目次
一戸敏氏:株式会社エージェントIGホールディングス代表取締役社長の一戸敏です。本日はお忙しい中、当社の決算発表説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日の説明会では、7月1日に完全子会社化した株式会社エージェント・インシュアランス・グループ(以下、エージェント・インシュアランス・グループ)の2025年12月期第2四半期決算の概要を中心に、当社グループの成長戦略の進捗や今後の展望についてご説明します。
目次に沿って、決算概要をご説明します。
エージェントIGホールディングスとしての新たな出発
当社は2025年7月1日に単独株式移転の方法により、エージェント・インシュアランス・グループの純粋持株会社として設立され、名古屋証券取引所メイン市場に上場しました。
エージェント・インシュアランス・グループで掲げていた成長戦略を、よりスピーディかつ力強く推進するとともに、グループ内の各事業会社への権限委譲も進めながら、企業価値ならびに株主価値の最大化に努めていきますので、今後ともよろしくお願いします。
2025年12月期 第2四半期 決算ハイライト
2025年12月期第2四半期の決算ハイライトです。当社の売上高にあたる営業収益については、前期下期よりファイナンシャル・ジャパン株式会社(以下、ファイナンシャル・ジャパン)が連結化されたことにより62億7,500万円と、第1四半期に続き、前年同期の3倍超を達成しました。
また、足元における損保・生保のクロスセルや、事業承継による新規合流も堅調に推移しました。
一方で、業務品質及びガバナンス体制強化に向けた管理コストを引き続き積極的に投入したほか、第1四半期における一過性の費用も重なり、4,400万円の営業損失を計上しました。しかしながら、第2四半期の会計期間全体では営業黒字を確保しています。
取扱保険料は1,676億円となりました。法人のお客さまは2万6,307社、個人のお客さまは33万2,054人となりました。いずれも営業収益と同様に、ファイナンシャル・ジャパンの合流により前年同期比で大幅に増加しています。
また、当社の成長戦略の柱であるM&Aや事業承継の取り組みも、引き続き順調に推移しました。今年1月にM&Aで取得した株式会社コスモアビリティ(以下、コスモアビリティ)との連携のほか、他社との連携事業などにも積極的に取り組んでいきます。
2025年12月期 第2四半期 損益計算書サマリー
第2四半期の損益計算書のサマリーです。ファイナンシャル・ジャパンの連結化により、営業収益が3倍以上に伸長したほか、損害保険・生命保険のクロスセルが進み、営業収益が好調となりました。
一方で、業務品質及びガバナンス体制強化に向けた管理コストが大幅に増加したことに加え、第1四半期における国内事業の一過性費用が重なったこともあり、一時的に営業損失を計上しました。しかしながら、第2四半期会計期間においては、国内外ともに営業利益を確保しています。
連結業績推移(四半期)
連結業績推移は、スライドのグラフのとおりです。2025年12月期第2四半期の国内事業における営業収益は、前年同期の3倍以上に拡大しました。この結果、四半期ベースでの営業収益は過去最高を記録しています。
また、累計ベースでは営業損失ではあるものの、第2四半期会計期間において営業利益を確保しました。通期業績予想の達成ならびに来期以降のさらなる成長に向け、下期で着実に利益を積み上げていきます。
KPI推移 営業社員数
重要KPIについてご説明します。営業社員数はグループ全体で1,176人です。前期末からの増員数は34名と、業務品質を維持しながらも着実に営業社員数を伸ばしています。
今後も新規採用に加え、M&Aや事業承継を積極的に進め、スピード感のある成長を目指します。
M&A及び事業承継の進捗
M&A及び事業承継の進捗についてです。当社グループは、統廃合が進む保険代理店業界において、積極的なM&A及び事業承継を行っています。当期も43件の事業承継を実施し、現在までの累計で636件の保険代理店のM&A及び事業承継を実施しました。
今後、保険代理店にはこれまで以上に業務品質レベルの向上が求められると見込まれており、当社としても業界の再編がさらに進むと考えています。
