目次
湯本武夫氏:代表取締役社長の湯本です。本日はお忙しい中、ご参加いただきありがとうございます。本日は、スライドの内容に沿ってご説明します。
全体概要
本年度決算の業績概要についてご説明します。まず上期の実績についてです。売上高は165億円で、前期比で増収となりました。営業利益は10億円で、前期比193パーセント増と大幅な増益を記録しました。
主な要因として、精密部品ではトランプ関税の影響を受け、一部で受注に変動が見られたものの、幸い大きなマイナスには至らず、全体としておおむね安定した受注を確保できました。
生活用品ではクロックで苦戦したものの、モバイルファンの好調により快適品群の売上と利益を拡大することができました。
次に、通期予想についてご説明します。売上高は335億円と、ほぼ前期並みの見通しです。営業利益は15億5,000万円で、前期比約90パーセントの増収を見込んでいます。当期利益は20億円で、大幅な増益を見込んでいます。
以上の結果、8月8日に開示のとおり、期初計画を上方修正しました。
2025年度上期 連結業績
2025年度上期の業績の詳細についてご説明します。まず連結損益計算書です。売上高は前期比3.8パーセント増の165億8,400万円で、6億円の増収となりました。営業利益は前期比193パーセント増の10億1,800万円で、6億7,100万円の増益となっています。
当期利益は18億1,000万円で、前期比14億7,300万円の増益となりました。
2025年度上期 連結業績
上期の当期利益の前期比較です。前期比で営業利益が6億7,100万円増加しました。こちらはモバイルファンの販売好調に伴う製造原価の改善が大きく貢献しています。また特別損益は、不動産の売却益や不採算拠点の清算益により8億円の増加となりました。
以上の結果、前期比で14億7,300万円の利益改善となっています。
2025年度上期 連結業績
連結貸借対照表です。資産の部では、流動資産が286億5,300万円、固定資産が178億6,000万円で、資産合計は465億1,400万円となり、前期比で14億2,100万円増加しました。
負債の部では、流動負債が68億100万円、固定負債が81億4,400万円で、負債合計は149億4,500万円となり、前期比で11億6,000万円増加しました。
純資産の部は315億6,800万円で、前期比で2億6,000万円増加しました。こちらは主に有価証券評価差額の増加によるものです。
以上の結果、自己資本比率は67.9パーセントとなりました。
2025年度上期 連結業績
キャッシュ・フローです。営業活動によるキャッシュ・フローは21億5,400万円で、前期比7億3,400万円増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは9億9,600万円で、投資額は前期比で2億1,600万円増加しています。
財務活動によるキャッシュ・フローはマイナス7億400万円で、前期比で29億7,600万円減少しました。これは主に借入返済と自己株式の取得によるものです。
以上の結果、現⾦及び同等物の中間期末残高は135億9,400万円で前年並みとなりました。
2025年度上期 連結業績 セグメント別
セグメント別の業績についてです。精密部品事業の売上高は120億7,600万円、営業利益は9億8,900万円となりました。生活用品事業の売上高は42億6,000万円、営業利益は2億6,900万円となりました。
2025年度上期 連結業績 セグメント別 ①精密部品事業
セグメント別の要点についてご説明します。まず精密部品事業です。売上高は約120億円で前期並みとなりました。
重点政策として、ユニット部品の受注拡大と生産性向上に取り組んでいます。1部品だけでなく複数部品をユニット化することで、顧客の管理業務や検査業務の手間を省き、大幅に生産性を高めることが可能です。このように総合的な付加価値を高め、受注の拡大と収益強化を図っていきます。
モビリティ事業の売上高については、直近ではEV市場の環境が大きく変化し、関連部品の受注が減少しました。しかし、ハイブリッド向け部品は堅調に推移しました。海外市場では中国や東南アジアの日系メーカーの不振により売上高が若干減少しましたが、生産効率の改善により収益確保に努めました。
精密部品事業の営業利益は約9億9,000万円となり、前期比約8,000万円の増益となりました。
2025年度上期 連結業績 セグメント別 ②生活⽤品事業
生活用品事業です。事業転換を目指して取り組んできた快適品の挑戦も5年目を迎えました。売上高は約42億円で、約5億円の増収となりました。
昨年から大幅な拡大に取り組んだモバイルファンは、今年度さらなる拡大に挑戦し、前年の2倍を超える販売を達成しました。リズムの快適品を市場に広くアピールする、大きな一歩を踏み出せたと考えています。
営業利益については、生産台数の増加により、原材料価格の低減や生産性の改善・向上など、大幅な原価改善を実現しました。
