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【QAあり】ドリーム・アーツ、クラウド事業が牽引し前年比2桁増収を達成 来期は成長投資として人材採用と広告販促活動を強化

2024年12月期通期 連結業績

山本孝昭氏(以下、山本):代表取締役社長の山本です。お忙しい中ありがとうございます。2024年12月期通期決算説明資料から、昨年度の状況についていくつかピックアップしてご説明します。よろしくお願いします。

スライドに通期の連結業績をまとめています。おかげさまでクラウド事業の売上高は前期比で24.4パーセント増を達成し、上方修正の水準にほぼ到達しました。

クラウド事業の成長に伴ってインフラコストが増加しましたが、動作環境の最適化など、エンジニアリングによってコストをコントロールでき、営業利益は前期比33.9パーセント増を達成できています。

主要KPI

主要KPIです。成長率としては、ホリゾンタルSaaSは30.7パーセント、売上比率としてはストック比率が88パーセントになりました。そのうちクラウド事業の比率が77.3パーセントと8割近くになり、事業構造、体質の変換がさらに進んだ年であったと認識しています。

その他の売上総利益率、キャッシュフローなどもスライドに示しています。ホリゾンタルSaaSの売上継続率のNRRは117.5パーセントという高い水準にあります。

ホリゾンタルSaaS売上高

ホリゾンタルSaaS売上高は右肩上がりのグラフになっています。アップセルが非常に好調でした。ピュアクラウドベンダーに転換するところから、アップセルが売上増加に占める割合、利益率ともに大きく貢献すると予想していました。また、平均月額利用料も再び上昇基調になり、166万9,000円という高い数字を維持できています。

ホリゾンタルSaaSの売上に占める「SmartDB」の割合は81.9パーセントで、継続して「SmartDB」が成長ドライバーです。

2024年下半期のプレスリリース

2024年下半期のプレスリリースより、トピックスをいくつかご紹介します。MS&ADグランアシスタンスで約6,000事業会社の情報共有基盤として「SmartDB」が導入されました。また、東急で本社約2,000名が利用する稟議・法務相談業務に「SmartDB」が導入されました。2社とも、バックオフィス業務を支えるところに「SmartDB」が導入され、活用されています。

非常に良い先行事例となる点として、アップセルにつながることが挙げられます。業務領域・カバーエリアの拡大の起点にもなります。そのような意味で、この2社については非常に大型で、ドリーム・アーツを象徴するような導入事案です。大変喜ばしい発表ができたと思っています。

また、スライドの成長戦略の2番目に記載したとおり、「SmartDB」の認定資格者が1,300名に達しました。年末時点の延べ人数は1,700名で、現在では2,000名に迫る勢いで非常に力強く伸びています。

3番目に、日本の大企業の海外DXを強力に支援することを目的に「Global Connect」構想を発表しました。我々は「デジタルの民主化」「MCSA(ミッションクリティカルシステムエイド)」「Global Connect」の3つを重要戦略と位置づけています。その3つ目の戦略として、日本の会社の海外オペレーションに「SmartDB」を活用いただくことにさらに力を入れていきます。

2024年下半期のトピックス(製品戦略)

「Global Connect」についてご説明します。Global Connect構想における機能・オプション群を、スライド右側に具体的に示しています。

「マルチLanguage」はAI翻訳による言語対応で、20ヶ国語以上に対応しています。「AI翻訳ロボット」は申請書や「SmartDB」のフォームに入力されたテキストを自動的に翻訳します。これらは海外展開する上では当たり前の機能です。

それに加えてGDPR、CCPAなどの各国の法規制に対応した規約確認の機能もあります。これはログインする時に、規約に準拠している項目にチェックをつけてもらう機能です。単純なようですが、これを機能的に整備することによって、エビデンスをしっかりと確保した上で規制の履行が確実に行われます。

「マルチGATEセキュリティ」はユーザーごとにアクセスコントロールの情報を細かく設定できます。セキュリティのアクセスコントロールを機動的に行うと、業務的にオーバーヘッドの増加が避けられない状況になります。

「マルチGATEセキュリティ」は門(ゲート)を指定することによって、「ブラジルの門から入った人にはこのアクセス権」「北米からの人にはこのアクセス権」、また役職で「課長級の門から入ってきた人にはこのアクセス権」など、ゲートごとにセキュリティを分けられます。これはユーザーのリクエストをヒントに煮詰めていってオプション化したものです。また、24時間365日の「無停止運用」というサービスも、機能強化に向け実現を進めています。

