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【QAあり】アイビス、売上高は前年比17.3%増、営業利益は168.4%増と好調 「ibisPaint」新機能が寄与し、サブスク売上は2倍超へ

欧米のアクティブユーザー数 5年連続No.1

神谷栄治氏(以下、神谷):株式会社アイビス代表取締役社長の神谷です。2024年12月期決算についてご説明します。

当社の主力商品である「ibisPaint」は、日本企業発のアプリとして、欧米のアクティブユーザー数5年連続1位、全世界でも5年連続トップ3圏内にランクインしています。

栄枯盛衰が激しい世界のアプリ市場の中で当社がMade in Japanを牽引

2024年のアクティブユーザー数の推移です。スライド左側のグラフが欧米で、5年連続1位を獲得しています。全世界では現在3位となっています。世界中で「ibisPaint」が使われている状況です。

本資料のサマリ

本説明会のサマリです。2024年12月期の実績として、営業利益以下の利益額と利益率がすべて2倍以上に増加し、当期純利益は修正の計画を超えました。モバイルセグメントはサブスク売上と契約数が倍増しました。一方でアプリ広告売上は、一部施策での予期せぬ不具合等が影響し縮小しました。こちらの詳細は後ほどご説明します。

前期からオーガニック成長への転換を目指し、広告宣伝費を減らすとご報告してきましたが、概ね奏功していると実感しています。ソリューションセグメントは、高収益案件の受注に注力しつつも、技術者との案件ミスマッチが顕在化しています。

2025年12月期の計画については、各種利益率を維持しながら、両セグメントともに増収増益を確保していきます。サブスク売上は1.6倍となる見通しです。広告売上は厳しい予想となっています。ソリューションセグメントは、質重視の人材採用へシフトして、売上総利益率を高めていきます。

配当性向は、20パーセントから25パーセントとしています。2025年度の配当は50円を予定しています。事前にご報告していましたが、今年1月末にテクノスピーチを完全子会社化しました。

成長可能性に関する事項として、モバイルセグメント・ソリューションセグメント・AI歌声合成セグメントをすべてグロースさせていきたいと思います。メインとして「ibisPaint」のサブスクリプションを伸ばしていき、2年後には広告売上より課金売上が大きい状態にしていきたいと考えています。

サブスク予備軍200万人に対して、売上イメージの60億円に近づけるように課金推進を強力に進めていきたいと思っています。高機能戦略とプロマーケットの開拓として、1年以内に待望のMac版のリリースを予定しています。ソリューションセグメントは、引き続き安定成長を目指し、AI歌声合成セグメントは中長期的な成長の礎を築きたいと思っています。

全社 FY2024/12 決算ハイライト

2024年12月期の決算です。2023年12月期実績である売上高40億8,000万円に対し、2024年12月は46億2,000万円、前年比17.3パーセント増となりました。前期第2四半期で上方修正した計画に対してマイナス3.5ポイントと未達になりました。

営業利益は2023年12月期の4億3,000万円に対して、2024年12月期は11億5,000万円、前年比168.4パーセント増となり、約2.7倍となっています。営業利益率も10.6パーセントから25.0パーセントと、前年比128.7パーセント増となり、約2.3倍となりました。

「ibisPaint」シリーズサブスク売上は3億3,000万円から6億8,000万円となり、前年比116.7パーセント増の約2.1倍となっています。

全社 FY2024/12 決算業績推移

スライド左側のグラフは全社売上高の推移です。2024年12月期は46億2,500万円です。スライド右側のグラフは各種利益となっており、経常利益は前年比173.4パーセント増と、約2.7倍となっています。当期純利益も前年比190.8パーセント増と、3倍弱増加しています。営業利益率は25パーセントとなっています。

セグメント別 FY2024/12 決算業績推移

スライド左側のグラフは、モバイルセグメントとソリューションセグメントの売上高推移です。モバイルセグメントは前年比6.3パーセント増、ソリューションセグメントは前年比23.5パーセント増となっています。

スライド右側のグラフは、セグメント別の利益推移です。モバイルセグメントは前年比76.7パーセント増、ソリューションセグメントは前年比204.2パーセント増となりました。一昨年のソリューションセグメントは、アクセルを踏むため、採用投資を進めていました。昨年はそれが一段落したため、利益が2年前より増えている状況です。

モバイルセグメント FY2024/12 決算業績推移

モバイルセグメントの売上の内訳です。アプリ広告売上が前年比41.2パーセント減となりました。一番高かった2023年12月期第4四半期の5億9,600万円から3億5,000万円まで下がっています。サブスクリプション売上は前年比94.9パーセント増と、約2倍になっています。

アプリ広告については、一部の予期せぬ不具合等が影響しています。いろいろな要因が考えられますが、不具合があったことも事実です。内容の詳細としては、広告リクエストが余分に送られるという問題がありました。それが原因というのは仮説の1つであり、ほかにも広告市況やモバイルアプリの中の広告市況、またメインの媒体であるGoogleのAIのアルゴリズムが変わったなど、いろいろな要因が考えられ、なかなか確証が取れた原因を出しにくい状況です。

