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味の素:アミノ酸技術を核に安定収益とヘルスケア成長を両立、今期2度目の自社株買いも

味の素は、1909年に創業し、うま味調味料(MSG)を発明した日本の大手食品メーカー。国内最大手の調味料メーカーで、グローバル市場においてもそのブランドは広く認知されている。国内最大手の調味料メーカーであり、グローバル市場においてもそのブランド認知度は高い。国内では調味料や冷凍食品、アミノ酸事業などを中心に広範な事業を展開している。売上構成比は、BtoC事業が約70%、BtoB事業が約30%を占め、特に調味料部門が大きな収益源となっており、国内トップシェアを誇る。また、冷凍食品の海外展開やアミノ酸事業を中心に、グローバルな市場での拡大を目指している。特にアミノ酸事業では、発酵技術を用いて高品質な製品を提供し、医薬やヘルスケア分野でも需要が増している。

2025年3月期第2四半期(累計)の業績は、売上収益7,388億円(前年同期比0.7%減)、事業利益867億円(前年同期比0.2%減)で着地した。減収の主な要因は、冷凍食品、BtoB向けうま味調味料の減少である。しかし、BtoC向け調味料は安定した需要を維持しており、食品事業全体は堅調に推移した。

2025年3月期通期予想は、売上高1兆6,180億円(前年比5.7%増)、事業利益1,800億円(前年比13.0%増)を計画している。第2四半期までの業績進捗はやや遅れたが、計上タイミングの影響によるものであり、下期に回復が見込まれ、特に冷凍食品やBtoB事業の改善が期待されている。アミノ酸事業やバイオファーマサービスの収益性向上が貢献し、BtoC向け調味料の安定需要も堅調に推移。下期は価格調整や効率化により回復が進む見込みだ。

同社の事業にとって有利に働いている要因としては、国内市場での安定した需要、特にベーシック調味料が景気に左右されない強みを持っている点だ。また、アミノ酸技術や発酵技術の応用が進んでおり、ヘルスケア関連での成長が継続している。グルタミン酸(MSG)をはじめとするアミノ酸技術において、競合他社よりも圧倒的な強みを持っている。冷凍食品市場では、価格改定により競合と比較して一時的にシェアを失ったものの、再度価格調整を行いシェアが回復傾向にある。

中期的なロードマップでは、既存事業の成長と新規事業開拓を軸にした成長戦略を掲げ、オーガニック成長率5%の維持を目指す。食品事業では、国内外でのシェア拡大を進め、高付加価値製品のラインアップを強化。特にアジア市場での拡大に注力する。また、ヘルスケアやバイオ関連事業にも注力し、発酵技術を活用した新製品開発を進める。半導体パッケージ用層間絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」は、全世界の主要なパソコン向けを中心とした層間絶縁材料で95%以上のシェアを有しており、売上成長率20%、利益率50%超という高成長・高収益を継続している。食品事業の持続的な安定成長に加え、ヘルスケア分野の事業拡大により、成長を加速させる方針だ。

株主還元について、同社は累進配当を重視しており、今期の年間配当は前期比8円増の48円を予定している。総還元性向50%を目安に還元を行っており、自己株式の取得も積極的に実施するなど株主還元に力を入れている。今期2度目となる自社株買いは、300万株を上限に最大800億円の買い付けを予定している。株主還元の強化で投資家層を広げ、資本効率の改善につなげる。

同社は、国内最大手の調味料メーカーで、発酵技術を活用したアミノ酸技術に強みを持つ。直近の業績は微減で着地したが、食品事業は堅調で、特にBtoC向け調味料が安定した需要を維持している。今後は、オーガニック成長率5%~を目指し、ヘルスケアやICT分野の更なる拡大を進め、技術強化を推進していくとしており、長期的な成長が期待できる。

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