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【QAあり】INTLOOP、売上高・営業利益ともに前年比2桁増で過去最高を更新 主要顧客の伊藤忠商事グループや大手SIer売上が伸長

ご挨拶(ロゴマークのリニューアルについて)

林博文氏(以下、林):みなさま、こんにちは。INTLOOP株式会社代表取締役の林です。よろしくお願いします。2025年7月期通期の決算についてご説明します。

まずは、ロゴマークのリニューアルについてお話しします。9月8日にプレスリリースを行いましたが、従来の英語表記の右側にカタカナを加えた新しいロゴマークに変更しました。

当社のブランディング部門が「会社の名前がさまざまな呼ばれ方をしている」とのご指摘を受け、カタカナ表記を追加することで、今後より認識していただきやすくなると判断した結果です。

エグゼクティブサマリー①

エグゼクティブサマリーです。1つ目に、通期業績についてです。売上高は連結で335億円、営業利益は約22億円となり、過去最高を更新しました。売上高は当初掲げていた計画を2.9ポイント下回りましたが、その代わりに営業利益は計画を上回る結果となりました。

以前からお伝えしているように、高収益案件の獲得を優先した結果、売上高が若干抑えられた部分もありますが、その分営業利益に反映され、ほぼ計画どおりの結果になったと考えています。最終的な売上総利益は、前期比で2.8ポイント改善しました。

この結果は、第3四半期に実施した営業組織の変革が奏功し、主要顧客である伊藤忠商事グループや大手SIer(システムインテグレーター)別に組織を編成して注力したことで、セールスが伸びたことが要因の一つです。

連結子会社のディクスグループも、通期業績に大きく貢献しています。また、「INTLOOP “VISION2030”」については計画どおり進捗しています。後ほど詳しくご説明します。

エグゼクティブサマリー②

2つ目に、人的資本の拡充についてです。ハイレイヤー人材の確保が引き続き成功しており、INTLOOP Strategy株式会社のマネージングディレクターやディレクター職のコンサルタントも順調に採用できています。また、組織内部の営業・マーケティングやバックオフィスの幹部クラス人材についても少しずつ獲得できています。

4月に入社した新卒社員については、一部がすでに稼働しているものの、下期以降の本格的な稼働に向けて、現在もOJTを続けている段階です。

3つ目に、M&Aについてです。7月にプレスリリースで発表したとおり、ベトナムのダナンにオフショア開発拠点を持つKOZOCOM(コゾウコム)株式会社の株式を取得しました。

これは、当社がグローバルでの業務に取り組む第一歩としての位置付けであり、ベトナムを拠点にアジアを中心としたグローバル展開を進めていくことを想定しています。

エグゼクティブサマリー③

4つ目に、グループ経営・ガバナンスの強化についてです。7月にPMO事業本部を、INTLOOP Project Management株式会社(INTPM)というかたちで独立させました。

これにより、事業部の責任と権限を明確化するとともに、プロジェクトマネジメントの専門家としてのブランディングを進めるべく、新たに1つの会社としてスタートしました。

今後、INTLOOP Strategyを含めたINTLOOPグループ各社やディクスグループ、KOZOCOMでグループ経営を強化し、中期経営計画の達成に向けて事業推進を加速していきます。

その一環として、ディクスホールディングス株式会社の代表取締役社長兼CEOである戸邊氏を、10月の株主総会で当社取締役候補者として上程する予定です。

現時点でもINTLOOP本体のアプリケーション部分について戸邊氏の知見をいただいていますが、選任後も引き続き、KOZOCOMを含めたアプリケーションおよびインフラ領域の事業開発を管掌していただく予定です。

エグゼクティブサマリー④

5つ目に、資本政策についてです。9月1日付で、1株につき2株の割合で株式分割を実施しました。

このタイミングについては「突然の実施だった」といったご意見もありましたが、以前から各証券会社より「当社株式が一部、NISA(少額投資非課税制度)に組み込まれ始めている」というご意見をいただいていたこと、また、投資単位が100万円近くに達していたことを踏まえ、流動性向上と投資単位の引き下げによる投資家層の拡大を目的として、今回の分割を決定しました。