これらを含めて「Global Connect」の機能セットとしてまとめています。これからも強化して、さらに海外で使っていただけるようにしていきたい考えです。

2024年下半期のトピックス(成長戦略)

認定資格者についてです。認定者の盾は北海道の業者に作ってもらっています。机の上に置いてもらえるように、かわいらしいぬいぐるみがついています。スライド右側のグラフにあるように、年末には認定資格者が延べ人数で1,735名に達しました。

注目していただきたいのはユーザー企業の割合で、71パーセントです。男女比率では40パーセントが女性で、増加傾向にあります。女性の「SmartDB」の使い手がどんどん増えている状況です。

2024年下半期のトピックス(ユーザーコミュニティ)

有資格者の増加をさらに後押ししていこうと、昨年9月20日に「SmartDB 20th生誕祭」というイベントを開催しました。

スライドの右側の写真は、「スマデビ’s got Talent」と銘打って、各社が「SmartDB」の利用・活用方法について発表した様子です。コンテスト形式で行い、大変盛り上がりました。

今年も7月23日に、投資家のみなさまにも参加いただけるような企画として、「スマデビジャンボリー」というイベントを開催します。引き続きコンテスト形式で、各ユーザーの多様な活用方法や、DX推進の仕方を共有し合い、さらにこのモメンタムを勢いづかせていきたいと考えています。

2025年12月期通期 連結業績見通し

2025年12月期通期の連結業績見通しはスライドのとおりです。クラウド事業は前期比で約6億円の増収です。案件の受注は引き続き順調ですが、「剪定戦略」の進展に伴い一部の顧客での解約を織り込んだ上での数字を出しています。また今年は、成長投資を推進する施策を展開していきます。

営業利益は昨年度と同水準の計画です。

2025年12月期 成長投資施策

増収分による成長投資施策は大きく分けて2つあり、スライド右側に①②と示しています。1つは人的リソースの拡充です。ますます人を採用するのが大変な状況になってきていますが、採用にしっかりと力を入れて推進します。

年頭の全社員参加の全社ミーティングでも、リクルーティングは全社全員の課題だと強くメンバーに訴えました。営業、マーケティング、開発、エンジニア、バックオフィス、全方位にわたって人的リソースの拡充に取り組みます。

もう1つは広告販促活動の強化です。2026年はさらに大胆に行おうと思っています。その前哨戦として2025年にいろいろと試し、有効な手だてを手繰り寄せていきたいと考えています。

沿革

会社の概要についてご説明します。スライド右側の「2025年の位置づけ」に示したとおり、非連続的な成長に向け、人的リソースをしっかり確保して事業基盤を再整備します。

また、やはり認知度がまだ低いです。MS&ADグランアシスタンス、東急のほか、昨年にインプリメンテーションしてこれから発表していく有力な事案があります。そのようなキラキラした事例をもっと多くの人に知らせていかなければいけません。

2026年は非常に重要な勝負の年だと捉えており、強いインパクトを与える年に向けて、2025年は最終準備をしていきたいと考えています。

売上構成の変化と利益の推移

スライドはこれまでご説明した内容のグラフです。クラウド事業の売上構成比が順調に伸びてきているところが非常に重要です。2025年度末にはストック売上比率は9割弱、その中でクラウド売上比率は8割を超えるところを目指します。これによって、「剪定戦略」も1つの区切りとなります。

今後、中期的には、アップセル・クロスセルという基盤をより強めていくために、有料サービスの企画開発を推進し、サービス売上も増やしていきたいと思っています。クラウド事業という知的資産による売上比率は、しっかりと8割前後をキープします。

ミッション/スローガン

我々は「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」というミッションに本気で取り組んでいこうと考えています。

協創とは概念で、人類がここまで繁栄してきた本質的本能であると考えます。人は協創する時に喜びを感じるという前提で、顧客、パートナー、社内においても協創していくことを強く訴えています。

先日も「SmartDB」の活用が広がっている大手不動産デベロッパーで、総勢40人弱の食事会があり非常に盛り上がったようです。ドリーム・アーツは伝統的にお客さまとの関係性が非常に近く、本気でぶつかり合える相棒だと思っていただけています。それをもっと増やしていきたいと考えています。

