2026/3期 中間決算概要
杉岡伸也氏(以下、杉岡):南海化学株式会社代表取締役社長執行役員の杉岡です。本日は、当社の中間決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
2026年3月期の連結中間決算業績についてご説明します。スライドの表のうち、実績値は色のついている列です。売上高は91億7,600万円、営業利益は6億700万円、経常利益は6億2,600万円、親会社に帰属する中間純利益は4億3,400万円となりました。
化学品事業および塩事業において、主に販売価格の一部是正により、前年同期比で増収増益を達成しました。
経常利益 増減要因分析
連結ベースでの経常利益の増減分析についてご説明します。前期比で火災事故の影響による高度晒粉の輸出減、農薬需要減による販売数量の減少、原価上昇、賃上げ、物流費のマイナス影響に加え、一過性補助金収入の減少がありましたが、製品の販売価格の是正によってこれをカバーし、経常利益は前年同期並みを確保しました。
なお、8月15日に発生した土佐工場の火災については、修理を終え、10月15日から無事に稼働を再開しており、現時点では問題なく操業しています。
セグメント別業績:化学品事業
セグメント別の実績についてご説明します。まずは化学品事業です。売上高は火災事故の影響により高度晒粉の輸出取引が減少するなどの影響がありましたが、一部製品の価格是正効果や機能化学品、環境リサイクル事業が好調に推移した結果、全体として増収となりました。
セグメント利益についても、全体的に適正価格を維持し、一部製品で価格是正を行ったことが寄与し、前年同期を若干上回ることができました。
セグメント別業績:各種塩事業
各種塩事業についてです。販売数量はほぼ前年度並みですが、単価の高い梅用塩の数量が増加したことや、価格の一部是正により増収増益となりました。
B/Sの状況
B/Sの状況です。固定資産が増加している原因としては、すでに公表している子会社の土地売却対応の一環として、整地や土壌改良などの費用を繰り延べていることが挙げられます。一方、負債においては前受金が増加していますが、これも土地売却にかかる手付金の一部追加入金によるものです。
本年11月28日に予定されている土地の引き渡し時には、11月12日に開示したとおり、資産から費用に振り替えられ、前受金は精算されます。この子会社の土地売却益については、25億700万円を本年度第3四半期に特別利益として計上します。
なお、期初に本取引に伴う税金等も見込んでいたため、現時点では連結業績予想の修正はありません。また、借入金や社債の削減を進めた結果、有利子負債が減少し、自己資本比率は38.1パーセントに上昇しました。今後も、財務体質の健全化に引き続き取り組んでいきます。
決算説明は以上です。
株主優待制度の導入
11月12日に公表しました株主優待制度についてご説明します。株主のみなさまの日頃のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、より多くのみなさまに中長期にわたって保有していただくことを目的に、2026年3月末時点の株主さまを対象に開始します。
保有株式数は100株以上、継続保有年数については、1年以上3年未満保有の株主さまには、当社事業所所在地である大阪府、和歌山県、高知県の特産品3,000円相当または寄付を、3年以上の株主さまには5,000円相当の特産品または寄付をお選びいただける制度としています。
なお、初回は2026年3月末時点での保有株式数および継続保有期間に応じて実施します。継続保有期間については、2023年3月末までさかのぼって算出します。導入初回に限り、2026年3月末時点で100株以上を保有し、継続保有期間が1年未満の株主さまにも、3,000円相当の当社事業所所在地特産品を贈呈します。
配当については、すでに公表のとおり、2026年度3月期は上期25円、下期35円の年間60円で、昨年度比5円の増配を実施予定です。優待制度とともに、株主のみなさまに少しでもご満足いただけるよう、引き続き努力してまいります。
成長戦略:環境リサイクル事業領域拡大~成長への布石造り
成長戦略についてご説明します。当社は、創業120年の長い歴史から得られた技術、経験、信頼、信用、そして権益を基盤とし、電解製品や硫酸といった不可欠な基礎化学品を地場に根ざして、幅広い産業や社会公共インフラ向けに安定的に供給しています。
また、それらの基礎化学品をさらに合成して付加価値を加え、地場のみならず全国、さらには海外にも販売しています。この多岐にわたるポートフォリオから新たなニーズを汲み取り、環境リサイクル事業などの新たな事業を創出できることが、当社の強みであると考えています。
その強みを活かし、さらなる成長に向けて環境リサイクル事業の質的・量的な拡大と機能強化を図っています。
まず短期から中期的な目標について、検討過程でさまざまな要因を考慮した結果、スライドの「南海ビッグバンプロジェクト」の上から2番目に位置する「排水設備の高度化」を先行させ、できれば本年度中に意思決定を進める方針です。