6つ目に、2026年7月期の見通しについてです。中期経営計画のとおり、売上高438億円、営業利益31億円を見込んでいます。高収益案件の獲得を優先し、売上総利益率の向上および営業利益の計画達成を目指しています。

業績ハイライト①(連結・累計)

業績ハイライトです。売上高は前期比23.9パーセント増の335億円、営業利益は21億8,000万円、当期純利益は13億6,000万円となりました。売上高はわずかに計画を下回りましたが、営業利益は計画を上回っており、概ね計画を達成したと考えています。

業績ハイライト②(連結・累計)

営業利益は、当初の計画を上回る結果となっています。主な要因として挙げられるのは売上総利益の拡大です。

売上総利益率は、前期比で2.8ポイント上昇しました。その結果、営業利益の一部が採用などで使用された部分もありますが、それを含めても営業利益率は0.9ポイント改善しています。

中期経営計画では、将来的に営業利益を引き上げる計画となっていますが、現在のところ予定どおりに中期経営計画の達成に向けて進んでいると考えています。

業績ハイライト③(連結・Q4)

このスライドは、連結の第4四半期に焦点を当てたものです。売上総利益率は第3四半期に比べて0.8ポイント改善しています。四半期ベースで見ても、一定の改善が見られるのではないかと考えます。

営業利益率に関しては、第3四半期と比べて2.6ポイント上昇しています。営業利益率は四半期ごとの比較では多少のぶれがあるため、「2.6ポイント上昇した」と胸を張って言える数字ではないものの、7パーセント程度の営業利益率を達成できる体質に変わりつつあると考えています。

業績ハイライト④(単体・Q4)

単体のハイライトについてです。こちらも流れとしては同様で、前四半期や前年同期と比較して、いずれも営業利益を伸ばしています。

INTLOOP “VISION2030”の進捗①

中期経営計画の進捗状況についてお話しします。スライドは、中期経営計画における目標値を示しています。

2030年度に向けて、売上高1,000億円、営業利益150億円を目標としています。現在、売上高は目標の3分の1を超えていますが、営業利益はまだ目標の約7分の1と遠い状況です。

スライド左側に記載のとおり、2025年度の売上高は10億円ほど目標に届いていなかったものの、営業利益は絶対額としてもプラスで推移しています。また、営業利益率についても6.5パーセントと、かなり上昇している状況です。

今期の売上高10億円の不足分を取り戻し、中期経営計画における2026年度の売上高の目標の438億円を死守していきたいと考えています。

INTLOOP “VISION2030”の進捗②

中期経営計画の進捗状況です。大きく5つのカテゴリーに分けられます。

1つ目は、フリーランス事業の強化およびコンサル領域拡充です。これはほぼ売上に直結する施策であり、売上高や利益を見ればわかるとおり、中計目標に対する進捗率は25パーセントと、計画どおり推移しています。

2つ目は、ソリューションポートフォリオ拡充です。これは、当社がコンサルティングだけで提供しているビジネスに、AIを含めたソリューションを組み合わせたかたちでコンサルティングビジネスを展開するという施策です。

現在、進めてはいるものの、収益化があまり進んでいない状況もあり、進捗率は20パーセントとしています。

3つ目は、オープンイノベーションによる新事業創出です。アクセラレータープログラム「INTLOOP Ventures Accelerator」や「INTLOOP Ventures Innovation Community」の活動を継続的に実施しており、かなりのネットワーク体制が構築できてきたという実感を持っています。

今後は10月頃に「INTLOOP Ventures Accelerator」を通じて協業する会社を最終選定する予定です。本格的に2つ目のソリューションポートフォリオ拡充にも貢献し、2つ目の施策も加速していくことを想定しています。

4つ目は、JV共創およびファンド投資事業強化です。旭食品株式会社と共同で設立した、食共創パートナーズ株式会社というバイアウト・ベンチャーファンドについては、進捗がやや遅れている状況です。

ただし、今期中には1社から2社を買収できる体制が整いつつあります。そのため、第2四半期頃には、どの会社を買収したかご報告できると考えています。

5つ目は、筋肉質なグループ経営基盤構築についてです。当社では、これまで1人のハイレイヤー人材が中心となって取り組んできましたが、その下に人材を配置することが進みつつあります。

これにより、来期や再来期の営業利益の向上を目指し、会社全体の体制を効率化する取り組みを進めています。さらに、自社でのAIの活用も含め、経営基盤の整備を進めている最中です。

