■プライムなど大型株への資金シフトが強まった
今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が+4.55%だったのに対して、グロース市場指数は-1.86%、グロース市場250指数は-1.98%。中東情勢への過度な警戒感が和らいだほか、米中関税の合意期待からハイテク株を中心に買われた。プライムなど大型株への資金シフトが強まったことから、中小型株は利益確定の売りが優勢となり、グロース指数、グロース250指数は週末かけて軟化。一方、時価総額が大きい銘柄で構成されているグロース市場コア指数は週間ベースで-0.75%となり、相対的に小幅な調整にとどまった。
時価総額上位銘柄では、アナリストの強気カバレッジが観測されたMTGは、6月25日に4080円まで買われ、19年2月以来の水準を回復した。HENNGEは、Sansanとの連携を手掛かりに強い基調が続き、22年1月以来の水準まで上昇した。一方、サンバイオは、外傷性脳損傷薬の承認遅れが嫌気され、5月上旬以来の水準に下落。強い基調が続いていたAiロボティクスは、6月20日につけた6680円をピークに利益確定の売りが優勢となった。
今週のIPOは、6月23日にウェルネス・コミュニケーションズ、24日にプリモグローバルホールディングス、25日に北里コーポレーション、26日にエータイの4社が上場した。ウェルネス・コミュニケーションズの初値は、公開価格(2480円)を33.1%上回る3300円、エータイの初値は、公開価格(1510円)を68.7%上回る2547円となった。
■成長期待の高い銘柄へは見直し買いが入りやすい
来週の新興市場は、米国市場でS&P500指数、ナスダック指数が最高値を更新する中、プライム銘柄への資金シフトが続く可能性があるため、利食いが入りやすい需給状況となりそうだ。ただ、日経平均株価は今週の上昇で過熱感が警戒されやすいほか、配当再投資に伴う需給要因も一巡する可能性がある。一方、新興市場は今週の調整で過熱感が和らいでおり、Ai関連など成長期待の高い銘柄へは見直し買いが入りやすく、選別物色に向かわせそうである。
個別の材料として、フルッタフルッタは、同社製品がふるさと納税サイト「さとふる」で取り扱いを開始したとの発表を受けて週末に急伸しており、6月20日の高値240円を捉えてくるかが注目される。ベガコーポレーションは、今週末の急伸で21年4月以来の水準を回復しており、一段のリバウンドが期待されやすい。リンカーズは、今週末ストップ高で24年12月以来の水準を回復した後は失速したため、再動意をみせてくるかが注目されよう。そのほか、タイミーは6月27日、滋賀県守山市、守山商工会議所と「地域の人材不足解消に関する連携協定」を締結したと発表しており、材料視されそうだ。
来週は3社のIPOが予定されている。6月30日にグロース市場にメンズコスメを企画・販売するリップスと、スタンダード市場に産業機械レンタルのレント、7月4日には広告事業を展開するヒットがグロース市場に上場する。リップスは公開価格3130円に対して、初値は公開価格と同値を予想。レントは公開価格4330円に対して、初値は4500円を想定している。ヒットの公開価格は1500円に決定した。