16日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は3日続落、円高推移が重しも下値は限定的
・ドル・円は下げ渋り、米金利に追随
・値下り寄与トップは東エレク、同2位はアドバンテスト
■日経平均は3日続落、円高推移が重しも下値は限定的
日経平均は3日続落。前日比96.12円安(-0.25%)の37659.39円(出来高概算9億2000万株)で前場の取引を終えている。
15日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は271.69ドル高の42322.75ドル、ナスダックは34.49ポイント安の19112.32で取引を終了した。小売企業数社が関税による影響に懸念を表明したため、警戒感に寄り付き後、下落。その後発表された小売売上高は伸びが鈍化したものの予想を上回ったため景気減速懸念が緩和、さらに、生産者物価指数(PPI)も予想外に低下し、関税によるインフレ上昇懸念が後退した。金利低下を好感し、ダウは上昇に転じ、終盤にかけ上げ幅を拡大。一方で、ナスダックはプラス圏を維持できず、まちまちで終了した。
米国株がまちまちだったことから東京市場は静かなスタート。日経平均は前日終値水準で開始した後は、為替が1ドル144円台に入るなど円高ドル安進行が嫌気されて、一時37400円台まで下げる場面も見られた。ただ、売り一巡後は決算関連銘柄を中心とした売買に関心が向かい、指数を押し下げるような動きは限定的。日経平均は37600円水準でのもみ合いが続いた。
日経平均採用銘柄では、米ハイテク株の下げを受けて、スクリーンHD、ルネサスエレクトロニクス、東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテックなど半導体株が弱い。また、りそなHD、第一生命HD、三井住友など金融株も軟調推移。このほか、古河電工、TOPPANホールディングス、デンソー、コニカミノルタなどが売られた。
一方、10-3月期純利益が市場予想を上回ったほか、一部証券会社が投資判断を引き上げたことなどが材料視されてサイバーエージェントが大幅高で年初来高値を更新。また、売上高が材料視されてJ.フロント リテイリングも急騰したほか、大規模な自社株買いが好感されてクレディセゾンが買われた。このほか、高島屋、三越伊勢丹、オークマ、日産自、第一三共などが買われた。
業種別では、鉱業、電気機器、サービス、不動産、非鉄金属などが下落した一方、海運、医薬品、繊維、卸売、その他製品などが上昇した。
本日の決算発表銘柄は15時に東映アニメーション、アーレスティ、ヨシタケ、カナデン、引けでフジHDぐらいとピークアウトしたが、証券会社によるレポートなどを材料視した個別物色は続くと考える。後場の日経平均は短期的な過熱感などが意識されて、引き続き軟調推移となりそうだが、為替は1ドル145円台前半と円高ドル安進行は一服。日経平均は37600円台水準でのもみ合いとなり、後場一段安は回避されよう。
■ドル・円は下げ渋り、米金利に追随
16日午前の東京市場でドル・円は下げ渋り、145円69銭から144円97銭まで下落後は小幅に戻した。米10年債利回りの低下一服でドル売りはいったん収束し、ユーロ・ドルは上値が重い。一方、日本のマイナス成長で追加利上げ観測は後退し円売りも。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は144円97銭から145円69銭、ユーロ・円は162円45銭から163円02銭、ユーロ・ドルは1.1183ドルから1.1208ドル。
■後場のチェック銘柄
・L is B、LIFE CREATEなど、7銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下り寄与トップは東エレク、同2位はアドバンテスト
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・日・1-3月期国内総生産速報値:前期比年率-0.7%(予想:-0.3%、前期:+2.2%→+2.4%)
【要人発言】
・加藤財務相
「米韓協議についてはノーコメント」
「前回の協議で合意した点に基づき、ベッセント米財務相と為替問題について協議」
・植田日銀総裁
「中央銀行の独立性は物価安定実現のため重要」
「利上げ過程で赤字が発生しても、長期的には収益が出てくる」
・赤沢経済再生相
「農業を犠牲にした米国との通商合意はあり得ない」
「米関税措置、今後も新しいもの出てくること想定される状況」
「1-3月期個人消費には米関税措置の影響出ているようにはみえない」
「米の日米貿易協定見直し報道、承知しているがコメントしない」
「米関税措置、日米貿易協定との整合性に重大な懸念があるとは従来から申し上げている」
・台湾行政院副院長
「米国との貿易協議には、為替は含まれていない」
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