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伊藤ハム米久ホールディングス:食肉・加工食品の両輪で成長を加速、配当利回り5%超え

伊藤ハム米久ホールディングス株式会社は、食肉および加工食品の製造・販売を主軸に展開する、国内屈指の食品グループである。同社は2016年の経営統合を経て、大衆向け製品に強みを持つ伊藤ハムと、ニッチな領域で差別化を図る米久の両ブランドを擁し、業界内で強固なポジションを確立している。事業は、ハム・ソーセージや調理加工食品を扱う「加工食品事業」と、牛・豚・鶏の生産から販売までを垂直統合で手掛ける「食肉事業」の二本柱で構成。前期時点の売上構成比は加工食品事業41%、食肉事業59%となっている。国内市場シェアでは、ハム・ソーセージで22%と国内シェア1位、ピザスナックでは34%というシェアも獲得しており、食肉事業におけるシェアでも牛肉12%、豚肉19%、鶏肉13%と均等にシェアを獲得している。ニュージーランドの連結子会社であるANZCO Foods社を通じてグローバルな供給網を有するなか、経営統合によるシナジー発現により、基礎収益力が着実に向上している。

同社の強みは、第一に、食肉事業における牛・豚・鶏のバランスの取れた取り扱いと、生産から販売に至る強固なバリューチェーンにある 。国内の広範な営業網に加え、ANZCO Foods社が持つ世界80カ国以上の販売網を活用することで、市場環境の変化に応じた最適な供給が可能となっている。商品区分別売上高では、牛肉46%、豚肉32%、鶏肉15%、その他7%で構成されている。第二に、加工食品事業における高いブランド力と商品開発力が挙げられる。「アルトバイエルン」や「朝のフレッシュ」といった強力な主力商品に加え、消費者の簡便化ニーズに応えるチルドピザや冷凍食品など、多様なライフスタイルに対応した品揃えで高いマーケットシェアを維持している。第三に、徹底したリスク管理と収益改善の実行力だ。原材料費や物流費の上昇といった外部環境の変化に対し、タイムリーな価格改定や不採算取引の見直し、さらには製造アイテムの集約による生産・物流効率の改善を迅速に進めており、厳しい環境下でも利益を確保する体制を整えている 。

2026年3月期の第2四半期の連結業績は、売上高542,362百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益13,150百万円(同49.3%増)の増収大幅増益で着地した。食肉事業における海外事業の劇的な収益改善がある。ANZCO Foods社において、北米向け牛肉や欧州向け羊肉の販売が好調に推移したほか、決算期変更による影響も寄与した。また、国内事業では国内鶏肉の相場上昇による生産事業の収益性改善に加え、リスク管理強化による採算性改善が物流単価上昇の影響をカバーしたことも要因のひとつである。加工食品事業では、消費者需要の低迷により販売数量は減少したものの、商品新陳代謝の推進やコスト削減の取り組みが原材料・物流コストの上昇をカバーし、利益を維持している。通期連結業績予想についても上期の好実績を踏まえて上方修正されており、売上高1,050,000百万円(前期比6.2%増)、営業利益27,000百万円(同37.9%増)を見込んでいる。引き続き価格改定効果の浸透や、国産鶏肉相場の堅調さを背景とした生産事業の増益が見込まれることが、上振れの根拠として期待される。

今後の成長見通しについては、2035年度に経常利益500億円を目指す「長期経営戦略2035」と、その足掛かりとなる「中期経営計画2026」(2026年度の経常利益目標は300億円)を策定している。2026年度までは主にオーガニックグロースで基礎収益力の底上げをはかりつつ、成長投資を加速させることで国内バリューチェーン価値の最大化を図る。重点施策として、総額2,000億円規模の投資を計画しており、国内では2026年度に稼働予定の新三島工場を皮切りとした工場再編により、省人化とIoT化による製造コストの劇的な低減を図る。また、成長領域である冷凍食品事業の拡大や、米国市場での調理加工品展開などの取り組みを進めていることに加え、ANZCO Foods社における牛副産物由来の医療用素材製造といった高付加価値分野の強化にも取り組んでいる。オーガニックな成長に加え、国内外でのM&Aを通じた事業ドメインの拡張も視野に入れており、将来的な利益成長への展望は明るいと言える。

株主還元については、安定的な還元を重視した方針を明確に掲げている。中期経営計画2026の期間中は、普通配当を対象にDOE3.0%以上かつ累進配当を採用。実際に配当額は増加傾向にあり、2025年3月期の年間145円に対し、2026年3月期は経営統合10周年の記念配当175円を加えた、年間320円の配当を予想している。同社は創出したキャッシュを、将来の成長に向けた投資と、株主への安定した還元にバランスよく配分する方針を徹底している。なお、同社の株主資本コストを意識した経営の推進により、2026年3月期の予想に基づく配当利回りは3%を大きく超える水準となっており、投資家にとって魅力的な還元姿勢を示している。

総じて、同社は、加工食品・食肉の両セグメントにおける圧倒的な事業基盤を背景に、グローバル市場での収益力強化と国内工場の抜本的な再編による効率化を着実に進めている。原材料コストの上昇という逆風を価格改定と内部努力で克服しつつ、積極的な成長投資と手厚い株主還元を両立させている点は高く評価できる。長期的な成長ストーリーが具体化しており、特に海外事業の利益貢献度の高まりや、新工場の稼働に伴う収益性の向上が期待される中、今後のさらなる企業価値向上に注目していきたい。

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