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Hmcomm、DXパートナー事業を事業譲受で取得し、対話型AIエージェント『Terry2』をリリース 事業成長拡大へ

エグゼクティブサマリー

三本幸司氏:Hmcomm株式会社代表取締役CEOの三本です。2025年12月期第3四半期の決算説明を行います。どうぞよろしくお願いします。

はじめにエグゼクティブサマリーです。2025年12月期第3四半期累計は、売上高7億6,000万円、経常利益1,000万円、経常利益率1.4パーセントとなっています。

2025年12月期通期の見通しについては、売上高14億5,000万円、経常利益1億6,000万円、経常利益率11.7パーセントを見込んでいます。

ファンタラクティブ株式会社からの事業譲受

第3四半期のトピックスです。8月15日にファンタラクティブ株式会社からの事業譲受を実施しました。HmcommのAIプロダクトのデザインやヒューマンインターフェイス、UI/UXの改善を目指し、直感的で使いやすいサービスへ進化させるためのアクションです。

ビジネスプロセス~事業化・社会実装の実例 1

次に、生成AIを活用した対話型AIエージェント「Terry2」を正式にリリースしました。「Terry2」については、SBI証券との共同研究を通じ、金融領域をはじめ多様な業界での社会実装を推進する取組みとなっています。

ビジネスプロセス~事業化・社会実装の実例 2

次に、セコム株式会社にAI音声プラットフォーム「Voice Contact」を導入いただきました。当社の音声認識技術と生成AIを活用し、CRM自動入力やアフターコールワークの削減、顧客対応の品質強化など、AIコールセンターで期待されるさまざまな機能を盛り込み、品質向上を実現しています。

2025/12期3Q決算概要

続いて、2025年12月期第3四半期の決算概要に移ります。2025年12月期第3四半期の売上高は7億6,000万円です。大型受注案件の最終品質を確保するための検証プロセスに時間を要したことや、新規大型案件の契約調整に伴い、売上の計上が第4四半期に移行していることから、進捗率は52.7パーセントとなっています。

損益面では、8月の事業譲受に関連する取得費用が発生したものの、第3四半期単独では第2四半期累計を上回る結果となりました。これは、上期に発生した一時的な戦略支出が一巡したことに加え、プロジェクト管理体制の強化による原価率の改善が奏功したものです。

売上構成の状況

次に、売上構成の状況です。AIプロダクトの先行指標となるAIソリューションに優先対応してきた結果、スライド左のグラフのとおり、AIソリューションの比率が増加しています。これが将来的なAIプロダクトの売上増加や事業拡大につながると考え、今年度はAIソリューションの強化に注力しました。

スライド右のグラフは顧客別の売上構成です。2024年以降、特定の上位取引先への依存度を低下させ、取引先の多様化を推進してきました。売上構成の健全化と、1社依存からくる経営リスクの低減につながったと考えています。

AIソリューションとAIプロダクトの事業状況

AIソリューションとAIプロダクトの事業状況です。スライド左側は、AIソリューションのプロジェクト数と平均単価をグラフ化したものです。既存事業の伸長に加え、事業譲受の効果もあり、計131件へと増加しています。2025年12月期第3四半期時点で、計画比139パーセントを達成しました。

プロジェクトの平均単価は、単月契約案件の増加により320万円となりましたが、取引社数の拡大を通じて中長期的な収益機会を拡充できています。

スライド右側は、AIプロダクトのアカウント数とアカウント当たり平均単価を示したグラフです。アカウント数においては、新規取引先へのアプローチが奏功し、2025年12月期第3四半期時点で計画比78パーセントを達成しました。アカウント当たりの平均単価は、大型案件の採択が増加したことから840万円で推移しています。

B/Sの状況

続いて、B/Sの状況です。スライドのとおり、有利子負債を完済し、自己資本比率90パーセント超の無借金経営を継続しています。

2025年2月と8月には、ご連絡のとおり事業譲受によりのれんを計上しました。事業譲受で現預金は減少したものの、総資産の70パーセントを維持し、投資資金は潤沢に確保しています。

2025/12期通期業績予想

それでは、2025年12月期の通期見通しに移ります。売上高は前年比53パーセント増、営業利益は前年比83パーセント増、経常利益は前年比135パーセント増となる見通しです。前期に計上していた上場関連費用など、さまざまな経費の消失が寄与すると想定しています。

経常利益見通し 想定増減要因分析

続いて、2025年12月期経常利益見通しの増減要因分析です。主な増加要因として、AIプロダクトの顧客単価の上昇、AIソリューションのプロジェクト数増加などの増収効果を期待しています。

一方で、外注加工費やビジネスパートナーに発注する費用の増加に伴う原価率の上昇、先行投資による人件費の増加などによりコストアップが見込まれることから、増益幅は限定されるものの、増益率はプラス135.1パーセントとなっています。

中期展望(成長戦略)再定義背景

ここで、中期展望について前回と同様のかたちで再度説明したいと思います。中期展望の再定義背景として、ご存じのように東証グロース市場の上場維持基準に関連し、東証からさまざまなメッセージが発信されている状況の中で、時価総額100億円の達成が当社の喫緊の目標となっています。

中期展望(成長戦略)再定義

それに伴い、中期展望を再定義しました。1つ目は、既存事業のオーガニック成長を拡大させ、上場時に立てた従来の中期計画を実直に守ることです。2つ目は、新たに非連続成長に向けた成長を付加し、時価総額100億円をできるだけ早い時期に達成することです。

