10日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は続伸、米ハイテク株高と円安受けて買い優勢
・ドル・円はしっかり、円売りで一時145円台
・値上り寄与トップはアドバンテスト、同2位はソフトバンクG
■日経平均は続伸、米ハイテク株高と円安受けて買い優勢
日経平均は続伸。385.40円高の38473.97円(出来高概算6億5326万株)で前場の取引を終えている。
前日9日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は1.11ドル安の42761.76ドル、ナスダックは61.29ポイント高の19591.24で取引を終了した。対中通商協議の再開で、期待感から買われ寄り付き後、上昇。NY連銀が発表したインフレ期待率の低下で長期金利が低下したことも好感されナスダックは続伸。終盤にかけ、通商協議が10日も継続することが明かになると、様子見気配が強まり、ダウは失速し小幅安に転じ、主要指数は高安まちまちで終了した。
米株式市場の動向を横目に、10日の日経平均は189.60円高の38278.17円と3日続伸して取引を開始した。買い手優位の状況が続いて、前引けにかけて上げ幅を広げる展開となった。昨日の米株式市場でダウ平均は小幅に下落したが、ナスダック総合指数やフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が上昇したことで、東京市場のハイテク株や半導体関連株の株価支援要因となった。また、米長期金利や円相場が落ち着いた動きだったことも安心感を誘った。さらに、昨日の日経平均が37900円台に位置する200日移動平均線や節目とされる38000円を上回って取引を終えたことから、相場は上昇基調にあるとの見方もあったようだ。
個別では、レーザーテックやディスコ、アドバンテストなど半導体関連株が堅調に推移した。また、ソニーグループ、ソフトバンクグループ、サンリオ、ディー・エヌ・エー、トヨタ自動車、信越化、リクルートHDなどが上昇した。そのほか、ブローブカードの需要高水準継続として国内証券が評価を引き上げた日本マイクロニクスが大幅高、双葉電子工業、フジ・コーポレーション、ビューティガレージなどが値上がり率上位となった。
一方、ファーストリテ、川崎重工業、任天堂、三菱重工業、IHI、フジクラ、古河電工、みずほなどが下落した。ほか、マネジメントソリューションズ、フルヤ金属、デジタルガレージなどが値下がり率上位となった。
業種別では、精密機器、化学、ガラス・土石が上昇した一方で、倉庫・運輸関連業、保険業、小売業が下落した。
後場の日経平均はプラス圏で堅調な展開が続きそうだ。ただ、日経平均は昨日までの2営業日で500円を超す上げとなったことから、目先的な利益確定売りや戻り待ちの売りも出やすい。また、今日も開かれると見られる米中貿易協議の結果や、15日から17日に開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて開かれると見られる日米首脳会談で関税や貿易に関し何らかの合意に至れるかなどを見極めたいとして、積極的な買いを見送る向きが広がる可能性もある。
■ドル・円はしっかり、円売りで一時145円台
10日午前の東京市場でドル・円はしっかりの値動きとなり、144円40銭から145円29銭まで値を上げた。植田日銀総裁の発言で早期の追加利上げ観測は遠のき、円売り優勢の展開に。また、米金利高でドル買いも強まり、前週に続き一時145円台へ再浮上。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は144円40銭から145円29銭、ユーロ・円は165円06銭から165円44銭、ユーロ・ドルは1.1386ドルから1.1435ドル。
■後場のチェック銘柄
・データセクション、CINCなど、5銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値上り寄与トップはアドバンテスト、同2位はソフトバンクG
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・日・ 5月マネーストックM3:前年比+0.2%(4月:+0.1%)
【要人発言】
・赤沢経済再生相
「協議の道筋は五里霧中、最終的に決めるのはトランプ大統領」
「(関税協議で)最終的に一致点見出せるか、見えているとは言えない」
「G7サミットに同行するか、予断を持って答えられない」
・植田日銀総裁
「利下げで経済追加的に刺激する余地は非常に限られる」
「短期金利のゼロ制約を念頭に置く必要」
「基調的な物価上昇率はまだ2%に少し距離がある」
「基調物価が2%に接近、2%付近の確度高まれば引き続き政策金利引き上げ」
「政府や経済界の賃上げ努力や価格転嫁進展の工夫も予想物価上げるのに寄与」
<国内>
・特になし
<海外>
・15:00 英・5月失業率(4月:4.5%)