当社は、いち保険代理店として募集品質の向上に一層注力するとともに、これまで培ってきた保険代理店支援プラットフォームの仕組みを活用し、M&A及び事業承継をさらに加速させ、事業拡大に取り組んでいきます。
KPI推移 取扱保険料・お客様の数
取扱保険料及びお客さまの数は、前期にファイナンシャル・ジャパン分が加算されたことで、大幅に拡大しました。取扱保険料は1,676億円、法人のお客さまは2万6,307社、個人のお客さまは33万2,054人となりました。
合流後も積極的な営業活動により、エージェント・インシュアランス・グループ、ファイナンシャル・ジャパンともに順調に伸びています。
2025年12月期 第2四半期 貸借対照表サマリー
第2四半期末の貸借対照表サマリーは、スライドのとおりです。この結果、自己資本比率は25.3パーセントとなりました。引き続き健全経営に努めていきます。
直近の国内保険代理店業界動向
第2四半期から直近のトピックスについてお話しします。まずは、直近の国内保険代理店業界の動向について、あらためてご説明します。
損害保険業界では、大手中古車販売業者による不正問題や、損害保険各社による価格調整問題など、相次ぐ不祥事の発生を受け、業界のさまざまな課題への対応について幅広い議論が行われてきました。
これらの議論では、主に大規模代理店に対する指導の実効性の確保や、保険会社による代理店への過度な便宜供与の制限など、顧客本位の業務運営の徹底をテーマに協議が重ねられてきました。
顧客本位の業務運営は、当社が以前から掲げている事業方針です。グループ規模の拡大と募集品質の維持・向上を両立させながら、引き続きM&A及び事業承継を積極的に進め、より多くのお客さまに「あんしん」を提供できるよう、業務品質のさらなる向上に取り組んでいきます。
2025年12月期 国内事業方針
これらを踏まえた今期の国内事業の方針です。業界の急速な変化に確実に対応できる強固な体制を構築するため、事業基盤として重要となるガバナンス、人事戦略、システム面での各組織の体制強化に取り組みます。
施策としては、業務品質改革、当社に合流いただくパートナーの活躍創出、事業承継など、5つの施策を基に、お客さまの利益創出に最善を尽くす取り組みを引き続き推進します。
引き続きチャンネルを問わないM&A及び事業承継の推進を通じた、取扱保険料及びお客さま数の拡大、損害保険・生命保険のクロスセル及びアップセルにより、一定水準の収益を確保しつつも、これらの体制強化に向けて、戦略的にコストを投下していきます。
2025年12月期 海外事業方針
海外事業では、ザ・ボールドウィン・グループ社をはじめ、大手ブローカーとの提携を強化させ、さらなる案件創出に取り組みます。
また、国内事業と同様に、既存のお客さまへの生命保険のクロスセルを推進するほか、米国でローカルマーケットの新規開拓や、米国以外への進出の検討も進めていきます。
なお、春先に発生したカリフォルニア州における大規模な山火事や、トランプ政権による相互関税などの、当社事業への影響は今のところありません。
組織再編の進捗
第2四半期のトピックスです。冒頭でお話しした、持株会社体制への移行のその後の進捗状況についてです。
2025年10月1日に、エージェント・インシュアランス・グループにおける関係会社管理事業等の権利義務を吸収分割によって、持株会社であるエージェントIGホールディングスが承継します。
これにより、各事業会社が持株会社の傘下に横並びで配置され、各社の機能に応じたビジネスが展開されます。また、今後はより機動的かつ戦略的にM&A及び事業承継を実施し、迅速な意思決定のもと、持続的成長と企業価値向上の実現できる企業体制へと進化していきます。
M&Aサポートサービスを開始
直近のトピックスです。M&A総合研究所と、エージェント・インシュアランス・グループの業務提携による「M&Aサポートサービス」を開始します。
中小企業における経営者の高齢化と後継者不足は深刻な社会課題となっており、休廃業を選択せざるを得ない企業が増加傾向にあります。当社グループはこれまで保険を通じて企業の事業承継を支援してきましたが、事業承継の局面ではM&Aという選択肢の重要性を強く認識していました。
本提携により、エージェント・インシュアランス・グループが持つ保険によるリスクマネジメントや財産保全の知見と、M&A総合研究所の迅速かつ効率的なM&Aプロセスを組み合わせることで、お客さまの事業承継に関するあらゆるニーズに対し、ワンストップで最適なソリューションを提供できるようになります。
