■週末には中小型株へ資金シフト
今週の新興市場は上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+0.62%だったのに対して、グロース市場指数は+1.30%、グロース市場250指数は+1.47%。日経平均株価は半導体やAI関連株への一極集中が続き、連日で史上最高値を更新した。ただ、日本銀行が保有ETFの市場売却開始を発表したことで、19日の後場に値を崩す場面もみられた。一方、週末には中小型株への資金シフトが強まり、グロース指数、グロース250指数は上昇。時価総額が大きい銘柄で構成されているグロース市場コア指数は、週間ベースで+0.57%だった。
時価総額上位銘柄では、ウェルネス・コミュニケーションズの週間上昇率が19%を超えた。8月半ば以来の水準まで下げていたが、週半ば辺りからリバウンドの動きを強めていた。オキサイドは同17%超の上昇。光学関連製品を手掛けており、出遅れ感のあるハイテク株への物色が波及したようだ。VRAIN Solutionも週半ば辺りからリバウンドを強めており、AI関連として同17%超の上昇だった。一方で、デジタルグリッドの下落率が14%超、タイミーは12%超の下げとなった。
その他、Institution for a Global Socieが週間で48%超の上昇。並列評価機能を追加した評価ツール「GROW360+」を発表した5日に急騰し、その後も利食いをこなしながら強い上昇を継続しており、19日はストップ高で終えた。GENDAは鉄人エンタープライズのカラオケ施設運営事業の一部譲り受けの発表を手掛かりに同26%超の上昇だった。一方で、アシロ、笑美面、Def consultingの下げが目立った。
今週はIPOがなかった。
■出遅れ感のある中小型株へ物色が向かうか
来週の新興市場は、22日に自民党総裁選挙が告示され、10月4日投開票となる。各候補の財政政策姿勢や成長戦略に対して市場の関心が集まると考えられ、政策に関連する銘柄を探る動きがみられそうだ。日経平均株価は週末に値を崩したことで上値追いを慎重にさせると考えられ、出遅れ感のある中小型株へ物色が向かう展開を想定しておきたい。1カ月ぶりのIPOが予定されていることも新興市場に関心が向かいやすくさせるだろう。
政策絡みでは、インフラ整備として点検用ドローンを手掛けるLiberawareやブルーイノベーション、社会インフラ向けエンジニアリングサービスを提供するグリッド、地盤対策のアップコンなどが注目されそうだ。
来週のIPOは、25日にGMOコマースが東証グロース、オリオンビールが東証プライム、26日にUNICONホールディングスが東証スタンダードに上場する。GMOコマースの公開価格は1180円、オリオンビールは850円、UNICONホールディングスは1060円と、いずれも仮条件の上限で決まっている。GMOコマースはオリオンビールとの同日上場となるため、資金分散の影響を受ける可能性はありそうだが、1カ月ぶりのIPOとなるため堅調な初値形成が見込まれる。
なお、今週は法人向けクラウドメールサービスのサイバーソリューションズ、ビジネス革新を支えるプラットフォームを提供するインフキュリオンの上場承認が発表された。