2025年10月期決算説明
高橋和久氏:tripla株式会社代表取締役CEOの高橋です。本日はお時間をいただきありがとうございます。これより事業計画および成長可能性に関する事項、ならびに2026年10月期から2028年10月期の中期経営計画についてご説明します。
Agenda
本日のアジェンダです。最初に会社概要を説明し、その後、2025年10月期の振り返り、成長可能性に関する事項、中期経営計画の順でご説明します。事前にいただいているご質問については、すべての説明が終了した後に回答します。
会社概要
会社の概要についてご説明します。前回からの更新内容として、従業員数は単体で95名、連結で190名となっています。
数値でみるtripla
数値で見るtriplaについてですが、現在の導入施設数は9,992施設となっており、あと8施設で1万施設を超える見込みです。従業員数は190名、国籍数は16カ国、平均年齢は35.6歳です。
外国人比率は今回80パーセントとなっており、日本人が2割、外国人が8割という体制で事業を展開しています。
triplaのこれまでの歴史
これまでの歴史についてです。2025年10月期に米国や香港に進出しましたが、ペイメントを目的としています。また、2025年5月にはフィリピンに子会社を設立しました。現在、フィリピンには従業員が3名おり、営業活動を行っています。
経営陣の紹介
経営陣についてですが、前回から大きな変更はありません。ただし、前期2025年10月期に執行役員CTOとしてHakim氏、執行役員Product ManagementとしてAude氏の2名が加わっています。
triplaのパーパス
triplaは「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する」をパーパスとして掲げています。
triplaのビジョンとコアバリュー
ビジョンは「顧客体験の向上と省人化を実現するデジタルソリューションを提供し、旅行業界を革新する」です。
また、従業員間で7つのコアバリューを共有しています。「顧客満足実現へのマーケットイン」「オーナーシップ」「結果に拘るアクション」「イノベーションへの挑戦」「チームと自身の成長」「生産性の追求」「謙虚、尊敬、信頼」の7つを日々共有しながらビジネスを行っています。
財務ハイライト
2025年10月期の振り返りです。まず財務ハイライトですが、2025年10月期は当期純利益が5億円を達成しました。営業収益は25億7,300万円、営業利益は5億1,900万円、経常利益は5億8,300万円となっています。特に経常利益と当期純利益は、昨年に比べて100パーセント以上の成長を遂げました。
2025年10月期 結果(連結)
詳細は以下のとおりです。営業収益は25億7,300万円で、前年同期比プラス37.8パーセント、通期計画比でマイナス7.1パーセントとなっています。営業利益は5億1,900万円で、前年同期比プラス93.6パーセント、通期計画比でマイナス1.7パーセントとなっています。
2025年10月期 結果(単体)
単体では営業収益が21億5,000万円で、前年同期比プラス31.1パーセント、営業利益が5億3,300万円で、前年同期比プラス64.6パーセントとなっています。
特に「tripla Book」が成長を牽引しており、前年同期比プラス34.6パーセントの成長を遂げました。2025年10月期には売上高が16億円に達成しています。
2025年10月期 結果(BookandLink)
子会社の状況です。BookandLink社の営業収益は1億6,200万円、営業利益は2,000万円で着地しました。当初計画では営業収益1億9,700万円、営業利益3,800万円を見込んでいましたが、計画に対しては未達の状態です。
具体的には、期末の施設数は3,365施設となり、昨年の2024年10月末に比べて65施設増加しています。今期はさらに体制を見直し、契約施設数の増加を図りたいと考えています。
2025年10月期 結果(Surehigh)
Surehigh社は、営業収益2億6,000万円で、計画の2億7,800万円と比較すると1,800万円のマイナスとなりました。営業利益は当初マイナス1,700万円を見込んでいましたが、最終的にマイナス3,200万円で着地しています。
のれん控除前の営業利益は、2,500万円のプラスとなっています。
2025年10月期 業績概要(連結)
連結の業績概要です。計画の売上高27億7,000万円に対し、実績は25億7,300万円でした。営業利益は目標の5億2,800万円に対し、5億1,900万円、経常利益は目標の5億2,800万円に対し、5億8,300万円、純利益は目標の4億円に対し、5億円で着地しました。
2025年10月期 業績概要(単体)
単体の業績概要です。詳細は省きますが、営業収益は22億9,100万円の計画に対し21億5,000万円、純利益は4億800万円の計画に対し4億7,300万円となっています。
営業収益 – セグメント別(tripla Book)
セグメント別の情報です。まず「tripla Book」については、第3四半期にペイメントの設定ミスがあり8,400万円の影響がありましたが、第4四半期ではその影響がほぼ解消され、計画どおり従量収益を大きく伸ばすことができました。
