導出などの動きを待ちたいと思います。新たな動きがあれば、適時適切にお知らせします。

そしてパイプラインは創薬ベンチャーの成長の礎のため、ここに新たな開発候補品を加えることが重要です。短中期的には、新たな開発候補品の創出に注力し臨床開発は資金と提携先を得て実施するという方針です。

既存契約の潜在収益

スライドは、今回初めてお見せするデータです。当社の既存の契約が、将来潜在的にどの程度の価値をもたらし得るかを表したものです。

マイルストンだけで600億円以上あり、ここにロイヤルティも加えると、さらに多くの額の潜在収益が当社の既存の契約についています。開発の進捗に基づいて支払われる開発マイルストンは、契約上の総額でカウントできる分が183億円あります。これは比較的短中期に得られるもののため、当社はすでに45億円を受領済みで、残りは138億円です。

販売マイルストンは、販売額が基準値を超えた時のボーナスと言ってよいと思います。これは中長期的に期待し得る収益です。当社はまだ得ていませんので残りが495億円です。

ロイヤルティは、契約上の上限を定めることはありません。そのため、将来の潜在収益額をここには書いていませんが、これまでに取得した額が83億円です。販売が進めば進むほど、それに応じて増えていきます。

これらはすでに契約済みの契約に基づくものですので、新たな契約を獲得し、潜在収益をさらに拡大していきたいと考えています。

導出交渉中パイプライン|テゴプラザン(日本)

ここからの3枚のスライドで、導出準備中のプログラム中でもコアになるものについてお伝えします。最初は「テゴプラザン」の日本の権利ライセンスです。

「テゴプラザン」は世界48ヶ国に進出していますが、起源の国である日本では販売に至っていません。日本国内では成人の10から20パーセントが胃食道逆流症を患っていて、市場規模は2,500億円に上っているにもかかわらずです。

2024年は候補先企業の意思決定に至らず、契約締結を実現できませんでした。その企業とは早期に日本国内での上市を目指した目標を共有しています。2025年12月期の成約を目指して、活発に協議を進めています。

自社パイプライン|グレリン受容体作動薬

2つ目は「グレリン受容体作動薬」です。スライドの下部に示しているように、特徴的な新規メカニズムで作用し、既存のお薬では効果が見られない患者さんのニーズに応えるような薬剤とすることを目指しています。

臨床試験用の原薬の製造は完了しています。前臨床試験は終了し、一部試験で報告書の完成を待つという段階です。以前の計画では、2025年に自社で臨床試験に進む予定でしたが、その計画を変更し、フェーズ1試験に入れるフェーズ1レディの段階で導出する方向で顧客候補の企業と対話をしています。

自社パイプライン|IRAK-M分解誘導薬

最後は、IRAK-M分解誘導薬です。これはファイメクスがフラグシップのプログラムとして創業以来手がけているものです。たんぱく質分解誘導剤という新たなモダリティで、これまでにないファースト・イン・クラスのがん治療薬を目指すものです。

人間の体に備わった免疫サイクルを活性化することで、免疫チェックポイント阻害剤に抵抗性を有するような患者さんでも有効な薬剤となる可能性に期待しています。こちらも現在、前臨床段階にあり、導出に向けた検討協議を進めています。

企業価値・株主価値向上のための重点3施策

ここからは、主に当社の企業価値・株主価値の向上に向けた成長戦略に焦点を当ててご説明します。企業価値・株主価値向上のための重点3施策の根幹部分は基本的に変わっていません。

第1に、創薬ベンチャーの成長性向上の土台である創薬研究基盤の強化のため、神経疾患、がんの領域を柱に、特にモダリティの拡張に投資します。

第2に、開発パイプラインの拡充・最適化です。創薬ベンチャーの成果物かつ商売の種は、開発パイプラインを生み出すことです。そのため、自社あるいは共同研究で新たな開発候補品の創出に注力します。短期的にはこちらを優先し、自社での臨床開発は資金と提携先を得て実施するという考えです。

第3は事業収益の拡大・早期化です。ファイメクスをグループに加えたことで、新規モダリティ、プラットフォームで研究早期からマネタイズできるようになり、当社はパイプラインとプラットフォームのハイブリッド型のビジネスモデルを手にしました。