INTLOOP “VISION2030”の進捗③(直近5年間の売上高・営業利益及び株価推移)

スライドは、当社が上場してからの売上高と営業利益の推移を示しています。上場後3期目の決算が今回終了しましたが、この期間で売上高は年平均36.8パーセント、営業利益は年平均40.2パーセントの成長を遂げています。

しかしながら、株価は、PERベースで20倍から30倍程度となっており、これまでの当社の実力を十分にご評価いただけていないのではないかと私自身は感じています。このため、あらためてこれらのデータを掲載しました。

この点に関しては、前回もお伝えしたとおり、今までの実績を基にご評価いただけるとありがたいと思っています。

1 ハイレイヤー人材の採用進捗

事業の進捗についてです。ハイレイヤー人材の採用も順調に進んでいます。

INTLOOP本体では、第4四半期に3名を採用し、INTLOOP Strategyでも3名を採用しました。今期に入ってからは第1四半期、第2四半期でかなりの人数が決まっており、おおむね順調に進んでいます。

2 TOPICS①-1 KOZOCOMの株式取得

KOZOCOMについてです。ベトナムのダナンに拠点を置く企業で、7月に株式の100パーセントを取得しました。

KOZOCOM単体でも、すべてのエンジニアがすでに顧客向けにサービスを提供しており、利益率は10パーセントを超える非常に優秀な会社です。しかしながら、単にオフショアで顧客向けにサービスを提供するだけではなく、当社やディクス社内のシステムも一部KOZOCOMにオフショアすることで、当社の利益率にも貢献してもらう方針です。

また、KOZOCOMの平松社長が「月に約10名の人材を採用できる」と述べており、人材採用も順調です。そのため、我々の外向けの仕事や社内向けの仕事のどちらにも対応できますので、今後さらにKOZOCOMを有効活用していく方針です。

2 TOPICS①-2 KOZOCOMの株式取得

平松社長には今後、今回の参画をきっかけに、KOZOCOM以外の海外展開についてもご協力いただきたいと考えています。

また、海外経験も豊富な方ですので、その経験を当社の中に取り入れ、共にグローバル展開を進めていきたいと思っています。

3 M&A/事業投資の方針

今後のM&A方針についてです。当社は、2030年度に売上高1,000億円を達成する方針を掲げており、その早期実現に向けて顧客基盤の拡大を図る考えです。

M&Aの目的は、スライドに記載のとおり、顧客数の拡大、エンジニアの増員、オペレーションの効率化、先端テクノロジーの活用、グローバル市場の拡大です。売上や利益を確実に生み出す領域にフォーカスして、今後もM&Aを進めていくつもりです。

また、M&Aチームについては、これまで十分な体制を構築できていませんでしたが、徐々に基盤が強化されてきています。今後はそのチームを基盤に、M&Aの件数を増やしていくことを想定しています。

4 TOPICS② INTLOOP Project Management株式会社の設立

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の会社を設立した経緯についてお話しします。当社の田口がPMO専業会社に在籍していた経験もあり、もともと将来的にこの分野を切り出すことを考えていました。さらに、当社で最もニーズが高い領域がプロジェクトマネジメントであり、人材採用においてもこの子会社化は非常にプラスになるというのが、採用部門の見解でした。

これらを踏まえ、PMOの会社だけで200名を超える人数がいることもあり、意思決定の迅速化を図るために、経営経験もある田口を社長に任命しました。

2026年7月期 通期業績予想

通期の業績予想についてです。当社は、中期経営計画を変更せず、売上高438億円、売上総利益117億円、営業利益31億円を予想しています。

売上高に関しては、パイが大きくなっていることもあり、30パーセント基調に戻すことが、現時点で当社として無理をせず会社を成長させるギリギリのラインだと考えています。そのため、売上高を維持しつつ、営業利益を伸ばしていく方針です。

この取り組みには、投資と売上の拡大を図る際に、ブレーキとアクセルをうまく組み合わせる必要があります。また、営業利益率を確保するため、投資の使いどころと抑制する部分をうまくコントロールしながら、この目標金額の達成を目指していきます。

INTLOOP “VISION2030”の進捗①(再掲)

