16日の日経平均は大幅続落。784.82円安の49383.29円(出来高概算22億4000万株)と5万円の大台を割り込んで取引を終えた。15日の米国市場でハイテク株を中心に売られた流れを引き継ぎ、人工知能(AI)関連株に利食い売りが先行した。日経平均は続落スタート後、じりじりと水準を切り下げ、後場の取引開始直後には49355.87円まで下押しした。米国で16日に発表される雇用統計などの経済指標の結果を見極めたいとの見方も多く、買い見送りムードが強まった。
東証プライム市場の騰落銘柄数は、値下がり銘柄数が1300を超え、全体の8割超を占めた。セクター別では、空運、パルプ紙、水産農林の3業種が上昇。一方、非鉄金属、証券商品先物、鉱業、銀行、卸売など30業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、テルモ、ダイキン、アステラス薬、塩野義がしっかりだった。半面、アドバンテス、ファナック、ソフトバンクG、ファーストリテ、フジクラが軟調だった。
米国市場ではブロードコムやオラクルへの売りが継続しており、ハイテク株からの資金流出が意識されている。東京市場もソフトバンクG、アドバンテス、フジクラなどのAI関連株が大幅安となったほか、このところ堅調だった銀行や不動産などバリュー株にも利食い売りが先行し、日経平均の下げ幅は一時800円を超えた。一方、武田やアステラス薬、テルモ、花王などディフェンシブ性の高い銘柄に投資資金がシフトした。
米テック企業による巨額なAI関連投資による収益化への懸念が拭えないなか、日経平均は下値のめどとして意識された25日移動平均線(50023円)を下抜けたため、目先は下値不安が広がるとの見方が増えつつある。一方、きょうの下げは、米雇用統計の発表を前にした持ち高調整の動きがメインで、波乱なく雇用統計を通過すれば、掉尾の一振に向けた買いが期待できるとの見方もあるようだ。米雇用統計については、政府機関の閉鎖に伴う影響などから失業率の上昇が想定される。来年の利下げ継続期待につながる結果になるのか注目したいところだ。