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クシム—クシム取締役・田中遼氏に対しても名誉毀損訴訟へ― 田原氏提訴に続く「第二幕」、責任追及は個人レベルへ拡大

東証スタンダード市場に上場するクシムを巡る情報発信行為の問題で、旧経営陣側(中川博貴氏ら)は、すでに提訴した現代表取締役・田原弘貴氏に続き、クシムの取締役である田中遼氏個人に対しても、名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟を提起したことがわかった。

田原氏に対する訴訟が「現経営トップの発信責任」を問うものであったのに対し、今回の田中氏への提訴は、現経営陣全体に広がる個人レベルでの民事上の不法行為責任を問うものとして注目される。

■ 田中氏は「取締役」としてどの立場にあったのか

旧経営陣側によれば、田中氏はクシムの取締役として会社の業務執行や対外的な説明責任に関与する立場にありながら、SNSや関連発信の場において、旧経営陣の名誉や社会的評価を低下させる内容の発信に関与した、またはこれを補完・正当化する趣旨の言動を行ってきたとされる。

旧経営陣側は、これらの発信を事実関係の裏付けを欠いたまま行われたものが多いとしたことに加えて、これらの発信について、あたかも犯罪行為を行なったかのような評価を第三者に与える名誉毀損行為に該当すると判断したという。

■会社ではなく「個人」を被告とする理由

今回の訴訟で特徴的なのは、クシムという企業ではなく、田中氏個人を被告としている点だ。

旧経営陣側は、問題となった発信行為について、
・会社の正式なIRや開示行為ではなく、
・業務命令としての裏付けもない
・個人の判断と意思に基づく発信である
として、会社責任ではなく個人の不法行為責任を問う構成を選択したようだ。

これは、先行する田原氏の提訴と同様、「経営陣であれば何を言っても許されるわけではない」という明確な線引きを示すものでもある。

■田原氏提訴と共通する「連続する発信行為」と「記事削除行為」
旧経営陣側によれば、田中氏の発信行為は、田原氏による一連の発信と時期・内容・問題意識において密接に連動しているという。
事実関係の検証を経ることなく、断定的・攻撃的な表現が用いられた点については、田原氏のケースと構造的に酷似しているとしている。

また、田中氏についても、問題とされたSNS投稿の一部をすでに削除していることが確認されており、旧経営陣側はこうした削除対応自体が当該発信の適切性に疑義を生じさせる事情の一つであると主張している。

そのため今回の訴訟は、一連の発信行為全体を法的に検証する流れの一部と位置づけられている。

■今後の見通し――責任追及はどこまで広がるのか

田原氏、田中氏と、現経営陣の中枢を担う人物が次々と被告となる中、法曹関係者の一部からは、発信内容や態様次第では、民事責任の範囲を超え、刑事責任の存否が論点となり得るとの見方も出ている。

旧経営陣側は、事実関係に基づき、今後も必要な法的措置を検討するとしており、クシムの現経営陣である田原氏・田中氏による名誉権侵害に基づく不法行為責任を、経営陣個人に対して法的に正面から問う段階へと移行している。

本件について続報があり次第、改めて伝える。

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