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サンフロ不動産 Research Memo(1):物件売却が計画通りに進み増収増益、通期予想に対する進捗率は約60%達成

■要約

サンフロンティア不動産は、東京におけるオフィスビルを中心に、不動産活用サービスを展開しており、事業は「不動産再生」「不動産サービス」「ホテル・観光」「その他」の4分野で構成される。不動産再生事業では、東京都心の中小型オフィスを中心としたリプランニング物件の販売に加え、新築ビル開発、不動産小口所有商品の組成・販売、都内レジデンシャル物件の開発、ニューヨークのアパートメント再生物件の販売、さらに賃貸ビルの運営を行っている。一方、不動産サービス事業では、売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメント、ビルメンテナンス、滞納賃料保証、貸会議室運営など、多様なサービスを手掛けている。ホテル・観光事業はホテルの運営・開発・再生・販売などを手掛けている。不動産再生事業を軸に、最適な事業ポートフォリオを構築することで、収益の多角化を実現している。

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高58,232百万円(前年同期比58.3%増)、営業利益14,130百万円(同110.8%増)、経常利益13,614百万円(同114.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益8,993百万円(同103.3%増)となった。不動産再生物件の計画的な売却に加え、不動産サービス事業及びホテル運営事業が順調に拡大したことが寄与している。利益面では通期予想に対して約60%の進捗を示し、第3四半期以降も着実な進捗が見込まれる。不動産再生事業ではリプランニング物件の仕入・販売が進み、不動産サービス事業では管理受託棟数の増加に加え、貸会議室事業の坪当たり売上高の向上が収益を押し上げた。ホテル・観光事業も既存ホテルの高稼働に加え、新規開業による運営棟数の増加が成長に貢献した。また、M&Aも積極的に推進し、長野リンデンホールディングス(株)に続き、(株)大竹建窓ホールディングスをグループ化した。これにより建設分野での基盤強化が期待される。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績予想は、売上高117,000百万円(前期比13.4%増)、営業利益23,840百万円(同12.0%増)、経常利益22,500百万円(同10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15,500百万円(同9.4%増)としている。2026年3月期は、長期ビジョン2035の実現に向けた中期経営計画2028の初年度にあたり、戦略的に重要な年度と位置付けられる。同社グループはこの期においても、事業と人財の両面において積極的な投資姿勢を継続し、多角化と生産性の向上を同時に進めることで、持続的な成長を確かなものとする方針である。2026年3月期中間期は、すべてのセグメントで増収増益を達成し、通期計画に対して約60%と高い進捗率で推移している。第3四半期以降の物件販売計画も順調に進捗していることから、通期計画の達成に向けた事業の加速はもとより、弊社の試算では上振れ余地があるように見える。

3. 成長戦略
同社グループでは、中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)と長期ビジョン2035を掲げ、2028年3月期に売上高1,350億円、経常利益270億円、経常利益率20%、自己資本比率45%水準、ROE14%以上の達成を目標としている。長期ビジョン2035では2035年3月期に売上高3,000億円、経常利益600億円を目標に掲げている。同社グループは、旧 中期経営計画(2022年3月期~2025年3月期)においても、オフィス需要の変動といったリスクに対応しながら、収益基盤の多角化やESG投資を積極的に推進するなど、将来を見据えた成長戦略に取り組んできた。その結果、最終年度である2025年3月期は経営数値目標を上回る成果を実現している。このような実績を踏まえ、10年後のありたい姿として長期ビジョン2035を策定し、そこから遡って、旧 中期経営計画を達成した後の3ヶ年を期間とする中期経営計画を策定したことで、安定的な収益の確保と将来的な成長性が期待できると弊社では考える。

■Key Points
・都心オフィスビル事業を中心に、安定的な利益創出による底堅い成長を実現
・2026年3月期中間期は増収増益、通期予想に対する進捗率は約60%まで到達
・中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)と長期ビジョン2035を策定。中長期的で持続的な利益成長に期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)

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