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フタバ Research Memo(5):2026年3月期中間期は北米の増益がけん引し、大幅増益

■フタバ産業の業績動向

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高3,294億円(前年同期比5.7%減)、営業利益86億円(同58.1%増)、経常利益87億円(同146.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益63億円(同302.4%増)となった。

売上高(支給品除く)は2,189億円(前年同期比1.3%増)と前年同期を27億円上回った。なお、売上高(支給品除く)より、仕入原価と売価が同額変動する材料建値変動による売上高減少分72億円(利益には影響しない)及び海外子会社の為替換算レート変動(円高シフト)による売上高減少分49億円を除くと、実質的な売上高は2,310億円(同6.8%増)と前年同期を148億円上回る。

売上高は、触媒等の有償支給品単価や材料建値の低下、円高の影響により前年同期を下回ったが、同社の実力を示す売上高(支給品除く)は、国内・北米における得意先の自動車販売台数の回復に支えられ、増収を確保した。

2. セグメント別業績
北米は、前年同期にトヨタ自動車のエアバッグの不具合により、北米市場向けの「グランドハイランダー」の生産を一時停止したが、これが解消され、自動車販売台数が回復したこともあり、2026年3月期中間期は前年同期比8.7%の増収となった。

日本は、前年同期比0.9%の減収にとどまった。前年同期に発生した自動車メーカーによる型式指定申請・認証不正問題やリコールなどの一時的な悪影響が解消され、さらに主力である部品事業の売上が順調に推移した。中国は、BEV化の進展や価格競争激化などにより日系車の受注環境は引き続き悪化している。しかし、想定ほどは落ち込まず、同5.5%の減収となった。アジアにおいては、インドの部品事業の売上が伸び悩み同8.6%減収となった。欧州は同0.5%増収となった。

3. 利益増減要因分析
営業利益は86億円(同58.1%増)と前年同期を31億円上回った。主な増益要因は、部品事業の売上増と生産の合理化改善である。部品事業の売上増により25億円、生産の合理化改善により13億円の増益となった。この生産の合理化改善は、損益分岐点改善活動、「ベストプラクティス活動」、ラインの集約・2直化による稼働率向上を通じたコスト低減によって実現した。

減益要因として、世界的なインフレに伴い材料費・労務費・経費が57億円増加したが、得意先への適正な価格転嫁により吸収した。また、金型設備を中心に減価償却負担が30億円減少した。しかし、同時に金型償却に見合う金型回収費等部品事業以外の利益が26億円減少し、利益の増減はほぼ相殺された。

セグメント別では、北米は得意先の自動車生産回復により、前年同期比20億円増益となった。日本も材料費・労務費・経費の増加が大きいものの、部品事業の売上増、価格転嫁や合理化改善により相殺し、8億円の増益となった。中国は、生産拠点集約に伴う労務費・経費の減少、材料の歩留まり改善などにより7億円の増益となった。

期初には米国関税に対する懸念があったが、同社はグローバル拠点での地産地消が進んでいるため貿易取引が少なく、米国関税の利益への影響は中間期で4億円程度と限定的である。

経常利益は87億円(同146.4%増)と、営業外損益が20億円改善した結果、前年同期を52億円上回った。前年同期に海外子会社への貸付金などにかかる為替差損22億円や、海外子会社の希望退職金など事業構造改善費用5億円を営業外費用に計上したことが主因である。また、特別利益に2023年10月に事業を廃止した長沙双叶汽車部件有限公司の清算益5億円を計上した結果、親会社株主に帰属する中間純利益は63億円(同302.4%増)と前年同期を48億円上回った。

自己資本比率は40.2%。前期末比2.7ポイント上昇

4. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期末の資産合計は前期末比69億円減少の3,070億円となった。流動資産は同107億円減少し1,356億円となった。現金及び預金が13億円増加し、売上債権が111億円減少した。固定資産は38億円増加し1,713億円となった。有形固定資産が下期以降にモデルチェンジの行われる車種の生産設備投資等により24億円増加したほか、投資その他の資産が投資有価証券の評価益の増加、株価の影響を受けた退職給付に係る資産の増加等により15億円増加した。

一方、買掛債務の減少130億円、長期借入金の返済16億円等により負債合計は同134億円減少した。純資産合計は同65億円増加し、1,297億円となった。利益剰余金が45億円増加し、株式市場と為替相場の変動等により、その他の包括利益累計額が12億円増加し、非支配株主持分も7億円増加した。

自己資本比率は40.2%と前期末を2.7ポイント上回った。買掛債務の減少や、有利子負債の返済により負債が大きく減少する一方、純資産が増加した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)

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