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BRUNO Research Memo(4):2025年6月期は黒字回復し「BRUNO」「MILESTO」とも2ケタ成長

■BRUNOの業績動向

1. 2025年6月期の業績概要
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比12.1%増の14,502百万円、営業利益で同200.2%増の440百万円、経常利益で同2,861.0%増の329百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で192百万円(前期は334百万円の損失)となり、黒字回復した。

売上高は、「BRUNO」「MILESTO」とも2ケタ成長となった。BRUNOの売上高は9,721百万円(前期比14.7%増)となり、主力製品である「コンパクトホットプレート」「マルチスティックブレンダー」「スチーム&ベイク トースター」などが堅調に推移した。「ボリュームノブスピーカー」は国内外のSNSで話題となり、増収に貢献した。MILESTOの売上高は1,285百万円(前期比27.4%増)と大幅に伸長した。インバウンド及び国内旅行需要の回復を背景に、デザイン性と機能性を兼ね備えたトラベルバッグ関連商品の販売が好調に推移した。海外卸売と国内EC販売が売上拡大をけん引し、連結子会社のジャパンギャルズでは、フェイシャルリフト機器やヘアドライヤーなどの美容家電の販売を開始したことが寄与した。

利益面では、円安や原材料高が原価上昇要因となったものの、原価及び販管費の削減の取り組みが奏功した。塩田社長自ら中国の委託先工場を訪問し、単価や支払いサイトの交渉を通じて原価低減を図ったほか、物流費や倉庫料などのコスト削減も進めた。これらの取り組みにより、販管費率が3.6ポイント改善し、営業利益・経常利益は大幅増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に法人税等を342百万円計上して損失だったが、当期は黒字に回復した。

2. 事業セグメント別動向
(1) 住関連ライフスタイル商品製造卸売事業
売上高は前期比9.0%増の7,042百万円、セグメント利益は同5.7%増の613百万円となった。国内卸売では、「BRUNO」ブランドのスティッククリーナーや「MILESTO」ブランド商品が堅調に推移したものの、キッチン家電の売上が伸び悩み、同7.9%減の減収となった。一方、海外卸売では中国を中心に代理店を通じたEC販売により、現地ニーズに対応した「BRUNO」ブランドのキッチン家電を新たに開発したことにより、同201.5%の大幅増収となった。

(2) 住関連ライフスタイル商品小売事業
売上高は前期比14.7%増の7,405百万円、セグメント利益は同39.6%増の1,182百万円となった。EC販売が全体の約3分の2を占め、売上高は前期比22.6%増の4,929百万円と好調に推移した。特に「BRUNOカタログギフト」やシーズン小物などがAmazonを中心としたECサイトで大きく売上を伸ばした。直営店舗では、インバウンド及び国内旅行需要を取り込んだことで、トラベル関連商品の販売が堅調に推移した。

(3) デザイン事業
デザイン提供等による手数料収入が増加し、売上高は同116.0%増の54百万円、セグメント利益も同様の54百万円となった。

3. 財務状況と経営指標
2025年6月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比170百万円増の10,507百万円となった。流動資産は314百万円増の8,625百万円となった。これは主に、貸付金が1,200百万円増加したことによる。一方で、現金及び預金は792百万円減少した。固定資産は143百万円減少したが、これは主にのれん(無形固定資産)が133百万円減少したことによる。

負債合計は前期末比51百万円増の5,299百万円となった。流動負債は291百万円増加したが、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金が417百万円、契約負債が35百万円増加した一方、買掛債務が145百万円減少した。固定負債は240百万円減少したが、これは主に長期借入金が167百万円減少したことによる。有利子負債全体では249百万円増の2,017百万円となった。また、純資産合計は、主に親会社株主に帰属する当期純利益192百万円により、同120百万円増の5,208百万円となった。

自己資本比率は49.5%(前期末比0.3ポイント上昇)となり、財務の安定性を維持している。有利子負債と自己資本の割合を示すD/Eレシオは0.39倍(同0.04上昇)に上昇したが、健全な水準である。流動比率は299.5%(同21.5ポイント低下)とやや低下したものの、問題のない水準である。加えて、1,000百万円のコミットメントラインも設定しており、手元流動性に問題はないと弊社では見ている。

4. キャッシュ・フローの状況
2025年6月期の営業活動によるキャッシュ・フローは497百万円の収入となった。主な増減要因として、税金等調整前当期純利益330百万円、減価償却費144百万円、売上債権の減少102百万円などのプラス要因に対し、仕入債務の減少135百万円及び法人税等の支払126百万円などのマイナス要因があった。投資活動によるキャッシュ・フローは1,324百万円の支出となった。主な要因は、貸付金が1,200百万円増加したことや有形固定資産の取得による117百万円の支出等があったことである。財務活動によるキャッシュ・フローは53百万円の収入となった。長期借入金が減少した一方、短期借入金が増加したことが要因である。

これらの結果、現金及び現金同等物は792百万円の減少となり、期末の現金及び現金同等物の残高は1,888百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)

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