その結果、「tripla Book」の営業収益は第4四半期に4億8,800万円、導入施設数は国内で3,586施設、グローバルで3,840施設、国内の取扱高は544億円で着地しました。
これを1年間で計算すると、昨期のGMV(取扱高)は1,744億円を達成しました。
tripla Bookの季節性について
「tripla Book」の季節性については、引き続き非常に大きな影響を受けていますが、第4四半期は国内インバウンド宿泊が好調で、総計で1億8,000万人が宿泊しました。当社は544億円のGMVを達成することができました。
Book従量収益の収益構造とtake rate
take rateについてです。ペイメントの回復が完了したこともあり、第4四半期は1.24パーセントと、過去最高のtake rateを達成しました。
営業収益 – セグメント別(tripla Bot)
「tripla Bot」についてです。先期の第1四半期が底となり、8,500万円からV字回復を果たしました。その理由として、導入施設数が伸びていることが挙げられます。第4四半期の営業収益は1億1,200万円で、導入施設数は国内で2,046施設、グローバルで2,136施設となりました。
営業収益 – セグメント別(tripla Connect)
「tripla Connect」です。導入施設数は順調に増加しており、第4四半期からは海外展開も開始し、全体で1,261施設に導入が完了しています。
収益も第4四半期で2,200万円となり、昨年の1,300万円からほぼ倍増しています。
四半期ごとの営業収益の偏重(単体)
四半期ごとの営業収益の偏りを示したものです。昨期も第4四半期が最も大きく、全体の30パーセントの売上が第4四半期に集中していました。
四半期ごとの営業費用の推移(単体)
費用についてです。第4四半期の費用は4億2,500万円で、営業利益率は32.9パーセントで着地しました。
2月4日~6日にホテルレストランショーへ出展
新規リード獲得についてご説明します。2月4日から6日にかけて、毎年開催されているホテルレストランショーに出展しました。
これまでは1つの小さなブースで対応していましたが、今回はブースを拡大しました。多くのお客さまにご来場いただき、新規リードを獲得することができました。
5月21日に第2回triplaカンファレンスを開催
今年第2回となる「triplaカンファレンス」を開催しました。約100名のお客さまにご来場いただき、弊社が行っている戦略や新たに開発した機能などを最新の業界動向も交えながらご説明しました。
10月15日~17日にITB Asiaへ出展
10月15日から17日にかけて、シンガポールのマリーナベイ・サンズで毎年開催されているITB Asiaに出展しました。こちらも多くのアジア・パシフィックのお客さまにご来場いただき、新規顧客の獲得につなげられたと考えています。
各国でtriplaカンファレンスを開催
「triplaカンファレンス」は日本だけでなく韓国、フィリピン、インドネシア、タイの各国で開催しています。タイでは10月に開催し、こちらでも100名以上のリードを獲得できたと思います。
オウンドメディアを開始
今年の9月からオウンドメディアを開始しています。
共同セミナーを多く開催
パートナー企業と共同でセミナーを実施しています。今年は「Amazon Pay」との連携が完了したことから、Amazonの事務所内で共同セミナーを開催したり、「GHA(Googleホテル広告)」との連携を強化したことにより、Googleとの共同セミナーを開催したりしています。
triplaの経営戦略
成長可能性に関する事項についてご説明します。triplaの経営戦略については、昨年から少し変更がありましたので、その詳細を説明します。
まず、1つ目は宿泊施設のブランド力と集客力強化への寄与、2つ目はターゲット市場拡大とローカライズ対応、3つ目はAI/LLM時代への適合、4つ目は決済ソリューションの最適化という4つを軸に経営戦略を策定しています。
宿泊施設のブランド力と集客力強化への寄与
宿泊施設のブランド力および集客力強化への寄与についてです。これまでは、公式サイトでの売上を最大化することに重点を置き、ホテルや旅館との対話を進めてきました。しかし、今期からは、我々全体の「正味売上」を向上させることを目指しています。
この「正味売上」とは、公式サイトの売上から集客コストを引いたものを指します。また、OTA(Online Travel Agent)からの集客については、OTA手数料や広告費などのコストを差し引いたものがOTAの「正味売上」となります。
当社は、この2つの「正味売上」を最大化するために、triplaのサービスを提供し、貢献していきます。
宿泊施設のブランド力と集客力強化への寄与
具体的には、実際にブランド力や集客力が強化される状態を、triplaのサービスを通じて提供していきたいと考えています。
ブランド力が強化された状態とは、ホテル業界において、同じ建物であってもブランド力の向上によってより高いADR、つまりより高い客室単価での販売が可能になることを指します。
一方で、集客力が強化された状態とは、同じ価格であればより多くのお客さまに宿泊していただくことができ、結果として稼働率を向上させられる状態を指します。triplaとしては、この2つの点において貢献していきたいと考えています。
