目次
杉田武久氏(以下、杉田):みなさま、こんばんは。株式会社エージーピー投資家向け説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。社長の杉田です。
目次に記載のとおり、本日は当社を知っていただくために、まずは会社や事業の概要についてご説明します。その後、1月30日に発表した2024年度第3四半期決算、および中期経営計画における2024年度の主要な取り組みについてご説明します。
会社概要 技術力を極め、環境社会に貢献
エージーピーは1965年に創業して以来、空港業界における環境貢献企業のリーディングカンパニーとして、国内主要10空港にて、駐機中の航空機への電力や空調機等を供給しています。今タイ王国にも現地法人であるエージーピータイランドがあります。
当社設備を利用していただくことで、空港における脱炭素化、環境社会の実現を目指している企業です。
航空機の補助エンジン使用時と比較して、CO2を約10分の1に削減できるほか、騒音の低減や航空機燃料の削減にも大きく貢献しています。
また、第60期となる今期は大きな転機です。組織改革を行い新たな体制となってスタートしています。表の中の売上高、営業利益、CO2排出削減量は、前期(2024年3月期)の実績です。
会社概要 Location 主要空港への展開(業容拡大の道筋)
国内主要10空港を拠点として、1967年大阪空港への進出以来、北は新千歳空港から南の那覇空港まで10空港で事業展開し、24時間365日空港のインフラを支えています。
上段に各地への事業展開の経緯を記載していますが、日本の航空網が経済成長に合わせて拡充されていく流れに応じて、当社も各空港に事業を展開して、事業規模を拡大してきました。
会社概要 AGP社設立経緯
エージーピーの設立経緯についてご説明します。ジェット旅客機が急速に普及した1950年頃、当時の航空機は駐機中に必要な電気や、エンジンスタートに必要な能力を賄うための補助動力装置(APU)が搭載されていませんでした。そのため、各航空会社は移動式の航空機用動力設備(GPU)を所有し、駐機中の航空機へ動力を供給し運用を行っていました。
同時に、航空機の増加に伴い、空港内の地上支援車両が増え、空港のランプ上の混雑による安全への懸念や非効率な運用が問題となっていました。
そこで1965年、当時の運輸省航空局ご指導のもと、日本航空、全日本空輸をはじめとした4社の航空会社が出資を行い、航空機用動力設備の設置工事を担う当社(当時は日本空港動力株式会社)が設立され、これまでの移動式のGPUではなく固定式の地下埋設型GPUでの動力供給が開始されています。
その結果、地上支援車両が減少しランプ上の混雑が緩和され安全性が向上したことに加え、騒音や排ガスの低減にもつながり、エコエアポートの実現にも貢献しています。また作業の合理化、能率向上などにより、航空機の定時運行にも貢献しています。
事業概要 3つの主要事業
ここからは事業概要についてご説明します。エージーピーはさまざまなサービスを提供していますが、大きく分けて3つの主要事業があります。
駐機中の航空機へ電力・冷暖房機を供給している動力供給事業、空港内外の特殊機械設備の保守・管理を行っているエンジニアリング事業、航空機地上支援機材の自社製品・海外製品の輸入販売やフードカート製造販売などを行っている商品販売事業があります。
昨年度の売上高実績は129億円となっています。売上高構成比は動力供給事業が42パーセント、エンジニアリング事業が50パーセント、商品販売事業が8パーセントとなっています。
事業概要 ①動力供給事業 概要
動力供給事業についてご説明します。2023年度の売上高実績は年間55億円でした。当事業は空港に駐機中の航空機が必要とする電力や冷暖房機、エンジンスタート用の圧搾空気などを供給する事業で、国内10空港で事業展開をしています。
航空機の補助エンジンを運転することなく、当社設備をご利用いただくとCO2排出量の削減につながり、エコエアポートに貢献しています。主要な設備は、固定電力設備が379台、固定空調設備211台、移動式電源車が89台、移動式の空調車30台などを保有しています。
事業概要 ①動力供給事業 製品ラインナップ
動力供給事業のラインナップを紹介します。動力供給設備(GPU)は大きく固定式と移動式に分かれています。固定式には埋設型と地上走行型、PBB懸架型などありますが、当社の主力は埋設型です。埋設型によって、安心・安定したサービスを長期間継続して提供することが可能となっています。
移動式や牽引式は、例えばターミナルビルから離れた当社固定式のGPUを設置していない駐機場において、旅客便が離発着する際に使用するなど、固定式の補完的な機材となっています。
事業概要 ①動力供給事業 日本独自技術による弊社設備の特徴
固定式埋設型GPUの特徴についてです。空港のエプロン近くに埋設した配管やダクトを通して電気と空調機を供給する方式で、航空機周辺がすっきりと整理されており、航空機周辺の作業効率の改善に寄与しています。
特徴は、航空機への装着が容易なこと、他の作業用車両との干渉が少ないこと、また設備寿命が長いことです。このGPUを利用することで、騒音の低減とCO2排出量を削減することが可能となります。
事業概要 ①動力供給事業 環境社会に貢献
動力供給事業の環境貢献についてご説明します。航空機に搭載された補助動力装置(APU)をご使用いただくよりも、GPUをご利用いただくことによってCO2の排出量は10分の1以下に削減されます。また航空機からの騒音も低減されます。加えて、航空機のジェット燃料(化石燃料)の削減にもつながっています。