未充足のニーズに応える画期的新薬を患者さんのもとに

根底にあるのは、アンメット・ニーズに応える画期的な新薬を患者さんのもとにお届けしたいということです。そして戦略の基本線は、スライドに示すように、従来医薬品の創出が困難とされてきた疾患関連遺伝子を、創薬バリューチェーンの強化によって開拓するというものです。

創薬の標的になり得るも従来の技術では薬が作れなかった、いわゆるアンドラッガブルな標的を、新たな技術によって薬が作れるドラッガブルな状態に転換することを目指しています。当社グループはその先駆けとなる創薬ベンチャーになりたいと考えています。

創薬バリューチェーンの強化

創薬バリューチェーン強化の焦点は、ラクオリアが従来得意としてきた低分子創薬のノウハウと基盤を活かしつつ、新規モダリティへの拡張を進めることです。

2022年以来、新規モダリティへの拡張を進めています。ここに示すように、M&Aによって標的タンパク質分解誘導剤(TPD)を手にして、さらにmRNA標的低分子や細胞内抗体など、既存のモダリティとは一味違う新規のモダリティへのシフトを進めています。

当社グループが取り組んでいる創薬モダリティ

当社グループが取り組んでいる創薬モダリティの特徴をまとめています。標的タンパク質分解誘導剤やmRNA標的低分子は、低分子化合物の利点を維持しつつ、従来はアンドラッガブルであった疾患関連遺伝子への対処を可能にします。

また細胞内抗体は、新しいクラスのバイオ医薬品となる可能性を秘めているとして、近年注目を集めている新規モダリティです。周辺情報と併せてじっくりお読みいただければ幸いです。

標的タンパク質分解誘導剤(TPD)とは

ここから3枚のスライドを用いて、ファイメクスが手がける標的タンパク質分解誘導剤(TPD)について概要をご説明します。まず、この図に示すように、TPDは生体内に備わる不要なタンパク質除去機構を利用した新たなモダリティです。

標的タンパク質とE3リガーゼというタンパク質の両方に結合する分子、化合物によって、病気の原因となる標的タンパク質をポリユビキチン化して、プロテアソームによって分解させます。

TPDには幅広い標的タンパクを対象にできて触媒的に作用するため、低用量での薬効の持続性が期待できるなど、従来のモダリティにはない利点があります。

独自のTPDプラットフォーム:RaPPIDS

ファイメクスは「RaPPIDS」と銘打った独自のプラットフォーム技術があります。標的タンパク質分解誘導剤を効率的に探索する基盤であり、自動合成と表現型スクリーニングによって特徴付けられています。

リード化合物を効率的に同定できるだけでなく、分解に寄与する責任E3リガーゼとして、従来は使われていないものも対象にできるのが利点です。効率性が高い手法ですので、リード化合物の最適化において、スライド右側に示すように一般的な低分子化合物では2年かかるところを12ヶ月で行った実績があるなど、自社および共同研究先での研究のスピードアップに寄与できる技術です。

TPD関連プラットフォーム技術を持つ類似企業

TPDは海外で先行しています。スライドにあるArvinas社、C4 Therapeutics社、Kymera Therapeutics社、Nurix Therapeutics社等の先駆的な企業は、それぞれのプラットフォームやパイプラインによって、欧米のメガファーマとの大型契約を次々と締結してきました。

ファイメクスもロイヤルティを除いて150億円を超える規模の契約をアステラス製薬社と結んでおり、現在も共同研究を実施中です。これらの先駆的企業に伍して戦っていけるように、さらに成長していきたいと考えています。

探索研究段階のプログラム

このスライドでは、探索研究段階のプログラムの数をモダリティと疾患領域の2つの軸に分けてプロットして示しています。

スライド左側のとおり、2024年の期初のプログラム数は9つで、モダリティは低分子化合物が7プログラム、新規モダリティが2プログラム、疾患領域ではがんが1プログラム、神経疾患が5プログラムでした。

これがスライド右側のとおり、2025年期初では、プログラム数が11に増え、モダリティは低分子化合物が4プログラム、新規モダリティが7プログラムとなっています。オレンジ色の丸がラクオリア、赤紫色の丸がファイメクスです。