ビジョン:BD(ビッグ・ドーナツ)市場のリーディングカンパニーを目指す

「Big Donuts」についてあらためてご説明します。企業のシステムを円にたとえた時に、真ん中にはERPに代表されるミッションクリティカルシステムといわれるエリアがあります。我々はこのエリアについては扱いません。それを取り囲むドーナツの部分がターゲットです。

「Big Donuts」の「ビッグ」は、大企業を表しています。我々は「Big Donuts」市場のリーディングカンパニーを目指しています。

このドーナツエリアは、依然としてDXの核心エリアで、デジタル・ITを超えた戦略投資エリアで、変革のエリアでもあります。システム、IT・デジタルという観点では、このドーナツはまだ膨らんでいる、急拡大中のエリアです。ここをターゲットとしてしっかりと価値を提供していきます。

当社のターゲット顧客と市場:BD(Big Donuts)市場のリーディングカンパニーへ

スライド左側のとおり、我々のターゲットである大企業に特化していくことが当面の方針です。

主力製品・成長ドライバー SmartDBの活用範囲

サービスラインナップは、前提としてこの「Big Donuts」を2つに分けて考えています。MCSA(ミッションクリティカル周辺領域)は、ドーナツの真ん中を取り囲む我々が手掛けるエリアです。具体的には、ERPのシステムの前受け処理、あるいは後受け処理のエリアです。ここは伝統的にSIerのドル箱で、非常に多くの資金が投下されます。こちらの事案が増えています。

システム部門、あるいはその先につながっているSIerが全部を行うのではなく、財務・経理・人事・総務部門の人たちが、このMCSAエリアのシステム化を自分たちで行う“デジタルの民主化”の事案が増えています。この春から夏に向かって具体的な事例も発表できる予定です。しっかり取り組んでいきます。

そしてその外側は、その他の一般的な業務(非ミッションクリティカル領域)です。一般的なエリアについてもデジタル化できる範囲が広がっています。

非常に大きな起爆剤はマイナンバーです。今年の後半から来年はマイナンバーがかなり話題になり、活用事例が具体的に出てくると思います。我々はBYOKを始めとしたオプションなどを含めて、抜かりなく対応しています。

MCSAと一般的な業務をしっかりと「SmartDB」でカバーしていき、ポテンシャルを秘めているドーナツ全域に対してより売上増を目指していこうと考えています。

実績が示すBD全体をカバーする広範なマーケット

非常に有力なユーザーが増えてきました。「SmartDB」のピュアクラウド版を出した当初は、導入の傾向として小さく入れて大きく育てることを行っていました。現在もその手法で導入されるパターンはありますが、全社一括導入、あるいはMCSAでの大型案件も増えてきています。

スライドに示しているとおり、我々の顧客ターゲットは広範囲にわたっています。共通しているのは、アグレッシブにデジタライゼーションやDXを進めている会社である点です。

ハイライトとなる事例がどんどん生まれ、デジタライゼーションなどの変革に対して保守的な層にも広がり始めている状況が、この導入実績から見て取れると思います。

iii 競争優位性のある良好なポジショニング:SmartDB

スライド左側のマトリックスでは、大企業・中小企業を縦軸に、学習コストが高いか低いかを横軸に示しています。

「SmartDB」は右肩にあります。大企業向けに複雑なこともできますが、学習コストが非常に低く、完全にノーコードのため、非ITセクションの一般の人たちが「SmartDB」を使いこなして自らの業務のデジタライゼーションできる、デジタルの民主化ができる状況にあるのです。

マトリックスの左上にある外資系ベンダーのローコードツールは、ツールとしての競合ではありません。顧客の社内ではシステム部門が一括してデジタライゼーションを引き受けて、社外に何十年も付き合っているベンダーがいて、その下に多重請負構造があるという昭和から続く手法でデジタライゼーション・DXを進めるのか、デジタルの民主化で自ら進めるのかという戦いが起こっているのです。

結果的にそのツールになるのが左上にある「ServiceNow」「Salesforce」などで、「ツールとしての戦い」というよりも、システム開発に対する根本的なアプローチの違いによる競合が起こっています。

日本の大企業がいろいろな改革をし、組織も事業構造も変えなければいけないという時代であり、それにあわせてデジタライゼーションの方法もリセット、アップデートする必要があります。IT専門人材だけで行う従来の方法では到底無理で、必ずデジタルの民主化が必要になります。

