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城南進研 Research Memo(6):新中期経営計画では3つの重点戦略を推進し、営業利益率10%を目指す(1)

■今後の見通し

2. 新中期経営計画
(1) 新中期経営計画の概要
城南進学研究社は2025年12月に“教育の力で子どもたちの未来を明るく灯す”をテーマに掲げた3ヶ年の新中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)を発表した。『総合教育ソリューション企業として、たくましい知性・しなやかな感性を育む能力開発のLeading Companyとなる』というビジョンの実現に向け、「挑戦」「成長」「深化」にこだわり、持続的な企業価値向上を目指す。

重点戦略として、1)日本が抱える社会課題解決への挑戦、2)保育園事業の成長、3)学習塾事業の深化、の3点に取り組み、2029年3月期の業績目標として売上高63億円、営業利益率10%を掲げた。売上高はサービスの整理統合を進めることもあり、2026年3月期の計画に対して年率2%成長と堅実な成長を計画している。一方、営業利益率は10%と大幅な向上を目指しており(2026年3月期計画2.5%)、売上高よりも利益を重視する方針を打ち出している。

(2) 重点戦略
a) 日本が抱える社会課題解決への挑戦
日本が抱える社会課題のうち、教育分野においては「理系人材の深刻な不足」と「不登校生徒の増大」が課題として挙げられており、同社では「りんご塾」「デキタス」「Gakken高等学院」を拡大していくことで課題解決に貢献していく考えだ。収益貢献度としては大きくないものの、社会課題解決事業として取り組んでいく。

「理系人材の深刻な不足」については、政府方針として、IT・AI、ロボット、アグリ分野を強化すべく、人材の育成強化を打ち出しているが、それでも2040年における理系人材は100万人不足すると言われている。このため、政府は3,000億円の基金を創設し、理系学部・学科の新設・転換支援を始めており、理系専攻学生の割合を現在の35%から50%に引き上げることを目指している。理系教科への教育ニーズが今後大幅に高まることが予測されるなかで、同社は「りんご塾」で幼児期から算数への興味関心を持たせ、算数的思考力を養成することで理系志望の学生を増やしていく考えだ。

「りんご塾」では、算数オリンピックを目指す数少ない算数教室で、オリジナルカリキュラムにより学習指導要領にうたわれる「思考力」も鍛えることができるため、算数教室のなかでは圧倒的ブランド力を有している。今後、「城南コベッツ」でのさらなる併設を進めていくほか、アライアンス先の拡大により加盟教室数を現在の300教室から、2028年に600教室まで拡大することを目指す。

一方、「不登校生徒の増大」については年々増加傾向にあったが、文部科学省の調べによると2020年のコロナ禍を契機として、2021年度以降増加ペースが加速し、小・中学生に関しては2023年度に34.6万人、不登校生徒の比率で2017年度の1.5%から3.7%まで上昇した。また、高校生については通信制を選択する学生が年々増加しており、2025年度で30.5万人と全高校生の10%弱を占めるまでになっている。

こうした環境変化に対応すべく、小・中学生向けには不登校生徒対策として「デキタス」を学習塾だけでなく教育委員会(公立学校)や学校法人等への導入を推進していく方針だ。導入校では不登校生徒の学力向上や学習意欲の改善などといった効果が確認されており、2025年12月時点でこれら教育機関の導入件数は31機関※まで広がっているが、2028年度には発行アカウント数で不登校生徒数の約1割の水準となる3万IDを目標としている。

※ 採用自治体は東京都、神奈川県など7都道府県のほか、品川区・横浜市・名古屋市など14市区町村にのぼる。

通信制高校の需要が拡大している高校生向けには、2025年4月より開始した通信制連携校「Gakken高等学院※」を城南コベッツ教室に併設する格好で展開していく予定で、2028年度までに東京都・神奈川県内で5キャンパスの開校を目指す(うち、蒲田キャンパスを2026年4月に開校予定)。開校済みの湘南藤沢キャンパスでは数名が入学し、2026年度に10名以上の在籍生徒数を目指す。

※ クラーク記念国際高等学校の通信制連携校で、資本業務提携先の学研ホールディングスが展開している。

b) 保育園事業の成長
学習塾に続く第2の収益柱として、保育園事業のさらなる成長を目指す。保育園を取り巻く環境はプラス面、マイナス面が混在している状況にある。プラス面としては、国策として少子化対策に取り組む方針を打ち出しており、こども家庭庁の創設により今後も各種支援制度の拡充が期待されること、また女性の就労率上昇による保育園の利用増が見込まれる点が挙げられる。一方、マイナス面としては大幅な出生数の減少や企業の育児休暇制度の充実による保育園の利用減などが挙げられる。同社では保育園不足の時代から淘汰の時代に移行し、今後は明確な訴求ポイントを持つ保育園のみが生き残る時代になると見ている。

こうしたなかで、「くぼた式育児法」を導入していることを強みに高い定員充足率を維持している同社の保育園事業は、今後も競争力を維持していくことが可能と見ている。「くぼた式育児法」は0歳児からの育脳プログラムであり、0歳児募集において圧倒的な訴求ポイントになるためだ。0歳児は補助金単価が高く、翌年以降の募集も安定するため、0歳児の獲得が経営の安定化において重要なポイントとなってくる。同社はこうした強みを生かして、2028年までに首都圏を対象にM&Aを中心として現在の23園から40~60園まで拡大することを計画している。現在の保育園事業の年間売上規模は10億円強程度の水準であり、計画どおりに進めば収益の成長ドライバーとなる可能性がある。

c) 学習塾事業の深化
学習塾事業については、差別化推進により再成長を目指す。少子化が進むなかで、生徒数の獲得競争が激化しているのは学習塾だけでなく大学も同様で、ここ数年は「総合型・学校推薦型選抜入試」の実施により早期に生徒を確保する動きが私立大学だけでなく、国立大学でも進み始めている。一方で、難関大学では「一般選抜入試」が一定割合で残るため、学習塾としてはそれぞれのニーズに対応した教育サービスの提供が重要になると見ている。同社では「総合型・学校推薦型選抜入試」を志望する生徒に対しては、「推薦ラボ」を提供することで差別化を図っていく戦略だ。「推薦ラボ」は、志望大学合格率90%を超える「城南推薦塾」が監修したアプリで、実績のある講師とAIの融合による高品質な指導を提供しているほか、「映像授業・志望理由書作成ワークシート・添削」をアプリにより一元管理できるのが特徴で、今後の高校生募集に際して主力コンテンツ教材としていく方針だ。一方、難関大学を中心とした一般選抜入試を志望する生徒には、「河合塾マナビス」で対応していく。

また、小学生向けには「りんご塾」「デキタス」を、中学生向けには「デキタス」を差別化ポイントとして訴求し、従来の補習型個別指導塾から合格実績も重視した「多様な学び」に対応する個別指導塾へと転換を図ることで収益力の強化を図り、FC教室数で現在の185教室から、2028年には20%増の222教室まで拡大することを目標として掲げている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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