がん領域でTPDの4プログラムが加わったことで、がんが5プログラムに増えています。神経疾患は4プログラムで、新規モダリティが2プログラムに増えました。

なお、ここで示すプログラム数には、アステラス製薬社をはじめとする共同研究のプログラムを含んでいます。

このように新規モダリティとがんへのシフトが進んだことが、プログラム数からもおわかりいただけると思います。

ハイブリッド化による収益構造のアップデート

プラットフォームの獲得と新規モダリティのシフトで、研究段階でも契約一時金・マイルストンを獲得することが可能になってきています。2024年12月期のファイメクスの事業収益は6億100万円です。これはアステラス製薬社からいただいたマイルストンと研究協力金を合わせたものです。今後の事業計画期間でも、これを上回る収益を上げていきたいと考えています。

研究開発パイプライン一覧(再掲)

当社グループの研究開発パイプライン一覧を再掲します。パイプラインは創薬ベンチャーの成長の礎ですので、新たな開発候補品をここに加えることが重要です。

先ほどご説明したような、新規モダリティやがんの領域での新たなパイプラインをできるだけ早くここに追加できるように、グループを挙げて取り組んでいきます。以上が成長戦略の概略のご説明です。

資金の状況と配分

次に資金の状況と配分についてご説明します。資金の状況については、今後3ヶ年の事業収益見通しは保守的な想定で下方に修正して111億円となっています。手元資金は39億円に減少していますが、当座の事業運営には十分な額です。

借入は、昨年コミットメントラインの17億円に加えて、シンジケートローン予定の35億円がありました。今回借入余力は7億円に減少しています。シンジケートローンは執行済みですので、これは当然なくなりますが、コミットメントラインの一部の契約が終了して現在使用可能な枠は7億円です。CVI Investmentsの新株予約権20億円は残存しています。

資金の配分についてです。探索研究投資は以前よりもさらに少し増加して、3ヶ年で63億円を予定しています。逆に前臨床・臨床の投資は一時的に絞っています。収益で資金が増加した暁には、増額を行いたいと考えています。

そして株主のみなさまへの還元についてです。現在は、新たなパイプラインの追加やその進捗等での成長性の拡大を優先したいため、従来どおり、配当は財務基盤の強化に応じて実施させていただく方針です。自己株式の取得については、可能な時期には機動的に検討していきます。

想定されるカタリスト

次に、今後期待されるカタリストを一覧でお示しします。「テゴプラザン」は2025年に米国での承認申請が見込まれます。その後、本中期計画期間内に承認取得と製品発売に至ると予想されます。日本については、今年こそ導出を実現し、導出先の企業で後期臨床試験が開始される状態を実現したいと考えています。

P2X7受容体拮抗薬は、現在Lilly社で開発計画の再検討が進められています。TRPM8遮断薬は、現在Xgene社がフェーズ1試験を実施中です。フェーズ2へのステップアップを期待したいところです。

グレリン受容体作動薬、IRAK-M分解誘導薬については、本年は臨床開発準備と導出活動を行い、導出先での臨床開発につなげることを目指します。この図では導出は来年と記載していますが、可能な限り繰り上げたいと思います。

そして、ファイメクスがアステラス製薬社と実施中の共同研究プログラムに関する進展のニュースも、ぜひ今年お届けしたいと思います。新たな共同研究契約の獲得についても同様です。

また、ここに示していないサプライズもお届けしたく、事業の推進に全力を注いでいきます。

役員の異動

最後に、2月14日に発表した組織・人事等に関する事項についても併せてご説明します。まず、当社の役員の異動についてです。新任の社外取締役(監査等委員)の候補者として、中野貴之氏を当社第17期の定時株主総会に提案します。また、定時株主総会の終了をもって武内博文取締役、宇津恵取締役は退任する予定です。

3月25日開催の定時株主総会で承認いただけましたら、その後以降の役員体制はスライド左下に記載のとおりとなります。

新任取締役候補者の略歴

新任の取締役候補者である中野貴之氏の略歴をスライドに示しています。武田薬品工業社と帝人社で、医薬品、ワクチン、再生医療と、幅広いキャリア、実績を重ねてきた方ですので、取締役(監査等委員)として当社の今後の発展に貢献していただけるものと考えています。