これにより、これまで時間やコストの面でM&Aを躊躇していた中小企業経営者の方々にも、新たな事業承継の道を提供することで、企業の永続的な発展に貢献していきます。
法人・個人事業主向け弁護士費用保険「bonobo(ボノボ)」販売
本業である保険商品の販売においても、取り組みを強化しています。エージェント・インシュアランス・グループは、アシロ少額短期保険との戦略的パートナーシップに基づき、法人や個人事業主向けの弁護士費用保険「bonobo」の販売において連携を進めていきます。
「bonobo」には、法人のお客さまの法務業務をサポートするために、弁護士利用時の費用の一部を補償するだけでなく、日常の法務業務を支援するようなサービスが付帯しています。
エージェント・インシュアランス・グループでは、法人のお客さま向けのファイナンシャルプランニングサービスをさらに充実させることで、お客さまの利便性と満足度の向上に努めていきます。
ファイナンシャル・ジャパンにて住宅ローンの取り扱いを開始
ファイナンシャル・ジャパンにおいても、新たな取り組みを始めています。2025年8月1日に、auじぶん銀行と銀行代理業委託契約を締結し、住宅ローン商品の媒介に関わる業務を開始しました。
ファイナンシャル・ジャパンの全国拠点に所属する経験豊富なスタッフが、auじぶん銀行の住宅ローンの魅力や活用法を案内し、住まいに関する資金計画を検討中のお客さまに納得感のある選択肢を提供します。
ファイナンシャル・ジャパンは、今後も「お客さま第一主義」「専門性の高さ」を強みに、保険・金融を通じた「あんしん」と価値の提供に努めていきます。
ファイナンシャル・ジャパンの強み
ファイナンシャル・ジャパンの強みについて、あらためてご紹介します。損害保険中心であった当社グループに対し、生命保険中心のファイナンシャル・ジャパンがグループ入りしたことで、今後グループ内では損害保険だけでなく生命保険の拡販がさらに推進されることとなります。
ファイナンシャル・ジャパンは、全国に56の拠点を持ち、17万先以上のお客さま基盤を有しています。また、これらのお客さまに対する募集品質の維持・向上策として、社内の研修体制や教育体制が充実している点が特徴です。
加えて、一昨年の三井住友カード株式会社(以下、三井住友カード)との業務提携に加え、マーケットホルダーと呼ばれる各業界で優良なお客さま基盤を有する提携先からの安定した紹介網があります。特に、三井住友カードからは累計7,000件を超える紹介実績があり、今後も提携をさらに強固なものとしていく方針です。
「ほけチョイスマガジン」リリース
以前より、投資家のみなさまから多くご質問もいただいていた「ほけチョイス」も進化を遂げています。
「ほけチョイスマガジン」というWebメディアを立ち上げ、定期的に記事を配信することで、お客さまや保険にまだ馴染みのない方々の素朴な疑問に答えていきます。
ここからリスク診断システム「ほけチョイス」のご利用につなげることで、新規保険契約の獲得やクロスセル・アップセルの強化を図り、よりお客さまに「あんしん」、納得してご契約いただけるサービスへと育てていきます。
コスモアビリティとの連携
2025年1月にグループ入りしたコスモアビリティとの連携も順調に進んでいます。
当社はもともと、保険代理店業界が非常にアナログな世界であることに危機感を持ち、「テクノロジーの活用」を成長戦略に掲げ、自社システムの開発に取り組んできました。これらをさらに強化するため、株式を取得しました。
コスモアビリティは、SESと言われるクライアント先での開発業務を得意とする会社です。その強みを活かし、開発面での連携をスタートさせています。当社には「A-system」という基幹システムがありますが、その機能を強化・拡充するかたちでの刷新を今後進めていく予定です。
このシステムが本格稼働した際には、営業フローの効率化や経営判断のスピード向上、省力化だけでなく、創出した時間をお客さま対応に充てることで、お客さま満足度の向上を通じて収益に貢献する見込みです。
2025年12月期 業績見通し
2025年12月期の見通しについてお伝えします。当期の通期業績見通しは、エージェント・インシュアランス・グループが2月14日に公表した内容から変更はありません。