ブランド力強化のためのメカニズム
ブランド強化のためのメカニズムとして、AISASのプロセスに沿って当社はサービスを提供していきたいと考えています。
「Attention」については、「tripla Boost」という広告運用代行サービス、「Intterest」に関しては「tripla Page」や「tripla Connect」といったお客さまとの接点を持つサービスを提供します。
そして、実際に「Search」して予約する部分については、「tripla Bot」「tripla Book」「tripla Guide」というサービスを、最後に共有する段階については、「tripla Review」「tripla Connect」というサービスを、それぞれお客さまに提供することを考えています。
2025年10月期の主な成果 – ポイントプロモーション機能
この1年間でどのような機能が追加されたのかという点ですが、「tripla Book」については、ポイントプロモーション機能が追加されました。これは、特定の予約をすると一定のポイントがもらえるようなキャンペーンに連動したプロモーションを実施できる機能です。
2025年10月期の主な成果 – バウチャープロモーション機能
バウチャープロモーション機能についてですが、ホテルではこのバウチャーという販促手段がよく利用されています。「tripla Book」により事前決済や事前予約において、この機能を提供できるようになっています。
バウチャーは、実際には個人に対して特定のサービスや割引を適用するかたちで提供されます。クーポンが多くの人に配布されるのに対し、バウチャーは個人に焦点を当てたサービスとして機能します。
2025年10月期の主な成果 – ベストレート機能
ベストレート機能は「tripla Bot」の付帯機能として提供しています。スライド右の吹き出しの中に通常価格、会員価格、OTAの価格、さらに「じゃらん」や「楽天トラベル」の価格も併記して表示することが可能です。
そして、お客さまがベストレートで予約できる点を訴求するサービスを提供しています。こちらのサービスは非常に好評で、「tripla Bot」の契約を希望するホテルも多くなっています。
2025年10月期の主な成果 – LINE連携で会員数拡大機能
「tripla Bot」の付帯機能の1つとして、LINEとの連携があります。この機能では、LINEの友だち登録を通じて会員登録ができるほか、AIを用いたLINEでの自動応答、さらにはLINE上でホテルの予約が可能となっています。
海外OTAからの戦略的活用で集客力を強化
集客力の強化についてです。現在、「tripla Nexus」というサービスを海外を中心に準備を進め、販売の拡大を目指しています。具体的には、台湾のLION TRAVEL、中国の美団、インドネシアのtiket.com、インドのMake My Tripといった各国で強みを持つOTAと連携しています。
「tripla Book」および「tripla Link」とのシステムを統合し、日本の宿泊施設に、例えばインドのMake My Trip経由での予約を可能にするようなシステム連携サービスを我々が提供するかたちになります。
これまでは、大型OTAと呼ばれるグローバルなOTAを通じてMake My Tripから日本の宿泊施設に予約を入れていました。この場合、Make My Tripの手数料が減少し、さらに宿泊施設側も高い手数料を支払わなければならないというデメリットがありました。
しかし、我々triplaが仲介に入ることで、Make My Tripも宿泊施設も、大型OTAに比べて安い手数料で予約を行うことが可能になります。このような点から、「tripla Nexus」に対して多くの期待が寄せられているのが現状です。
ターゲット市場拡大とローカライズ
2つ目のターゲット市場拡大とローカライズ対応についてですが、これまでに提供してきた日本、台湾、韓国、インドネシア、タイ、フィリピンに加え、現在営業員は不在ですが、シンガポール、香港、米国などへの進出を進めています。
また、営業代理店を通じて、エジプトやサウジアラビアにもサービスを提供しています。今期のサービス展開の検討国として、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドを挙げています。
経営体制なども考慮し、アジア・パシフィック地域を中心にサービスを強化していきたいと考えています。
2025年10月期の主な成果 – コネクティビティハブ
2025年10月期において、海外展開を進めるにあたり海外のチャネルマネジャーとの連携を可能にするコネクティビティハブの開発を実現しました。
M&Aで獲得したサービスをPMIで一本化
M&Aで買収したインドネシアのBookandLink社、Endurance社の「Pelican Hotel Solution」、さらに台湾のSurehigh社の「EZ HOTEL」といった予約エンジンを、「tripla Book」に統合するサービスの進行も進めています。
国やエリア毎に求められる機能要件を開発
海外で「tripla Book」を拡販するにあたり、ローカライズが求められています。例えば台湾では、台湾新幹線と連携し、公式サイトからホテルを予約すると台湾新幹線の料金が割引になる機能が必要です。また、日本では、幼児向けの食事や布団など、適切な区分が必要とされています。