既存事業のオーガニック成長を拡大(5つの事業戦略の全体像の整理)

オーガニック成長の拡大については、5つの事業戦略を掲げています。1つ目に「共創プロジェクトの積上げ加速・拡大」、2つ目に「AIプロダクトへのコンバージョンの加速」、3つ目に「AIプロダクトのクロスセル」、4つ目に「販売代理店の拡大」、5つ目に「あらゆるフェーズで生成AIを活用することにより、業務効率化とプロダクトの価値向上を図る」です。

従来どおり、これら5つの戦略をきちんと回しながら、オーガニック成長を確実に実現していきます。

当社の現状分析

次に、インオーガニックに関する内容です。先般ご報告したとおり、インオーガニックについては、強み・弱み・機会・脅威の4つの視点で分析を行うSWOT分析に基づきアクションを進めています。具体的には、「強みの強化」「弱みの補完」「機会の拡大」「脅威への対処」の4軸で検討しています。

SWOT分析を踏まえたM&A/資本提携等の対象方針

SWOT分析を踏まえた具体的な取組み内容は、「音のノウハウの隣接領域展開」「IT開発企業の事業再生(ターンアラウンド)」「人材・ケイパビリティ獲得」「採用基盤強化」の4つです。

これら4つの軸に沿ってM&Aを進めるとともに、一部では資本参画を行い、連結経済を確保し形成していくことが当社の現在のアクションとなります。その結果が、2月と8月の事業譲受です。

対応組織

それに伴い、2025年10月に予定どおり専任者を迎え入れてM&A戦略室を設置することができました。

これにより、「サーチ&買収実行チーム」と「PMI実施チーム」の2軸で専門家が動ける体制が整いました。目先の重点項目をしっかり据え、広義におけるインオーガニック戦略としてM&A戦略を実行していく方針です。今後の新しいトピックスについては、適時開示を通じてみなさまにご報告します。

目指すありたい姿

東証グロース改革を成長の追い風に、東証からのさまざまなメッセージにきちんと対応し、時価総額100億円必達に向け経営陣が身を引き締めて取り組んでいきます。この取組みにご理解とご協力をよろしくお願いします。

ビジネスフロー

あらためて、Hmcommのビジネスモデルについて簡単にご説明します。まず、当社のビジネスフローについてです。

当社にはAIプロダクトとAIソリューションの販売・戦略カテゴリがあります。主に事業会社からの直接依頼により、事業会社の課題を解決するところからスタートしているため、直接販売が売上全体の81パーセントを占めています。

お客さまのさまざまな課題を解決できるAIプロダクトが完成した際には、販売代理店を通じて広く業界・業態に向けて拡販していきますが、現時点では事業会社とタッグを組むダイレクトの取引が大きな割合を占めています。

独自の研究開発型ビジネスプロセス

当社の独自の研究開発型ビジネスプロセスについてです。「R&D初期フェーズ」で研究開発から始まり、「R&Dプロジェクトフェーズ」で事業会社や関連するアライアンスベンダーと協力してプロトタイプを作ります。事業会社の社会課題の解決につながるプロダクトを育成し、最終的に「プロダクト化フェーズ」でAIプロダクト化を実現します。

AIプロダクト化した後は、事業化・社会実装を積極的に推進し、「保守運用フェーズ」でサービスを提供していきます。このプロセスを回し続ける仕組みが当社の大きな特徴となっています。

スライド左側がAIソリューション領域、右側がAIプロダクト領域を示しています。AIソリューションでお客さまとタッグを組み、AIプロダクト化でライセンスビジネスとして量産していく仕組みがスムーズな事業の姿となります。

ビジネスプロセス~当社の優位性

R&D初期フェーズでは、さまざまな論文や研究成果を基にプロトタイプを作成します。プロトタイプを作成後は、R&Dプロジェクトフェーズで事業会社に研究成果を提供し、PoC(概念実証)などを通じてフィジビリティスタディを実施します。

その結果、社会課題や事業会社、業界・業態の課題解決につながるかたちになれば、プロダクト化フェーズに移行し、当社のプロダクト、IPRとしてしっかり作り込んでいきます。

最終的にサービスを提供し、これが1つのサブスクリプションモデルあるいはライセンスビジネスとなります。この流れが最もシンプルかつ成功パターンであると考えています。

ビジネスプロセス~共創フェーズ(AIソリューション)の取組み

ビジネスプロセスの共創フェーズ(AIソリューション)の取組みについてです。先ほどお話ししたように、スライド左下の研究から、右に進むと課題解決型研究開発となり、事業会社やアライアンスパートナーを含めた共創プロジェクトを組んでいきます。

最終的には実証実験を経て、お客さまの目標設定、課題解決設定、KPIをクリアした暁にはプロダクト化フェーズに移行します。プロダクト化が実現し、コンバージョンできて初めて目標が達成されます。

ただし、先ほどもご説明したように、AIソリューションの数が一定以上なければ、AIプロダクト化へは移行できません。お客さまの課題を聞いてさまざまなAIプロダクトを作り込み、コンバージョンを高めていくことが成長への一番の近道です。そのため、AIソリューションが非常に高い比率を占めています。

ビジネスプロセス~共創フェーズの実例

スライドは、事業会社との共創フェーズの実例です。事業会社との共創フェーズを経て、会社の課題を解決して得られたアウトプットプロダクトを幅広く販売していくかたちになると考えています。

以上で2025年12月期第3四半期の決算説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

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