営業収益は123億4,000万円で前年比51パーセント増、営業利益は2億6,500万円で前年比85パーセント増、当期純利益は1億4,000万円で前年比162パーセント増を見込んでいます。
中長期成長イメージ
ここからは、当社の成長戦略についてあらためてご説明します。まずは、中長期成長イメージについてです。
ストック型収益である損害保険を主軸に据えた安定的なビジネスモデルと、保険代理店支援プラットフォームの拡大を通じて、保険代理店としての価値をこれまで以上に確立していきます。
また、「世界に打ち出すメイドインジャパンのクオリティ」を掲げ、米国を中心としてグローバルに保険代理店支援プラットフォームを輸出し、事業を展開していきます。
さらに、その後はハイブリッドアドバイザーとして、保険プラスアルファの提供に挑戦する意向です。保険業界だけでなく、隣接業界にも挑戦することで、お客さまの課題解決力向上を図ります。
このような方針のもと、具体的な成長戦略をご説明します。
成長戦略ハイライト
成長戦略のハイライトは、「M&A及び事業承継戦略」「テクノロジーの活用」「海外事業の拡大」の3つです。
市場規模を拡大し続けている日本の保険市場規模
当社の成長戦略の1つである「M&A及び事業承継戦略」についてご説明する前に、当社の事業環境についてお話しします。スライド左側のグラフは損害保険市場規模の推移、右のグラフは生命保険市場規模の推移を示しています。
損害保険市場は、2011年度の7.1兆円規模から2024年度には9.6兆円規模へと成長し、約35パーセント拡大しています。損害保険市場は、近年増加傾向にある天災リスクやサイバーリスクなどの影響により、今後も拡大傾向にあると予測されています。
一方、生命保険市場は2015年度の39兆円をピークに縮小傾向が続いていましたが、近年再び成長に転じ、2023年度には43兆円を記録しました。この一因として、国策の影響で、NISAやiDeCoなどをはじめとした、投資に興味を持った方が多くなったことが挙げられます。
年々減少し続ける損害保険代理店数
スライドの棒グラフは保険代理店数の推移、折れ線グラフは保険募集人、すなわち保険を販売できる人の数を表しています。
損害保険市場は拡大傾向にある一方で、損害保険代理店の数は年々減少しており、1997年3月時点で62万3,000店をピークに、2025年3月時点では14万店にまで減少しました。
減少している理由の1つに、保険業法の改正等に伴う体制整備の向上が求められていることで、中小規模の保険代理店の単独での事業運営が困難になっていることが挙げられます。しかし、募集人の人数については、折れ線グラフのとおり横ばいで推移しており、2025年3月時点では177万9,000人となっています。
スライドのグラフから、保険代理店業界では代理店の再編が積極的に行われ、代理店1店舗あたりの規模の大型化が進んでいることが読み取れます。
高まる保険代理店の事業承継ニーズ
損害保険代理店数が減少しているもう1つの理由は、代理店主の高齢化です。スライドの円グラフのとおり、代理店主が50歳以上の損害保険代理店は全体の75.5パーセント、60歳以上の割合は40.6パーセントを占めています。
保険業法の改正に伴う体制整備の強化やAI・IT化への対応、社会環境の変化への適応が困難な代理店が増加しています。保険代理店として求められる業務品質レベルが高まる中、代理店の高齢化も非常に大きな課題となっています。
このような事業環境の背景を踏まえ、ここからは「M&A及び事業承継戦略」についてお伝えします。
成長戦略 | ①M&A及び事業承継戦略 | 新たなマーケット拡大
「M&A及び事業承継戦略」においては、従来当社が強みとしていた保険代理店業を主とする専業代理店のM&A及び事業承継に加え、他の事業と併せて保険の販売を行う兼業代理店のM&A及び事業承継を推進します。
保険代理店業界の再編の動きは、今後さらに加速すると言われています。昨今、改正保険業法やコンプライアンス、各保険会社の規則・ルールに則った保険販売が強く求められています。
そのような流れの中で、自動車ディーラーや不動産業者等、他の事業を行いながら保険を販売する兼業代理店も、保険代理店業を継続することが難しくなっています。約5.8兆円の大きな市場を持つ兼業代理店も、再編の対象となる動きが活発化しています。
また、当社グループとして、ブローカー部門の新設を検討しています。当社は、これまでの専業代理店のM&A及び事業承継のノウハウを活用し、自社のマーケットシェアを拡大していきます。
