■要約
ヤマタネは1924年(大正13年)7月3日に山崎種二(やまざき たねじ)が廻米問屋として創業し、2024年7月にグループ創業100周年を迎えた。コメ卸売販売の食品事業を祖業に事業領域を拡大しており、現在は「物流(国内業務・国際業務)」「食品(コメ卸売販売・加工食品卸売販売)」「情報(メインフレームの技術支援やソフトウェアの開発・販売・サポート)」「不動産(オフィスビルを中心とした不動産賃貸)」と4つの事業を展開する。2025年4月より親会社である同社の各事業本部とグループ子会社が一体となった「物流カンパニー」「食品カンパニー」「情報カンパニー」「不動産カンパニー」のカンパニー制へ移行した。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高43,176百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益3,736百万円(同150.9%増)、経常利益3,640百万円(同154.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益2,555百万円(同161.9%増)と増収、大幅な増益を確保した。親会社株主に帰属する中間純利益を除き、2025年8月1日に開示した、2026年3月期第2四半期(累計)連結業績予想を達成した。この大幅増益は、食品カンパニーの好業績が最大の要因である。食品カンパニーの売上高は同22.2%増、営業利益は同353.9%増と大幅な増益となった。子会社の(株)ショクカイの業況が堅調となったことに加え、コメ卸売販売業はコメ需給がひっ迫するなかで適宜適切な価格転嫁と備蓄米の精米作業の受託が寄与した。利益面では食品カンパニーの好業績のほか、前期に計上した不動産取得税がなくなったことによる増益、不動産カンパニーにおける新規賃貸物件の取得も営業利益の押し上げ要因となった。なお、特別損失を計上したものの、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期を大きく上回った。
2. 2026年3月期の業績見通し
同社は、2026年3月期の業績予想を2025年11月に上方修正し、売上高は93,770百万円(前期比15.9%増)、営業利益は5,710百万円(同51.1%増)、経常利益は5,130百万円(同40.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,940百万円(同59.8%増)とした。見直し後の予想達成の成否は、コメ卸売販売業の業績動向がカギを握る。令和7年産米の高止まりが予想されるなか、同社は仕入コストの増加に対して適切な価格転嫁を行うとともにコメの安定供給に努める方針である。同社は通期業績について保守的な見通しを立てており、業績予想達成の確度は高いと見られる。売上面では、2026年3月期に子会社化した、物流カンパニーにおける(株)ヤマタネドキュメントマネジメントや(株)キョクトウ、食品カンパニーにおける(株)農産ベストパートナーなどの業績寄与が期待される。利益面では、食品カンパニー等における増収効果により営業利益は大きく増益を見込むが、経常利益については資金調達に伴うシンジケートローン手数料の計上を想定している。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券として運用していた政策保有株式の売却等により増益を見込む。
3. 中期経営計画「ヤマタネ2028プラン」の状況
同社は現在、2026年3月期から2028年3月期までの3年間の中期経営計画「ヤマタネ2028プラン」を推進している。2026年3月期はその初年度として、各事業カンパニーで定めた事業戦略に基づく重点施策を展開している。物流カンパニーではアーカイブ事業の拡大を進めている。関西エリアを中心に顧客開拓を進めるため、その基盤整備として双方のシステムの融合やクロスセル、人材等のリソースの融通といった施策を進めている。食品カンパニーでは、コメ卸売事業の収益性改善策として、仕入コストの販売価格への適切な転嫁施策や、印西精米センターの品質・生産性向上策を進めている。また新規顧客開拓施策(川下戦略)として、ショクカイの成長戦略を進めている。情報カンパニーでは事業拡大策として地方拠点への進出を進めているほか、不動産カンパニーでは、越中島開発プロジェクトを計画どおりに進行している。
■Key Points
・2026年3月期中間期は増収、大幅な増益を達成。コメ卸売販売業が業績をけん引
・2026年3月期はコメ卸売販売の好調な業績を反映し、通期業績予想を上方修正
・中期経営計画初年度は、各事業カンパニーの事業戦略に基づく重点施策を推進
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)