2026年3月期 通期業績予想
杉原章郎氏(以下、杉原):おはようございます。代表取締役社長の杉原です。私より2026年3月期第2四半期の決算をご説明します。
はじめに、上期業績のサマリをご説明します。コロナ禍において培ったコストコントロール力を活かすことにより、費用が計画より縮小したことから、各利益は上期予想に対し上振れての着地となりました。
当社は前期において、費用抑制と売上拡大の両輪により黒字転換を果たし、今期においては、売上成長による利益拡大フェーズへの転換をより早期に実現するため、当社の強みであるサポート力を最も活かすことができる飲食店支援事業の成長力引き上げに注力することとしています。
その一環として、コロナ禍以降縮小傾向にありました人員体制について増強を進めており、採用費を含む人員関連費用が、一時的な増加局面にあります。加えて、ソフトウエアを中心とした固定資産の積み上がりに伴い減価償却費についても増加基調にあります。
こうした成長投資を積極化する中、前期上期の費用が想定よりも大きく低減されていたこともあり、前年同期比減益という結果になりましたが、冒頭で申し上げたとおり、高いコスト意識の継続などを通じて、通期予想に対し良好な折り返しになったと認識しています。
なお、人員体制については着実に増強が進んでおり、下期より本格的に事業の推進力として機能することを見込んでいます。これにより、まずは今期計画の達成を確実なものとし、さらに来期においては、年間を通じてフルにその効果を発揮することで、中核事業である飲食店支援事業をより強固で安定した収益源へと育てていきます。
決算概要
次に、中間期決算の概要をご説明します。
売上高は63億7,000万円、営業利益は1億500万円となりました。また、中間純利益は、第1四半期において投資有価証券売却益3,000万円を特別利益に計上したことなどから、1億2,000万円となりました。
また、当社の主要売上である飲食店向けストック型サービスにおいては、順調なARPUの上昇に加え、店舗数がわずかながらも前年同期末より増加しました。
連結損益計算書
損益計算書は、スライドに記載のとおりです。
売上高内訳
続いて、売上高の内訳についてご説明します。
ストック型サービスは概ね計画どおりに進捗し、前年同期より8.2パーセントの増加となりました。
一方、スポット型サービスについては、店舗が抱える課題を年間を通じて解決に導く伴走型サポートの観点から、ストック型での受注を重視したことなどを背景に、前年同期を下回りました。
なお、上期の当社全体の売上が計画をやや下回ったことを踏まえ、下期においては、引き続きストック型売上を伸ばしつつ、スポット型受注についても柔軟な獲得を進める方針です。
また、プロモーションについては、省庁・自治体向け案件を中心に前年同期を上回りました。
関連事業の増加については、主に昨年4月にオープンした厨房機器販売店「テンポスぐるなび」の売上が伸長したことによります。
飲食店販促サービス ~ストック型有料加盟店舗数・ARPU~
スライド左側のグラフは、ストック型サービス売上を「ストック型有料加盟店舗数」と「ARPU」に分解したものです。
水色の棒グラフで示した店舗数については、長らく不安定な動きが続いていましたが、第2四半期において微増基調に転じています。
次に、スライド右側のグラフは9月末におけるネット予約対応店舗数についてです。
昨年は3月末より減少しましたが、本年においては増加しており、ユーザーによる当社ネット予約サービスの利用促進に必要な要素の一つである席在庫の拡充が着実に進みつつあります。
これらのポジティブな変化は、インサイドセールス活動の強化とフィールドセールス部隊の提案活動への専念を可能とする契約獲得後のページ掲出および予約設定などのカスタマーサポート活動の充実が要因であると捉えています。
店舗解約率は、引き続き低水準に抑えることができていますので、営業体制の整備・強化の成果を一層発揮することで、ARPU・店舗数双方のバランスの取れた売上拡大ならびにネット予約送客力の向上につなげていきます。
原価・費用内訳
次に、原価・費用の内訳についてご説明します。
売上原価については、売上の増加を主因とする外注費の増加のほか、固定資産の積み上がりに伴う減価償却費の増加、飲食店支援事業強化のための積極採用に伴う労務費の増加などを背景に、前年同期を上回りました。
他方、販売費及び一般管理費については、売上原価同様の理由により人件費が増加した一方で、内製化の推進を主因として業務委託費が減少したことなどから、前年同期比微増に留まりました。