広告の1人当たりの売上単価は、毎年景気や広告市況の波も含めて、上がったり下がったりと波がある状況です。そのため、上場のタイミングの時からお伝えしているとおり、サブスクリプションで安定したかたちに持っていきたいと考えています。

モバイルセグメントの利益です。スライドでオレンジの折れ線グラフで示した売上総利益率が下がってきているのは、開発人員の増員が要因です。

ソリューションセグメント FY2024/12 決算業績推移

ソリューションセグメント売上の内訳です。IT技術者派遣が前年比17.0パーセント増、受託開発が前年比6.6パーセント減となっています。セグメント利益については、2023年度にアクセルを踏むため、採用投資を進めていましたが、それが一段落して2年前よりも高くなっています。売上総利益率も回復している状況です。

全社 FY2024/12 主な費用項目

広告宣伝費の推移です。1年前に、広告宣伝費を半減すると発表したとおり、2024年度は減少してきています。開発人材投資については、ソリューションセグメントにおいて、エンジニア採用の案件ミスマッチがありました。

2023年度にアクセルを思い切り踏んで、そこから案件ミスマッチがおき、採用よりも退職のほうが多いという状況で戻りが発生しています。モバイルセグメントの人員については、順調に増加している状況です。

全社 FY2024/12 営業利益増減分析

スライドは、利益貢献のグラフです。2023年度の営業利益4億3,400万円から、売上高増加が5億3,800万円、広告宣伝費減少が5億7,600万円です。一方で、人件費増加や販売手数料増加等があり、2024年度は11億5,500万円の営業利益となりました。

全社 FY2024/12 事業KPI

事業KPIです。モバイルセグメントのKPIであるDAU(日次アクティブユーザー)については、前年比0.9パーセント増と、ほぼ水平飛行となっています。以前の年から見ても、水平飛行が続いています。MAU(月間アクティブユーザー)についても、概ね水平となっています。

サブスクリプション契約数については、前期比94.4パーセント増と急成長中です。ソリューションセグメントのITエンジニア数は、前期比プラスマイナスゼロとなっており、上がって下がっている状況です。案件ミスマッチ等によって、退職のほうが採用より多い状況になっています。

2024年トピックス

2024年度のトピックスとして「ibisPaint」の新機能についてご紹介します。「ベクターレイヤー機能」がメジャーアップデートでリリースされました。こちらは画質が落ちないため、プロ向けのペイントソフトについている機能です。主にサブスク向けの機能になっており、無料版アプリでお試しできるという機能で、非常に好評でした。

「AI学習妨害機能」は、自分が書いた絵の作風をAIに模倣されて困っているという方がおり、その対策用の機能です。この機能自体もAIを使っています。こちらもサブスク専用の機能ですが、大変好評でサブスクの増加に寄与しています。

FY2025/12計画 ハイライト

今年度の計画です。2024年12月期の売上高46億2,000万円に対し、2025年12月期の計画は売上高49億円で前年比6.1パーセント増としています。営業利益は11億5,000万円に対して12億5,000万円で前年比8.2パーセント増、営業利益率は25.0パーセントに対して25.5パーセントで前年比2.0パーセント増となっています。

「ibisPaint」シリーズサブスクリプション売上は、6億8,000万円に対して11億1,000万円で前年比62.2パーセント増の計画です。

FY2025/12計画 全社業績推移

スライドは、売上高推移と各種利益推移のグラフです。それぞれ一番右の棒グラフが今年度の計画となっています。昨年までのような倍増や3倍増ではなく、グラフに示した程度の利益率を想定しています。

FY2025/12計画 セグメント別業績推移

セグメント別の売上高推移です。モバイルセグメントは前年比7.1パーセント増、ソリューションセグメントは前年比4.7パーセント増となっています。

セグメント利益については、モバイルセグメントは前年比7.8パーセント増、ソリューションセグメントは前年比プラス18.5パーセント増としています。

FY2025/12計画 セグメント区分別売上高

セグメント別の売上の内訳です。モバイルセグメントは、アプリ広告売上が前年比11.8パーセント減となっており、いまだ広告市況等の見通しが立たない状況です。サブスクリプションの売上は前年比62.2パーセント増となります。

ソリューションセグメントは、IT技術者派遣が前年比2.4パーセント減、受託開発が前期比24.7パーセント増と、徐々に受託開発の比率を上げてきています。

FY2025/12計画 セグメント別費用内訳

セグメント別の費用内訳です。モバイルセグメントの広告宣伝費は前年比17.6パーセント減という計画です。エンジニア採用の開発人材投資については、前年比26.9パーセント増と考えています。ソリューションセグメントについては、開発人材投資が前年比4.6パーセント増となります。

FY2025/12計画 事業KPIの推移

事業KPIの計画です。モバイルセグメントのDAUは前年とほぼ変わらず、589万7,000人としています。サブスクリプション契約数は前年比47.4パーセント増の34万2,000件です。ソリューションセグメントのITエンジニア数については、退職の数が採用より多くなると見込んでおり、微減と考えています。

FY2025/12計画 株主還元

株主還元です。配当性向は、前年度より5パーセント上げています。配当金については、前年度の1株当たり40円から、今年度は1株当たり50円と、前年比25パーセント増を計画しています。