連結子会社の代表取締役の異動

連結子会社のファイメクスにおいて、代表取締役CEOの異動を予定しています。3月1日付で現在の代表取締役CEOである冨成祐介に代わり、当社の取締役である宇都克裕が代表取締役CEOに就任予定です。

このたびの異動はグループ内の連携をさらに強化し、経営資源を最適に活用することで事業の競争力を高めるとともに、目標達成の加速を図ることを目的としています。

交付型業績連動型株式報酬制度(パフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)制度)の改定(1)

最後のトピックは、交付型業績連動型株式報酬制度(PSU:パフォーマンス・シェア・ユニット制度)の改定です。当社は企業業績・企業価値の向上に対するインセンティブとして、業績連動型の株式報酬制度を導入しています。3事業年度の業績等の数値目標を設定し、その達成度に応じて株式および金銭を支給する制度です。今回、その付与対象者の範囲を子会社にも拡大します。

また、業績指標に新たに連結EBITDAを加えるとともに、株価の指標の相対達成度のレンジを見直します。

交付型業績連動型株式報酬制度(パフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)制度)の改定(2)

具体的には、スライドの表で示すとおりです。従来は連結売上高が全体の50パーセントを占めていましたが、これを25パーセントに減らし、利益の指標として当社が重視するEBITDAを新たに加えます。

株価指標としては、現在の株価水準を鑑みて変更を加えています。TOPIX対比での相対TSRが125パーセント未満では支給率は0パーセントとし、支給率100パーセントを得るには相対TSR250パーセントが必要、と目標値を変えています。

以上が、私からの説明になります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:「テゴプラザン」導出の今期業績予想への影響について

「今期の業績予想の組み立て方について、もう少し詳しく教えてください。今期、日本で導出交渉中の『テゴプラザン』が未達で終わった場合は、業績予想値から事業収益が5億円減少し、3年連続赤字下方修正になるという認識でよいでしょうか?

日本における『テゴプラザン』は、今期の業績予想達成に不可欠な要素として組み込まれているのかを教えてください。投資家保護の観点からも、投資家サイドは導出契約の行く末に最大限の特別な注意を払う必要があるのかを確認したいです」というご質問です。

事業収益の計画値は、私どものロイヤルティ、研究協力金、マイルストン、契約一時金の4つを中心に、いくつかの想定のもとに試算して出した値です。ロイヤルティと研究協力金は相対的に安定していますので、従来の延長線上で予測を立てています。

マイルストンについては、想定されるイベントと、契約で定める額に応じて見込みを立てます。しかし、すべてが予定どおりに進むとは限らないため、特定の確率を掛けて金額を減らすことになります。

契約一時金は、交渉の過程で金額も確度も大きく変動する可能性がありますので、相対的な確度・成功確率が最も低くなります。このようなものを掛け算して値を出します。

今期の業績予想には「テゴプラザン」の日本の導出に伴う契約一時金は組み込んでいますが、その数値にはこのような成功確率を掛けています。

また、昨年からの期ずれもあり、いろいろと考慮すべきこともあるため、その確率を調整しています。

当社としては、具体的な見込み額をお伝えすることはありません。仮に現在の候補先企業との交渉が成約に至らずに終わってしまった場合でも、次の候補先企業への導出を図る活動に力を注いでいきます。さらに、その他の収益で埋め合わせを図ることにも取り組んでいきます。

このように影響を低減する措置を施しており、バックアップの手立ても取りますので、「テゴプラザン」の日本の導出が未達に終わった場合でも、直ちに業績予想の修正につながるようなことはないと考えています。

質疑応答:ファイメクスの事業収益の内訳について

「今期のファイメクスの事業収益予想7億6,600万円の中に、新規契約獲得に伴う契約一時金は含まれているのか、あるいは今期のファイメクスの売上予想にはあくまでも既存契約のマイルストンや開発支援金のみを計上しているのかを教えてください。投資家サイドは、ファイメクスの事業収益の内容をどのように認識すればよいかを確認したいです」というご質問です。