また、先ほどのM&Aの話に戻りますが、当社は2030年に向けて、スライドに記載の計画を達成することを目指しています。ただし、2030年を待たずにいかに売上高と営業利益を達成するかについても、かなり検討を重ねているところです。

ただし、単体であまり成長を急ぎすぎると、歪みが生じる可能性があります。そのため、現時点でかなりの件数のM&A候補を絞り込み、これらのM&Aを組み合わせながら、1年でも2年でも早く売上高や営業利益だけでも達成する可能性を視野に入れています。早期にこの数字を達成することを目指し、当社の各チームが現在活動しています。

私からのご説明は以上となります。ありがとうございました。

質疑応答:売上総利益率が改善した背景について

司会者:「売上総利益率が改善している背景をもう少し具体的に教えてください。また、営業利益率で会社計画を下回った背景についても、具体的に教えてください」というご質問です。

:まず、営業利益率は、スライドに記載のとおり、当初計画は5.6パーセントだったところが6.5パーセントになっています。

売上総利益率の改善の背景については、前回のお話の続きになりますが、当社はもともと比較的安価でサービスを提供していたという課題がありました。そこで、昨今のインフレ事情も踏まえてお客さまのご理解をいただきながら、単価改定を進めてきました。

この単価改定に関しては、顧客事情に配慮し、既存のプロジェクトではなく、新しいプロジェクトから少しずつ実施するなど、慎重に対応しています。その結果、徐々に単価改定が進んでいます。

また、INTLOOP Strategyの人数も増えていることから、事業会社向けの提案が非常に増加しています。これらのプロジェクトでは、それなりに高い売上総利益率を確保できています。

これらの要因が組み合わさったことで、売上総利益率が大きく改善しています。

質疑応答:事業会社向けの売上比率について

司会者:「事業会社向けに対する売上比率は、どれくらい上昇しているのでしょうか?」というご質問です。

:取締役管理本部長の内野よりご回答します。

内野権氏(以下、内野):20パーセント程度という状況から変わっていません。

:全体の売上の20パーセント程度に関してはあまり変わっていませんが、少しずつ上昇している傾向にあります。

将来的には、約50パーセントにしていく過程にありますが、私自身もいくつかの案件の具体的な相談を受けている中で、1案件あたりのボリュームが少し大きくなっているように感じています。

司会者:なお、2030年度の中期経営計画の目標としては、事業会社の売上比率を44パーセント程度とし、順次改善が進んでいます。

質疑応答:売上総利益率について

司会者:「今期の売上総利益率が低下する理由は何ですか?」というご質問です。

:社内計画上は、今期も上昇を見込んでいます。

仮に低下する要因があるとすれば、単価の改善がこれ以上進まないことなどが挙げられます。例えば事業会社向けの売上が大きく減ってしまうことや、お客さまへの説得がうまくいかないといった理由が考えられます。

質疑応答:KOZOCOMの今期業績への寄与について

司会者:「KOZOCOMのM&Aは、今期業績にどれくらい寄与するのでしょうか?」というご質問です。

:KOZOCOM単体の規模としては、それほど大きな会社ではありません。直近の売上高は5億円程度で、当社に対する利益貢献は7,000万円程度の水準です。そのため、業績への貢献は限定的と言えます。

しかしながら、社内の業務を徐々に同社に移管することで、当社やディクスグループの販管費を少しずつ圧縮する効果が期待できます。また、今後は、我々の部門のアウトソーシングをきっかけに、他社への営業展開も可能になると考えています。

現時点ではまだ、これから成長していく会社だとご理解いただければと思います。

質疑応答:2026年7月期の通期業績予想の前提について

司会者:「2026年7月期の通期業績予想では、売上高が438億円の計画となっています。この前提となっているパイプラインの積み上がり状況と、受注確度の水準等を教えてください」というご質問です。

:「Salesforce」を取り入れたことで、今期からはパイプラインの積み上げ方などにおいてかなり「見える化」が進みました。INTLOOP Strategyのメンバーが経営企画の一部を担っているのですが、顧客別に売上をどこまで上げるかについて管理を行い、隔週ほどの頻度で打ち合わせをしています。

現時点で、第1四半期は非常によいスタートを切れたと思っています。バックログも積み上がっていますが、派遣的な業務と請負的な業務のうち、特に請負的な業務のバックログはしっかり見えています。