事業概要 ②エンジニアリング事業 概要 整備
エンジニアリング事業についてご説明します。まずは整備保守についてです。2023年度の売上高は28億円でした。事業内容は空港の特殊機械設備である旅客搭乗橋設備(PBB)、手荷物搬送設備(BHS)に加え、空港外の物流倉庫の搬送設備などに関して運用・保守管理や、長期整備計画の企画・立案などを行っています。
空港内のPBBでは、保守・運用管理に加え、エアラインの従業員に対してオペレーション教育なども実施しています。空港内で培った技術力を空港外の物流設備保守サービスにも活かしています。
事業概要 ②エンジニアリング事業 概要 施設
施設保守についてご説明します。2023年度の売上高実績は20億円でした。事業内容は、空港の格納庫、貨物上屋、機内食工場、特別高圧・高圧受変電設備や電熱源供給設備、排水処理施設などの維持管理を行っています。
一般的な建物管理のほか、高位資格者が必要な精密点検や設備の更新工事などを行っています。
事業概要 ②エンジニアリング事業 セキュリティ保守
セキュリティ保守についてご説明します。2023年度売上高実績は6億円でした。事業内容は、航空保安設備であるセキュリティ機器に関する保守・運用管理となっています。航空保安設備については、金属探知機やX線手荷物検査装置、爆発物検査装置などのほか、ファストトラベルに必須となっているスマートレーンなどに守備範囲を広げています。
事業概要 ②エンジニアリング事業 港湾でのセキュリティ機器点検保守
セキュリティ機器の保守管理では、空港のみならず港湾へも展開しています。スライドの写真は港湾におけるコンテナ検査を行う機器で、コンテナを開封することなく検査ができるというものです。定期点検、障害対応等を行っています。
事業概要 ②エンジニアリング事業 倉庫物流システムセンターでの点検保守
物流保守についてご説明します。物流システムセンターは24時間稼働していることから、短時間での正確な点検と部品交換が必要となります。そのため空港で培った技術を活用し、EC物販向けの物流倉庫への営業展開を進めています。2023年度においては389件の対応実績があります。
事業概要 ②エンジニアリング事業 タイ王国との関係
エンジニアリング事業における、タイ王国との関係についてご説明します。現在当社にはタイ王国出身の優秀なエンジニアが在籍しています。本社や成田空港、羽田空港、中部国際空港、関西国際空港の5拠点で活躍しています。
20年ほど前に、タイ王国のスワンナプーム国際空港の立ち上げ事業がありました。この事業では、当社のエンジニアがタイ王国において現地の方々へ技術支援を行っていた経緯があります。時が変わり、現在はタイ王国から人材を採用しているという、縁を感じる状況になっています。
事業概要 ③商品販売事業 概要
商品販売事業について説明します。2023年度売上高実績は年間10億円でした。GSE等販売については、自社開発製品としてのバッテリー駆動式GPUやバッテリー駆動式ブレーキクーリングカート等、環境貢献に資する製品の販売に加え、海外製GSE車両の輸入販売を行っています。
また、空港のみならず、港湾にも対応するパッセンジャーボーディングルーフ(PBR、屋根付き通路)の製作・販売を行っています。
フードシステム販売については、当社で開発した機内食カートで採用された再加熱方式のノウハウを詰め込んだカートを病院、介護施設、福祉施設、学校給食に展開しています。再加熱カートのシェアは日本でトップクラスだと自負しています。
事業概要 ③商品販売事業 環境保全合併事業
APU OFFサービスの展開についてご説明します。フランスのSmart Airport Systems社と当社が共同出資を行い、日本でAPU OFFサービスを展開する会社として、Smart Airport Systems Japanを設立しています。
日本国内においてCOMBOと呼ばれる航空機用の電源および空調を同時供給できる移動機材を現在展開しており、国内で17台が活躍しています。
成田空港、関西国際空港をはじめローカルの出雲空港、松山空港、北九州空港、那覇空港などに展開しています。
AGPの成長機会および株主還元策 環境社会への貢献目標
将来の成長に向けた取り組みをご説明します。当社は将来の成長に向けて、ナショナルアジェンダであるCO2排出量の削減を推進し、それを背景に新たな環境事業の創出を目指しています。
AGPの成長機会および株主還元策 持続的成長に向けた取り組み
具体的には国土交通省の宣言に基づき、さらなるGPUの利用促進により当社設備の利用率向上を推し進めるとともに、当社の基盤である空港を起点としたカーボンニュートラルに資する空港内EV化促進や、再エネ普及に必要となるEMS(エネルギーマネジメントシステム)、AI蓄電池事業への参画を目指しています。
また、空港外事業領域の展開として、成長を続けるEC物販市場における物流設備の保守事業への展開や、省人化・省力化技術の取り込みなどによる物流業界の効率化に寄与したいと考えています。
加えて、当社固有の技術である埋設型GPU設備の海外空港への輸出などについても検討を進めています。
当社は、航空需要の回復による業績の向上のみならず、新たな事業領域への展開を進めて、持続的な企業成長を実現し、株主価値の向上に努めていきます。
AGPの成長機会および株主還元策 株主還元方針、配当の推移