今期のファイメクスの事業収益の見通しには、研究協力金、マイルストン、新規契約に伴う契約一時金を含んでいますが、先ほどお伝えしたとおり、成功確率を勘案しての数値となります。

昨年未達に終わった部分をそのままスライドさせたものでないことはご理解いただいているかと思いますが、新規契約の本数が計画数値に届かなかった場合でも、業績予想の修正が直ちに必要になるとは考えていません。

今期は既存契約のマイルストンを達成し、研究協力金を安定的に獲得するとともに、新規契約の獲得も必達であると掲げていますので、この獲得に向けて邁進していきます。

質疑応答:ファイメクス買収の成果が今期に出ない場合について

「ファイメクスの買収の大きな目的の1つは、早期導出による早期収益化であったと理解しています。しかし、現状では数年間にわたり結果が出ていません。仮に本年も成果が出なかった場合、創業社長への責任追及や買収価格の見直しを検討する予定はありますか?」というご質問です。

ファイメクスについては、昨年の期初に掲げた収益目標は未達であり、経常黒字にも届きませんでした。当社グループで連結化した2024年第2四半期から第4四半期の3四半期の成績は、収益目標未達で営業黒字でもありませんでしたが、マイルストン達成に係る一時金2億円と研究協力金、合わせて6億100万円の収益があったことは、先ほどお伝えしたとおりです。

当社グループが掲げる新規モダリティの拡充にも大きく貢献しており、今は結果を出す過程にあると私たちは考えています。

新規契約が取れなかったことは事実ですので、重々反省し、対策を取っていきます。したがって、2025年は新規契約獲得を必達の目標として取り組む必要があると考えています。

ご質問にあった「買収価格の見直しの検討」については、のれんの減損と解釈してお答えします。ファイメクスの企業価値の算定は、中長期的な成長性と収益の可能性に基づいて行われており、短期的な実績や見通しの変更がすぐに減損につながるわけではありません。

減損の必要性に関しては、四半期ごとに会計監査人とも確認しています。現在のところは減損の判定には至っていませんので、今後も減損しないように事業をしっかりと進捗させていきます。もちろんその中で減損が必要という判定に至れば、適宜適切にお伝えします。

「計画未達について、損害賠償や法的責任を問う考えはあるか?」といったご質問については、法的責任が問われるような事態として認識しているものはなく、損害賠償の必要性があるという認識もありません。

質疑応答:武内取締役への責任追及について

「他のバイオ企業と比較して安定した収入源があるにもかかわらず、現在の時価総額まで下落した主な要因は、元代表取締役の武内氏の投資判断や経営上の判断ミスによるものが大きいと考えます。この点について、武内氏への法的責任の追及を検討する予定はありますか? 単なる辞任だけでは到底納得できるものではありません」というご質問です。

株価については、ご心配、ご迷惑をおかけしており、大変申し訳ありません。しかし、武内取締役は株価に対する責任を取るということで、2024年12月末で代表取締役を辞任し、この3月末ですべての役職から退くことを判断されました。投資判断や経営判断にミスがあったために法的責任を追及するというものではないかと思いますし、現時点で武内取締役に法的責任の追及を検討する予定はありません。

また、「投資判断や経営上の判断ミス」というご指摘については、個別の事柄や時間軸、短期か中長期かという捉え方によっても見方は異なるのかもしれないと考えています。

質疑応答:須藤氏を代表取締役とした体制について

「いち薬剤の交渉もまとめられない須藤氏が、会社の立て直しを実現できるとは到底思えません。もし引き続き須藤氏の体制を維持するのであれば、現在交渉中の導出案件およびロイヤルティ管理業務以外のすべての業務を整理し、必要最低限の人員体制とした上で、全収益を株主に還元すべきではないでしょうか? 株主の納得がいく回答をお願いします」というご質問です。

貴重なご意見をありがとうございます。私、須藤の能力不足についてご懸念のことと思います。ご心配をおかけして誠に申し訳ありません。武内前代表取締役の辞任の申し出を受け、当社の指名報酬委員会で審議を行い、新代表取締役として選任を受けました。