連結貸借対照表
貸借対照表については、スライドに記載のとおりです。
前期において黒字転換を果たしたことを踏まえ、2025年2月に調達した短期借入金12億円について、長期借入金への借り換えを実施しました。また、2024年9月に設定したコミットメントライン30億円について、アンコミットメントラインへ変更しました。
楽天ぐるなびの強化(1)~ユーザー動向~
それでは、ここからは施策の進捗についてご説明します。
まず、「楽天ぐるなび」におけるユーザー会員の動向についてご説明します。
ユーザー基盤である楽天ID連携会員数は、引き続き順調に拡大しており、第2四半期末で1,060万人となりました。
また、ネット予約1組当たりの平均人数の面でもポジティブな動きを見せており、スライド右側のグラフで示すとおり、会員でないユーザーが前期の第2四半期とほぼ横ばいの3.2人であるのに対し、楽天ID連携会員は、来店人数に応じたポイント付与の仕組みが奏功し4.6人と微増を継続しています。
このことから、楽天ID連携会員による当社サイトの利用を促進することは、予約件数の拡大だけでなく、送客人数の増大の面でも有効であると認識しています。
当社としては、今期より本格稼働を目指す「繰り返し利用するほど」「大勢で集まるほど」 お得に外食を楽しむことができる「幹事ランク制度」の活性化と、楽天エコシステムにおける当社サイトのプレゼンスを高めることで、「外食機会の拡大」および「外食人口の増加」というダブルの効果を生み出し、飲食業界の活性化に貢献できると考えています。
楽天ぐるなびの強化(2)~注力施策~
こうしたユーザーの動向を踏まえ、今期より当社では楽天との連携強化を軸とした流入拡大・利用促進をテーマに「楽天ぐるなびの強化」を推進しています。
楽天ぐるなびの強化(3)~新たな取り組み~
楽天との連携施策の第1弾として、楽天カード株式会社が楽天カード会員に対し多様な特典を提供する「楽天カードプレミアムプログラム」と当社の「幹事ランク制度」との連携を10月1日より開始しました。
本連携により、幹事会員数は想定どおりに拡大しており、今後は新たに幹事会員となったユーザーに対する利用促進を進めつつ、ID連携が済んでいないカード会員に対する認知拡大について、楽天カード社と共に検討・実行していきます。
加えて現在、楽天との新たな連携施策として、楽天ペイメント社との間で協議を進めています。
マーケティングエージェント(1)~運用代行系商品~
次に、飲食店が取り組むWeb集客活動の一括支援を目指す「マーケティングエージェント」についてご説明します。
本領域におけるサービスの一つである Google ビジネスプロフィール運用支援商品の利用店舗数は、スライド左側のピンクの棒グラフで示すとおり、順調に拡大しています。さらに、水色の折れ線グラフで示す平均利用単価も、昨年7月に実施した商品リニューアルが奏功し、1.2倍以上に上昇しています。
そして、スライド右側のグラフはマーケティングエージェントサービスのうち、 Google ビジネスプロフィール運用支援商品のほか、ネット予約情報を含む掲載情報のメンテナンスなどを行う運用代行系商品の売上状況を示したものです。
グラフのとおり、運用代行系のエージェントサービスは、日々の店舗運営が忙しいことから、「各種ツールの効果的な活用方法がわからない」、あるいは「運用にあてる時間をとれない」といった、飲食店が抱える課題やニーズに対応し、着実に拡大しており、ストック型売上の成長を牽引する存在へと育ってきています。
マーケティングエージェント(2)~主な新サポート商品~
続いて、新たなエージェントサービスをご紹介します。
1つ目は、インフルエンサーマッチングサービスです。本サービスは、Instagramを活用して店舗の認知向上と集客を目指す飲食店と、特に「食」に関する投稿を得意とするインフルエンサーをつなぐものです。サブスクリプション型のサービスであるため、飲食店は必要な時にインフルエンサーへ直接オファーすることが可能です。
そして2つ目は、拡大するインバウンド需要の取り込み支援として開始した視覚的に店舗の魅力をPRする「訪日外国人向けショート動画」の作成サービスです。本動画は、SNSに最適な縦型となっており、「ぐるなび外国語版公式SNS」のほか、各種SNSでの配信についてもサポート可能なものです。
