マネーボイス メニュー

日本証券金融、上期営業利益は前年同期比+9.8%の伸長 第8次中計の目標は経常利益150億円・ROE8%

1. エグゼクティブ・サマリー(連結)

岡田豊氏:執行役専務の岡田です。2026年3月期第2四半期決算についてご説明します。

概要については、エグゼクティブ・サマリーをご覧ください。当社の第2四半期連結業績は、営業利益は前年同期比9.8パーセント増の68億9,400万円、経常利益は前年同期比7.1パーセント増の73億1,700万円となりました。

これらの増益の要因は、株式市場の活況や金利水準がプラス圏で推移していることを背景に、貸借取引業務と株券レポ取引等のセキュリティ・ファイナンス業務が堅調に推移したことによるものです。

なお、当期純利益は、前年同期に計上した特別利益が剥落したことにより減益となっています。

2. 2026年3月期 第2四半期決算サマリー(連結・個別)

スライドの左側に日証金グループの連結業績、右側にグループ各社の単体業績のサマリーを記載しています。

貸借取引業務において株式を貸し出す際の品貸料は、その同額を品借料として借入先に払い、営業費用として計上します。したがって、品貸料の増減は営業収益の増減に影響しますが、これらは差し引きされるため、利益には影響しません。

連結業績について品貸料と品借料を除いたベースで見ると、営業収益は前年同期比86.2パーセント増の469億4,300万円となりました。営業費用を差し引いた営業利益は、前年同期比9.8パーセント増の68億9,400万円です。

子会社については、いずれも経常利益段階では増益となり、期初計画どおり順調に推移しています。ただし、前年に計上した特別利益の剥落により、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となっています。

3. 2026年3月期 第2四半期決算サマリー(日証金単体)

日証金単体の業績概要について、貸借取引の品貸料と品借料を除いたベースでご説明します。

まず、営業収益は前年同期比85.2パーセント増の420億6,700万円でした。業務粗利益を示す営業総利益は、前年同期比9.3パーセント増の86億8,200万円となりました。

営業総利益の内訳を見ると、貸借取引業務で大幅な増益がありました。一方で、セキュリティ・ファイナンス業務では、株券レポ取引等が堅調に推移したものの、債券レポ・現先取引では利ざや縮小の影響を受け減益となりました。

その他に分類している有価証券運用業務では、キャリー収益の積み上げとポートフォリオの入れ替えを行っています。業務別の状況については、後ほどご説明します。

営業利益は前年同期比13.2パーセント増の56億1,900万円、経常利益は前年同期比30.8パーセント増の84億4,300万円となりました。

なお、経常利益の増益には連結子会社からの受取配当金の増加が寄与していますが、この配当金は連結消去の対象となるため、連結決算には影響を及ぼしません。

これらの結果、当期純利益は前年同期比21.7パーセント増の67億1,800万円となりました。

4. 業務別の営業総利益(日証金単体)

業務別の営業総利益の状況についてご説明します。

貸借取引業務については、前年同期比33.6パーセントの大幅な増益となりました。堅調な株式市況を背景に、融資および貸株ともに残高が増加したほか、市場金利の上昇に伴い、貸借融資金利が昨年度よりも高い水準にあることが寄与しました。

株券レポ取引は、前年同期比で増益となりました。金利上昇を受け、証券会社などの資金需要が増加したことが背景です。

債券レポ・現先取引については、担保需要や国際金融規制への対応目的の需要が堅調で、残高は引き続き高水準を維持しています。しかし、短期金融市場において金利が狭いレンジ圏で推移したため、利ざやが縮小し減益となりました。

一般信用ファイナンスは、堅調な株式市況を受けて前年同期比で増益となりました。一般貸株についても、フェイル回避目的の借株需要を背景に増益となっています。

リテール向け証券担保ローンについても、堅調な株式市況を背景に前年同期比で増益となりました。以上の結果、セキュリティ・ファイナンス業務合計では、前年同期比7.8パーセントの減益となっています。

有価証券運用に関しては、先ほどご説明したとおり、キャリー収益の積み上げとポートフォリオの入れ替え効果により増益となりました。

5. 2026年3月期 第2四半期決算サマリー(日証金信託銀行 )

100パーセント子会社である日証金信託銀行の決算概況についてです。

日証金信託銀行では、顧客分別金信託などの管理型信託サービスに注力しており、信託報酬は前年同期比で4.6パーセント増の8億7,600万円となりました。

また、経常利益は10億4,200万円、当期純利益は7億2,100万円と、いずれも前年同期比で増益となっています。

6. 2026年3月期 業績予想(前回公表時から変更なし)