インドネシアのバリでは、宗教的な理由でチェックインやチェックアウトができない「ニュピ」と呼ばれる日があり、これへの対応も必要です。一方、タイでは早期予約割引が非常に重要であり、これらへの対応が求められています。
このようなローカル対応も求められているため、対応を進めていきたいと考えています。
地域社会への発展支援 – DMO向けのtriplaサービスで地域活性
ターゲット市場の拡大として、これまでホテルを中心に弊社のサービスを展開してきましたが、今年の2月からは、DMO(Destination Marketing Organization)向けにtriplaのサービスを提供しています。
具体的には、福島市や上田市、千葉県大多喜町など、このようなローカルエリアにもDMOを提供しています。
Tier別に異なる営業戦略を実行し、顧客満足度の向上を実現
昨年2024年からカスタマーサクセスチームを結成し、お客さまをTier別に分けて、それぞれ異なる戦略でアプローチしています。Tier 1のお客さまには年次の販売計画の作成やPDCAサイクルの実行、最新機能の実装提案などを行っています。
一方で、Tier 3のお客さまには「tripla Success」の活用方法についての説明を積極的に進めるなど、Tierごとのニーズに応じたサービスや営業活動を展開しています。
AI/LLM時代への適合
3つ目の戦略、AI/LLM時代への適合についてです。LLMは下の注釈にあるとおり、「Large Language Model」の略です。このAI対応において、triplaとしては3つの対応策を考えています。
1つ目はAEO(AI Engine Optimization)、2つ目はベストレートおよび自社予約APIへの対応、3つ目はAIプラグインの提供です。
特にAIプラグインの提供については、「ChatGPT」や「Gemini」といったシステムにtriplaのプラットフォームを接続し、その中で実際に予約ができるようなプラグインを展開することを想定しています。
AI/LLM時代への適合
24時間365日稼働するマルチエージェントのAIコンシェルジュも、AI対応の1つとして考えています。
現在はtripla Botを中心にこのAI機能を提供していますが、将来的には、例えばホテルのルームサービスの予約やレストランやツアーの予約、チェックインの自動化、決済、トラブル対応など、多言語で24時間365日対応可能なAIコンシェルジュ機能を構築していきたいと考えています。
これにより、顧客体験の向上と省人化を同時に実現することを目指しています。
AI/LLM時代への適合
収益を最大化する自立型エージェントについてです。現在はホテルの担当者がさまざまなホテルを運営するためのITツールを手動で設定している状況です。しかし、今後はホテルの担当者が「自社予約比率を上げる」といったゴールを伝えるだけで、AIが自律的に判断・提案・実行する世界の実現を目指し、triplaとしてもサービスを提供していきたいと考えています。
決済ソリューションの最適化
4つ目の戦略は決済ソリューションの最適化です。2025年10月期には、事前決済比率が当初目標としていた25パーセントを超え、26.4パーセントを達成しました。
中長期的な計画としては、今期に30パーセント、来期に35パーセント、2028年10月には40パーセントと、毎年5パーセントずつ引き上げることを目指しています。
事前決済比率が上昇することで、ホテル側はキャンセル料の取り漏れを防ぎ、キャッシュフローの改善が期待できます。また、triplaは事前決済により得られる従量収益が増加するといったメリットもあります。
決済手段と決済シーンの多様化
決済手段と決済シーンの多様化にも引き続き貢献していきたいと考えています。
2025年10月期の主な成果 – ペイメントハブ
2025年10月期の主な成果として、ペイメントハブという機能を構築し、その中でさまざまなクレジットカードペイメント会社や、スライドに記載の「Amazon Pay」などとのシステム連携を加速させています。
2025年6月には「Amazon Pay」との連携が実現し、さらに韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、香港でのクレジットカード決済の連携も可能になりました。
また、昨今旅行業界を悩ませている不正決済への対応についても、triplaでは対応を強化し、ほぼ不正決済がない状態を実現できていると考えています。
決済手段を国毎に多様化
決済手段を国ごとに多様化することも求められています。現在はクレジットカードが中心ですが、銀行振込やデジタルウォレット、QRコード、コンビニ払いなど、それぞれの国ごとのローカル決済手段に加え、韓国独自のクレジットカードの対応なども含めて、サービスを拡大していきたいと考えています。
決済シーンの多様化へ対応
BNPL(Book Now Pay Later)のオプションの実装や、クレジットカード決済が失敗した際の現地決済への切替機能なども、お客さまに積極的にご利用いただきたいと考えています。
BNPLは今後実装予定の機能ですが、スライド下に記載のクレジットカード決済失敗時の現地決済への切替機能は、すでに実装済みです。このような機能を活用して、ホテルの事前決済比率を上げていただいています。