そこにしっかりと網を張って受け皿になっていくことが、我々の重要な戦略という認識です。

iv アップセルによる顧客単価向上を図りやすい課金体系:SmartDB

スライド左側は導入パターンの図です。以前は、一番左側にあるような比較的導入が容易な部門利用から始まり、部門内で複雑度が高い、あるいは部門をまたがる利用に上がっていき、それが全社利用になっていくというパターンが多くあり、それを目指していました。

現在でもそれは続いていますが、中央の全社導入から始まる案件も増えています。さらにグループに広がっていきます。

ARPAは166万9,000円とお伝えしました。導入時は月額基本料金から始まって、ユーザーを追加し、オプションも増えていくかたちで売上が増加するため、将来にわたってライフタイムバリューの増加が期待できます。

MCSAエリアでの導入案件では、10年は使っていただけます。現在、ドリーム・アーツの一番長いユーザーは約20年、三菱UFJ銀行も15年ご利用いただいています。一度導入していただくと非常に長くご利用されます。ライフタイムバリューを伸ばしていく点では、用途の拡大はもちろんのこと、より複雑で重要なデータをハンドリングする上でのセキュリティ関連のオプションの追加、さらに「Global Connect」によって海外の事業のDXも狙っていきます。

成長戦略

成長戦略についてです。スライドは非常に抽象度が高くざっくりとしたものですが、今年は中期計画のようなものも作ろうとしています。その発表の際には、成長戦略について我々がどのような仮説を持ち、どのような手を打ち出していくのか、より解像度の高いご説明をしたいと思っています。

成長戦略の進捗(SmartDB認定パートナープログラム)

パートナー戦略の進捗についてです。期待どおりか期待を上回るかたちでパートナーが増えています。

有資格者を増やすために盛んに資格試験を受けていただいていますが、まだパートナー経由での売上が大きく伸びるところまではきていません。これは今後に期待しています。思っていた以上に時間がかかった一方で、依然として関心が高まっており、広がってきているという手応えもあります。

また、今年はマイナンバーが大きな起爆剤になると思います。これまでとは違ったデジタライゼーション、IT化のニーズが顕在化してくる中で、「パートナーの裾野を広げておいてよかった」という時が必ずくると思っています。パートナー戦略には引き続き注力したい考えです。

質疑応答:オンプレミス・プロフェッショナルサービス事業の売上高見通しについて

司会者:「2025年12月期の売上高見通しのうち、オンプレミス事業とプロフェッショナルサービス事業については、それぞれ売上高の増減をどのように見通していますか?」というご質問です。

山本:オンプレミス事業は、ピュアクラウドバージョンへの移行を促しています。これは昨年の「剪定戦略」の中でも非常に重要なことでした。

クラウドへ移行した場合、オンプレミス事業の売上は減りますが、ドリーム・アーツとの付き合いが続けば、全体としては増えるかたちになると思います。オンプレミスからクラウドへのシフトに伴って、オンプレミス事業の売上は減るべきだと考えています。

プロフェッショナルサービス事業は、将来に向けたサービスの事業化、収益化をより積極的に進めていく上で重要な事業です。現在は人数の問題もあり、すぐに売上を増やせる状況にありませんが、今後は有料サービス化、メニュー拡充に伴って増やしていきたいと考えています。

中期的には、我々の価値提供における重要な起点で、顧客のライフタイムバリューを上げていく上で重要な事業になると認識しています。

質疑応答:成長投資の対象と具体的な活動について

司会者:「2025年は成長投資により営業利益が横ばいとのことですが、投資対象やどのような活動を進めていくのかを教えてください」というご質問です。

山本:これは2つあり、1つは人的リソースの拡充です。優秀でやる気がある人、ドリーム・アーツのカルチャーにマッチした人を集めてパワーアップしていきます。

もう1つは、認知を上げることです。中身が濃い先行事例が揃ってきていることを認知されていないのは本当に悔しいですし、経営課題として2025年、2026年に解決していきたいと考えています。2025年は、どこで何をすればどれだけの効果が得られるかという仮説検証も行っていきます。

質疑応答:「SmartDB」のオプションや特徴方針、差別化ポイントについて

司会者:「『SmartDB』には多様なオプションがあると思いますが、今後テーマになりそうなオプションや特徴の方針、製品の差別化ポイントなどがあれば教えてください」というご質問です。