2026年3月期の業績予想についてご説明します。2026年3月期の通期予想については、上期の業績が順調に進捗しており、2025年5月に公表した内容から変更はありません。

親会社株主に帰属する当期純利益は、2025年3月期に計上した特別利益が剥落することから、減収減益予想となります。しかし、この特別利益の影響を除いた実質ベースで比較すると、3億円程度の増益を見込んでいます。

7. 株主還元(前回公表時から変更なし)

株主還元についてご説明します。当社は2025年度までの株主還元方針として、配当と自己株式取得の機動的な実施により累計で総還元性向100%を目指しています。

また、配当については連結配当性向70パーセントを目安に、積極的な配当を行う方針です。

2025年度の普通配当は80円を予定しており、自己株式取得については金額28億円、株数170万株の枠を設定しています。いずれも2025年5月に公表した内容から変更はありません。

配当と自己株式取得を合わせた今期の総還元性向は100パーセントとなる見込みです。

1. 第7次中期経営計画(2023~2025年度)の実績

櫛田誠希氏:代表執行役社長の櫛田です。先般公表しました第8次中期経営計画についてご説明します。

当社は本年度が第7次中期経営計画の最終年度であり、その上半期の決算もすでに公表している状況です。

第7次中期経営計画を簡単に振り返ると、当計画は経営目標として連結経常利益100億円以上、連結ROE5パーセント以上という目標を掲げてスタートしました。そして、これらの経営目標は初年度中に2年前倒しで達成することができました。

その結果、第7次中期経営計画については期間中に目標を上方修正するとともに、当社が長期的に目指している経営の方向性を示すため、2023年11月に「当社が目指す経営の長期的展望」を公表しました。当社はそのもとで目標達成を目指し経営改革に取り組んできました。

このような取り組みの結果、第7次中期経営計画2年目となる2024年度には、連結決算開始以来、過去最高益を記録しました。そして、最終年度となる本年度も、専務の岡田の説明にもあったとおり、上半期まで全体として順調に進捗しています。

この間、事業戦略面では収益源の多様化を図るための取り組みを行い、これが一定の成果につながり、収益力と資本効率の向上が見られました。

また、コーポレートガバナンスの強化についても、スライドに記載のとおり取り組んできました。

2. 企業理念・将来像・経営方針

このような状況のもとで、第8次中期経営計画を策定しました。

策定にあたっては、スライドに記載の企業理念、将来像、経営方針について、当社の存在意義や普遍的な価値観、あるべき姿とともに、大きな経営方針としてどのようであるべきかを確認しつつ、中期経営計画の議論を進めています。

企業理念や将来像は頻繁に変わるものではないと考えています。経営方針については、第8次中期経営計画を策定するにあたり、大きな方向性としてはこれまでの取り組みを深化、加速させることを考えています。

これまで注力してきたセキュリティ・ファイナンス業務をさらに強化する方針のもと、基礎的な経営方針をあらためて確認し、強調しています。若干の変更点はありますが、大きな方向性や枠組みは変わっていません。

3. 当社が目指す経営の長期的展望

スライドには、「当社が目指す経営の長期的展望」を記載しています。これは、第7次中期経営計画の経営目標を初年度で達成する見込みが立った際に、より長期的な方向性をあらためて確認しつつ、投資家や株主のみなさまに、我々がどのような姿を目指しているのかを示したものです。

また、社内的にも、当社が目指す将来像や、企業としてのあり方などを中心に、長期的な方向性を示す意味で作成しています。

方向性として大きな変化はありませんが、スライドの「3.長期的な方向性」についてご説明します。

これまでは、第7次中期経営計画で掲げたROE5パーセントを達成した後、資本効率の観点からどのような姿を目指すのかというと、ROE8パーセントを意識して取り組んでいくとお話ししてきました。

つまり、一般的に上場企業として要求される水準であるROE8パーセントを意識しながら、収益力と資本効率の向上に取り組んできたということになります。

今般、第8次中期経営計画を策定するにあたり、ROEについては、第8次中期経営計画の期間中に8パーセントの実現を目指し、今後も着実な向上に向けて取り組んでいくことを明確化しました。

また、株主還元については、ROE8パーセントを達成するまでの間、総還元性向100パーセントを継続する方針を、長期的な方向性としてあらためてお示ししています。

現在、PBRは1倍を若干超えて推移していますが、このような経営の取り組みを通じて、今後も1倍超の市場評価を維持する方向性を示しています。

4. 第8次中計の経営目標

このような長期的展望を踏まえつつ、第8次中期経営計画期間中の具体的な経営目標については、収益力の面では、連結経常利益150億円、資本効率の面では連結ROE8パーセントの実現を目指します。