成長戦略 | ①M&A及び事業承継戦略 | アップセル・クロスセルの推進
保険代理店のM&A及び事業承継を通じて、アップセル・クロスセルによる好循環モデルをさらに強化します。
損害保険中心のストック型ビジネスを基盤に、生命保険のクロスセルを行うことで、事業規模を拡大していきます。保険代理店支援プラットフォームを活用し、マーケットシェアを拡大することで、継続的にお客さまの数も増加しています。
損害保険には毎年、更新手続きがあります。お客さまと接点を持ちやすいという特徴を活かし、お客さまのニーズの変化にタイムリーに対応し、ライフステージに応じた有益な情報の提供や、パーソナライズされたクロスセルを実施しています。
それにより、事業を拡大しながら、お客さまにさらなる「あんしん」を提供していきます。
成長戦略 | ②テクノロジーの活用 | コスモアビリティの合流により期待される効果
成長戦略の2つ目である「テクノロジー」の活用についてご説明します。コスモアビリティの子会社化を機に、デジタルを活用した募集・契約管理等、非対面での代理店向け業務支援を加速させます。
その他にも、コンプライアンス推進のデジタル化や、保険業界及び隣接業界でのさらなるマーケットを開拓し、将来的には金融商品を含めたワンストップサービスを提供していきます。
成長戦略② | テクノロジーの活用
その結果、デジタルと対面サポートの融合により、お客さまに対してより良いサービスの提供を実現します。
この後、具体的に説明しますが、乗合保険代理店向けにカスタマイズされた顧客管理システム「A-System」の提供や、オンラインでお客さまのリスクタイプと必要な保障(補償)の優先順位がわかるリスク診断システム「ほけチョイス」を、今後展開していきます。
それにより、デジタルを活用したお客さま接点の拡充を図り、お客さまに求められる商品やサービスをご提供できるように支援するだけでなく、体制整備・コンプライアンスの推進に向けてもデジタルで支援していきます。
成長戦略 | ②テクノロジーの活用 | 保険代理店基幹システム「A-System」
保険代理店基幹システム「A-System」についてご説明します。当社では、損害保険・生命保険をともに取り扱う乗合保険代理店向けにカスタマイズされた、国内屈指の顧客管理システムを開発しています。
通常、保険会社ごとのシステムで契約単位の顧客管理が必要とされる中、「A-System」ではお客さまを中心とした契約管理や分析、さらには予算実績の管理等、保険会社を横断したあらゆる顧客情報を一元管理することが可能です。
営業支援機能を強化し、すべての顧客情報を集約することで、業務の生産性を向上させ、より効率的なデータベースマーケティングを実現します。
成長戦略 | ②テクノロジーの活用 | オンライン リスク診断システム「ほけチョイス」
リスク診断システム「ほけチョイス」の活用も、引き続き推進していきます。
「ほけチョイス」は、スマートフォン1台でお客さまのリスクタイプと必要な保障(補償)の優先順位を把握できるリスク診断システムです。こちらは、「ほけチョイスマガジン」との連携に合わせて、保険ご契約者さま以外も利用可能なかたちにアップデートしました。
労働集約型であるこの業界から脱却していくためのツールの1つにしていきたいと考えています。ぜひ一度お試しください。
成長戦略 | ③海外事業の拡大 | 米国市場規模
3つ目の成長戦略である「海外事業の拡大」についてご説明します。
米国市場規模については、スライド左側の2023年時点の比較グラフのとおり、日本国内の損害保険市場は9.1兆円である一方、米国市場はその39倍の356.3兆円となっています。
米国はリスク大国で、日本以上にリスクが顕在化しているため、大きなマーケットが広がっています。一方で、世界最大の保険マーケットを有する米国においても、保険ブローカーや保険代理店の高齢化及び後継者不足が課題となっています。
成長戦略 | ③海外事業の拡大
そのような中、当社は日本国内で確立した保険代理店支援プラットフォームを、米国にも展開しています。
米国では、州ごとに保険を取り扱うライセンスを取得する必要がありますが、当社は50州中40州でライセンスを取得しました。