一方、SIer向けの人材派遣に近い業務においては、毎度の課題ではありますが、先のパイプラインが見えにくい状況ではあります。全体として、スタートダッシュはよい状況だと思っています。

質疑応答:顧客単価の改善余地について

司会者:「顧客向けの単価改善に関して、単価改定に時間がかかるのは理解しますが、改定してない顧客はどの程度いるのですか?」というご質問です。

:単価改定にご理解いただけないお客さまがいらっしゃる可能性もあります。そのため、最終的に単価改定がどこまで達成できるか現時点ではわかりません。

ただし、可能性としては、すべてのお客さまのうち、約7割は改定の余地があると考えています。現状では、約20パーセントの単価改定を実施しており、売上総利益が改善されています。残りのお客さまについて単価改定を進めることで、それなりの売上総利益率向上が見込めるのではないかと考えています。

今期も、プロジェクトが完了したタイミングで、新たに受注する案件は単価改定を進めています。そのため、今期も引き続き売上総利益が向上していくことを想定しています。

質疑応答:AIエージェント普及の影響と先行きについて

司会者:「AIエージェントなどが普及し始める中で、フリーランスのエンジニアやコンサルタントにどのような影響が出ていますか? また、先行きに対する見解をお聞かせください」というご質問です。

:こちらは、短期的な話と長期的な話があると思います。また、地域的な問題も少し関係していると考えています。

欧米に比べて、日本ではAIエージェントの普及までに少し時間があるのではないか、と感じています。私の予想では、2年から3年ほどかかるのではないかと思っています。

その間に、当社ではこれまで蓄積してきたノウハウを活用し、自社内でAIエージェントを構築する取り組みを進めています。このような動きは、大手コンサルティングファームも進めており、当社もそれに追随するかたちでプロジェクトを進めています。

一方で、コンサルタントやエンジニアの価値についても、これまでとは変わる部分があると思います。そのため、詳細をお話しすることはできませんが、社内でさまざまな検討を進めています。また、来期の新卒入社の社員からは、AIに勝っていくコンサルタントを育成すべく研修の充実を図る予定です。

質疑応答:米国の関税が顧客に与える影響について

司会者:「米国の関税影響など、INTLOOPの顧客層のマインドに変化の兆しが出ていますか?」というご質問です。

:当社には製造業や自動車業界のお客さまも多いのですが、現状では思っていたほどの影響は出ていないと感じています。

人口統計を見ると、この数十年で労働人口が減少し不足すると予測されています。日本の経済成長も、低水準ではありますが成長が続いています。

そのような中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の投資に取り組まなければ、その成長にさえ追いつけなくなるという懸念を持つお客さまもいらっしゃいます。

その結果、DXへの投資は引き続き活発に行われています。「積極的に投資をしなければ市場から取り残される」という危機感を、持っているお客さまは多いと感じています。

質疑応答:KOZOCOMによる原価削減効果について

司会者:「ベトナムのKOZOCOMに、開発の一部をアウトソーシングするというお話でした。それは開発費の抑制に効果を発揮すると思いますが、どの程度の原価削減を想定していますか? 例えば、原価率がどれくらい下がるか等の期待値をお聞かせください」というご質問です。

:ベトナムの人員体制については、現在はまだ60名から70名程度です。

これが仮に5倍程度になり、300名から400名規模となり、社内の開発および顧客の開発をKOZOCOMで請け負える状態まで持っていけた場合、上級エンジニアと下級エンジニアでも変わりますが、原価率は概ね半分程度まで下がるのではないかと考えています。

ベトナムを利用する際には、顧客も「単価が下がる」という前提で交渉されることも増えるかと考えますので、全体でどれくらい利益率の向上につながるかについては、まだ十分な検証ができていません。

まずは、当社とディクスグループの社内システムの一部をアウトソーシングするだけでも、原価率は50パーセント以上下がることを見込むとともに、期待しています。

質疑応答:M&Aや新規事業の利益貢献について

司会者:「今後はM&Aや新規事業を含めて、業績を拡大していくというお話でした。他社を見ている限り、新規事業は投資負担やM&Aはのれん償却などもあり、それらの利益貢献は少なく、利益率の改善にはつながりづらいという印象があります。