MISSION ・ VISION ・ VALUE -1

事業計画及び成長可能性に関する事項についてご説明します。MISSIONとして「モバイル無双で世界中に"ワォ!"を創り続ける」を掲げています。VISIONは「Boost Japanese Tech to the World アイビスは世界でのMade in Japanのプレゼンスを上げていく」として、世界中に知名度があるソフトウェアを作りたいと思っています。

主な沿革と代表略歴

私の略歴です。名古屋市出身で、小学校から中学校、高校、大学と名古屋市で過ごしてきました。1973年生まれの51歳です。

事業概要

事業概要です。モバイル事業です。昨年の売上構成比では56.4パーセントを占めており、「ibisPaint」を主力とした部署になり、高成長事業と考えています。

ソリューション事業は、受託開発とIT技術者派遣の部署となります。昨年の売上構成比では43.6パーセントとなっており、安定成長事業と考えています。

今年1月末にM&Aにより合併したAI歌声合成事業が新たに加わりました。AIで歌を歌ってくれるアプリを開発しており、なかなかおもしろい製品だと思っています。

売上高推移

スライド左側のグラフは、当社の24年間の売上高推移です。緑色がベースとなるソリューション事業、オレンジ色が「ibisPaint」を中心とするモバイル事業の売上です。ここ4年ぐらいでモバイル事業が急増している状況です。

昨年末の売上高46億2,000万円に、新規事業のテクノスピーチや今後のM&Aなども積み上げていきたいと思っています。

モバイルペイントアプリ「ibisPaint」とは【モバイル事業】

「ibisPaint」の特徴についてご説明します。「ibisPaint」は、基本無料で使い放題のアプリです。PC並みの高機能をモバイル上で使えるようにしたいという思いから、開発が始まっています。指だけで非常にきれいな絵を描くユーザーもたくさんいます。2022年には、プロ向けにWindows版もリリースしています。

ibisPaintのAI戦略【モバイル事業部】

AI戦略です。「ibisPaint」のAI機能については、2017年頃から作っています。主なものは、画質を上げる「AI超解像度機能」や「AI背景透過機能」です。昨年には、「AI学習妨害機能」をリリースしました。加えて「AI水彩フィルター機能」など、さまざまなAIを使った技術を実用化させてきています。現在も、AIを使った新機能を研究開発中です。

ibisPaintの特徴【モバイル事業部】

「ibisPaint」の特徴です。基本機能は無料となっています。海外ユーザー数が多く、投稿サイトのコミュニティもあります。Z世代、特に中高生に非常に人気のあるアプリとなっています。

売上構成【モバイル事業部】

ビジネスモデルとしては、アプリ広告、サブスクリプション、売切型アプリというかたちで売上があります。現状は、アプリ広告売上が63.6パーセントとウエートが大きいですが、サブスクリプションの増加に注力しています。このペースで増えていくと、2年以内にはサブスク売上を含むアプリ課金売上がアプリ広告売上を超えると見込んでいます。

収益モデル【モバイル事業部】

現在、フリーミアムモデルという無料版のアクティブユーザーが3,988万人となっており、日本でトップクラスのユーザー数です。その一部のユーザーに売切型アプリを購入していただいており、累計で111万件となっています。3,988万人のうちの一部がサブスクを契約しており、サブスクリプション契約者数は23万2,000人となっています。

ibisPaint各種データ推移【モバイル事業部】

スライド左側は、シリーズ累計ダウンロード数のグラフです。ここ4年ぐらいでダウンロード数が急増しており、現在4億4,000万ダウンロードになります。

スライド右側のグラフの薄い緑はMAUです。こちらは4年ぐらい前から鈍化しており、ここが飽和かと思っています。しかしながら、緩やかに直線的に右肩上がりで少し伸びていることがわかると思います。

薄い緑の折れ線グラフは、売切型アプリ販売数です。右肩下がりになってきていますが、サブスクへの誘導を強化しているため、減少している状況です。濃い緑の折れ線グラフは、サブスク契約数です。時間が経つほど、契約数の伸びが加速していることがわかるかと思います。

Z世代からの高い支持【モバイル事業部】

「ibisPaint」のユーザー属性です。25歳未満が44.6パーセント、女性が73.1パーセントとなっています。25歳未満の直接競合ペイントアプリを含めたユーザーシェアでは、「ibisPaint」が90.5パーセントを占めています。25歳未満という制限を外した全世界ユーザーシェアでは、「ibisPaint」が86.5パーセントとなっています。

Z世代や中高生に数多く使っていただいているため、他のアプリにスイッチすることなく、大人になってからも課金してくれるユーザーも多々いらっしゃいます。

グローバル展開①【モバイル事業】

グローバル展開についてご説明します。海外比率について、累計ダウンロード数は93.7パーセント、売上高では73.9パーセントとなっています。スライド右側に国別の累計ダウンロード数を記載していますが、ご覧のとおり世界中でダウンロードされています。

売上構成と特長【ソリューション事業】

ソリューション事業の売上構成は、IT技術者派遣が73.8パーセント、受託開発が26.2パーセントとなっています。こちらは受託開発の比率を上げるように努力しているところです。