今後、当社主要顧客であるイートイン業態のお店向けのサービスラインナップ拡充に加え、非イートイン業態向けのエージェント商品の造成にも取り組み、有料加盟店舗数の拡大につなげたいと考えています。
また、人員体制を大幅に増員することなく、サポート可能な店舗数を増加させると同時に、マーケティングエージェントサービス全体の収益性を高めるべく、AI活用による代行業務に係る各種オペレーションの効率化を推進していきます。
モバイルオーダーサービス “ぐるなびFineOrder”(1)~導入進捗~
次に、モバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」についてご説明します。
スライド左側のグラフで示した契約企業数については、大手チェーン企業を中心に139社となりました。
また、店舗ベースでは契約企業における受注店舗数が着実に拡大しており、システムオンボードが完了した稼働店舗の割合は、87パーセントまで高まっています。このように、受注いただいた店舗には、速やかに「ぐるなびFineOrder」を活用し、効果を実感いただける状態となっています。
直近の動向として、日本を代表する飲食企業の一つであるコロワイドグループが展開する主要なブランドへの提案に取り組んでおり、一部店舗への先行導入が進みつつあります。
モバイルオーダーサービス “ぐるなびFineOrder”(2)~今後の展開~
続いて、「ぐるなびFineOrder」のさらなる成長に向けた今後の取り組みについて、ご紹介します。
大きく「新規契約企業の開拓」「既存契約企業が保有するグループ店舗への導入拡大」「集客機能の強化および平均契約単価の向上」「ホテルのルームサービスなどの新領域の拡大」の4つを注力テーマとし、スライドに記載の施策へ着手・推進しています。
提供価値の拡充
最後に、当社が目指す「提供価値の拡充」についてです。
スライド左側の図で示すとおり、当社が注力する「楽天ぐるなびの強化」や「マーケティングエージェントの拡大」、そして「モバイルオーダーサービスの推進」などの取り組みは、縦軸の「支援領域の拡大」にあたります。他方、横軸は当社の強みである「サポート力の発揮」です。
支援領域が広がり、ソリューションが充実することで、営業をはじめとする人的サポート体制は、より幅広い業種・業態の飲食店の困りごとを解決に導くことが可能となります。
こうしたサポート力の発揮により、加盟店ネットワークを拡大すると同時に、飲食店経営者との間で、販促に限らない経営全般に関する対話が促進されることにより、当社が集積する情報資産が一層意義あるものとなります。
これを「商品造成力」の源泉とし、さらなる「支援領域の拡充」と「サポート力の発揮」の好循環を創出することで、中長期的な企業価値の向上に取り組んでいきます。
なお、昨日ご案内のとおり、当社は11月12日をもってスタンダード市場上場会社となりますが、市場移行後についても、「食でつなぐ。人を満たす。」とのパーパス(存在意義)のもと、飲食店をはじめとする食関連事業者に対する「価値提供の拡充」を推進することで、日本の食文化の発展を牽引する企業へと進化し、再びプライム市場に挑戦する所存です。
引き続き、ご支援・ご指導のほどよろしくお願いします。
質疑応答:上期売上未達の要因と下期挽回の計画について
質問者:売上に関する考え方について質問です。上期の計画が若干未達になったかと思いますが、その差額がどこで生まれたのか、また、下期に挽回できるのかをご説明いただけると幸いです。
杉原:上期の売上が計画に少し届かなかった要因は、販促商品などのスポット販売およびネット予約の手数料売上が想定を下回ったことです。
挽回のための計画をすでに策定、実行していますので、通期の売上計画は実現可能であると考えています。
山田晃久氏(以下、山田):専務執行役員の山田です。私から少し補足させていただきます。基本的には先ほど杉原が申し上げたとおり、上期において販促商品などのスポット販売および予約手数料売上が、予算よりもやや低下した状況でした。
これに関連して、「楽天カード」との連携を深めながら当社サイトへの流入数拡大を進めているほか、下期の挽回策として、さまざまな商品サービスを次々とリリースしています。その結果、10月の足元ではスポット売上も好調で、しっかりと挽回できると考えています。
質疑応答:ストック型加盟店舗の純増動向について
質問者:ストック型有料加盟店舗数の純増について質問です。しっかり回復していると感じていますが、新規獲得、プランアップ、退会のバランスはどのように推移しているのでしょうか?