これにより、不純物除去能力を向上させ、これまで受け入れることができなかった重金属を多く含む廃棄物の処理ニーズを取り込むことが可能になります。続いて、廃硫酸処理から得られる硫酸を原料とした水処理凝集剤の設備更新を進める予定です。
これにより、リサイクル硫酸の受け皿の安定化を図るとともに、生産効率の向上や高付加価値化によって収益性を高めることを目指します。一方、「南海ビッグバンプロジェクト」の1番目に位置する廃硫黄のリサイクルについては、その技術の検証および環境アセスメントが必要となる可能性があるため、今しばらく時間が必要です。
土佐の脱塩事業については、拡販はすでに実施済みですが、当初想定した需要増は現時点で確認できておらず、増設の意思決定には時間がかかる見込みであり、新たな需要開拓を進めながら、引き続き増設の検討を行っていきます。
長期的なテーマに関しては、具体的なお話はまだできませんが、一部では進展が見られます。引き続き、製造・販売並びに研究開発活動といった総合力を駆使し、環境リサイクル事業を軸に取り組んでいきます。
私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:製品価格変更の可能性について
司会者:「経常利益分析において、販売単価差がプラス要素に大きく寄与していますが、御社の製品価格は、スポット的に値段を変えることが可能かどうか教えていただけますでしょうか?」というご質問です。
杉岡:当社の販売は国内取引が中心となっています。そのような意味では、基本的に海外のような長期契約ではなく、個別交渉でさまざまな要因を加味しながら価格交渉を行っています。
その点で、スポットという表現にどの程度うまく回答できるかはわかりかねますが、ある意味では価格についてお客さまの確認が必要な場合もあります。しかし、先ほどお伝えしたように、さまざまな事情に応じて価格を変えることは可能です。
特に、昨今は原材料費や人件費などが上昇していますので、採算を確保する観点からも、以前以上に感度を高くして価格改定交渉を進めています。
質疑応答:2026年3月期通期見通しの確度について
司会者:「2026年3月期の通期見通しの確度について教えていただけますでしょうか?」というご質問です。
杉岡:現時点ではまだ11月末であり、残り4ヶ月あります。そのような意味では、達成の確度について明言するには少し早いタイミングかと思います。
昨今の経済状況は期待がある一方で、足元ではコスト高による需要の冷え込みも見られ、楽観できる状況には決してありません。しかし、私としては株主さまへの安定的な還元という観点からも、利益面についてはできる限りこだわりを持ち、達成に向けて尽力する所存です。
質疑応答:子会社の土地売却における売却益の内訳について
司会者:「子会社の土地売却について、売却代金は65億円と認識していますが、なぜ売却益は25億円となるのでしょうか?」というご質問です。
長津徹氏:取締役執行役員業務本部長の長津です。東京で精算手続き中の当社子会社富士アミドケミカルの土地売却では、建物や設備の解体工事、さらには法律や条例に基づく土壌改良工事を行う必要がありました。
簿価などを勘案した結果、特別利益として計上する固定資産売却益は25億円を見込んでいます。なお、連結純利益への影響としては税金などの支払いもありますので、現時点では本年5月に公表した業績見通しからの変更はありません。
質疑応答:株主優待導入の理由と目的について
司会者:「今回、株主優待を導入された理由や目的について教えていただけますか?」というご質問です。
杉岡:先ほど決算報告の中でもご説明しましたが、まず日頃からご支援いただいている株主さまへの感謝の意を、このようなかたちでお示ししたいと考えています。目的としては、当社の株式をできるだけ中長期的に保有していただくこと、そのためにできるだけ魅力ある還元を図っていきたいということです。
加えて、当社は化学メーカーですが、化学という分野はややわかりづらい部分もあります。基本的にはBtoB取引を行っていますが、一部では塩を梅干し用に販売するなど、みなさまに日常的にお使いいただき、召し上がっていただける商品もあります。
こうした商品を株主優待として特産品のかたちでご提供することで、当社をよりわかりやすくご理解いただくきっかけになればと考え、この制度を新たに導入することとしました。
質疑応答:成長戦略の投資規模と収益について
司会者:「成長戦略について、環境リサイクルを中心に事業を拡大していくとのご説明でした。その投資規模や収益へのインパクトについて教えていただけますでしょうか?」というご質問です。
杉岡:現時点では検討段階のものが多く、具体的な数字を示すことはまだ難しい状況ですが、先ほどのご説明にもありましたように、テーマはいくつかあり、その中でも環境リサイクルを当社の成長分野と位置付けています。
この分野には確実なニーズがあると日々感じており、私自身も営業活動を進める中で強く実感しています。こうしたニーズにしっかり応えるかたちでプロジェクトを進めていきます。
また、このようなプロジェクトを進める上では収益性が大前提となります。そのような観点からも、ぜひ株主のみなさまにもご注目いただければと思います。