パートナーの拡大でコストを最適化
グローバルのパートナーと契約することで、決済ボリュームを向上させ、コストの最適化も実現しています。
triplaのサービスマップイメージ
スライドは、triplaのサービスマップイメージです。前回からサービス部分を四角で囲み、triplaの各サービスがどのような機能を持っているかを図解しています。
営業収益100億円を目指す中期成長シナリオ
中期経営計画についてご説明します。営業収益については、2030年10月期をターゲットに100億円を目標としています。この目標を達成するために、戦略的なM&Aの実施を計画しています。
また、現在はアジア・パシフィックを中心にビジネスを展開していますが、今後は欧米やホテルの数が増加している中東を含む地域でのサービス展開を進め、100億円の達成を目指していきたいと考えています。
triplaグループの営業収益 – 3カ年計画
M&Aは行わず、サービス展開国も現状の日本、東アジアおよび東南アジアのみの計画を精査した場合、営業収益は50億円を見込んでいます。
triplaグループの営業利益 – 3カ年計画
営業利益については、現在の日本、東アジアと東南アジアで12億円を計画しています。
赤い部分が日本で、黄色い部分が東アジア、緑の部分が東南アジアを示しています。東アジアには韓国と台湾、東南アジアにはインドネシア、フィリピン、そしてタイを含んでいます。
中長期の利益計画
実際の中期経営計画における利益の詳細です。今期は34億9,300万円、来期は43億1,900万円、その次は50億4,600万円を計画しています。
営業利益については、今期が7億5,500万円、来期が9億8,900万円、そして2028年10月期が12億3,300万円となる予定です。
営業収益 – 日本
国ごとの営業収益についてです。日本では、今期が29億6,300万円、来期が36億3,900万円、再来期が42億2,800万円となる見込みです。
「tripla Book」の成長を見込むとともに、「tripla Connect」「tripla Link」といったサービスをクロスセルさせて、拡大を目指していきたいと考えています。
営業収益 – 東アジア(台湾・韓国)
東アジアに関しては、同様にプロダクトを統合し、「tripla Book」を中心にブッキングエンジンを販売します。チャネルマネージャーは「tripla Link」というかたちで販売していきます。
営業収益 – 東南アジア(インドネシア・タイ・フィリピン)
東南アジアについてです。現在は「tripla Link」というチャネルマネージャーが中心ですが、今期から予約エンジンをPMIの一環として積極的に販売し、収益を積み上げていきたいと考えています。
営業収益 – セグメント別(tripla Book)
セグメント別の数値についてです。「tripla Book」に関しては、今期は25億円弱で、来期以降は30億円、37億円と推移する見込みです。
導入施設数は、今期はグローバルで4,514施設となり、2028年10月には5,726施設を見込んでいます。
これらの数字は非常に大きく、グローバルな市場においてtriplaというブランドが徐々に浸透してきていることを示していると考えています。
tripla Book 主要KPI
主要KPIとして、今期はGMVが日本のみの開示となっていますが、今後グローバルにおいても開示できるよう準備を進めていきたいと考えています。
GMVは前期が1,744億円でしたが、2028年10月期には2,600億円を達成したいと考えています。
また、take rateについては、前期は1.22パーセントでしたが、2028年10月期には1.75パーセントまで伸ばしていきたいと考えています。
この成長には決済ソリューションの強化が最も大きく貢献し、1.75パーセントまでの伸びを実現すると考えています。
営業収益 – セグメント別(tripla Bot)
「tripla Bot」です。営業収益は2028年10月期に4億7,700万円を見込んでいます。
具体的には、導入施設数の伸びを見込んでいます。2028年10月期には、海外も含めて3,000施設以上への導入を予定しています。
営業収益 – セグメント別(tripla Connect)
「tripla Connect」です。2028年10月期においては、営業収益として2億3,500万円を見込んでおり、導入施設数も3,000を超える予定です。
この導入は、日本国内だけでなく、東アジアおよび東南アジアの国々にも進めていきます。
営業収益 – セグメント別(tripla Link&Nexus)
「tripla Link&Nexus」についてご説明します。こちらは集客力を向上させるためのサービスです。
2028年10月期には営業収益4億円、導入施設数7,628施設の見込みとなっています。このうち、日本での販売については、2028年10月期には200施設以上での導入を目指しています。
triplaグループの従業員数
triplaグループの従業員数です。昨期は190名でしたが、今期は235名、来期は265名、そして2028年10月期には290名で運営する予定です。