また、第3四半期は繁忙期に入るかと思いますが、現在の純増ペースを維持できるのか、どのような手応えを感じているのか、ご教示いただけると幸いです。
杉原:ストック型加盟店舗数の伸びのバランスについて、新規で加盟いただく店舗、ストック商品の購入を含めプランアップいただく店舗双方が、徐々に増加しています。他方、退会数については、引き続き低水準に抑えることができています。
なお、「マーケティングエージェント」のサービス利用をきっかけにストック型加盟いただく店舗が着実に増加しており、こうしたサービスの解約率は基本的に低い傾向にあります。こうした動きも奏功し、純増トレンドに移行したと捉えています。
また、例年の季節的な傾向として、10月から12月の繁忙期を迎え、加盟を検討される飲食店が多いため、純増ペースの維持・向上を図りたいと考えています。
質疑応答:インバウンド観光客の取り込み状況と収益への影響について
質問者:インバウンド観光客の取り込み状況について質問です。実際にインバウンド観光客が収益にどの程度つながっているのか、もし可能であれば、定量的なインパクトについて教えていただけますでしょうか?
杉原:ノーショー対策として、キャンセル保険などさまざまな施策を取ることで、飲食店においては、インバウンド観光客による予約を避ける動きは相当減少しています。
こうした変化を踏まえ、具体的な数値は控えさせていただきますが、「楽天ぐるなび外国語版」の利用店舗数・売上は順調に増加しています。それに伴い、インバウンド観光客による予約件数も増加傾向にあります。
また、インバウンド需要の取り込みを目的に、「 Google ビジネスプロフィール(GBP)」の運用支援商品を契約されるお店も増えてきており、「GBP」を経由した海外からのアクセスおよび予約の増加を確認できています。
質疑応答:サービス価格・手数料等の下げ圧力とその認識について
質問者:ARPUのトレンドについて質問です。加盟店より御社のサービス価格・手数料に関し、一定の下げ圧力がかかっているのか教えてください。また、今後の方向性についてどのようにお考えか、補足をお願いします。
杉原:当社としては、加盟料やネット予約手数料について、加盟店より下げてほしいといった圧力や要請は、受けていないとの認識です。
なお、ネット予約手数料については、主要な飲食店予約サービスの中で、当社が最も低い水準にあります。
質疑応答:楽天会員IDとの連携による収益効果と予約比率について
質問者:楽天会員IDとの連携による収益面でのメリットについて、現時点で定量的になにか把握されている効果があれば教えてください。また、予約全体に占める楽天会員の比率についても教えていただけますか?
杉原:楽天ID連携会員数が「1人増えると売上がいくら増える」といった直接的なものではありませんが、非会員やその他の会員と比べ、ID連携会員の方のほうが、1組当たりの予約人数が多く、またその後リピート利用される傾向が高いことについては数字上明らかです。そのため、基本戦略として楽天ID連携会員を増やすことに注力しています。
さらに、ID連携された会員の方々の初回予約を促し、2回目、3回目と頻繁に利用していただけるよう誘導する取り組みを、現在段階的に進めています。
山田:楽天ID連携会員による予約数が全体の予約数に占める比率は約6割となっています。
質疑応答:モバイルオーダーの普及状況について
質問者:モバイルオーダーの普及状況について、御社としては現在どの程度まで浸透していると見ているのでしょうか? またリーチ可能な最大市場規模の見通しや、その中での御社のシェアについても教えてください。
杉原:来店客自らのスマートフォンを利用してメニューを注文するモバイルオーダーは、イートイン業態のお店だけでなくテイクアウト業態でも有効活用できることから、両方の業態を市場と捉えた場合、約80万店の規模に上ると認識しています。
イートイン業態に関して言えば、チェーン展開する大手外食企業の領域と中小規模飲食店領域に分類でき、当社では主にチェーン企業を対象に提案を進めています。チェーン店内の一部に先行導入いただき、その成果を踏まえチェーン全体への導入加速につなげるとの考えがあります。