株主還元方針と配当の推移についてご説明します。過去の配当推移はスライドに記載されているとおりです。
当社は株主のみなさまへの安定的、継続的な利益還元を最も重要な課題の1つと認識した上で、内部留保や業績、財務状況等を踏まえ、年2回配当を行うことを基本としています。
第60期の配当は、第2四半期決算発表時に実施した通期業績予想の上方修正に伴い、期末を5円増配の25円、年間配当予想を45円としています。
2022年度からは、中期経営計画期間である4年間の総還元性向100パーセント以上を目指しています。2024年度の配当性向は、80パーセント以上を予測しています。
2024年度 第2四半期(中間期)決算報告 中期経営計画数値目標『経営方針&全社数値目標』
スライドは2022年5月26日に発表した中期経営計画の数値目標等をまとめたものです。早期にコロナ禍前の売上・利益水準に回復させ、さらなる発展・成長につなげることとしており、将来的には売上高200億円を視野に入れています。
ROEの向上、成長と事業リスク回避の双方から空港外売上高比率を20パーセントに引き上げる、また地上動力設備、GPUの利用促進を通じてCO2排出量の削減にも取り組んでいくことなど、中期的な数値目標を掲げています。
下の段には、3つの事業セグメントの方向感をまとめています。動力供給事業については、当社GPU設備の利用促進を推し進めること、エンジニアリング事業については空港外の物流保守領域への積極的事業拡大を行うこと、商品販売事業については、環境×電力×DXにより新たなビジネス創出、専門企業とアライアンス提携強化等を推進していきます。
2024年度 第3四半期決算報告 業績推移:Executive Summary
スライドはエグゼクティブサマリーとなっています。第3四半期決算の決算数値と過去5年間の同期の推移をまとめています。
旺盛なインバウンドに支えられた航空需要の増加を背景として、増収増益基調にあり、2020年度以降、確実な回復を示しています。
セグメント別では、航空需要の増加に伴い動力供給事業、エンジニアリング事業が増収増益となったことに加え、商品販売事業においてGSE機材の販売が増加したことにより増収となっています。第2四半期決算発表時に上方修正した通期業績見通しに対しては、売上高と各利益ともに上回ることができています。
2024年度 第3四半期決算報告 損益計算書
2024年度第3四半期決算における損益計算書の概要についてご説明します。売上高は103億8,200万円、対前年プラス10億9,100万円、11.7パーセントの増収でした。国際線の運航便数の増加と、空港内の業務量の増加により、動力供給事業、エンジニアリング事業が堅調に推移した結果となります。
売上原価は、増収に伴い原材料費が増加した一方で、各種費用の抑制に努めた結果、プラス7億2,300万円、9.4パーセントの増加にとどめることができています。
全社費用はプラス1億1,600万円、12.5パーセント増加の10億5,000万円となりました。これは成長事業の創出に向けた人的資本投資の実行のほか、事業投資検討における活動等によるものです。
結果として、営業利益は2億5,100万円、37.6パーセント増益の9億1,900万円、経常利益は3億円、44.6パーセント増加の9億7,500万円、親会社株主に帰属する当期純利益については2億3,600万円、54.9パーセント増益の6億6,800万円と前年を大きく上回る結果となりました。
2024年度 第3四半期決算報告 セグメント別売上高
セグメント別の売上高についてご説明します。動力供給事業は、売上高は43億8,600万円と、前年からプラス2億2,200万円、5.3パーセントの増収となりました。これはインバウンド需要により、中国便等の国際線の運航便数の増加に伴い、動力設備の電力供給機会が増加したことによるものです。
エンジニアリング事業は、売上高は50億9,100万円と、前年からプラス6億円、13.4パーセントの増収でした。内訳は、空港内既存領域において整備保守でファストトラベルに資する機器の設置工事、更新工事などが増加し、プラス3億6,300万円の増収となりました。施設保守では機器の更新工事が増加して4,700万円の増収、ビジネスジェット支援事業では定期駐機数が増加し、1億500万円の増収と好調に推移しています。
空港外領域となる物流保守サービスについても、物流倉庫関連設備における保守業務のプライシング改善を行ったことに加え、施工管理等の技術支援業務に応需し、堅調に推移しています。
商品販売事業においては、売上高は9億400万円と、前年からプラス2億6,800万円、42.2パーセントの増収です。これはフードシステム販売において、介護福祉施設へのカート販売がおおむね計画どおりの推移になった一方で、GSE等販売において残雪除去器材や電動ベルトローダー、航空機用ブレーキクーリングカート等の販売が増加し、好調に推移した結果です。
2024年度 第3四半期決算報告 増収分析 ~動力供給事業~
こちらのスライドでは、動力供給事業における、前年同期と比較して売上高増収の構成比について記載しています。
中国・韓国系エアラインの売上高の構成比は、総売上高の10パーセント程度といまだ低い状態ですが、対前年比で1億3,800万円の増収と増加傾向を示しています。また、対前年2億2,200万円増収の構成要素の中で、中国・韓国系エアラインが全体の62パーセントを占めています。
また、その他の外国系エアラインを含めると95パーセントという大きな割合を占めています。国際線が大きく回復していることを示しています。