テクノスピーチ会社概要【AI歌声合成事業】

新しいチャレンジとして予告していたM&Aにつきまして、1月末に株式会社テクノスピーチをM&Aしました。テクノスピーチは、名古屋工業大学の大浦氏と徳田氏を中心に設立されました。徳田氏は、AIの音声技術で論文を数多く出されている権威ある方で、紫綬褒章も受章されています。

売上構成と特長【AI歌声合成事業】

テクノスピーチの事業についてご説明します。歌を歌ってくれるアプリ「VoiSona」が主力商品で、売上の41.2パーセントを占めています。受託開発は58.8パーセントという内訳になっています。

受託開発とは、ソフトウェアのシステムを受託で開発するわけではありません。基本的には「このような歌声の音声を作ってほしい」「音声を学習してほしい」というような学習の部分の開発を行います。一部で組込向けの開発もありますが、多くは音声に関連する売上になります。

「ibisPaint」のポジショニング【モバイル事業】

スライドの図は「ibisPaint」のポジショニングを示したものです。横軸はプロのイラストレーター比率で、右側が高く、左側が低くなります。縦軸はアプリの価格で上段が無料、下段が有料となっています。競合のアプリとして「Sアプリ」「Dアプリ」「Aアプリ」「Cアプリ」「Pアプリ」を挙げています。

「ibisPaint」は、図の左上となる「無料でプロのユーザーが少ない」領域でリリースしました。その後、徐々に高機能化し、現在有料のほうを強力に進めています。そのため、だんだん右下の競合の領域に進出していっている状況になります。

成長戦略概要(中長期の売上拡大イメージ)

成長戦略概要です。スライドのグラフは、各事業の売上高拡大イメージを示しています。緑色がソリューション事業です。薄いオレンジ色がモバイル事業の無料広告モデルで、ユーザーを増やすフェーズになります。濃いオレンジ色は課金売上です。

アプリ広告売上については、年によって波はあるものの、今後も水平飛行で進むと見込んでいます。2年以内には、アプリ広告売上よりアプリ課金売上のほうが大きい状況に持っていけると考えています。

新しいチャレンジとして、AI歌声合成事業を積み上げていきたいと思っています。全社売上としては、CAGR10パーセント以上を目指していきます。

成長の展望①【モバイル事業/収益基盤の拡大】

モバイル事業の成長の展望です。サブスク予備軍200万人、売上イメージ60億円として、MAU3,988万人がいます。その中で、サブスク契約者と同じぐらいの月間利用時間があるユーザーをヘビーユーザーと定義し、そのユーザーが635万人となっています。全員は課金しないと思いますので、3分の1以下の200万人の方々に、サブスクに契約してもらえるよう進めていきたいと思っています。

スライドに記載した課金率5パーセントとは、MAUに対する200万人は5パーセントに値するということです。サブスク契約数23万2,000人とは、6億8,000万円の売上であり、0.58パーセントの課金率です。スライド右側の課金率のグラフが示すとおり、課金率は順調に伸ばしている最中です。

右側のグラフ下部の緑色線は、アプリ広告の売上単価です。サブスク売上単価とは14倍ぐらいの差がありますので、収益性も上がるということになります。

成長の展望②【モバイル事業/収益基盤の拡大】

プロマーケットの開拓として、Mac版のリリースがあります。Windows版、Mac版、iPhone版、Android版の全てが揃うことで、ブランド力も上がっていくと思っています。

スライドのグラフは、Windows版の売上推移です。緑色がWindows版の売切版アプリの売上です。昨年サブスクを開始し、オレンジの折れ線グラフが示すように順調に伸びています。一方で、売切版アプリの売上が減っていますが、順調にサブスクを伸ばしていくことで積み上がっていくと考えています。

成長の展望③【モバイル事業/収益基盤の拡大】

「ibisPaint」は、日本のアニメ調の絵を描く人が非常に多いということもあり、日本のオタク文化を世界に発信しているという面もあります。AI歌声合成事業も、オタク文化に寄与すると考えています。

例えば、ヤマハの「VOCALOID」や、クリプトン・フューチャー・メディアの「初音ミク」などは、ニコニコ動画上で作詞する人や作曲する人、絵を描く人、動画を作る人などいろいろな人が集まって作品が出来上がって、そこからメジャーデビューするという文化があります。

このように、アイビスの中で絵を描いたり、動画を作ったり、アニメを作ったりもするということがおもしろいと思っています。AI歌声合成事業の「VoiSona」自体も世界に展開できればと考えています。

成長の展望④【ソリューション事業/売上高の拡大】

ソリューション事業部については、採用の継続とあわせて、M&Aの検討を調査している段階です。

成長の展望⑤【AI歌声合成事業/成長ブースト】

「VoiSona」については、「ibisPaint」で培ったノウハウであるグローバルマーケティングや事業計画力を活かしていきます。現在、アーリーアダプター向けPCソフトウェアが主力になっていますが、日本のオタク文化を世界に届けるクリエイター層に育てていきます。

みなさま「初音ミク」をご存じかと思いますが、やはりキャラクターが有名になります。「VoiSona」用のキャラクターもたくさんありますので、それによって世界中にこの文化を広げていきたいと思っています。