5. 第8次中計における戦略

経営目標を実現するにあたっての戦略についてご説明します。今回の第8次中期経営計画では、我々がどの分野に注力するのかを明確にし、6つの戦略に取りまとめています。

スライドには、注力する分野としての6つの戦略が掲げられています。1つ目は、証券市場のインフラとしての貸借取引業務の安定運用と利便性の向上です。

2つ目は、セキュリティ・レンディングのさらなる強化を軸とした、セキュリティ・ファイナンス業務の拡充です。

3つ目は、海外市場におけるプレゼンス・認知度の向上です。これまでも海外取引先との取引深耕を図ってきました。今後もクロスボーダー取引の対象市場や取り扱い商品の拡大を進めていきます。

海外を注力分野の1つとして掲げ、我々としてはアジアにおける主要プレーヤーとしてのポジションの強化を図っていきたいと考えています。

4つ目は、デジタル技術を活用したビジネスのイノベーションと業務効率化です。当社の業務は、以前に比べて大幅に拡大し、取引量も増加しています。これに対応する処理を行うためのシステムなどを含め、デジタル技術を活用して効率的に業務を推進する体制を整備します。

また、DLTの実用化など、長期的な視点で取り組んできたデジタル技術の活用をさらに積極的に進めていく方針です。

5つ目は、グループ連結経営の強化です。子会社の業務リスク管理など、さまざまな面でグループ連結経営の実効性をさらに高めたいと考えています。

6つ目は、当社の取り組みを支えるのは人材力です。人財力の基盤については、引き続き強化を図っていきたいと考えています。

6. 主な施策・取組み

スライドは、先ほどご説明した注力分野を、それぞれの事業分野における取り組みに整理したものです。

業務としては、貸借取引、セキュリティ・ファイナンス、有価証券運用、新規分野、信託業務が挙げられます。それを支える基盤として、スライド左側の人的資本投資と右側のシステム投資というかたちにまとめています。

貸借取引の分野では、利便性の向上を目指しています。これは、過去から存在する一種のインフラ機能です。環境やニーズの変化に対応しながら、継続的に見直しを行い、利便性の向上を図っていきたいと考えています。

セキュリティ・ファイナンス業務は、海外取引先の開拓や取扱う海外有価証券の拡大を柱に、アジアにおけるメインプレーヤーとしてのポジションを強化することを目標としています。

有価証券運用では、リスクリターンの高いポートフォリオの見直しや入れ替えを進めつつ、より収益性の高いポートフォリオの構築を目指しています。

新規分野では、長期的視点で取り組むファンドアドミニストレーション業務の着実な成長を目指し、インドネシアでの事業展開やDLTの実用化への取り組みも継続します。この2つの分野はどちらも長期的視点で注力しているものです。

信託業務については、当社は管理型信託というニッチな分野に取り組んでいます。今後もその外縁を広げて収益力をより一層高めることを目指します。以上が各事業分野における施策となります。

これらを支える人的資本投資では、経験者採用を引き続き積極的に進め、また内部人材を育成することによって、専門人材と呼べる人材の比率を高めていきたいと考えています。

当社が取り組んでいるセキュリティ・ファイナンス業務については、プレーンな取引を拡大するのではなく、当社の持ち味や強みを磨きながら事業を拡大させることを目指しています。

そのため、それを支える人材として、専門性やニーズをしっかり捉え、主体的に取り組んでいく姿勢が求められます。専門性や主体性を軸に人材育成を強化し、それによって、当社の事業基盤の強化に繋げていきたいというのが人的資本投資です。

システム投資については、事業ポートフォリオの変化に対応し、競争力をもって遂行できる業務運営体制の構築という観点から「攻めのIT投資」として整理しています。

また、リスク対策の強化やBCP体制の拡充など、長期的に当社がサステナビリティを維持しながら経営を行う上で欠かせない取り組みも引き続き進めていきます。

7. 株主還元方針

株主還元方針についてご説明します。これまで、第7次中期経営計画期間中においては、総還元性向100パーセントで取り組んできました。今後の方針としても、引き続き株主還元の充実を図っていきます。

具体的には、ROE8パーセントを達成するまでの間、総還元性向100パーセントを目指します。配当については、配当性向70パーセントを目安とし、積極的に実施する方針を明確にしています。

当社として、株主還元方針を基本的に充実させていくという方向性は変わりません。今回ROE8パーセントを達成するまでは、総還元性向100パーセントとする方針を数字として明確に示し、みなさまにお約束するものです。

以上、第8次中期経営計画の内容となります。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。