2024年度 第3四半期決算報告 貸借対照表,分析指標
バランスシートの概要についてご説明します。左上の資産合計は135億4,200万円で、前期末比2億5,400万円の減少となりました。事業活動に伴い、流動資産が減少したことに加え、固定資産は減価償却が進行した一方で、投資が3億2,800万円であったことなどから2億5,400万円減少したものです。
上段右側ですが、純資産については配当金の支払いと利益計上の加減算により2,600万円減少しています。また有利子負債は、長期借入金の返済等により1億2,900万円減少しました。
左下の分析指標ですが、ROEが9.5パーセントとなっており前年を上回ることができました。自己資本比率は68.9パーセントと高い水準となっています。こちらはこの先の大きな課題と認識しています。今後も手元資金に加え、有利子負債等を活用しながら、成長に向けた投資の実行を推し進め、50パーセントに低減させたいと考えています。
中期経営計画進捗と2024年度主要取り組み FY24の主要取り組みと進捗 〜ESG経営の推進〜
ここからは、中期経営計画の進捗状況と、2024年度の主要な取り組みについてご説明します。
中期経営計画では、3つのステートメントとして「ESG経営を推進」し、「成長の実現」と「戦略投資と還元の両立」を行うというメッセージを掲げています。
まずは、ESG経営の推進に向けた取り組みの中で、環境(Environment)についてご紹介します。
スライド上段に記載のとおり、太陽光発電システム等のグリーン発電からの電力確保により、当社のGPUで使用する電力を再生エネルギー化することを推し進めるとともに、電力の需給バランスに対応するための大型蓄電池の導入などを検討しています。
また、空港で使用される電力使用量を最適化することを目指しており、空港におけるEMS(エネルギーマネジメントシステム)の開発を進めています。
スライド中段に記載のとおり、成田空港において100パーセントバイオディーゼル燃料の実証検証を行っています。100パーセントのバイオディーゼル燃料のCO2排出量を実質ゼロと考えた場合のCO2削減効果としては、半年間で40.8トンと、想定していた削減量を上回ることができています。より一層のCO2削減が期待できると考えています。
スライド下段に記載のとおり、国土交通省関係者さまに羽田空港の当社GPU設備をご視察いただく機会があり、当社の空港における脱炭素に向けた取り組みについて、一層のご理解をいただくことができました。
当社は、これからも環境への貢献と企業価値の向上の実現を目指し、空港における脱炭素化に積極的に貢献していきます。
中期経営計画進捗と2024年度主要取り組み FY24の主要取り組みと進捗 〜ESG経営の推進〜
ESG経営の社会(Social)の取り組みについてご紹介します。
エージーピーにとって人材は価値創出の原動力であり、最大の資本であると考えています。当社は、戦略目標である成長事業の創出、技術研究開発等の実行を加速させるために、新たな人材の確保や従業員の能力開発を行っていきたいと考えています。
スライド上段に記載のとおり、昨年11月29日に、「ソーシャルファームわーくはぴねす農園柏第3」(通称:柏ガーデン)で野菜収穫イベントを実施しました。
柏ガーデンの活動を社内外のみなさまに広く知っていただき、認知度向上と多様性への理解を深めるイベントとなり、参加してくださったみなさまに、農園スタッフが一生懸命育てた無農薬野菜を収穫していただきました。このようなイベント開催は、農園スタッフのモチベーションアップにもつながっています。
スライド中段に記載のとおり、ダイバーシティ経営を推進しています。この分野の第一人者であり、株式会社イー・ウーマン代表取締役社長の佐々木かをり氏を講師に迎え、役員研修を実施しました。
当社は、企業成長に資するダイバーシティ経営の推進として、多様な人材が長期的に企業価値の創造に寄与できるよう、グローバルな視点や示唆、積極的な姿勢を経営層と従業員全体で共有し、理解を深める活動環境を構築していきます。
スライド下段に記載のとおり、泰日経済技術振興協会(TPA)のみなさまが当社を訪問し、現場を見学いただきました。
中期経営計画進捗と2024年度主要取り組み FY24の主要取り組みと進捗 〜ESG経営の推進〜
ESG経営のガバナンス(企業統治)の取り組みについてご紹介します。
当社の方針としては、スタンダード市場のコンセプトに準じて、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上にコミットする経営を行います。
適切なガバナンスの水準や、仕組みを整え、透明性・公正性を高めるとともに、リスクマネジメントを強化することで経営基盤の強化を図ります。また、企業経営において公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みの整備、浸透、運用の強化を図ります。
取り組み目標として、遵守できていないコーポレートガバナンスコードの項目について、すべて遵守する方針です。
中期経営計画進捗と2024年度主要取り組み FY24の主要取り組みと進捗 〜成長の実現〜
ここからは、成長の実現についてご説明します。まず、成長の実現の1つであるグリーンエアポート化についてです。スライドでは、電力の仕入れから利用までの流れを絵で示しています。
仕入れる電力を、太陽光や風力発電などの再エネ電力に変えていくことで、仕入れの段階から環境への負荷をなくし、さらなるCO2排出量の削減を目指します。いずれは自社の再エネ発電設備からの電力確保を目標としています。