現在は、カリフォルニア州、テキサス州、ジョージア州の3州にのみ拠点を設けていますが、今後は保険代理店支援プラットフォームを活用したさらなる拠点展開や、州をまたぐビジネスを展開する法人のお客さまのニーズに対応し、さらなる事業拡大を目指します。
また、日本人駐在員や日本企業向けマーケットの開拓に加え、米国のローカルマーケットの開拓にも注力していきます。
SDGs達成に向けた取組み
最後に、当社が大切にしているSDGsの取り組みについてご説明します。当社は、お客さまが「あんしん」して生活を続けられる社会の実現を目指し、持続可能な社会作りに貢献することを目指しています。
事業承継を通じて、地方での雇用創出やダイバーシティ推進、働き方改革に取り組むことで、「事業承継とデジタル化」による雇用促進・地方創生、「あんしん」「あんぜん」な労働環境の促進など、さまざまな取り組みを引き続き積極的に進めていきます。
本日の資料のご説明は以上です。みなさま、ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:ファイナンシャル・ジャパンのPMIの進捗について
「ファイナンシャル・ジャパンのPMIにおいて、想像以上に苦労している点はありますか?」というご質問です。
ご存知のとおり、当社よりも大きな規模の会社にグループインしていただいたため、想定以上の苦労をしているというより、私たちでは想像できなかったような課題は当然あります。
しかしながら、大幅に逸脱するような問題はそれほど多くはなく、PMIをしっかり回せていると認識しています。したがって、想定以上に苦労している点はそれほどないと考えています。
質疑応答:M&A総合研究所との連携の詳細について
「M&A総合研究所との連携について、詳細を教えてください」というご質問です。
保険の商品の販売に真剣に取り組めば取り組むほど、保険だけでは限界があるという課題を、当社の営業現場では常に感じており、お客さまに提供するサービスを増やしていけないかと考えてきました。
次のサービスとして、例えば、個人のお客さま向けに住宅ローンを「auじぶん銀行」と提携してファイナンシャル・ジャパンで提供したり、その前に投資信託などの販売を行ったり、さまざまな取り組みを進めてきました。
一方で、法人のお客さまに対して、保険以外でどのようなサービスを提供できるかを考えた時、法人のお客さまはいつか一度は事業承継を経験しますので、そこに対して保険を販売してきました。
しかし、ここにも保険だけでは限界があると感じました。そこで、どのようなサービスが適切かを検討する中で、M&A総合研究所さまと何十回も真剣な議論を重ね、当社でもそのようなサービスを提供できるような提携の可能性を模索しました。
その結果、今回提携が実現し、そのサービスをお客さまにローンチする運びとなりました。
質疑応答:金利の上昇やインフレが業績に与える影響について
「金利の上昇やインフレは、御社にとってプラスに作用するでしょうか?」というご質問です。
商品の販売という観点では、金利が上昇すればするほど、いわゆる変額保険や外貨建て保険など、お客さまにより優れたパフォーマンスを提供できる商品が次々と開発・提供されるため、お客さまにとっては良いことだと思います。
一方、事業についてはそれほど影響せず、当社の財務面に関してはあまり関係がないと考えています。
質疑応答:東証上場に関する展望について
「今後、東証への復帰はありますか?」というご質問です。
当社はまだ東証へ移行していませんので、「復帰」ではなく、そこに移行できるかどうかという話は常に検討しています。
ご存知のとおり、東証移行には時価総額などさまざまな課題がある中、投資家のみなさまにご心配をおかけしない状況で移行することが、みなさまに対して不義理にならないと考えています。そのため、万全の準備を整えた上で移行のタイミングを慎重に見極めています。
質疑応答:M&Aにおける買収先の企業規模について
「御社のM&Aのソーシングはどのように行っているのでしょうか? 買収先は何人規模の企業が多いでしょうか?」というご質問です。
「M&Aサポートサービス」ではなく、私たちがどのようなM&Aを行っているかというご質問だと理解しました。
M&A及び事業承継と言いますと、非常に大規模なものを行ってきているように聞こえるかもしれませんが、例えば1人で運営されている保険代理店の方がグループに加わるというケースもあります。