INTLOOPの中長期経営計画では、営業利益率が今後10ポイント程度改善していく前提ですが、その背景について教えてください」というご質問です。

:当社の投資基準は非常に厳しいです。

例えば、のれん償却額を踏まえた上で利益貢献が見込めない会社については、検討段階で選択肢から外すことを基本としています。シナジー効果を含めて、利益貢献が確認できない場合は投資しない方針です。

新規事業も投資負担が大きくならない範囲内で進める方針としており、今回のベンチャーや投資ファンドに関してもキャッシュ・フローに少し影響はあるものの、営業利益に対するインパクトが大きくないようにコントロールしています。

私個人としても、売上高と営業利益の両方をコントロールしながら投資を進めていくべきとの考えであり、私自身がかなり数字を見ながら関与している点も、他社とは異なる部分だと思っています。

質疑応答:売上総利益率の予想について

司会者:「今期の売上総利益率について、前期の27.4パーセントに対して今期の業績予想では26.7パーセントと低下しています。これは、保守的に見ているだけで、実際には上げていきたいということでしょうか?」というご質問です。

内野:売上総利益の117億円については、もともと社内で作成した中期経営計画の数字をそのまま採用しています。売上総利益率としてはご指摘のとおり、実績から見ると低下しています。売上総利益の数字の予想を上げなかったことによるもので、基本的には前年実績を上回る目標で進めていくことに変わりありません。

:「営業利益額」を優先しており、売上総利益率はやや調整しています。おっしゃるとおり、保守的に見ているとお考えください。

質疑応答:伊藤忠商事株式会社との取り組みについて

司会者:「伊藤忠商事株式会社との資本提携による効果について、具体的に足元の取り組みをお聞かせください。また、提携により見込まれている効果についてもコメントをお願いします」というご質問です。

:お話できる範囲でご説明します。前回もお伝えしたかもしれませんが、伊藤忠商事株式会社の社員の方が1名、当社に出向というかたちでお越しいただいています。

また、伊藤忠商事や同社のお客さまをご紹介いただくことをはじめ、グループ会社の伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)なども含めて、共同でプロジェクトを進める取り組みが以前よりも増えたと感じています。

その背景には、顧客別の営業組織を当社でも拡充した点が挙げられます。伊藤忠商事グループ向けのメンバーや営業メンバーも多数いますので、そうしたメンバーを巻き込みながら取り組みを進めているため、少しずつ拡大しています。

質疑応答:AI活用による価格競争の激化について

司会者:「AIによってINTLOOPでも生産性が向上していると思いますが、他社でも同様かと考えます。将来的には、価格競争を仕掛ける競合他社が増えるというリスクについてどのように考えていますか?」というご質問です。

:労働人口の減少に、今後大きく依拠してくる話ではないかと考えます。AIを利用したとしても、AIを利用するための開発はどうしても人間が対応しなければならない部分が多々あると思います。

そのような中で、将来的に成長率を引き上げるのであれば、さらなる投資が必要です。移民政策なども考えられるかもしれませんが、AIの活用も含めて競争力を高めていくことが必要だと思います。

私たちは、競合他社をあまり意識せず、いかに顧客に価値を提供できるかを最優先に考えてビジネスを展開しています。私自身も、競合他社の株価や状況をあまり意識せずに進めているという部分は一貫しています。

質疑応答:JV共創およびファンド投資事業について

司会者:「ファンド事業において2社ほど買収できるのではというお話がありましたが、P/Lで見た際にどのような影響が生じるのでしょうか?」というご質問です。

:こちらは現在、別会社としているため、P/L上の影響はありません。現在は投資有価証券というかたちでB/S上の影響しかありません。ただし、将来的に、例えば買収した会社をバイアウトする場合などには影響が出ることがあります。

また、今回のファンドに関しては、当社がコンサルティングで参画できるという条件を付与しているため、コンサルティング事業の売上として上がっていく効果が見込めるのではないかと考えます。