また、タイ王国および国内大学との共同研究を進めており、エネルギーマネジメントシステムの開発は、今年度末を目標としています。それに伴い、空港の電力需給バランスに対応するための蓄電池システム導入についても検討を進めています。
そして、GSEのEV化に向けた充電ステーションの設置と、EV化したGSEの共有化については、各空港運営会社と協議・検討を進めています。
中期経営計画進捗と2024年度主要取り組み FY24の主要取り組みと進捗 〜成長の実現〜
成長の実現に関わる、タイ王国への事業展開についてご説明します。
タイ王国への事業展開の背景として、我が国では、質の高いインフラを武器に、日本の経済成長と国際的プレゼンスの向上を目指しており、経済成長戦略の一環として、空港技術インフラの輸出はその代表的な政策の1つです。
そこで国家政策を背景に、動力供給事業の新たな市場開拓を進めるため、エージーピーが具備する日本独自の空港技術(埋設型GPU)をもって海外市場へのプレゼンス強化をしながら、タイ王国でのビジネス展開に向けて積極的に取り組みを進めています。
現在、ターゲット3空港(ドンムアン、スワンナプーム、ウタパオ)について、現地のステークホルダーと協議しています。また、日本で製造したものと同等の品質を確保した商材の、現地調達体制の確立に向けて、素材の試験評価を実施しています。
中期経営計画進捗と2024年度主要取り組み FY24の主要取り組みと進捗 〜戦略投資と還元の両立〜
戦略投資と成果の還元の両立の取り組みについてご説明します。
まず、スライド左側の戦略投資についてです。更新投資については、固定式埋設型GPUの設備維持更新を進めています。また、COMBO導入については、お客さまの要望による資材の仕様変更等の対応も柔軟に進めています。
成長投資・事業投資については、必要となる機能具備に向けた技術調査・検証を開始したところです。
人的資本投資については、賃金水準の引き上げと、外部から専門知識を有する人材の積極採用を進めています。
研究開発投資については、当社固有の技術である固定式埋設型GPUの性能向上や、地上動力供給設備における塩害対策の強化について、研究開発を進めています。また、省人化に向けたIoTやAI技術の活用も引き続き進めていきます。
続いて、スライド右側の成果の還元についてです。第60期の配当は、期初には、中間20円、期末20円、年間配当は1株あたり40円を予想していました。第2四半期決算発表時に通期業績予想を上方修正した際、配当予想については期末を5円増配して25円、年間配当予想を45円としています。3年連続の増配となっています。
また、中期経営計画期間内、3年間の総還元性向100パーセント以上については、計画した当初から変更はありません。成果の還元の1つとして掲げ続けていきます。
中期経営計画進捗と2024年度主要取り組み 株主還元方針および3Q時点の状況について
株主構成と流通株式比率の状況についてご説明します。上位3位の主要株主3社さまの当社株式保有比率は2023年3月31日から変更はなく、約73パーセントのままです。
流通株式比率については、その他の事業法人等の保有株式数の増減等により、2024年12月31日現在では23.03パーセントとなっており、上場維持基準である25パーセントには達していない状況が続いています。
我々エージーピーは、「上場維持に向けた取り組みを継続していきます」と決算説明会やIR活動で宣言してきました。残り時間はわずかとなってきましたが、引き続き市場および株価への影響を最小限にすることを念頭に置きながら、期限までに基準の充足に向けた取り組みを推進していきます。
中期経営計画進捗と2024年度主要取り組み 株主還元方針および3Q時点の状況について
最後に、当社株価とPBRの推移、そして第3四半期の主なIR活動を紹介します。
第3四半期は、決算説明会の動画配信のみではなく、当社のことをご存じない方に向けて、事業紹介動画の配信や、株式雑誌『ダイヤモンドZAi』とのタイアップなどを実施しました。
株価の上昇とともにPBRも上昇しており、第3四半期末で1.53倍となっており、その後も株価の上昇は続いています。
まだまだ当社の認知度は高くありませんので、さらなる認知度向上を目指すことに加えて、当社事業についてご理解いただけるよう、引き続きIR・PR活動に力を入れていきます。
質疑応答:通期計画について
質問:上方修正されていた通期計画の据置きの理由および事業別の強弱感について教えてください。
回答:上方修正した通期計画の据置き理由についてですが、2月から3月に計画していたものが12月に前倒し計上されており、第3四半期の決算は好調であったことが要因の1つとしてあります。今後もさらなる増収増益に向けて努力を継続していきますが、現状では据え置きとしています。
事業別の強弱についてですが、動力事業に関しては航空需要が堅調に推移しており、今後も国際線を中心に伸びてくるものと見ており、まだ力があると見ています。
エンジニアリング事業についても、航空需要が回復している中で、空港内設備の稼働が増えてきています。コロナ禍の影響により修繕工事等を控えていたという状況がありましたが、航空需要の増加に伴い、設備稼働率が上がると、故障の可能性も高くなりますので、事前の修繕工事等の引き受けが多くなり、好調に推移するということで、強みがあると判断しています。