現状、当社がターゲットとするチェーン事業者は300社から350社程度で、ブランド数としては約500ブランドあるとの認識で、これらの店舗がすべて導入した場合、約3万店舗に達すると見込んでいます。
2025年9月末時点で当社モバイルオーダーを契約する企業は約140社まで拡大しており、着実に一部店舗への先行導入を進めています。今後、チェーン全体へ本格的に導入されると、当社サービスの利用店舗数は、1万数千店舗規模まで拡大する可能性があります。
今後さらに可能性を広げるため、契約社数の拡大やチェーン店内への導入拡大などに向けた施策に着手・推進しています。
次に、中小規模飲食店の領域については、POSレジシステムの提供事業者が付帯サービスとして提供する簡易版モバイルオーダーの導入が見受けられます。まずは簡易版で使い始めたお店から、「コンテンツをよりリッチに表示したい」「決済までできるようにしたい」「CRMの機能をつけたい」といった要望が今後出てくると考えられ、そうした場合、より本格的なモバイルオーダーサービスを提供する当社のような事業者への乗り換えが起こると認識しています。
質疑応答:郊外での加盟店獲得競争について
質問者:昨日、株式会社カカクコムの決算説明会で、「食べログ」が都市部ではなく郊外での新規開拓を強化しているというお話がありました。対「食べログ」について、あるいは業界全般として、郊外での顧客獲得における競争環境の変化はあるのでしょうか?
杉原:都市部、郊外、地方を問わず、「食べログ」や「ホットペッパー」などのグルメサイトとは、常に競合しています。
もちろん、各社提案の結果1つのサービスのみ契約する店舗もあれば、複数のサービスを併用し販売促進に取り組む店舗も存在し、当社が商談をまとめた後に他社が続けて営業を行う場合もあれば、その逆も当然あります。
「食べログ」さまに関しては、営業活動範囲を都市部から郊外へと拡大されているとのことですが、当社としては、そうした変化を顕著に感じてはおらず、これまで同様、どのエリアにおいても熱心に活動されている印象です。当社もそれに引けを取らないよう、インサイドセールスとフィールドセールスの両面でしっかりと取り組んでいます。
質疑応答:AI活用による業務効率化について
質問者:資料の14ページに記載されているAI活用についてです。今後、おそらく飲食店向けにこちらを導入する予定とのお話でした。これに伴う代行業務オペレーションの効率化に関して、もし現時点で具体的な案がありましたら、補足いただけると幸いです。
山田:積極的にAI活用を推進する方針で、現在さまざまな試行を重ねている段階です。具体的には、メニューの多言語対応におけるAI活用や、ページ更新でのAI活用の検討のほか、飲食店に対するサポート業務でのAI活用にも取り組んでいます。また、当社に集積される成功事例を活用した支援など、さまざまな観点で模索している状況です。
杉原:少し補足します。当社は昨年の夏より「ぐるなびNextプロジェクト」というAI活用プロジェクトを本格化しており、開発スタッフに限らず多くの社員が関わっています。
このプロジェクトでは、大きく3つの分野で取り組みを進めており、1つは、当社の事業運営上におけるAI活用で、業務推進における生産性や精度の向上を目指し、業務のAI化に取り組んでいます。
2つ目は、ユーザー向けの取り組みで、本年1月にβ版を公開した次世代食体験アプリ「UMAME!(うまみー!)」について、正規版のリリースに向けたバージョンアップを進めています。
3つ目は、クライアント向けとして、特に飲食店のオーナーやマネージャー、店長といった方々が業務を進める際に、便利に使えるAIを提供することを目指しています。一般的なAIサービスでもある程度対応できる部分がありますが、当社としては、さらに飲食店経営・運営に特化したものを提供していきたいと考えています。
これら3つの分野それぞれで得られた知見を他の分野へ転用することで、すべてが進化していくようプロジェクトを進めており、特に、当社従業員自身が業務にAIを活用してより良いかたちにしていく過程で得られるノウハウは、クライアント向けのAIエージェントサービスに転用可能なものが多いと認識しています。当社自らがAI活用を進める中で得た成果をクライアント向けのAIエージェントに機能として組み込むという流れが、今後積極的に進行していくと考えています。