まだ上期のみの実績ではありますが、約2億6,000万円の営業利益を確保し、念願であった黒字化への転換を果たすことができました。この勢いを年間の黒字化に結び付けるべく、新たな製品の販売拡大に挑戦しています。
本日、会場に展示している加湿器「MIST 250」は、当社の新たな挑戦を象徴する製品です。ただいま販売拡大中であり、当社特有のデザインや使い勝手の良さに対してご好評をいただいています。後半でご紹介したいと思います。
2025年度通期 業績予想
2025年度通期の業績予想です。売上高が335億円で、前期比8億3,300万円の増収を見込んでいます。営業利益は15億5,000万円で、前期比7億3,200万円の増益、経常利益は18億円と予想しています。当期利益は20億円とし、前期比12億4,100万円の大幅な増益を見込んでいます。
2025年度通期 業績予想 セグメント別
セグメント別の業績予想はスライドのとおりです。詳細は次のページでご説明します。
2025年度通期 業績予想 セグメント別 ①精密部品事業
まず精密部品事業です。売上高は約241億円で、前期比約7億円の減収を見込んでいます。
前中期経営計画においては、モビリティ関連の売上拡大を重点施策として掲げ、新規受注や生産性向上に取り組んできました。
モビリティ売上高については、EV市場の環境変化や欧州の不透明さを楽観視できないものの、ハイブリッド向けの部品は順調に拡大しています。
また、世界の空調機器向け部品については需要が旺盛です。光学部品や工作機械部品についても、多少の波はあるものの受注は回復傾向にあると判断しています。
年度合計では、前年並みの売上高を確保できると考えています。
営業利益は20億円で、前期比でやや下振れの見込みですが、前年並みの水準を確保することを目指して努力しています。
国内では全体的に安定した受注が期待され、増収に伴う増益が見込まれています。海外では、中国や東南アジアのモビリティ関連で減収の見込みであるものの、生産性の向上や費用抑制により、前年並みの増益を確保したいと考えています。
2025年度通期 業績予想 セグメント別 ②生活用品事業
生活用品事業です。売上高については、国内はモバイルファンの拡大だけでなく、冬商材をはじめとする通年商材の販売拡大を目指しています。
海外は、昨年度の米国拠点閉鎖の影響などにより前年度を下回る見込みです。一方で、中国および東南アジアでの拡大を目指して挑戦を開始しました。今期はまだ種まきの段階ですが、来年度以降の業績に寄与するものと考えています。
営業利益については、事業再建のめどがようやく立ち、通期黒字化が見えてきました。現在、モバイルファンが大きな柱となっていますが、新たな柱となる製品を育成し、事業規模の拡大と安定を目指しています。
売上高規模の拡大と合わせて事業構造の収益性強化を進めて、黒字化を達成したい考えです。
中期経営計画2027
スライドは中期経営計画2027の売上高目標です。本年度の売上高は、若干の凹凸はあるものの、おおむね計画どおり進捗する見込みです。
2026年度および2027年度においては、精密部品事業では個別部品の拡販に加え、複合部品の拡大強化を計画しています。生活用品事業では、快適品の新製品拡充により、早期の売上高100億円達成に挑戦していきます。
営業利益については、売上規模の拡大に伴う限界利益の拡大と生産性向上を基軸に、事業モデルの収益性向上に取り組んでいます。
生活用品事業については、新しい事業であるため、投資が先行し厳しい状況にありますが、早期の採算化を実現したいと考えています。
まだ改善の余地が多くあります。特に、生産と販売の総合的な生産性向上を主なテーマとして、1年ごとに着実に製造原価の低減を積み重ねるよう工夫し、挑戦しています。
中期経営計画進捗状況
財務・資本、サステナビリティ、および経営基盤についてご説明します。スライドは中期経営計画の財務指標です。ROEは当期の利益見通しをベースに、6.3パーセントとなる見込みです。
世界の経済環境にはさまざまな変化の兆しがあるものの、外部環境に負けない強靭な体質を目指し、さらなる利益創出と資本効率の向上に努めていきます。
設備投資・減価償却
設備投資については、スライドに記載のとおりです。2025年度の設備投資は、上期までに約7億円を実行しました。中期経営計画3年間での進捗率は11.6パーセントです。
今後もさらなる生産性向上や省力化設備、新製品開発などを中心に、年間約20億円の積極的な成長投資を予定しています。
株主還元
株主還元についてです。本年、当社は株主還元方針を大幅に見直しました。配当性向35パーセント以上、DOE4パーセント以上とし、安定的な配当を継続する方針としました。また、今回初めて株主優待を導入することとしました。
株主還元の取り組みは、重要な施策の1つとして位置付けています。今後も多くのみなさまに応援していただけるよう努めていきます。
サステナビリティへの取組
サステナビリティの取り組み状況についてです。2022年度より開始した環境とDEIの活動は、ともに方針や体制などグループ全体のフレームワークが整い、具体的な取り組みも定着してきました。今後は、効果を実現する段階へ移行したいと考えています。