最後に商品販売事業については、コロナ禍においてGSE機材の更新控えがありましたが、やっとここに来て受注が増えてきました。一時的に控えていた需要が戻ってきているということで、こちらも強みがあると判断しています。
航空需要に後押しされながら、3事業とも追い風となっていると見ています。
質疑応答:業績のリスクについて
質問:第3四半期までの一過性の売上・利益の有無および第4四半期における業績のリスクについて教えてください。
回答:第4四半期に計画していたものが、第3四半期で売上計上ができており、こちらが一過性であったということも言えます。
当社は第4四半期に多く仕事の引き合いを受けるという傾向がありますので、第4四半期においてもさらに工事案件を獲得できるよう邁進していきます。
第4四半期の業績リスクについてですが、当社は航空需要に業績が大きく左右されます。コロナ禍においては、このようなリスクによって大きく業績を落としましたが、そのようなイベントリスクによって業績が左右される可能性があります。しかし、我々は空港外の売上を伸ばしていくことで、空港業界の状況が悪化しても、空港外で基盤を固め、予想外のイベントリスクについても、しっかり対応できるよう体制を整えています。
質疑応答:営業利益率について
質問:今期の第1四半期から第3四半期にかけて、四半期ごとに営業利益率が上昇している要因を教えてください。また第4四半期の営業利益率はさらに上昇していくのでしょうか?
回答:動力供給事業については、航空需要が堅調に推移することによって、当社のGPU稼働が上り、利益率が上昇しています。また、エンジニアリング事業については、経営課題として人員不足の課題について対応を進めているところです。具体的には、BPRを進めることによって、24時間365日対応のシフト見直しを行いました。その結果、業務の効率化が進み、少ない人員でさまざまな仕事を受けることができており、利益が伸びてきています。このように航空需要増加の追い風や、業務効率化によってさらなる利益の積み上げが見込めると考えています。
質疑応答:GPU利用率100パーセント目標について
質問:2030年までにGPU利用率100パーセント目標を掲げていらっしゃいますが、これに対する阻害要因、加速要因についてご解説をお願いできますか?
回答:追い風要因としては、空港におけるカーボンニュートラル化が、国土交通省の主導で進められているということです。このような国の動きはGPU利用率100パーセントの後押しとなると考えています。また航空機燃料価格について高止まりが続いていますので、航空燃料によってAPUを使用するより、当社のGPU設備を使用していただいたほうが、航空会社さまにとってコストメリットもあります。
一方、阻害要因についてですが、コロナ禍のような空港業界の状況を悪化させるような予想外のイベントリスクは阻害要因となる可能性があります。技術革新についてもリスクと考えています。短期的に起こるものではないと思いますが、中長期的に見ると大きな技術革新が進むことによって、我々の設備を使用していただけなくなるような状況になるかもしれません。我々はそのような技術革新についても、しっかりと対応すべきことを進めていき、これらのリスクは回避できるものと考えています。
質疑応答:大株主3社の持ち株比率について
質問:大株主3社について、持ち株比率の変動がありませんでしたが、3社が協力しない理由と、今後協力する見通しについて教えてください。
回答:主要株主3社さまとは、継続して対話をさせていただいています。現在、100社以上の航空会社さまがありますので、当社が独立性を維持した状態で、中立的な立場で安心して安全に、すべての航空会社さまに公平なサービスを提供し続けることが、全体最適である旨をご説明しています。
しかしながら、残り期間がわずかとなっていることは否めません。そのため、主要株主さまともしっかりと議論した上で、引き続き市場および株価への影響を最小化することを念頭に置きながら、自助努力についても検討し、2025年3月末までの基準充足に向けた取り組みを押し進めていきたいと考えています。
質疑応答:動力供給事業の売上について
質問:動力供給事業について、運行便数以外に売上高が増減する要因があれば教えてください。
回答:GPU利用率という指標があり、航空機に対して我々の設備が、どのくらいの割合で使っていただけているかという数字です。現状GPU利用率が50パーセント台ですので、100パーセントまでの伸びしろがあり、こちらは増収要因となります。
この動力供給事業は投資事業のため、大きな投資を抱えています。この投資コストも昨今非常に値上がりしてきています。こちらについても価格転嫁制度導入などの対応を進めなければ、利益圧迫の要因になりますので、対応策として単価変更などを進めることも、売上が変動する要因となります。
質疑応答:タイの事業展開について
質問:タイの動力供給事業の、今後の売上の方向性および業績貢献の目処について教えてください。
回答:業績の目処についてですが、空港の拡張・新設のマスタープラン自体が大幅にディレイしている状況です。我々が投資できる可能性があるのが、2026年の終わりから、2027年の初めとなる予定です。現在3つのターゲット空港のステークホルダーと協議を進めています。空港の拡張には2、3年かかりますので、目安としては2030年以降で、業績にプラスとなってくると考えています。
質疑応答:EV補助金について
質問:商品販売事業について、EV補助金のお話がありましたが、こちらについて金額含めもう少し詳細をお願いします。補助金がなければ黒字化はなかったのでしょうか?