山本:今年中にご紹介する機会があると思いますが、オプションは主に3つの分野を考えています。

1つ目は、これまでも重視してきたセキュリティ系です。重要度・機密性が高い多様なデータをハンドリングできるプラットフォームになってきており、実際にそのような使われ方をされています。セキュリティ脅威がどんどん高まって進化しているため、それにしっかりと追いついていくために、セキュリティ系のオプションをこれまでどおりかそれ以上に増強していきます。

2つ目は、Global Connect構想に資する、海外での活用における有益なオプションを増やしていきます。「Global Connect」は、3つの成長戦略の中で一番新しく公表して取り組んでいるものです。

3つ目はAIです。テーマの注目度は非常に高いですが、話題の盛り上がりとしてはピークアウトしていると思います。実践的なAIの活用がこれからの鍵になります。

実は、私たちは何年も前からAIについて研究しています。いろいろな国内事例を拝見すると、見た目はチャーミングであるものの「AIでなくてもいいのではないか」「本当に役に立つのか」と思うようなものが多く、社内ではそれらを「ショーケースAI」「スペクタクルAI」と呼んでいます。

「クラウド」の時もそうでしたが、我々はバズワードに安易に乗らないことを重要視しています。AIと銘打って何かを出す時には「これは便利だ」と思うものを出そうと決めています。いろいろな応用検証を行っており、それをいよいよ出す段階です。

したがって、3つ目はAIをうまく活用したオプション群ともいえます。我々が目指すのは、実務的で実用的なプラクティカルAIです。これは高度なAIを使えばいいというわけではなく、AIの活用アイデアをどのようにデザインし、インプリメントできるかが重要です。

特に「SmartDB」「Shopらん」は、それぞれが持っている機能とAIの良さが相まって価値を増幅させるという点で非常に優位にいると思います。

質疑応答:海外展開の考え方について

司会者:「事業やプロダクトの海外展開について、どのように考えていますか?」というご質問です。

山本:海外企業に売ることは、当面考えていません。国内のポテンシャルマーケットも相当大きく、そのスケールに追いついていない状況の中で、文化的な背景が根本的に違う海外に打って出ることは、まったく効率的ではないと思っています。

したがって、当面は海外での事業比率を高めている日本の大企業が実現すべき海外オペレーションのデジタライゼーションにコミットし、「Global Connect」を進めていきます。日本企業の海外展開に伴走し、海外の需要を拾っていきたい考えです。

質疑応答:中長期的な成長戦略について

司会者:「中長期的な成長戦略や計画を示す方針があれば教えてください」というご質問です。

山本:今年は、成長戦略について解像度の高い仮説の提示と潤沢なキャッシュフローをうまく使って、M&Aを含めた包括的な中期事業構想を出したいと思っています。それによって、今後の事業上の戦略意図をよりご理解いただける土台を作っていきたい考えです。

質疑応答:今期の新規顧客の見込みについて

質問者:前期は新規顧客を21社獲得していましたが、今期は何社を見込んでいますか?

牧山公彦氏(以下、牧山):取締役専務執行役員の牧山です。今期の新規顧客の導入は40社を計画しています。

質問者:毎年、一定程度の解約があると思いますが、今回は従来以上の解約があると見込んでいるのでしょうか?

山本:解約は織り込んでいます。大きな解約の流れは2025年で終息する方向にあると思いますが、2025年はすでにいくつかの解約を見込んで数字を作っています。

質問者:大型解約が発生している理由は何ですか?

山本:これは耐用年数などの要因があります。20年前から使ってもらっているシステムで、数年前から大型解約が生じるだろうという連絡を受けていました。それが延びていたものの、いよいよ今年は実際に解約になることを見込んで計画しています。「SmartDB」のピュアクラウドバージョンの大型解約があるわけではありません。

質問者:今期のクラウド事業の成長を前期比16パーセントと見込まれていますが、第4四半期のNRRは117.5パーセントと高水準を維持し、新規顧客獲得数も40社を見込んでいる中で、なぜこのような数字になったのでしょうか?

牧山:実際の新規獲得は四半期にわたり徐々に積み上がっていくため、そのようなプランにしています。もちろん、ある一定の解約率を加味した上での計画です。

質問者:これは最低ラインと見ていいのでしょうか?