逆に最も大きな例としては、昨年グループインしたファイナンシャル・ジャパンが挙げられます。こちらも事業承継の1つと捉えることができますが、社員数は800人ほどだったと記憶しています。
規模にはかなり差はありますが、1人から2人という規模もよくありますが、私たちが通常取り扱う規模は、10人から20人くらいが多いと感じています。
これからはより規模の大きな代理店も、単独では業務運営が難しくなってくる状況がありますので、そのようなところからも相談を受けています。また、保険だけではなく他の事業も行っている兼業代理店からの相談がどんどん増えてきています。
質疑応答:名証における流動性対策について
「名証は東証以上に流動性の程度が生じると思いますが、対策は考えていますか?」というご質問です。
この場ですべてをお話しすることはできず申し訳ありませんが、きちんと考えているということだけはお答えします。
質疑応答:中間期業績予想を開示しない理由について
「中間期の業績予想を開示しない理由を教えてください」というご質問です。
以前からIRでお伝えしていますが、事業承継というビジネスモデル自体が、後半に伸びていく傾向があります。そのため、中間期の業績予想にはさほど意味がないと認識しています。それが開示しない理由の1つです。
質疑応答:通期業績予想達成に向けた進捗状況について
「通期業績予想達成に向けて、順調に進捗という認識でよいのでしょうか?」というご質問です。
第1四半期が約5,000万円の赤字、第2四半期がほぼプラスマイナスゼロで推移している状況ですので、利益水準が順調に上がっていることをご理解いただけるかと思います。順調に進捗しているとお考えください。
質疑応答:トランプ関税の影響について
「トランプ関税の影響はまったくないのでしょうか?」というご質問です。
金融商品ですので、まったく影響がありません。トランプ氏が発表しているさまざまなニュースをご覧いただければわかると思いますが、金融系の分野にはそれほど影響はないのではないかと思います。特に保険というビジネスについては、影響はないと考えています。
質疑応答:時価総額300億円への進捗状況について
「3年後、時価総額300億円を目指す道のりは順調でしょうか?」というご質問です。
順調と言いますか、もちろん300億円を目指して日々取り組んでいます。
質疑応答:M&A総合研究所との資本提携の可能性について
「M&A総合研究所と業務提携しましたが、今後、資本提携する可能性はありますか?」というご質問です。
今のところは特になにも考えていません。
質疑応答:出来高対策について
「本日8月19日の株式取引数はゼロでしたが、出来高対策はどのように考えていますか?」というご質問です。
やはり流動株を増やすしかないと考えています。
質疑応答:株式の流動性向上に関する議論について
「立会外分売以外に、株式の流動性向上においてどのような施策がありますか? また、貴社取締役会内で議論することはありますか?」というご質問です。
もちろんあります。取締役会だけでなく、さまざまな方と議論を行っているとご理解ください。個人投資家のみなさまのほうが詳しい部分もあるとは思いますが、当社でもいろいろと考えています。
質疑応答:取締役会の構成の変更について
「持株会社エージェントIGホールディングスと、事業会社エージェント・インシュアランス・グループの取締役はほぼ兼任となっています。ガバナンス上、どのようなことを注意していますか?」というご質問です。
もちろん取締役会は別に行っています。順序としてはエージェントIGホールディングスの取締役会を行った後に、エージェント・インシュアランス・グループの取締役会を行っています。
取締役の構成については変えていかなければならないと考えています。ただし、取締役が誰になるのかという詳細については、インサイダー情報とみなされる可能性があるため、この場ではお答えできません。
取締役会を分けていく方向性にあることだけはお伝えしておきます。
質疑応答:株主還元について
「株主還元についてのお考えを教えてください」というご質問です。
当面は、配当と株主優待しかないと思っています。日々議論を重ねており、取締役会でも話し合っています。
質疑応答:取締役の経歴掲載について
「以前、IRの一環として取締役の顔写真と経歴の掲載をホームページに要望しました。その後、検討されていますか?」というご質問です。