回答:EV補助金に関しては、お客さまが補助金を活用されますので、この補助金がなければ黒字にならなかったということはありません。
EV化が進むことによって、大量の電気を空港で消費することになりますが、この電気に対してエネルギーを最適化し、適正なコストで提供するためのエネルギーマネジメントをどのようにしていくか、ということを我々は研究開発しているところです。
このEMSと蓄電池という組み合わせについては、補助金など活用できるものは活用し、投資コストを抑制させながら、取り組みを進めていき、事業の柱としていきたいと考えています。
質疑応答:プライシングについて
質問:動力供給事業、エンジニアリング事業それぞれにおいてプライシングはどのように決定されているのでしょうか? コストに応じて決定されるのか、それとも需給に応じて決定されるのでしょうか?
回答:コスト、需給の双方に応じて決定しています。動力料金の価格については、約30年間据え置きとなっています。昨今では物価上昇が大きく、投資コストもかなり増加しています。一方で仕入れる電気については、原材料費調整金ということで、変動価格の転嫁をさせていただいています。しかし、投資コストについては、まだ価格転嫁ができていないという状況です。
30年ほど前に設定した料金ですので、現状の原材料費高騰などを踏まえると、料金改定のフェーズが来ていると判断しています。お客さまから見ても適正な価格を設定していくことが重要と考えていますので、お客さまからのご意見もお聞きし慎重に検討を進めていきたいと考えています。
質疑応答:株式非公開化について
質問:非公開化は考えていないと思いますが、検討段階も含め、机上に候補として上がっている選択肢にはどのようなものがあるのでしょうか?
回答:国内主要8空港にて、駐機中の航空機へ動力と空調を提供している会社です。また当社は1965年の設立以来、空港業界における環境貢献企業のリーディングカンパニーとして、すべての航空会社さまに対して、当社設備の利用を促し、空港における脱炭素化、環境社会の実現を目指しています。
また、当社設備を利用していただくすべてのお客さまに対して、中立的な立場で公平かつ安全にインフラサービスを提供し続ける会社でありたいと考えています。そのためには、当社が独立していることが重要なことだと考えていますので、現時点では非公開化という選択肢は考えていません。
質疑応答:空港外売上について
質問:空港外の売上について、その比率および目指す水準があれば教えてください。
回答:当社の中期経営計画において、空港外売上比率20パーセントを目標に開示しています。しかしながら、現状では10パーセント弱ということで大きく未達となっています。こちらについては、航空需要が堅調に推移したことで空港内事業の売上が非常に大きく伸びてきていることが背景にあります。
空港外売上の主力としては物流保守サービスの展開があります。こちらの売上もしっかり伸びてきていますが、売上高の伸びが空港内事業に対して少ないということで中期目標未達となっています。
しかし、直近では物流保守サービスのオーナー会社さまと直接契約締結という話も進んでおり、さらなる増収は考えられます。
質疑応答:CO2排出量削減に向けた取り組みについて
質問:空港自体のCO2排出量削減に向けたEV化の進捗、また、エネルギーマネジメントへの取り組みについて進捗を教えてください。
回答:前提として、ナショナルアジェンダである2050年までのカーボンニュートラル化の達成についての、2030年における中間報告として、CO2排出量の50パーセント削減、再生可能エネルギーの活用拡大、電動化(EV化)の推進が目標設定されています。
これに対して、当社の事業に大きく関係するのは、主力事業の動力供給事業の電力仕入れです。仕入れる電力を再生エネルギー化することが重要であると考えています。そのため、当社はグリーン発電の確保について真剣に検討を開始しています。
一方、EV化やグリーンエネルギー化を推進することで、ますます電力使用料が増加してしまうという問題もあります。エンドユーザーである航空会社さまのご理解を得るのが厳しくなるような、非常に難しいテーマとなります。そのため、当社は大型蓄電池の導入や、電力使用の最適化を図るための空港におけるEMSの導入を検討してきました。
我々は、電力料金を抑制することを目指しています。これまで大学と検討および研究開発を進めていましたが、今期末にproof of conceptの構築が完了する予定です。その後は、システム開発を進めていきたいと考えています。並行して、空港内車両の電動化(EV化)に伴い、必要となる充電ステーションの設置について、各空港会社さまと協議中です。
大規模なインフラ改革となりますので、短期的な視野で結果が出るものではありませんが、空港におけるカーボンニュートラル化の実現に向けて、中長期的な視点で、最終的にはエンドユーザーである航空会社さまにとってもメリットがあり、有益となるような再エネ利用促進に挑んでいきたいと考えています。
質疑応答:投資の進捗状況について
質問:第2四半期決算時に、下期は積極投資を実施する予定とのお話でしたが、投資の進捗を教えてください。また、第4四半期に投資が偏重すると見ておいたほうがよいでしょうか?