プロダクトは1つに統合され、「tripla Book」としてグローバルで開発を進めていく予定です。
以上が、私からの中期経営計画のご説明です。
質疑応答:今後の成長ドライバーについて
「国内の『tripla Bot』『tripla Book』の導入施設数において、成長期から安定期に差し掛かりつつあると感じています。
今後の重点成長ドライバーは、海外比重を高める、クロスセル化する、take rateの飛躍的な向上など、何か開示できるものはありますか?」というご質問です。
今後の成長ドライバーとしては、引き続き「tripla Book」のペイメントの継続的な改善が挙げられます。次に、「tripla Nexus」および「tripla Link」です。これにより、集客力の向上に貢献していきます。
さらに、現在OTAサイトとして提供している「tripla ai」の拡張やDMO施策の拡販、そして海外展開の加速を、現段階で発表している中での成長ドライバーと捉え、ビジネスを進めています。
質疑応答:2026年10月期の純利益の成長率が低い理由について
「2026年10月期の最終益が経常利益ほど伸びていない理由を教えていただけましたら幸いです」というご質問です。
前期は繰越欠損金および繰延税金資産の影響により税負担が軽減されていましたが、当期はその影響がほとんどなくなると見込んでいます。
昨年対比で純利益の成長率が低く見えるかもしれませんが、これは実効税率の正常化による影響です。そのため、翌期以降は経常利益と同程度の成長率を見込んでいます。
2027年10月期以降は経常利益が上昇し、利益率と同じ程度の成長を見込んでいます。
質疑応答:中期経営計画における成長ドライバーについて
「昨年の中期経営計画では新規事業および新規地域について、売上および営業利益を数値計画に織り込んでいました。
一方、今回の中期経営計画では、新規事業を数値計画から除外し、既存事業のみを前提とした計画に組み替えていると理解しています。
また、地域別の計画を見る限り、今回の中期経営計画では海外既存事業について、前回の中期経営計画で想定していた水準までの回復成長が見込まれず、国内既存事業の成長がその分をある程度カバーする前提に置き換えられているように読めます。
この前提を踏まえた上で、なぜ今回の中期経営計画では新規事業を数値計画から除外したのか、その判断基準・判断理由について伺いたいと考えています。
特に、海外既存事業の進捗が前回の中期経営計画と比較して想定より遅れている状況を踏まえ、新規事業についても定量目標を設定すると、中期経営計画全体の実現確度が低下すると判断したためでしょうか?
まずは、国内既存事業の成長を主軸とした達成可能性の高い計画に組み替えたという考え方が背景にあるのかどうか、ご説明いただけますでしょうか?」というご質問です。
今回の中期経営計画は、毎年12月に翌期分を含めて発表を行う「ローリングフォーキャスト」の方法を採用しています。
このフォーキャストの前提条件は、昨年発表した中期経営計画と同じです。あくまで、目標とアプローチを掲げています。
今後の成長ドライバーに関しては、海外を主軸とする方針です。ただし、展開国の拡大やM&Aは不確定要素が大きいため、計画に含めることは投資家のみなさまを混乱させる可能性があります。
そのため、フォーキャストが可能なものだけを基に計画を立てています。国内市場は継続的に成長し、依然として収益基盤であることに変わりはありません。
一方で、既存の海外市場については、PMIに予想以上の時間を要しているため、現実的な状況を踏まえ、成長目標を見直しています。
質疑応答:中国・台湾問題の影響について
「今期の予想についてですが、過去に発表した中期経営計画を踏襲したものだと思います。これは、中国の台湾問題が発生する前に策定されたものと考えています。
現在、中国問題により観光客の減少などが生じていると思いますが、今期の予想には、この影響をどの程度織り込んでいるのでしょうか?」というご質問です。
結論から言うと、triplaに対しての影響は、非常に軽微だと考えています。テレビやメディアで大きく報道されていますが、団体客を扱っている旅行代理店には影響が非常に大きいと考えています。
一方で、triplaはそもそもFITと呼ばれる個人客が日本のホテルの公式サイトから予約することをビジネスの根幹としています。
先週までの中国からの予約率を確認したところ、2パーセント程度にとどまっています。これはキャンセル後の数字であり、非常に軽微な影響と考えています。
また、「どれぐらいキャンセルが出てるの?」というご質問も予想されます。先日、日本経済新聞にデータを提供した際、中国からのキャンセル率が約50パーセントであることを示しました。その結果、4パーセントだった予約率が2パーセントに減少した状況です。
一方で、予約が減少した部分については、他国からの予約で補われており、全体的には予約への影響はほとんどない状況です。
実際、直近11月の中国のチェックアウトGMVは前年同月比でマイナス7.6パーセントにとどまっており、業績への影響もほぼないと考えています。
ただし、この問題が長期化した場合、中国のお客さまが多く訪れるタイミングで、ADRが踊り場を迎える可能性は否定できません。そのため、こうしたデータを日々チェックしながら、ビジネスを進めています。