質疑応答:「ibisPaint」の不具合による損失と今後について

司会者:「『ibisPaint』のアプリ広告売上減収の要因となった予期せぬ不具合について、詳しく教えてください。損失的にはどれくらいになったのでしょうか? また、これは今後も起こり得ることなのでしょうか? どのくらいの確率で起こり得るのかも含めて教えてください」というご質問です。

神谷:先ほどもお話ししましたが、実際のところ原因というのが明確にわかるものではありません。不具合があったことは事実であり、仮説としてはそれも一理あるという状況です。その他にも、モバイルアプリ広告市況の影響や、GoogleメディアのAIのアルゴリズムの変更等の可能性もあります。

現実的に、これらを分解して原因を得るというのは、なかなか困難となっています。そのため、不具合による損失額がどのくらいになるかは厳密にはわかりません。不具合が起こり得るかについては、もちろん再発防止策を実施し、発生しないように努めていきます。

質疑応答:アプリ広告売上減収の理由と対策について

司会者:「アプリ広告売上減収の原因となった不具合は修正されたとのことですが、第4四半期の広告売上は回復していないようです。回復していない理由と、回復に向けた具体的な施策を教えてください」というご質問です。

神谷:回復していない理由は仮説の1つであり、原因の一部ではないかと思っています。したがって、広告市況や、GoogleのメディアとしてのAIのアルゴリズムなどの可能性が大きいと感じています。

施策としては、市況はどうにもならないのですが、「これがAIのアルゴリズムなのではないか」といった、仮説はよく立てています。過去のグラフの動きと、過去に我々が行っている非常に細かい説明がつかない施策の間に、相関があるのかないのかという分析を行っています。

過去の数字はないのですが、「このような施策はAIに影響があるだろうか、ないだろうか」ということを考えながら、小さく試験を行うかたちで改善できればと思っています。

質疑応答:「ibisPaint」のサブスク売上のみの営業利益率について

司会者:「『ibisPaint』のサブスク売上のみで見ると、営業利益率はどの程度になるのでしょうか?」というご質問です。

神谷:「ibisPaint」というアプリとして工数を投入し、原価を投入し、実現化にコストがかかり、販管費がかかり、広告費がかかっています。サブスクのための開発、販管費、広告費というかたちで分解してコスト計上するのが難しいため、サブスク単体の営業利益率を出すのは困難ということになります。

少し回答とはずれてしまいますが、ユーザー1人当たりの月額の広告売上とサブスクとを比べると、14倍以上の差がありますので、実際には広告からサブスクに移行することで、利益率はかなり上がっていくはずです。

質疑応答:「ibisPaint」のサブスク契約料金の値上げについて

司会者:「世界的な物価高及び為替で円安が進む中、『ibisPaint』のサブスク契約の料金は安すぎるように思うのですが、値上げはしないのでしょうか? 値上げは市場の占有率を高めてからというお考えもあるかと思いますが、市場をどの程度占有できたら値上げをするなどといった判断基準はあるのでしょうか?」というご質問です。

神谷:私個人も課金しているサブスクがありますが、月額800円〜月額1,000円以上のものも契約しています。それに比べて「ibisPaint」は安いと個人的には思っています。実際に価格を決める際は、非常に細かい調整や調査をしたり、テストマーケティングをしたりしていますが、実際のところ一番大きいのは競合の値段です。

当社がメインとしている競合のアプリの性能や機能量、ブランド力と比較して、少なくとも機能的には勝てていないところがあります。「機能が少ないのに、アイビスのほうが高いのか」という状態では、厳しいというところがあります。

競合が値段を1,000円にすることになれば実行しやすいのですが、現時点で競合より高くするのは、機能量などから見てもかなり厳しいと考えています。

質疑応答:ロシアからの「ibisPaint」の収益について

司会者:「もしもロシアとの国交が正常化され、ロシアから『ibisPaint』の収益が入ってくるようになった場合、どの程度の収益の増加が予想されますか?」というご質問です。

神谷:ウクライナとの戦争が起きた時、ロシアの売上が止まりました。基本的には広告売上がメインの国で、「ibisPaint」の売上全体の2.5パーセントぐらいだったと思います。復活したとしても、非常に大きくプラスになるほどではないと思っています。

質疑応答:テクノスピーチの音声技術の優れている点と収益化について

司会者:「先日、M&Aで買収されたテクノスピーチの音声技術は、どのような点で優れているのか具体的に教えてください。また、技術が優れていても、ビジネスとしては収益化できていない現状かと思います。御社が買収したことにより、今後どのように収益化していくつもりなのか、お考えをお聞かせください」というご質問です。

神谷:テクノスピーチの徳田先生は名工大の教授で、音声合成の世界で権威のある方です。音声合成の世界で有名な方をあげた際に、トップ3に入るような方です。名工大とテクノスピーチで、品質を上げる共同研究を行っています。初めて聴く方が「本当に人が歌っているように聴こえる」と驚くことがよくあります。

現状、ビジネス的には収益化できていないというのはおっしゃるとおりで、去年は赤字でした。今後の収益化の1つは、世界展開です。世界中にアプリを届け、国産のアプリが世界中で使われてほしいと思っています。