この負託に応え、力不足ではあるかと思いますが、企業価値と株主価値の向上に向けて粉骨砕身、努力することが私の使命であると考えています。至らぬ部分が数多くありますので、引き続きみなさまのご指導とご鞭撻を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

その上で、「現在交渉中の導出案件およびロイヤルティ管理業務以外のすべてを整理した上で、全収益を株主に還元すべき」というご意見ですが、これは当社が成長を諦めて会社を清算する方向に動くことを意味しますので、ご提案者以外の株主のみなさまの利益を毀損する恐れも強くあります。そのような事業モデルの変更は、現段階では考えていません。

質疑応答:「テゴプラザン」におけるマイルストンについて

「御社に入る米国の『テゴプラザン』の開発マイルストンはない、または少ないという認識でしたが、承認マイルストンや売上高に応じた販売マイルストンはありますか? ある場合は、どのくらいの金額なのかを教えてください」というご質問です。

「テゴプラザン」の米国を含む導出契約は、先ほど「今年に動きが出てくる」とお話ししました。契約において進捗に伴うマイルストンは設定されていますが、具体的な時期や金額については契約上の秘密情報に当たりますので、非開示とします。何卒ご容赦ください。

質疑応答:借入余力の減少について

「決算説明資料の『資金の状況と配分』のスライドで、今回の借入余力が前回より大きく減っています。この数字の見方がわからないため、これは問題があるのか否かを教えてください。『Yahoo!ファイナンス掲示板』で、『株価を下げる目的の相場操縦で、増資が来る』と連投している方がいるため、増資が来ないか心配です」というご質問です。

先ほどのご説明と重なる部分がありますが、ご容赦ください。2024年2月14日時点では、シンジケートローンの執行前でしたので、その関係で借入余力が大きくなっています。そのため、大幅に減ったように感じるのかと思います。

コミットメントラインの契約の中には終了したものもあります。その部分の枠が減っていますが、現在の当社の状況において、コミットメントライン7億円の枠が問題であるという認識はありません。

掲示板等において「運転資金が足りないため、増資が来る」と主張している方がいるようですが、直接的にそのような状態にはないと考えています。投稿者の意図は推し量りかねます。

しかし、なんらかの取引に関与しつつ、株価を下げる相場操縦を企図しているとすれば、これは不正取引となり得る話です。当社も状況には注視していきます。

なお、増資については、中長期で安定株主を獲得し、事業を健全に進捗させるためには必要な資金を効果的に調達して、事業の成長性を高めることは特に創薬ベンチャーにとって重要なことです。選択肢としては常に検討項目として挙げられています。

ただし、現段階で決定したものはありません。当社としては、ファイナンスを行う際には大きな成長を描いていきたいと考えています。

質疑応答:選択的ナトリウムチャネル遮断薬の開発状況について

「マルホ社との契約が終了した選択的ナトリウムチャネル遮断薬は、結果が良くなかったため契約を解消したのでしょうか? 他社への導出の可能性は、どのくらいの確度で考えていますか?」というご質問です。

マルホ社から返還された選択的ナトリウムチャネル遮断薬の開発状況は、契約上の秘密情報に該当し、マルホ社が公表していませんので、当社からのコメントは差し控えます。何卒ご容赦ください。

当社は本化合物の事業化を進めるために、返還されて継承した権利、情報、製造物などのマテリアルを用いて、新たなパートナーを獲得することを目指した活動にも取り組んでいきます。

質疑応答:グレリン受容体作動薬の導出候補先について

「グレリン受容体作動薬の導出候補先は、日本企業と海外企業のどちらですか?」というご質問です。

恐れ入りますが、グレリン受容体作動薬の導出活動の詳細については回答を差し控えます。ただし、日本企業、海外企業ともに、可能性を検討・追求していきます。

質疑応答:モレキュラーグルーについて

「米国のNeomorph社は、モレキュラーグルー(molecular glue)関係で、1年足らずでNovo Nordisk社、Biogen社、AbbVie社と大型契約を行っていますが、ファイメクスはモレキュラーグルーに展開できる見込みはありますか? できる場合は何年以内を目標にしていますか?」というご質問です。