現在、日本のマーケットでは円安基調が続いており、その影響もあり、中国に限らずアメリカや香港といった国々からのインバウンド需要が増加しています。このため、これらの地域からの需要が大きな追い風になっていると考えています。
質疑応答:来期予想の利益が減額になった理由について
「今期予想はそのまま据え置いたのに対して、来期は相当な利益減額が見られます。これについて、説明がなかったように見られたので、来期予想が減額になった理由について教えてください。
来期は調整し、今期は据え置いたということは、今期予想達成の蓋然性は高いのでしょうか?」というご質問です。
主に人件費の上昇と為替変動の影響を保守的に見込んでいます。特に、当社では従業員の80パーセントが外国人で占められており、日本国外で働くスタッフも多いため、円安の影響を大きく受けています。そのため、為替変動も考慮しつつ、費用を保守的に算出しています。
また、円安になると逆に売上にはポジティブな影響が出る場合もあります。そのため、2026年10月期は、将来の売上成長を確実に実現するためのフェーズと位置付けています。
したがって、開発、海外、および営業体制を中心に、将来に向けた投資を引き続き進めていきたいと考えています。
今期予想を据え置いている理由についてですが、来期はコストを少し保守的に見ています。一方で、今期の営業利益に関しては、無駄なコスト削減をさらに進めたことに加え、当初想定していた一部の追加投資が不要となったことが背景にあり、予定どおりの営業利益を達成しています。
質疑応答:スマートフォンファーストの開発体制について
「スマートフォンファーストの製品体制はどうなっていますでしょうか? 昨今、スマホからの予約がほとんどだと思いますが、機能実装の紹介資料が未だにPCサイトのキャプチャーであったため気になります。
また、DMOも『iPhone』の『Chrome』では、初回ポップアップブロックが出てしまい、コンバージョンの低下が懸念されます。利益10億円に向けて、実装済みサイトに対するQA(Quality Assurance)体制の強化が必要なのではないでしょうか? 世界で活躍する初のネット企業の誕生を期待しています」というご質問です。
開発体制についてですが、基本方針として、すでにスマートフォンファーストでプロダクトの開発を進めています。
当社は、2019年から「tripla Book」というサービスを提供しています。後発ながら、日本の多くのお客さまに契約していただいている背景には、当社がそもそもスマートフォンファーストでプロダクトを開発し、さらにクラウドでスムーズに動作する2つの特徴を持ってスタートしたことがあります。
そのため、この開発体制に関しては、引き続きスマートフォンファーストを基本方針としています。UIの設計や機能要件についても、スマートフォンでどのように使用されるのか、どのように動くのかを起点に考えています。
機能紹介資料やスライドがPCのキャプチャーになっている点についてですが、大きな画面のほうが見やすいため、基本的にはPCのキャプチャーを利用しています。ただし、スマホビューを希望する声が多い場合には、今後の検討課題としたいと考えています。
次に、DMOの連携に関するポップアップブロックについてです。こちらについては認識しており、「iPhone」の「Chrome」ではセキュリティの仕様上、初回の外部遷移時にポップアップブロックが表示されることがあります。これは特定のサービス固有の問題ではなく、ブラウザ側の挙動となっています。ユーザーが一度許可すれば、以降は通常どおり遷移するかたちとなっています。
質疑応答:来期のtake rateが改善される要因について
「来期のtake rateが1.22パーセントから1.56パーセントに改善される要因を教えてください。システム開発等の手法による改善を見込んでいるのか、それとも事前決済比率等の施策で見込んでいるのかを教えてください。何を予定して、これほど改善されるのかを教えていただければ幸いです」というご質問です。
複数の要因がありますが、主要因としては事前決済の施策により、take rateが上昇していると考えていただければと思います。
具体的な数値目標として掲げている事前決済比率30パーセントを実現することで、この1.56パーセントが達成できると考えています。
ただし、30パーセントを実現するためには、さまざまなアクションプランが必要です。
例えば、「tripla Book」のBNPL(Book Now Pay Later)の実装や、コンビニ払い、銀行振込払いが可能になるといった決済手段や機能拡張を進めることに加え、それらを施設さまに実際に利用していただくことも含めて計画を進め、この30パーセントを達成していきたいと考えています。
質疑応答:「tripla Book」の導入施設数増加の理由について
「日本国内の『tripla Book』導入施設数が急激に伸びています。何か特別な施策を実施しているのでしょうか? 要因を教えてください。『tripla Book』の事前決済等の利便性が認知され、導入が広がっているのでしょうか?」というご質問です。
日本国内で「tripla Book」の導入施設数が伸びている理由ですが、特定の短期的なキャンペーンを行ったわけではなく、複数の要因が重なった結果だと考えています。
ご指摘いただいたとおり、事前決済機能が大きな評価ポイントの1つになっているのは、実際にお客さまからいただいているご意見です。