「ibisPaint」のマーケティング立ち上げでは、私が最初1人でYouTubeなどいろいろな広告のシステムを使いながら、2年ぐらい研究して勝ちパターンを見つけ、急増したという成功体験があります。そのノウハウを適用したいと思っています。

「ibisPaint」は19ヶ国語対応していますが、多ヶ国語対応も行っていきたいと思っています。「ibisPaint」のYouTubeチャンネルは290万チャンネル登録者がいますので、公式チャンネル同士でコラボ動画を上げることなどによって、認知を強力に上げることができると思っています。

ゆくゆくは、アプリ間の連携で、アニメーション機能や音の取り込みなどを、相互に利用できるようにしていければ一番よいと思っています。

質疑応答:テクノスピーチのAI音声合成について

司会者:「テクノスピーチのAI音声合成では、どのような学習データを使っていますか? 以前、『ibisPaint』で画像生成AIを導入して炎上していたので少し心配しています」というご質問です。

神谷:学習データは、許可された音声のみを使って学習していますので、ご安心ください。

質疑応答:2025年12月期の業績予想及び為替の影響について

司会者:「2025年12月期の業績予想はかなり保守的に感じます。『ibisPaint』のアプリ広告売上の減少を保守的に見積もっているのでしょうか? また、通期の為替予想を1ドル140円程度と見ていますが、想定より円安に振れた場合、業績はどの程度変わってくるのか教えてください」というご質問です。

神谷:保守的とは思っていますが、アプリ広告売上がどこまで回復するか、なかなか見通ししづらいところです。しかし、さすがにこれ以上下がることはないとは思っています。為替について、円安に振れた場合は、1円当たり1,400万円の年商の売上増につながります。

質疑応答:株主優待の導入について

司会者:「株価を上昇させるため、株主還元策の強化や株主優待などを導入するお考えはないでしょうか? 例えば『ibisPaint』のサブスク利用券1年分などを株主優待とするのはいかがでしょうか?」というご質問です。

神谷:株主優待について、現状では具体的に取締役会で話し合っているということはありません。「ibisPaint」のサブスク利用券の場合、開発費用と時間、保守費用がかかるという課題が出てきます。

エンジニアへのタスク割り当てでは「少しでも無駄なことを削りたい」「これを行いたいけれども、これは削ろう」「この機能があればきっと喜んでくれる」という取捨選択にエネルギーをかけています。そのため、システム開発を株主優待のために行うのはなかなか難しいと思っています。

配当を上げるなど、他の株主還元方法もありますので、そのようなかたちで進めたほうがパフォーマンスがよいと思っています。

質疑応答:潜在株式数について

司会者:「株式の価値を希薄化させる効果がある潜在株式の数を知りたいので、2024年12月末時点と現時点における潜在株式数を教えてください」というご質問です。

神谷:2024年12月末も現時点も、同じ31万5,582株となります。

質疑応答:決算説明会開催時期について

司会者:「決算発表から決算説明会までの期間を早めることはできますか?」というご質問です。

神谷:決算発表から決算説明会までには、多くのチェック事項があり、期間の短縮はなかなか大変なところです。しかし、善処したい部分ですので、今後検討したいと思います。

質疑応答:アプリ広告売上とサブスク売上の関係について

司会者:「今期計画は、アプリ広告が減収計画ですが、サブスクが増えた分だけアプリ広告が減るという関係になっているのでしょうか?」というご質問です。

神谷:まったく関係ありません。アプリ課金ユーザーが0.58パーセントで、その分の23万人は広告を見なくはなっています。しかし、本当に微々たるものであり、広告売上が減る要因にはまったくなっていないです。

質疑応答:テクノスピーチの今期の業績影響について

司会者:「テクノスピーチの今期の業績影響はどれぐらいでしょうか。広告などの先行投資を行う予定はありますでしょうか?」というご質問です。

神谷:業績への影響については、連結決算の体制を構築し始めたところで、テクノスピーチに関しては精査中です。私はテクノスピーチの社外取締役になっており、経営陣とよくミーティングを行っています。もう少しヒアリングを続けて、どのタイミングでどのぐらいの広告投資を行ったらよいのかを検討したいと思います。

例えば、穴が空いたバケツに水を入れても意味がないと言いますが、当然きちんと体制が整っているかどうかを見計らってから決めたいと思っていますので、現時点で一気にお金を投入して広告を増やすことはありません。

質疑応答:AI音声合成機能の「ibisPaint」への搭載について

司会者:「今後、AI音声合成の機能を『ibisPaint』に搭載する予定なのでしょうか?」というご質問です。

神谷:AI音声合成機能を足せば、ナレーションを作ってくれる、プレゼンテーションの声をしゃべってくれるといった、いろいろな機能が考えられると思います。機能実装には、どちらかがデータをエクスポートして、どちらかがデータをインポートして使うかたちになると思います。

そのようなアプリ間連携は非常に行いたいのですが、両方の開発体制やタイミングもあるため、まだ時間がかかると思っています。ご質問いただいた「ibisPaint」にしゃべらせるというのは、おもしろいアイデアの1つかと思います。