TPDに関連する技術の一分野であるモレキュラーグルーという分子糊(のり)について、「そのような注目されている技術にファイメクスは適用できるか?」といったご質問かと思います。

Neomorph社には友人が勤務していますが、すばらしい成果が出ていると思います。我々のグループでも、モレキュラーグルーへの展開可能性は有用な手段であるとして検討しています。現在は研究段階であり、また競争戦略上、どの時期にどの領域でどのような手段で参入するか等の詳細の回答は差し控えます。何卒ご容赦ください。

質疑応答:今期の業績予想について

「業績修正の説明会では『上方修正を積み上げていき、株主の期待に応えたい』とお話ししていたと思いますが、今期の業績予想は保守的と見てよいでしょうか?」というご質問です。

今回更新した中期事業計画は、以前と比べると、前提や成功確率を保守的とした想定に基づくものです。したがって、でき得る限り売上と利益の上積みを図っていくことを考えています。

質疑応答:IRAK-M分解誘導薬の進捗状況について

「IRAK-M分解誘導薬について、導出活動中の進捗や引き合いを教えてください」というご質問です。

こちらも交渉への影響を鑑み、導出活動の詳細に関するコメントは差し控えます。発表できるようになり次第、適宜適切にお知らせしますので、それまでお待ちいただけると幸いです。

質疑応答:ファイメクスの冨成取締役の業務について

「ファイメクスの現代表取締役CEOである冨成氏は、今後、取締役としてどのような業務を行う予定ですか?」というご質問です。

冨成氏はファイメクスの取締役として、自社パイプラインの強化や導出活動に取り組んでいくと理解しています。TPDで先駆的な役割を果たした人物であり、非常に豊富な人脈を持っています。その人脈を活かした事業開発面での貢献も期待するところです。

ファイメクスのフラッグシップ的なパイプラインであるIRAK-M分解誘導薬の開発を進展させることにも熱意を持っていますし、さらに貢献していただきたいと私は考えています。

質疑応答:臨床開発のための資金調達と提携先について

「臨床開発は資金と提携先を得てからとのことですが、提携について具体的に教えてください。また、資金調達はどのような方法で行うことを考えていますか?」というご質問です。

ご説明の中でもいろいろとお伝えしましたが、選択肢の中ではストレートな導出が最も有力であり、自然なのはこちらだと思います。狙っている疾患領域にノウハウを持つパートナーとの提携が重要と考えられます。

また、足元の財務状況からは、事業費用を適切にコントロールする必要性もあります。これらを複合して総合的な判断を行っていき、我々のパイプラインを進めていく上でどのようなかたちが最適かを考えていきます。

質疑応答:ファイメクス買収の成果について

「ファイメクスをグループに迎えておよそ1年が経とうとしていますが、現状での成果は想定と比べてどの程度達成できていますか?」というご質問です。

先ほどのご質問の回答と重なってしまう部分があるかもしれませんが、昨年の業績目標が未達であったこと、および中期の見通しを減額したことは事実です。「前提が甘かったのではないか」というご指摘は真摯に受け止め、今後の改善を図っていきます。

ファイメクスの子会社化により、プラットフォーム技術を獲得することができ、有為な人材を当社グループに加えることもできました。

当社の探索研究のポートフォリオを新規モダリティやがん領域にシフトさせることができたことも、大きな成果だと思います。具体的な数値でコメントするのは難しいですが、定性的な価値は非常に大きいと考えています。

今後はやはり成果物を出していくことが問われてくると思います。みなさまに成果をお示しできるように、事業の運営にしっかりと取り組んでいきます。

質疑応答:日本における「テゴプラザン」の「期ずれ」の表現について

「日本における『テゴプラザン』について、『期ずれ』という表現は間違っていると思います。契約成立が確認できればその表現でもよいと思いますが、現時点ではまだわからないため、ファクトベースから見て誤用だと思います」というご質問です。

貴重なご意見をありがとうございます。おっしゃるとおり、実現しない限りはずれたままですので、期ずれには当てはまらないかと思います。「しっかりと実現せよ」という叱咤激励として受け止めています。

期ずれとして「なんとか今年で収めることができました」と言えるように、全社を挙げて力を注いでいきます。今後ともご支援、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。