現状、日本市場において事前決済まで一気通貫で提供できている予約エンジンシステムは、「tripla」だけという状況です。そのため、宿泊施設側からもコストを抑えつつ運営効率を向上できる点で非常に高く評価されています。
また、triplaは単なる予約システム会社ではなく、「ホスピタリティIT」というエコシステムを提供する企業であると捉えています。
実際に宿泊施設のみなさまは、「予約システムを入れ替えたい」というよりも、「稼働率を上げたい」「直販比率を上げたい」「ブランドを強化したい」といったことを通じて収益の最大化を目標としています。
その過程で、広告や問い合わせ対応、さらには「ホテル会員全員をリピーター化させたい」といった課題が次々と出てきています。
これらの課題に対し、triplaがトータルソリューションを提供できる点が、同社の強みと考えています。
多くのホテル施設は、最初からすべてのサービスを導入するわけではありません。まず第一歩として「tripla Book」を導入していただき、中長期的には「tripla bot」や「tripla Connect」といったサービスをクロスセルすることで、長期的にお付き合いいただけるパートナーとなるよう努力しています。
昨年から取り組んできたDMOとの連携強化により、これまでは地方でも基本的に1施設ずつ営業していましたが、DMOで契約していただくと、一度に10施設や20施設といったホテルや旅館との商談が実現します。こうした効率化も進んでいると考えています。
質疑応答:今後の「tripla Book」導入の進展ならびに海外での料金体系について
「今期は韓国・台湾での『tripla Book』の導入が進んだ印象です。今後もこの流れは継続しそうでしょうか? また、海外での料金体系は国内と同一でしょうか?」というご質問です。
今期に関しては、韓国、台湾でさらに加速することに加え、インドネシア、タイ、フィリピンでも導入施設数を拡大していく方針で進めています。
実際に、韓国、台湾は非常に伸びてきていると感じています。台湾では、Surehigh社の「EZ HOTEL」というサービスがありましたが、これは非常に古いサービスでした。これを「tripla Book」に置き換えることで、売上が伸びているところもあります。このような状況を踏まえ、台湾や韓国の市場で拡販を進めています。
料金体系についてですが、各国の商慣習の違いがあり、国ごとに異なります。固定料金制度は日本における商慣習に近く、韓国もこれに非常に近いと考えます。一方で、東南アジアではコミッションモデルや従量課金モデルが主流となってきています。
質疑応答:海外事業が成長路線に戻る根拠について
「2030年に売上100億円という目標を掲げていますが、その達成には海外事業の進展が不可欠だと考えています。ただし、現状の中期経営計画を見ると、海外の成長見通しに懸念を感じています。
2023年の中期経営計画では、2026年時点で台湾・インドネシアの営業利益を1.24億円と計算していたのに対して、最終の中期経営計画では0.16億円と、大幅に修正されています。
その他地域についても、2023年時点で、2026年に1.39億円の営業利益を見込んでいたのに対して、2024年の中期経営計画では、0.56億円に引き下げられていて、最新の中期経営計画では、項目そのものの記載がなくなっています。
このような状況を踏まえて、今後2030年に向けて、海外事業が再び成長路線に戻る根拠、期待できる要素があれば説明をお願いします」というご質問です。
日本と同様に、「tripla Book」「tripla Bot」「tripla Connect」といった商品のクロスセルを海外でも継続していきたいと考えています。
また、東南アジアや東アジアにおいては、開発環境やサービス環境を日本と同一化させ、1つのサービスとしてtriplaのサービスを販売していきたいと思っています。そうすることでコストの最適化を進め、利益率の向上が期待できると考えています。
ただし、現在はちょうど変革期にあるのが現状です。実際にPMIを進める中で、サーバーやサービスを1つに統合するなど、一時的にコストが発生することが見込まれます。数年前よりも、より精緻に数値を見込みながら、計画に組み込むことができていると考えています。
反対に、一度このような統合が実現し、機能面での準備が整う頃には、東南アジア・東アジアを含めて「tripla Book」「tripla Bot」「tripla Connect」といったサービスを販売することが可能になります。
日本国内では「tripla Link」「tripla Nexus」といったサービスの販売を加速させることができると考えています。その結果、営業利益率の底上げも期待できると捉えています。
質疑応答:機関投資家からの感触について
「業績が好調のため、機関投資家からの感触に変化はあるでしょうか? 通過点として時価総額1,000億円を、ともに目指したいと考えています。」というご質問です。
今回はまだ決算発表後に機関投資家の方々とお話ししておらず、今日からお話しする予定です。
したがって、現時点で感触の変化についてはお伝えできませんが、機関投資家向けの説明会には過去最大の多くの方にご参加いただいています。そのため、反応は悪くないのではないかと考えています。