■グロース市場コア指数は続伸
先週から今週(4月28日-5月9日)の新興市場は上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+5.03%だったのに対して、グロース市場指数は+2.34%、グロース市場250指数は+2.45%。NTTデータグループの急騰による影響もあり、相対的に日経平均が優勢となった。決算発表が本格化するなか、中小型株は売り買いが交錯。一方、時価総額が大きい銘柄の一角が堅調だったことから、グロース市場コア指数は続伸、週間ベースで+4.77%となった。
時価総額上位銘柄では、25年9月期通期業績予想の上方修正と期末配当の増額修正を発表したMTGが年初来高値を更新。サンバイオは、「アクーゴ脳内移植用注」の成長期待から年初来高値を更新している。トレーディングカードゲームが好調なカバーは、4月半ばの戻り高値水準を回復。JAXAが実施する「月-地球間通信システム開発・実証(FS)」において、KDDIと月面モバイル通信に関する調査の委託業務契約を締結したispaceは、昨年3月以来の水準を回復した。
先週から今週はIPOがなかった。4月25日に札証アンビシャスに上場したエレベーターコミュニケーションズは、4月30日につけた1897円を安値に5営業日続伸とリバウンド基調を強めている。一方で、4月22日にグロース市場に上場したデジタルグリッドは、調整を継続しており、5月8日には4615円まで売られ、上場来安値を更新した。
■決算を手掛かりにした日替わり的な物色か
来週の新興市場は、決算を手掛かりにした日替わり的な物色が中心となりそうだ。テックファームHD、コラントッテ、ビジネスコーチは9日、25年3月期業績予想の上方修正を発表している。WASHハウスは、9日に発表した25年12月期第1四半期の営業損益が黒字に転換した。ispaceは「ミッション2」の開発費用の大半を前期に計上したことで、26年3月期の最終赤字が縮小する見込みとなっている。
12日にはLaboro.AI、ジェノバ、豆蔵デジタルHD、インテグラル、13日にはAI inside、キャンバス、アドベンチャー、タスキHD、FinatextHD、ジーニー、トライト、バンク・オブ・イノベーション、14日にはトライアルHD、Synspective、弁護士ドットコム、ACSL、ライフネット生命保険、AIロボティクス、15日にはフルッタフルッタ、CYBERDYNE、スカイマーク、フリー、ジーエヌアイグループなどの決算発表が予定されている。
トライアルHDやジーエヌアイグループなど、時価総額上位銘柄の決算は、機関投資家による関心も高そうだ。そのほか、宇宙ビジネスに関連する企業への物色は根強く、ispaceやSynspective、ACSLなどの決算が注目されやすい。決算反応によっては、Ridge-i、QPS研究所、アストロスケールHDといった他の宇宙関連銘柄への波及も期待される。
来週はIPOの予定はない。直近上場銘柄でリバウンドをみせているエレベーターコミュニケーションズやジグザグ、TalentXのほか、上場来高値を更新してきたパパネッツの動向が注目されそうだ。