日経平均は大幅反発。415.03円高の38769.12円(出来高概算7億8773万株)で前場の取引を終えている。
前日の米国株式市場は堅調に推移。軍のイラン核開発施設攻撃を受けた中東情勢の悪化懸念が広がったが、連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン副議長が7月の利下げを支持する可能性を示唆すると早期利下げ期待に相場は上昇に転じた。同時に中東各国が一時的な空域閉鎖を発表、イランは報復攻撃を開始したとの報道で、警戒感が強まり、再び大きく売られた。しかし、カタールがミサイルを迎撃、犠牲者はいないことを発表すると限定的な報復攻撃にとどまるとの情勢鎮静化への期待に買い戻しが加速。終盤にかけて上げ幅を拡大した。
米国市場を横目に、24日の日経平均は425.09円高の38779.18円と4日ぶり反発して取引を開始。その後上値の重い値動きとなったが、プラス圏で推移した。トランプ米大統領は23日、イスラエルとイランが「完全な停戦で合意した」と自身のSNSに投稿し、イランは攻撃停止示唆したことから中東の地政学リスクが後退。投資家心理を上向かせた。また、原油価格が急落し、企業のエネルギーコスト増加懸念も後退。そのほか、昨日の米株式市場で主要指数が上昇したことが東京市場の株価支援要因となった。
個別では、アドバンテや東エレクなどの一部の半導体関連株のほか、日本航空やANAホールディングスなどの空運株が堅調に推移。また、ファーストリテ、トヨタ自動車、フジクラ、任天堂、三井住友、川崎重工業、ソフトバンクグループ、ソニーグループ、日立などが上昇した。ほか、受注回復織り込み国内証券が格上げを行ったレーザーテックが急騰、インフォマート、セレス、壱番屋などが値上がり率上位となった。
一方、三菱重工業やIHIなど一部の防衛関連、INPEXや石油資源開発などの原油関連は軟調に推移。また、キオクシアホールディングス、サンリオ、ルネサスエレクトロニクス、三井E&Sなどが下落した。ほか、シティインデックスイレブンスの保有比率がゼロとなった大平洋金属が大幅安、大幸薬品、アドバンスクリエイト、富士石油などが値下がり率上位となった。
業種別では、空運業、非鉄金属、その他製品などが値上がり率上位、鉱業、石油・石炭製品、海運業などが値下がり率上位に並んでいる。
後場の日経平均は上値の重い展開が継続するか。一旦の中東情勢への警戒感が和らいだが、イランのアラグチ外相は日本時間の午前10時前に「現時点では停戦や軍事行動の停止ついての合意は存在しない」とした上で「イスラエルが攻撃停止すれば停戦応じる」とSNSを投稿しており、完全に不透明感が払しょくされたわけではない。今後の動向を見極めたいとして一段の上値追いの動きは限定的となりそうだ。また、FRB当局者の利下げ発言により米国長期金利が低下、為替市場で円高ドル安方向に進んでいる点は東京市場で重石となろう。