質疑応答:退職率の変化について

司会者:「退職率のトレンドに変化はありますか?」というご質問です。

:今のところ大きな変化はありませんが、他社より少し高めで推移しています。

業績を大きく伸ばしていくためには、チャレンジングな採用を控える施策を、以前よりは講じることができています。

しかし、どうしても会社に合わずにすぐに辞める方が一定数いる状況です。一方で、すぐに退職いただけているところもありますので影響は出ていません。

また、優秀なメンバーを確保するための仕組みとして、自分の評価に反映させる仕組みの導入も検討しています。このように優秀な人材の引き留めを積極的に推進していこうと考えています。

さらに、採用体制に関しても、第4四半期から強化しました。外部の方にも採用に協力いただける体制が整ったため、採用は計画どおり進めていきたいと考えています。

質疑応答:ソリューション拡充の遅延について

司会者:「中長期経営計画のうち、「ソリューション拡充」が少し遅れているというコメントがあったと考えます。その背景と今後どのようなソリューションを拡充していくのか、可能な範囲で教えてください」というご質問です。

:ソリューション拡充が遅れている主な要因として、当社のコンサルタントメンバーと営業メンバーの工数が足りなくなってきたことが挙げられます。

本業のコンサルティング業務が増加していることにより、新たなソリューション構築に割ける工数が逼迫している状況があります。

このような状況に対応するために、十分な人材採用のほか顧客ニーズに応じたソリューションを的確に構築、提供する必要があると考えており、営業体制や営業ノウハウの拡充も合わせて進めています。

なお、一部の既存顧客には、ヒアリングした顧客ニーズに基づくソリューション提供を開始しています。今後はソリューションと従来のコンサルティングサービスを組み合わせて提供していく方針です。

今後、拡充していくソリューションについてですが、先日発表したアクセラレータープログラムとして、現在5社から6社の候補企業が残っています。全社採用するのか、それとも一部の企業に絞るのかは、今後2ヶ月ほどかけて選考し、決定する予定です。

また、アクセラレータープログラムについても引き続き進めていきます。

質疑応答:フリーランスの登録者数の増加について

司会者:「フリーランスの登録者数が伸びていますが、この背景についてどのように考えていますか? また、このうち実際稼働しているフリーランスのトレンド等に変化はありますか?」というご質問です。

:フリーランスの登録者が増加している理由は、当社のタレントマネジメント部署を拡充したことです。この部署では、フリーランスやビジネスパートナーの方々をサポートしています。

具体的には、従来のWebマーケティングに加えて、オフラインでの紹介キャンペーンやイベントを開催しました。このように、登録見込みの方々の気持ちに寄り添い、当社のサービスを他の方に紹介していただけるような施策を多数実施しました。

また、過去に登録していただいた方の中で、当社で稼働していない方が何万人もいらっしゃいます。その掘り起こし活動にもかなり人手をかけて取り組んでいます。結果、再度登録していただける方が増えており、その方々がさらに他の方を紹介していただけるケースも多く出てきています。

以上の取り組みにより、登録者数が増加していると考えています。

なお、実際に稼働しているフリーランスの方々の稼働推移については、まだ大きな変化がない状況です。そのため、稼働者数を増やしていくための施策をさらに進めていく必要があると考えています。

林氏からのご挨拶

前回も少しお話ししましたが、各四半期の数字については、私自身はあまり細かく追いかけているわけではありません。また、それほど厳密に計画を達成しなければならないという気持ちでビジネスをしているわけでもありません。

我々はビジネスを始めてすでに20年が経過し、上場して3年となります。このような状況の中で、株主や投資家のみなさまの期待として、直近の数字をいかに達成するかということよりも、2030年度に向けて、売上高1,000億円、営業利益150億円という目標を本当に実現できるかどうかに関心があるのではないかと考えています。

私としてもその目標にフォーカスし、業務に取り組んでいます。その目標を可能な限り早期に、2030年を待たずに達成するために各業務、特にM&Aを推進しなければならないと考えています。これを実現することで、実際に株主さまの収益向上に努めていきます。

今回は本決算のため、少し長めにお話ししましたが、自分自身としては2030年を視野に入れて業務に取り組んでいます。

その途中経過についての評価は、株主や投資家のみなさま、それぞれのご判断におまかせしたいと考えています。私自身が途中経過をあまり気にせず、2030年度の目標達成に向けてビジネスを進めていることをご理解いただき、最終的に本当にその目標に到達できるかをご覧いただけますと幸いです。

今後とも引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。

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