牧山:期初に計画を策定した段階で導入が見えているお客さまもおり、上半期はかなり積み上げ的に計画しています。下半期はある一定の獲得率を反映した計画です。

質疑応答:非連続的な成長の考え方について

質問者:今期、人材と広告宣伝に投資することが非連続的な成長につながるとは思えず、連続的な成長投資に見えます。山本社長は、非連続的な成長をどのように実現できると考えていますか?

山本:我々は、基本的にプル型の営業マーケティングを行っています。先方が認知し、我々に対して期待値がある人から問い合わせがあり、それに応えていくという営業スタイルを徹底しているのです。

これによって、営業経験がそこまでない若い人たちでも大企業向けの数億円規模の商談に対峙できるという状況を作っています。

しかし、今でも大型案件でお客さまと話した時に、「ドリーム・アーツのことを知らなかった」という声を聞くことが多いです。認知されていないため、潜在的に我々とマッチする事案を抱えている大企業、部門がたくさんあるはずですがリーチできていません。

したがって、ポテンシャルマーケットに対するリーチのギャップを埋めれば、非連続的な成長ができるのではないかと考えています。

質疑応答:パートナー経由での案件について

司会者:「パートナー経由での案件がこれまで大きく伸びていなかった理由と、今後の打ち手について教えてください」というご質問です。

山本:パートナーについては、従来のウォーターフォールでシステム部門主導の事業モデルから脱却すべきというお声も受けています。ただし、それがわかっていても体が動かないような、提案力が発展途上な状態にあると思っています。

デジタルの民主化の側面での提案力を上げていくためには、パートナーの体質転換を進める必要があり、パートナー経由の売上が大きく増えるまでにもう少し時間がかかるというのが、昨年取り組んできた上での感想です。

解決策としては、パートナー自身が変革するということもありますが、需要が増えればパートナーにフィードする案件も増えてきます。そうすると、「デジ民」やノーコードでの方法が組織全体として認知あるいは能力獲得でき、おのずと動き始めると期待しています。

これは、布石として進めていくことが非常に大事だと思います。

質疑応答:成長投資施策について

司会者:「成長投資施策について、増収を確保するための費用とその他の費用の違いを教えてください。また、これらの増加する費用のうち、一時的な費用に当たるものはあるのでしょうか?」というご質問です。

山本:認知度を上げ、人的リソースを確保しなければいけないのですが、これまでは利益を抑制してまでそれに予算を充てることを積極的に行ってきませんでした。

今後はこのような投資を継続していきますが、利益率は元に戻していきます。そのためにも、ここで積極的に人材を確保し、認知度を上げていきたいと考えています。

牧山:一時的な費用に当たるものとして、広告宣伝費などは我々自身でコントロールできる部分だと思っています。人員増強については固定費ですが、広告宣伝費は、売上成長の加速度が我々の計画に達した時には、ある程度絞るかどうかという経営判断ができると思います。そのため、この部分は一時的な性格が強いと捉えていただければと思います。

山本:今年、来年は広告宣伝、認知向上コストをしっかり取って、注力していきたいと考えています。

質疑応答:「SmartDB」の競合状況について

司会者:「『SmartDB』の競合状況と、その変化について教えてください」というご質問です。

山本:ツールでの競合は、規模が小さい案件ではサイボウズ、ジャストシステムの「JUST.DB」があります。エンタープライズエリアのツールでは「ServiceNow」がありますが、直接的な競合として案件が推移することは少ないです。

従来型の、SIerのシステム部門中心の座組みで進めていく時には「SmartDB」が選ばれることはまだ多くないため、増やしていきたいと思っています。

今、非常に気にしているのは「デジタルの民主化」の認知を上げることです。すなわち、システム部門が支援側に立ち、MCSAエリアであれば経営企画、総務が中心になって取り組む大和ハウスのような導入事例の認知を上げていくことが、結果的にツールとしての競合への対抗策として有効だと考えています。

国産のノーコードで、主に中小企業向けであるツールへの対抗策としては、複雑性が高く、大量データのハンドリングが必要であり、高いセキュリティレベルが求められる我々の得意エリアに特化し、地盤を強化することを考えています。

中途半端に中小企業向けベンダーのツールでもカバーできるようなところでしのぎを削るよりも、グループ一括導入というかたちで対応するほうが効果的だと考えています。

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