回答:更新投資においては、おっしゃるとおり、下期偏重となっています。空港再編の遅れなどの影響で、当社設備更新の遅延や、納期の長い設備の入荷が第4四半期において完了する状況となっています。
また、遅れが見られている成長投資ならびに事業投資については、当社が必要とする機能の具備に向けた技術調査・検証や研究などを開始していますので、引き続き成長に資する投資を推し進めていきたいと考えています。
質疑応答:GSE販売の増加について
質問:GSE販売が倍近く増加しています。これは今回のワンスポットでの需要増加でしょうか?
回答:GSE等販売においては、エアラインさま向けに航空機地上支援機材(GSE)を販売しています。
コロナ禍が明けて航空需要は回復してきていますが、エアラインさまの業績もようやく回復してきたところです。コロナ禍で停滞していたGSEなどの更新がようやく本格化し、少しずつ増えてきています。スポット的な需要ではなく、今後着実に増加していくと考えています。
質疑応答:エンジニアリング事業の状況について
質問:エンジニアリング事業は増収増益幅が大きく、空港内業務における設備の更新工事等が増加しているとのお話でした。空港外の比率はどのくらいですか? また、前期と比較してどのような状況でしょうか?
回答:エンジニアリング事業においては、老朽化した設備機器の更新・交換工事等の需要が増加していますが、これはコロナ禍において更新控えがあった反動だと見ています。
空港内、空港外の比率は、現時点で空港外の売上比率は8.5パーセント程度です。前年度の同時期で9パーセント程度でしたので、若干減少しています。航空需要の回復が堅調に推移していることに伴って、空港内の売上が好調であったことが要因の1つとなっています。
ボラティリティの高い航空業界において経営の安定を目指すためにも、中期経営計画の目標としている空港外売上比率20パーセントの達成に向けて、継続して取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:中国系エアラインの政治情勢等のリスクについて
質問:動力供給事業において、中国・韓国系エアラインの増収割合が大きいですが、とりわけ中国は政治情勢等のリスクが大きくなるなどの懸念を想定していますか?
回答:韓国系・中国系エアラインが伸びていると、プレゼンテーションの中でもご報告しました。中国系エアラインについてご心配されているようですが、コロナ禍からの脱却に伴って国際線が増加してきました。
しかしながら、中国系はなかなか進まなかったのが現状で、昨今、中国からの個人旅行の解禁などもあります。このような状況下で、この堅調さはこのまま継続して推移するだろうと考えています。
一方、政策的な部分のブレはあるのかもしれませんが、その点は頭に入れつつも、今は中国系・韓国系は堅調に推移するだろうと、引き続き予想しています。
質疑応答:今後の値上げの可能性と航空会社側の感触について
質問:人件費などコスト上昇圧力が今後も続くと思います。コスト上昇分を転嫁するための値上げを、現在行えるような状態でしょうか? 航空会社側の感触も含めて、現状の認識を教えてください
回答:動力供給事業においては、2023年4月より、原材料費の変動に応じた価格転嫁制度を開始しています。しかしながら、すべての課題が解決しているわけではありません。
ここ10年間で、材料や工事コストは軒並み値上がりしています。電線関連は1.7倍程度、人件費は1.5倍ほど高騰しています。
適正な料金の価格設定について、また、多くのエアラインさまに、より利用していただきやすいような魅力的な料金メニュー改定について、現在検討しています。
本料金メニュー改定については、当社のGPUを利用いただくお客さまにとって、より使いやすく、環境インセンティブなども加味して、しっかりとしたメニューとして検討を進めています。
お客さまであるエアラインさまには、人件費の高騰等についてご理解いただけると思っていますが、実現に向けての交渉には現実的にハードルがあるとも考えています。お客さまとしっかりコミュニケーションを取りながら、メニュー改定を進めていきたいと考えています。
質疑応答:主要株主に依存する売上の割合について
質問:「当社全体の売上の中で、大株主に依存する割合は何パーセントくらいでしょうか?」というご質問です。
回答:大まかに言いますと、第3四半期時点では、日本航空さまが20パーセント台後半、ANA(全日本空輸)さまが10パーセント台前半、第2位の日本空港ビルディングさまは1パーセント未満となっています。
3株主さまを合わせて、だいたい39パーセントから40パーセントに届いていない状況です。動力供給事業による売上が大きな割合を占めています。
杉田氏からのご挨拶
杉田:みなさま、本日はお忙しい中、当社の個人投資家説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。
本日の説明会では、当社の事業概要や成長戦略、最新の取り組みについてお話ししました。私たちは日本の航空インフラを支える企業として、すべての航空会社さまに対して公平かつ中立的なインフラサービスを提供することを責務としています。
今後も社会的な責任を果たしながら、持続可能な成長を実現し、株主のみなさまの期待に応えられるよう努めていきます。
また、脱炭素化やデジタルトランスフォーメーションなど、未来を見据えた取り組みも積極的に進めていきます。本日いただいた貴重なご質問やご意見は経営の参考とし、より一層の企業価値向上に努めていきます。
引き続き、みなさまの変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。本日は、誠にありがとうございました。