質疑応答:「テゴプラザン」を動物薬として開発する可能性について

「『テゴプラザン』を動物薬として開発する計画はありますか? HKイノエン社に導出している権利に動物薬も含まれるのでしょうか?」というご質問です。

HKイノエン社に導出している権利の範囲については、やはり契約上機微に触れる秘密情報ですので、回答は差し控えます。そのような関係もあり、動物薬としての開発計画についても、「ない」とお答えするのも「ある」とお答えするのも秘密情報に関わってくるため、恐れ入りますが、回答は差し控えます。

質疑応答:テムリックの役員変更の有無について

「テムリックの役員には変更はないのでしょうか?」というご質問です。

現段階では発表していませんが、変更が生じる場合には発表します。現在はテムリックの代表取締役を武内取締役が務めていますが、先ほどお伝えしたとおり、グループの職を退くことを判断されていますので、こちらも交代があります。その後の人事については、決まったところでご説明します。

質疑応答:役員における女性の割合について

「役員、監査役に女性がまったくいなくなるのは多様性の観点から心配です。婦人薬分野にもアンメット・メディカル・ニーズは多々あると思いますし、ビジネスチャンスを逃しかねないと思います」というご質問です。

貴重なご意見をありがとうございます。私どもも宇津監査等委員が退かれる部分の新たな候補者は、女性の監査等委員を補充することが望ましいと考え、努力もしましたが、今回は残念ながら実現できませんでした。

来期以降の体制、および当社の人材育成の中でも女性の役員について考えていきますので、今後もこのような意見をお寄せいただければ幸いです。

質疑応答:PSU制度について

「PSU制度についてです。売上高、EBITDAを指標にしていますが、ロイヤルティが半分以上を占めているため、経営陣の評価にならないと思います。また、業績目標が低めに設定されても株主にはわからないと思います。長期株主も納得できるように、公募価格である1,600円を100パーセント指標にして、基準日の株価で案分した支給率にするのはいかがでしょうか? なお、現在の株価は407円ですので25パーセントの評価です」というご質問です。

貴重なご意見をありがとうございます。まず、「ロイヤルティは過去の先人の成したものによるため、現在の経営陣の評価にならない」というご指摘は当たるところもあると思います。

「業績目標が低めに設定されても株主にはわからない」という部分については、そのようなことも加味し、売上高だけでなく、利益指標も加えたものに今回変更しました。

株価についても、ご指摘のように「下がってしまった株価をどうするのか?」ということもあるかと思います。今回、株価指標を大きく厳しいものにしたのは、みなさまのご意見に少しでも応えたいという思いによるものとご理解いただけると幸いです。

質疑応答:資金調達について

「2025年からの研究開発を加速させるために増資を決行しましたが、いまだ行使できていません。取りやめないのでしょうか?」というご質問です。

ご説明の中でもお話ししましたが、まだ執行できる状態になっていない、株価が十分な水準に達していないところで、忸怩たる思いはあります。

しかし、「2025年で影響はまったくないのか?」というと、そのようなことはありません。資金調達ができていたら取り組めた部分は確かにあります。資金調達をなんらかの手段で変えて実現することも、あらゆる方面から選択肢を検討して進めたいと考えています。

質疑応答:須藤社長から株主に伝えたいメッセージについて

「須藤社長から株主に伝えたいメッセージはありますか?」というご質問です。

12月13日の説明会でお話しした内容と本質的には変わりません。当社グループの成長性を最大限拡大し、それにより株主のみなさまの期待に応えることです。そして、我々は一定の期間活動してきた創薬ベンチャーとして、日本のバイオ企業、バイオ業界の中でも果たすべき役割は多いと思います。私は創業の時から当社におり、ラクオリア創薬には格別な思いもあります。

そのような中で新しいモダリティに挑戦する、そしてなによりもアンメット・メディカル・ニーズで苦しまれ、満たされない患者さんの役に立つべく、一刻も早く新たな治療薬をお届けしたいです。そのためには苦難があると思いますし、事業運営はなまやさしいものではありません。

しかしながら、今後ともみなさまのご支援、ご指導、ご鞭撻を仰ぎたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

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