まず環境に関してです。CO2削減については、2027年度に2018年度比30パーセント削減を目標としています。
また本年度の施策として、「CO2排出量削減目標の前倒し」「再生可能エネルギーの導入」「電気料金の削減」などに取り組んでいます。
サステナビリティへの取組
DEIにおいては、多様な人財が能力を発揮できる職場作りに向けて、女性活躍推進研修や健康経営への取り組みを進めています。
また、男性育休の取得促進などが評価され、「プラチナくるみん」の認定も取得しました。
⼈財戦略の強化
人財戦略の強化についてです。重点施策として、新卒採用活動の強化や入社初期研修の充実、中核人財育成プログラムの取組、さらに従業員エンゲージメント向上施策の充実に取り組んでいます。
当社は、まさに「企業は人なり」と考えています。今後もさまざまな施策を研究し、「未来のリズム」を担う人財の確保と育成に向けて、強い意識を持って取り組んでいきます。
TOPICS 精密部品事業
トピックスとして、製品についてご紹介します。精密部品事業では、複合部品の拡大に力を入れています。
当社の部品はさまざまな業界でご採用いただいていますが、大半は単品の部品です。製品や大型部品に組み込まれるケースが中心ですが、当社は金属やプラスチック加工だけでなく、組立加工も含めた一貫生産を得意としています。
この強みについて、これまで必ずしも十分な顧客提案を実現できていませんでした。しかし、特に近年ではモジュール化への要望が高まり、複合化による中間管理コストの削減が大きなメリットとなっています。これに伴い、複合部品化の需要は今後さらに高まっていくと予想されます。
スライドの画像は、単品部品の加工技術と組立技術を融合させた製品のひとつであるソレノイドコイルです。この黒い部分の内部にコイルが巻かれており、当社独自の技術が活かされています。
今後も、当社の強みである一貫生産を活かした複合部品の拡大強化を図りながら、お客さまに付加価値を最大化する提案を行っていきたいと考えています。
TOPICS 生活⽤品事業
生活用品事業では、快適品のラインナップ拡充を進めています。ヒット商品となったモバイルファン「Silky Wind Mobile 3.2」については、機能追加など、使い勝手向上のための改良を毎年行っています。
現在、2026年モデルの生産を開始しました。
TOPICS 生活⽤品事業
また、この秋に「Silky Wind Clean(シルキーウィンドクリーン)」という空気清浄機を発売しました。こちらはファン開発で培った風の特性を活かし、静音性を保ちながら清浄機能が高く、さらに方向角度を変えられるといった新しい発想の製品です。
TOPICS 生活⽤品事業
加湿器の「MIST 250」は、当社従来品の小型モデルです。洗いやすく清潔な機能に加え、持ち運びが楽なサイズ感で、ハンドル付きの設計となっています。
さまざまな利便性に加えて、超省エネ設計であることが特長です。他社の同等製品との比較で恐縮ですが、1シーズンあたり電気代を約7,000円節約できる省エネ性能を備えています。2シーズンご使用いただくと、ほぼ商品代が回収できるという優れた製品です。
TOPICS 生活⽤品事業
最後に、当社のモバイルファンのバッテリーの安全性についてご説明します。おかげさまで、モバイルファンは大ヒットを記録しました。しかし、市場ではモバイルバッテリーの発火事故が発生し、消費者の間で不安が広がっています。「このバッテリーは大丈夫なのか?」というご心配の声も増加しています。
当社では、「もしかしてこんな事態が起こるのではないか」といった想定を行い、早い段階からバッテリーメーカーと協力し、当社独自の「安全安心対策」を実施してきました。
スライドには、当社のモバイルバッテリーにおける安全対策について記載しています。まず世界標準の安全対策はもちろんのこと、バッテリーそのものの構造や基板回路の設計にも工夫を凝らしています。例えば、過電流を防止するなど、独自に6項目の安全機能を実装しています。
これにより重大事故を防止し、安全な製品の製造・販売を実現しています。
TOPICS 生活⽤品事業
スライドの画像は、当社のモバイルファン組立工程における作業標準書の抜粋です。
TOPICS 生活⽤品事業
当社の製品は、バッテリーの安全設計機能はもちろん、製造工程においても作業標準書を徹底し、安全性確保に万全を期して生産しています。
市場においては、残念ながら「粗悪品」と言わざるを得ないような製品も、実際に販売されています。このように、ハンディファンに限らず、安全性に欠ける製品への不安や不信が広がっているのが現状です。
TOPICS 生活⽤品事業
こうした状況を踏まえ、このたび当社品の「バッテリー安全宣言」を発することとしました。すでに10月より、小売店への告知活動を開始しています。
消費者のみなさまには、安心・安全な製品をご使用いただきたいと考えています。
今後とも当社事業へのご理解を賜り、さらなる成長にご期待とご支援をいただきますよう、お願い申し上げます。