■新興市場から資金流出続く
今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が-4.07%だったのに対して、グロース市場指数は-1.78%、グロース市場250指数は-1.93%。日経平均株価は、相場を牽引してきた半導体・人工知能(AI)関連株への持ち高調整の売りが強まり、5万円の大台を割り込む場面もあった。新興市場からは資金流出が続いており、グロース250指数は一時5月半ば以来の700割れに。時価総額が大きい銘柄で構成されているグロース市場コア指数は、週間ベースで-2.01%だった。
時価総額上位銘柄では、データセクションの週間上昇率が18%を超えた。11月7日付けで、新たな国内プロジェクトとして千葉県印西市におけるAIデータセンターの開設準備が整ったと発表。noteは同17%超の上昇。韓国IT大手のネイバーとの資本業務提携、およびネイバーを割当先とする第三者割当増資を発表した。一方、サンバイオの下落率が12%を超えた。海外市場で600万株の公募増資を行うとの発表を嫌気された。タイミーは、「メルカリ ハロ」のサービス提供終了を手掛かりとした買いが一巡した後の調整が続き、下落率は9%超となった。コンヴァノの下落率は21%を超えた。
その他、イオレが週間で42%の上昇。SBIホールディングス傘下のSBI VCトレードと連携するとの発表が材料視された。メディア総研は同29%超の上昇。週初にストップ高をつけており、その後も投機資金が流入したようだ。一方で、JIG-SAWの下落率は24%を超えた。先週の急騰の反動から換金売りが強まる形になった。デコルテ・ホールディングスの下落率は21%を超えた。
今週のIPOについては、4日にグロース市場に上場したNEの初値は公開価格(750円)と同じ750円だった。同じく5日にグロースに上場したクラシコの初値は公開価格の約2.4倍となる3270円となった。ただ、6日に4050円まで買われた後に軟化し、7日はストップ安で2316円まで売られている。
■決算を手掛かりとした個別物色が続く見込み
来週の新興市場は、プライム市場の半導体・AI関連株への物色に変化がみられる中、11日に決算発表が予定されているソフトバンクグループの動向に関心が集まるだろう。同社の決算は投資家心理に影響を与えると考えられる。調整が続くグロース250指数は52週線水準までの調整で正念場を迎えているが、いったんはリバウンドが意識されやすい水準である一方で、同線を割り込んでくる局面では下へのバイアスが強まる展開も想定しておきたいところである。
新興市場銘柄を見直す動きが期待しにくい中、決算を手掛かりとした個別物色が続きそうだ。7日に発表したサスメド、HENNGE、ENECHANGEが注目される。そのほか、来週は10日にシーユーシー、11日にカバー、技術承継機構、12日にSBIインシュアランスグループ、弁護士ドットコム、INFORICH、13日にフルッタフルッタ、マイクロ波化学、トライアルホールディングス、FFRIセキュリティ、QDレーザ、14日にispace、Synspectiveなどの発表が予定されている。
来週は、IPOは予定されていない。11月21日にグロース市場に上場予定のノースサンドの仮条件は、1060-1120円に決まった。