検討はしています。ただし、先ほどの取締役会の構成に関するご質問とも関連しますが、メンバーが変わる際に再び混乱が生じるのも避けたいため、現在はいったん保留にしています。
質疑応答:海外事業における自社の強みについて
「海外事業において御社が選ばれる理由、強みは何でしょうか?」というご質問です。
以前もお話ししましたが、日本における独立系の保険代理店で、米国に進出している会社は、私が知る限り当社だけです。それ以外は、銀行系、商社系、メーカー系などが進出していると認識しています。
そのため、「どこの色もついていない」ことが、私たちの一番の強みです。ザ・ボールドウィン・グループやその他の大手ブローカーとマーケットシェアし、提携を拡大していくことが可能なのも、私たちの色がないからこそできることだと考えています。
質疑応答:株主へのノベルティなどの抽選進呈について
「正式な株主優待ではなく、株主に会社ノベルティ、ボールペンやTシャツの抽選進呈するのは難しいでしょうか?」というご質問です。
難しくはないと思いますが、公平性に疑問を感じます。いろいろな他社からも、くじがついたものが送られてきますが、私個人としては「あまり公平ではない」と思っています。
当社の株主数はそれほど多くないため、現状ではすべての株主のみなさまに公平に何かを提供することができるのではないかと思っています。
質疑応答:時価総額の向上対策について
「時価総額が停滞しているのは、どこに問題があるとお考えですか?」というご質問です。
流動性の問題と認識していますので、対策を進めていきます。
質疑応答:名証IRエキスポに参加する意義について
「名証IRエキスポに参加する意義について教えてください」というご質問です。
ご存知のとおり、名証は、個人投資家が活発に投資を行う市場だと認識しています。そのため、失礼な言い方かもしれませんが、地道な「草の根活動」を通じてファンを増やしたいと考えています。
当社のファンになり、長期的に当社を応援していただける株主さまを1人でも多く見つけることが、現在の私たちの仕事だと思っています。そのような考えから、名証IRエキスポに参加しようと考えています。
質疑応答:寄付活動について
「純利益の1パーセントの寄付活動には共感しますが、期末に業績予想未達が2年続いている中では、自己資本比率面の財務に不安があります」というご意見です。
悩みどころではありますが、上場企業として「公の器」として存在する以上、SDGsの取り組みはもちろん、社会貢献をどのようなかたちで実現できるかを模索していく必要があると考えています。
寄付活動については、いつも取締役会で決議していますが、我々経営陣の総意であるとご理解ください。
質疑応答:ファイナンシャル・ジャパンの株式上場の可能性について
「遠い将来にファイナンシャル・ジャパンの株式上場を目指す可能性はありますか?」というご質問です。
「ありません」と表現するのは適切ではないかもしれませんが、現時点では、グループ再編によりホールディングスとして上場し、企業価値を高めることに集中したいと考えています。
質疑応答:配当・株主優待の実施について
「配当優待といった施策は検討されていますか?」というご質問です。
検討していますので、ぜひご期待ください。
質疑応答:自身のトーク力の秘訣について
「社長のトーク力の秘訣は何ですか?」というご質問です。
個人的な話ですが、私は一人っ子で、コミュニケーション能力は自分では低いと思っています。トークに特別な秘訣があるわけではありませんが、一生懸命にご理解いただけるよう話すことだけは心掛けています。
一戸氏からのご挨拶
証券コードが「377A」に変わりました。既存の株主からも「上場廃止になったのですか?」と驚かれることもあります。それくらいの認識でしかないような状態で、ホールディングス化を進めてしまいました。
ただし、かたちを整えることは非常に重要だと考えていることから、今回はその一環としてコストをかけてホールディングス化を実施しました。
今後も、当社が体制を整えた上で成長を続ける姿に期待いただき、引き続きご支援いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。
以上で、本日の説明会は終了となります。ご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。