質疑応答:サブスク売上が計画未達となった要因について

司会者:「業績実績について、サブスク売上が計画未達となった要因は何でしょうか?」というご質問です。

神谷:1年前に発表した予想をかなり上回りましたが、第2四半期で上方修正を出した時、強気にいきすぎた面があります。加えて、Windows版のサブスクが始まり、実績結果として少ない過去の数字を使ったこともあり、予測にブレが生じました。過去のデータのプロットが多いほど精度が上がるのですが、今回はデータが少ないにもかかわらず、強気にいきすぎたというところです。

質疑応答:AI歌声合成事業の収益成長の見通しについて

司会者:「AI歌声合成事業の収益成長について、どのような見通しをお持ちでしょうか?」というご質問です。

神谷:現状は1億円ぐらいの売上ですので、「ibisPaint」とは49億円ほどの差があります。直近では、急激にインパクトを与えるということではなく、1つのチャレンジだと思っています。「ibisPaint」も軌道に乗るのに5年ほどかかっていますので、即座に会社全体、グループ全体にインパクトを与えることはなく、種まきの段階だと思っています。

質疑応答:テクノスピーチの収益について

質問者:テクノスピーチについておうかがいします。12月26日の開示を見ましたが、今期は赤字でした。2022年7月期など、しっかり利益を出していたタイミングもあるようですが、実力的には黒字を出せる会社だという認識で間違っていないでしょうか? 大手との取引もあるとのことですので、御社が組織的にうまく進めていければ、しっかり価値のある会社になるのか教えてください。

神谷:もう少し売上があればトントンにはなるため、非常に大変なことでもないとは思っています。大手の受託案件として、2年分ぐらいのプロジェクトがあり、それが終わってシュリンクしたのが要因かと思っています。「VoiSona」自体はよい感じで立ち上がってきていますので、プラスマイナスゼロぐらいまでは簡単に持っていけるのではないかと思っています。

質問者:今後の新しいビジネスを考えられての投資ということでしょうか?

神谷:おっしゃるとおりです。

質疑応答:今期のサブスク売上計画について

質問者:肝になるサブスクをどれだけ増やすかですが、昨期はしっかり伸ばされたと思います。今期はそれ以上に伸ばされるということですが、このあたりの蓋然性や、どのように見た上で「このようにできる」と計画を立てているのかを教えてください。

神谷:サブスクは予測が立てやすいのが実情です。グラフの傾向を見ても、けっこうな伸び率を示していますので、精度はそこそこあると思っています。

質疑応答:サブスク売上が増加する蓋然性について

質問者:デイリーアクティブユーザーなどが横ばいの状況の中、もしくは広告費をさらに絞っていく中で、新規で入ってくる方は当然、以前よりは期待できないかと思います。もちろん少しずつ入ってくるとは思うのですが、その中でもサブスクは増える計画になっています。そのあたりは、投資家はどのように見たらよいのでしょうか? 

神谷:日々の口コミが非常に大きいです。例えば、Xでエゴサーチをすると、かなりの勢いで「ibisを使っているよ」「ibisがいいよ」という投稿があります。「どのアプリを使おうかな?」という質問があると「ibisを使っているよ」といった投稿がされています。

中高生の間では、学校に行ったら「何のアプリを使っている?」というような会話が発生するため、実際に広告がなくてもアクティブユーザーは減っていません。よって、新規のユーザー獲得については、口コミのインパクトが大きいと見ています。

無料で使っている人に対して「課金しませんか? サブスクに入るとこのような機能が増えますよ、このような表現ができますよ、こんなに楽しいですよ」という課金誘導と呼んでいるアプリ内広告的な誘導があります。自社広告的な誘導を創意工夫することによって、いろいろなクリエイティブを行ったり、いろいろな見せ方をしたりすることで改善する方法があります。

新機能が出ると非常に話題になり、「神アップデートが来た!」など、SNSで呟かれます。新機能が出た時の盛り上がりで、「その機能が欲しかった」と課金してくれます。新機能を出したタイミングで、課金数・解約数の差のグラフの上下動を日々追いかけて、こういう施策がうまくいった、うまくいかなかったと判断し、運営を行っています。

質問者:御社の優秀なエンジニアの方が、新機能をいかに開発していけるかという部分に自信を持っていらっしゃるということですね。

神谷:おっしゃるとおりです。

質疑応答:「ibisPaint」を開発しているエンジニアについて

質問者:御社で「ibisPaint」を開発されているエンジニアはどれぐらいの人数で、どのような方を採用されているのでしょうか? エンジニアの採用は難しさがあると思うのですが、そのあたりの課題感はいかがでしょうか?

堀部拓人氏(以下、堀部):株式会社アイビス経営企画室室長の堀部です。3月28日の有価証券報告書に掲載する数字ですが、モバイル事業は技術者を含めて50人前後です。技術者単体の人数は公表していません。

質問者:うまく少数で開発されているということですね。

神谷:採用に関しては、私も隔週で会社説明会を実施しています。学生に向けて「我々の会社はこんなに素晴らしいですよ」「世界中に展開していますよ」というトークを行い、かなり力を入れています。

当然、賢い方がよいというところがあるため、よい学校を出ている学生はもちろんですが、技術力を重視して採用活動に力を入れています。

質疑応答:テクノスピーチの売上大幅減の理由について

司会者:「買収したテクノスピーチの直近売上が大幅減になっていますが、その理由は何でしょうか?  決算期変更以外に大きな原因がありそうです」というご質問です。

神谷:2年ぐらいの大型受託案件が終わったことが、売上が減った原因となっています。

質疑応答:今期の前提為替レート及び為替感応度について

司会者:「今期業績予想について、前提為替レートを教えてください。為替感応度についても確認させてください」というご質問です。

神谷:2025年通期は1ドル140円です。為替感応度は年商で1,400万円です。1円当たりの円安が、プラス1,400万円となります。

質疑応答:株式分割について

司会者:「NISAで買いやすくなるように、株式分割などを検討いただけないでしょうか?」というご質問です。

神谷:現状は、取締役会でそのような話が出ているわけではありませんが、検討したいと思います。

質疑応答:買切ユーザー数について

司会者:「スライド58ページのヘビーユーザー数に、買切ユーザーも含まれているのか教えてください。含まれているとしたら、どれくらいの割合でしょうか?」というご質問です。

堀部:含まれていません。純粋な無料ユーザーのみとご理解いただければと思います。

質疑応答:「ibisPaint」と「VoiSona」のシナジーについて

司会者:「買収したテクノスピーチと、現行の『ibisPaint』のシナジーの方向性について、イメージを教えてください。プロマーケットの強化、アニメ制作への道につなげるなどが想像されるのですが、いかがでしょうか?」というご質問です。

神谷:具体的なものではないのですが、いろいろなパターンを考え、テーブルにカードを広げているような状況です。プロマーケットの強化というよりは、我々のユーザーも「VoiSona」のユーザーも、オタクとして趣味を楽しんでいる人が多いため、そのような中で盛り上がるように使ってもらうのがよいと思っています。

アニメーションといっても、プロのアニメーションというよりは、例えばヤマハのボカロのようなミュージックビデオ的なものが作れるとおもしろいのではないかと思っています。

質疑応答:「VoiSona」と受託開発の売上成長率について

司会者:「テクノスピーチの『VoiSona』と受託開発は、どちらの売上成長率が高いでしょうか?」というご質問です。

神谷:受託開発は波が大きくなかなか測れず、そこまで成長しているとは言いがたい状態です。去年の赤字には、売上が下がったというご意見もありましたが、大型の受託プロジェクトが終わったという要因もあります。「VoiSona」はリリースからまだ1年ですが、よいペースで伸びてきていると感じています。

質疑応答:「ibisPaint」のユーザー獲得エリアについて

司会者:「『ibisPaint』のユーザー数獲得に向け、狙っている国やエリアがあれば、その理由とともに教えてください」というご質問です。

神谷:まず、1人当たりGDPが大きいアメリカです。アメリカはまだ成長の余地があると思っています。アクティブユーザーだけでいうと、日本はかなり頭打ちという気もしますが、サブスクを考えると、1人当たりGDPが大きいところが強いインパクトとなります。

無料ユーザーを含めたアクティブユーザーでいうと、総人口のわりに入り込めていない国がインドや中国です。そのあたりもまだ伸びる余地があるため、狙っていきたいと思っています。

神谷氏からのご挨拶

神谷:みなさま、長い時間ありがとうございます。2024年第2四半期で上方修正したものの、強気すぎて未達に終わりました。売上で3.5ポイント不足となり大変申し訳ありませんでした。また、株価も下がっています。こちらも、2025年計画の売上成長率が6パーセント台と2桁にいっていないことが原因ではないかと思っており、申し訳なく思っています。

当社ぐらいの規模であれば、売上成長率は2桁ないといけません。過去、広告売上の波が何度もあり、半分の年、2倍の年など、波の上下が倍になるような時があります。こちらが、なかなか我々ではコントロールできないところです。サブスクは順調に伸びているにもかかわらず、打ち消し合ってしまい、成長率がかなり低いかたちになっています。

逆に言うと、5年、10年といったスパンで波自体を平均化できるとしたら、本質的にMAUやDAUが下がってきていることではないため、順調にサブスクを伸ばす施策を今までどおり続ければ、特に問題ないと考えています。サブスク売上のインパクトが非常に小さい状況が、2年、3年とありましたが、年々強くなっています。今年、来年と、サブスクのインパクトが大きくなっていくため、楽しみに思っています。

また、私自身も今まで経験していませんでしたが、去年は新しいチャレンジとして、M&Aできたのはよかったと思っています。私は、カラオケなどの歌が大好きで、いわゆるボカロの歌なども歌っています。音楽関係の仕事ができるということで、テクノスピーチの役員同士の会議も非常に楽しく、エネルギーを注ぎ込んでノウハウを入れて、グロースさせていきたいと思っています。

「日本のオタク文化を世界に届けて、日本のソフトウェアを海外でたくさん使ってほしい」「外貨を稼いで国益になりたい」と思いながら20年継続してきましたので、結果を出せるようにがんばっていきたいと思っています。

みなさま、できましたら、3年、5年などの長い目線でご支援いただけるとありがたいと思います。ありがとうございました。

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